マーケティングは会議室で起きてるんじゃない。生活者と企業をつなぐ Blabo 坂田直樹さんの経営論

インタビュー          
       
       
     

代表取締役/ マーケター 坂田直樹

外資系消費財メーカーユニリーバのマーケティング部門にてブランド戦略立案、新商品開発に従事。2011年に株式会社Blaboを創業。生活者のアイデアを取り入れた商品開発を行う日本最大の共創プラットフォームBlabo!を運営。Blabo!では2万人を超える生活者がプランナーとして活躍しており、コカ・コーラ、カルビー、ハウス食品を始め、キリンビール、ローソンなどの大手企業から経済産業省、神奈川県、鳥取県などの行政機関や地方自治体まで、幅広いクライアントが採用している。

鳥取県プロジェクトが全国知事会先進政策大賞を受賞。2015年度グッドデザイン賞など受賞歴多数。「クローズアップ現代」(NHK)、「ニュースJAPAN」(フジテレビ)などメディア出演も多い。著書に『問題解決ドリル―――世界一シンプルな思考トレーニング』(ダイヤモンド社)などがある。

 

株式会社Blabo

アイデアさえあれば、いつでも・誰でもプランナーになれるドアの開かれた『みんなの企画会議室Blabo!』のサービス開発・運営を行っている。Blabo!では2万人を超える生活者がプランナーとして活躍しており、コカ・コーラやハウス食品を始め、カルビー、ローソン、三井不動産、ロッテ、アサヒビールなど大手企業から経済産業省、神奈川県、鳥取県をはじめとする行政機関や地方自治体も採用している。

 

Blabo坂田さんのキャリア

今の自分を形成した幼少期の原体験

高野:まず初めに、坂田さんのご経歴をお伺いしてもよろしいでしょうか?

 

坂田:かなりさかのぼりますが、私の幼少期のお話からスタートさせてください。7歳までニューヨークで暮らしていました。そこから急に群馬に戻ることになり群馬での生活がスタートしました。この転機はある意味、私の人生のアクシデントでした。

幼少期を過ごしたニューヨークは、文化や言語のギャップがあり、自らが共存しなくてはならない環境でした。しかしこれは、全くストレスフルな生活ではなく、むしろ自分の意思に素直になり、自由に育つことが出来ました。絵を書いてレゴを作って、行きたい所へ連れて行ってもらえる自由奔放な生活を送ることが出来ました。

 

高野:ニューヨークから群馬への転居、この環境の変化は幼少期の坂田さんにどんな影響を与えたのでしょうか?

 

坂田:群馬に戻った時、まず、「全員の体操着が青」のような世界に違和感を覚えました。直感的に「この人たちと上手く付き合っていかなければならないのか」という感情を持ってしまったことを覚えています。

一人で生きて行くことなんて出来ません。自分本位ではなく、相手に合わせていく術を自然と身に付けました。その結果、相手の立場と自分の立場をどう組み合わせるかを常に考えるような、ませた子供になってしまいました(笑)。

就職活動でマーケターという職を選んだことも、相手に合わせて何かを最適化させる術を自然と身に付けたこの幼少期の現体験があったからだと今振り返っても強く思います。

 

ユニリーバで覚えた違和感が現在の事業を生み出す

自分の問題意識をカタチにする

高野:新卒で入社されたユニリーバではどのようなお仕事をされていましたか?

