会社にとらわれ過ぎない自分自身のキャリアの考え方

「うちの会社で通用しないやつはよそでも絶対通用しないんだよ―。」

会社の中間管理職の方がよくいうセリフです。

ビジネスマンであれば、上司からこんな叱責を受けた経験は少なからず誰にでもあるのではないでしょうか。体育会系のハードワークすぎる会社なら、なおさらのこと。

でも実は、そんな叱責、それほど真に受けることはないのです。確かにどこの会社でも通用する人というのはいますが、そのようなスーパービジネスマンになれるなら、誰も苦労しませんよね。適材適所。自分の強みを活かせる会社に転職することで、その人の可能性が花開くことだってあるのです。

 

ある営業マンの転職成功談

九州の中心都市・福岡の商品先物会社の支店で働く27歳の営業マンが相談に訪れました。

毎日、帰宅するのは終電。売り上げが達成されていない月は、早朝6時に出勤。土日の体日もほとんど取ることができないので、たまの休みには、何もする気が起こらずひたすら自宅で眠りこんでいるうちに、一日が終わってしまう。

商品先物の世界は、ハードワークで知られます。軍隊に通ずるような徹底した旧式の縦割り組織が多く、営業数字へのコミットメントが高く求められます。数字があがらないと、ものが投げつけられることもしばしばあったそうです。

「商品先物の会社の1年は、普通の企業の3年に値する。」そんな噂もまかり通るほどです。仕事の密度が濃いので社会人として鍛えられるスピードが速く、確かに忍耐強く優秀な人材を多く輩出しています。

とはいうものの、彼は入社して4年が経っても、いまだその体質になじめないようでした。営業成績も成果があがらず、すっかり志気が失われてしまっている様子。ただ、話を聞くうちにわかってきたのは、経験の中から自分の強みを自覚していて、その特性を活かした職場に転職したいという明確なビジョンを持っていることでした。

「一人のお客さまから信頼を勝ち取り、長くお付き合いをすることが私の最大の強みだと思っているんです。」「今の会社の営業スタイルでは、新規を開拓しつづけることが強要され、自分の適性に合っていないような気がする。業界は変わっても構わないので、東京の会社で営業にチャレンジしてみたい」ということでした。

その後、何度か上京し、キャリア相談に訪れましたが、確かに彼は柔和でマメな人柄でした。出張で東京に来るたびに、わざわざ私におみやげを持ってきてくれるし、遠方からマメに連絡をくれたりと、押しつけがましくない心遣い、気くばりにとても長けた人物でした。

私は、物を売るよりもサービスを提供し、クライアントとの長い付き合いの中できめ細やかなアフターサービスに心を配れる人だと判断し、大手情報通信会社の営業職を紹介しました。

転職時はスライドだった年収も、2年後には3倍以上にあがり、現在はアシスタントマネジャーとして活躍中です。

 

適材適所、自分の活躍出来る環境は絶対にある

前職が、時間的にも営業数字的にもハードワークを課せられる会社だと、業界が変わっても、その経験を評価してくれる会社はたくさんあります。

「うちの会社で通用しないやつはよそでも絶対通用しないんだよ!」そんなセリフこそ、今の時代、通用しません。あなたの特性を活かせる会社は必ずどこかに存在するのです。

 

高野 秀敏

キープレイヤーズ 代表取締役

99年に株式会社インテリジェンスへ入社。2005年に株式会社キープレイヤーズを設立。3000名以上の経営者の相談と、10000名以上の個人のキャリアカウンセリングを行う。また、30社以上の社外役員・アドバイザー・エンジェル投資を国内・シリコンバレー・バングラデシュで実行。キャリアや起業、スタートアップ関連の講演回数100回以上。