 

坂田:マーケターとしてユニリーバで商品開発をしていました。そもそも、物づくりやユーザーの本音を発見してそこから商品を作ることが好きだったので、楽しく仕事に取り組むことが出来ました。しかし、仕事の中で自分では変えることの出来ない違和感を持ち始めたんです。

ユニリーバでは優秀な方々に囲まれ、楽しく多くを学ばせて頂きました。社員全員が素晴らしいご経歴で一緒にいて居心地が良かったです。働き方もオフィスのある中目黒の高層ビルでブレインストーミングして、昼は中目黒でランチをするキラキラなビジネスマンライフを送ることが出来ました。

しかし、唯一の違和感として、自分の感覚とユニリーバのお客さまである全国の主婦のみなさんとの感覚がどんどんずれていくことに気がつきました。企業内ではグローバル化が進み、海外のレベルが高い同僚が増えていくにつれて、私たちの向き合うべき主婦層の声からますます遠ざかっていく印象を持ったことを覚えています。

 

高野:優秀な人材が集まる企業様だから発生してしまうお悩みですね。

 

坂田:もちろん、ユーザーの声を集めるためにリサーチもします。しかし、その手法は調査会社経由でした。私たちのお客さまの主婦層はその辺を歩いているのに、ビジネス上、調査会社を通さないと自分たちのお客さまと話せないのは普通に考えておかしいなという感覚がありました。

謝礼をお支払いしてユーザーインタビューをしても、インタビュー慣れした主婦の方々が来られて、マーケターの欲しいような意見をひたすらお話される事もあります。マーケターとしてお客さまが必要なプロダクトを提供する仕事をしているのに、自分のお客さまと直接話せないなんておかしいなと何かジレンマがありました。もちろんこれは、メーカーのマーケターの仕事を否定している訳ではありません。単に私は、お客さまと一緒にアイデアを出しながら仕事をすることが好きな人間だったのです。

 

高野:グローバルに優秀な方々が集まる企業の中でも、「ユーザー目線・ユーザーの声」を一番大切にし、忘れない坂田さんの仕事観は本当に素敵です。

 

坂田:もっと具体的なお話をすると、商店街の八百屋さんでは店主がお客さまと話しながら野菜を売っていると思います。リアルにお話を聞きながら商いをしていますよね。お客さまのニーズに合わせて、仕入れる野菜を変更することもあるそうです。

しかし、メーカーのマーケターはお客さまの声を聞きたいと思っていても直接気軽に話す機会がありません。八百屋の店主のほうがちゃんと商いを通じて、マーケティングしているんじゃないかと思いました。

 

高野:坂田さんの考えるお客さまとの理想的な関わり方はどんな姿でしょうか。

 

坂田:テクノロジーがここまで進化・発展した中ですが、どんなテクノロジーを駆使する訳でもなく、一番効率がいいのは直接お客さまと対話しながら掘り下げていくことです。

マスマーケティングになると、それが出来ないのが現実です。広告を打たないとお客さまとコミュニケーションがとれない、代理店や調査会社経由でないと、成り立たないビジネスモデルが確立されてしまっています。

調査ビジネスの市場規模は2千億円あります。しかし、予定調和なアンケートを活用したリサーチだったり、社内を通すための調査になってしまっているケースも見受けられます。

 

高野:実際にその領域でマーケターとして働くことで見えてきた大きな問題意識なのですね。ユニリーバには何年間在籍されましたか?

 

坂田:ユニリーバには3年間在籍しました。その後、エニグモで新規事業を担当させていただき、その後起業して、Blaboは7期目に突入しました。

 

高野:ユニリーバからエニグモに転職を決意された究極的な要因は何になりましたか?

 

坂田:問題意識を抱えて悩むのではなく、その問題意識を自ら事業にして解決しようとしている仲間との出会いが大きいです。株式会社エニグモ代表取締役の須田さん、元代表取締役共同CEOの田中さんや役員の方々にお会いして、衝撃を受けました。本気で世の中に感じた自分たちの問題を解決するために、事業を興し、社会にインパクトを出しているちょっとしか年の変わらない先輩たちが目の前にいたのです。

 

高野:人との出会いで突き動かされアクションを取られたのですね。ちなみに、坂田さんはどんなところにビジネスチャンスやインサイトがあるとお考えですか?

 

坂田:私の母親はすごく良いアイデアを考えるんですよ。しかし、伝える術を持っていません。素敵なアイデアを持っているけど、伝える術がない人はたくさんいます。そうしたお客さまの声を聞きたいという企業が多くあり、ここのミスマッチにビジネスチャンスがあると考えています。

 

高野:これまでお話をお伺いして私も実感しておりますが、坂田さんのこの問題意識は、新卒時代から一貫されておりますね。

 

坂田:全く変わってないですね。

 

Blaboの創業の経緯に迫る

高野:Blaboの創業はこれまでの坂田さんの問題意識をビジネスとして解決する記念すべき第一歩であったと思います。実際にプロダクトとしてスケールさせるまでどんな経緯がありましたか?

 

坂田:Blabo!は全国の生活者の声を直接聞くことが出来る日本最大の共創マーケティングプラットフォームです。私は、マーケターだったので、Webプラットフォームを作る技術は素人でしたが、エニグモで1年ほど働く中でエンジニアや、経営陣から吸収させて頂きました。

 

高野:大企業から目的を持ってベンチャー企業に行ったからこそ、Webの知見を確実に吸収することが出来たのですね。実際にご自身で創業され何か変化はありましたか?

 

坂田 :大きな変化はありませんが、強い覚悟が醸成されました。自分の後ろに誰も守ってくれる人はいません。事業が成長し軌道に乗り、メンバーやクライアントが増え、社会からの期待も高まっている時こそ結果を出し続けることはタフなことだと思っています。だからこそ、一喜一憂せずに、粛々と凹まず驕らずにやり続けることを意識しています。

もちろん一筋縄ではいかないこともたくさんありますが、おかげさまで日本コカ・コーラ、キリンビール、カルビー、ハウス食品といった日本を代表する企業から経産省、神奈川県など行政からも採用されるプラットフォームになりました。

 

高野:坂田さんの素晴らしいアイデアと問題意識、そしてプロダクトがあったとしても初期段階は、マーケットにプロダクトを認知させることは難しいという印象があります。どんなプロセスを乗り越え、今の姿に至ったのでしょうか?

 

坂田:テレアポから生まれる、偶然の出会いが大きかったです。最初は、テレアポで各社のマーケターにおつなぎ頂き、資料5枚で営業をしていました。

私はもともとマーケターのため、営業経験はありません。そんな私が、テレアポからはじめて営業を極めました。テレアポという泥臭いこともして、直接クライアントに会いに行き、運もありますが継続してやってこれたことで、今があると思います。

最初のお客さまは株式会社IDOM(旧社名:株式会社ガリバーインターナショナル)のガリバーとライフネット生命でした。可能性を信じて、発注をかけて頂いた企業様のお力添えの甲斐があり、Blaboの事業は始まっています。

私たちが提供するのは、顧客の問題を解決する仕組みです。私たちの仕組みを導入することで、ユーザーの本音が常に出てきて、それらをまとめた結果、ユーザーの本音とズレのない商品、サービス作ることが出来ます。ユーザーの声を集めたプロダクトを生み出せば、当然売り上げは伸びます。だからこそ、経産省や地方自治体、企業まで多くの方々に使っていただいていると自負しております。

ただ単にアイデアを募集するわけではなく、ユーザーと直接対話をして、本音を引き出せるように問いを設定して、インサイトを発見することで、複数の変数を成立させて共創を成功させる仕組みを7年間で作り上げました。

共創でどう問題解決するかという書籍出版を含めて、メソッドをつくり、コミュニティーをつくり、伴走できるのはBlaboだけです。現在は営業の立場としましても、調査にお金をかけるなら、Blaboに払ったほうが絶対いいと胸を張ってクライアントの皆様にお話が出来るフェーズになりました。

 

Blaboのサービスはビジネスの共創

ガリバーとの成功秘話

高野:たくさんのクライアントとのサクセスストーリーがあると思います。その中でも特に坂田さんご自身が印象に残っているサクセスストーリーを教えてください。

 

坂田:少しさかのぼりますが、2011年の東日本大震災でBlaboというサービスの存在価値を自ら体感することが出来た成功体感があります。最初のクライアントの一社である、株式会社IDOM(旧社名:株式会社ガリバーインターナショナル、以下ガリバー)の執行役員の北島さんが、「絶対このサービスはいいよ。応援するよ。」と、発注頂いたのが始まりです。

北島さんと、中古車がいいイメージを持っていない中で、どうやって若い世代にガリバーの店舗に足を運んで頂くかを考えました。このガリバーとの事例が日本経済新聞に取り上げられたことはBlaboの転機となりました。

 

高野:株式会社IDOMの執行役員の北島さんは私も以前からお世話になっております。

 

坂田:情熱的な仕事人って感じで素敵な方ですよね。

東日本大震災が発生した2011年3月、ガリバーの創業地が福島だったご縁もあり、ガリバーの車200台を東北に送ることになりました。東日本大震災後すぐに、ガリバー社内で車を東北へ送るプロジェクトを実行することが決まったと、北島さんから連絡を頂戴しました。

北島さんを含むガリバーのプロジェクトメンバーは、「車200台を東北に送ることは決まったんだけど誰にどう送ったらいいか分からない」そんな状態でした。そこでBlabo!上で「東日本大震災で被災した東北に送る車200台の使い道を教えてほしい」と、投げかけました。ガリバーとBlaboのタッグプロジェクトです。

その結果、本当に困っている被災地の方々の生の声がBlabo!上で多数集まりました。本当にものすごい量で、Twitterよりも機能したと思います。Twitter上でもBlabo!への導線を用意して、Blabo!上で被災者のリアルな声を集めるようにしていました。

 

高野:本当に人の役に立つ、素敵なストーリーですね。ビジネスの領域を超えています。東日本大震災の際、Blabo!から生まれた感動的なストーリーを幾つか教えてください。

 

坂田:あるNPOさんからは、被災地でカーシェアを始めるから、ここに車が欲しいという連絡を頂戴しました。また、現地で体を動かす機会がないという被災者の声を拾って、ヨガの先生が現地に行きますと申し出てくれたので、現地に送る車にヨガの先生に同乗してもらったりしました。

現地に行きたいけど、まだ行けないという人たちの声を集め、1台をメッセージカーにして、車の片側にメッセージを募って送りました。すると、現地の人たちが感謝の声を反対側に書いてくれて、ほとんど耳なし芳一状態でしたね。

 

高野:被災者のリアルな声を拾い上げ、本当に必要な支援を行うこれこそ究極の支援だと思います。

 

坂田:これをきっかけにガリバーさんと様々な仕掛けが始まりました。

千葉に、「HUNT」というガリバーの店舗があります。これもBlabo!のユーザーの声から始まったプロジェクトです。ガリバーの店舗をショッピングモールに作ることがスタートでした。しかし、ショッピングモールに店舗を作っても、7年に1回くらいしか車を変えないので、週末でも店舗に人が集まらない、「毎週末、人が集まる店舗をプロデュースしてほしい」という依頼でした。

全国のユーザーの皆さんに、「ショッピングモールあるある」「理想の週末」「週末のもモヤモヤ」「どんな生活をしたいか」などさまざまな切り口から、いまだ満たされていないショッピングモールや車のニーズを聞き探していきました。

実際に、出てきた声は、実はネガティブな意見が多かったことを覚えています。多くの方が週末にショッピングモールに行く理由は、なんとこんな意見が多かったのです。

「ショッピングモールに行きたくて行く人はあまりいないと思います。週末行くところがないから、とりあえずショッピングモールに行ってるんです。子供をいろんなところに連れて行きたいですが、平日働いていて、毎週末出かけるのは難しいから、仕方なくショッピングモールに行くんです。」

高野:私も地方出身のためこの気持ちは確かに納得します。土日はとりあえずイオンにいました(笑)。

 

坂田:このファクトを集めた後、ガリバーの方に、ガリバーが考える店舗プロデュースの展望と本音を聞くと、意外な声が集まりました。

「ガリバーは単に中古車を売りたいのではなく、移動を通じた体験を提供したいと考えています。だから適正価格で中古車を売っていますし、ガリバーの店舗を通じて、新しい体験をお客さまに提供したいのです。」

ビジョンレベルの話をすると、本音が見えてきます。そして、企業の本音と生活者の本音を掛け合わせると先が見えてきます。最終的なコンセプトとしては、ショッピングモールをお出かけの終着駅にするのではなく、房総半島のいろんな場所へ行ける、お出かけの始発駅にして、お出かけ先の情報を提供する店舗を作りました。週末にショッピングモールへ中古車を買いに来るのではなく、旅の情報を得るために店舗を訪れてもらうことで、お客さまとの関係を構築し、結果として初年度から黒字を達成しました。

房総半島の始まりの駅であり、潮干狩りやイチゴ狩りにいってもらうというコンセプトで「HUNT(ハント)」という店名にして、ガリバーの名前は使っていません。

もし、このプロジェクトが企業の視点で「どう中古車を売るか」を考えていたら、きっとこのような結果は出せなかったと思います。顧客の課題をどう解決するかを起点に考えたのが、Blabo的アプローチであり、成功の秘訣だったと思います。

Blaboのビジネスを「共創」と言うことがあります。ガリバーとのプロジェクトの通りユーザーとも、クライアントとも、建築家やデザイナーとも共創するんです。

 

 

Blaboは作り手と使い手のズレをなくしていく

高野:Blaboの可能性は無限大だなと改めて実感しております。今後の事業展開を教えてください。

 

坂田:「作り手と使い手のズレをなくす」というミッションは、大手企業や国が動き出しましたが、まだまだ発展途上です。これが当たり前の世界にしたいです。

例えば、福島の友人の農家が「こんなにおいしいトマト作ったけど、どう売ったら良いのか分からない。おれトマト送るから、助けてくれ。」という声をBlabo!上にあげると、アイデアが出て、商品ができて売れる、というような、誰もが当たり前に使える状態です。

 

高野:個人的に農家の方って、ネットとの親和性が低い印象を持ちますがいかがでしょうか?

 

坂田:実は違うんですよ。現在、福島県とNPOと「福島県の農産品を生かし、どうやって顧客の本音とズレのない商品を作るか?」というプロジェクトを進めています。農家の皆さんはFacebookをめちゃめちゃ活用してますし、皆さんイケメンなんです(笑)!私も初めてお会いした時はびっくりしました。30歳前後のWebリテラシーが高い方々が、こだわりを持って、農作物作ってる農家さんが全国各地にいらっしゃるのです。

一度、40人くらいの農家さんと集まり、どうしたら自分たちの商品が売れるか、ディスカッションの場を持ちました。その日の夜に、お礼にレストランで自分たちの作物を持ち寄って調理し、地方の取れたての食材でできた料理を食べさせて貰いました。この経験は、どんな対価よりも嬉しかったです。

 

高野:私も獲れたて野菜の料理を食べに行きたいです!!本当に素敵なビジネスですね。ちなみに、現在のBlabo!のユーザー層はどんな方が多いのですか?

 

坂田:20代から40代のユーザーが多いです。面白い企画やアイデアを持っていても、発信し、アイデアを形にする機会は中々ありません。Blaboは全ての方に平等な機会を提供出来ます。

Blabo!は、ガリバーの店舗を作ったり、キリンビールの商品プロデュースが出来る、凄い体験をユーザーの皆さんに提供しています。福島の支援をしたいと思っても、なかなか福島に行く機会はないですよね。でもアイデアだけで支援することができるんです。そんな風に、アイデアで誰かに何かを貢献する方法もあります。

 

高野:私も早速、アプリでアイデアを出してみようと思います。Blaboの存在を知らない方に対してこのサービスをどう認知していく展望をお持ちですか。

 

坂田:生活者のアイデアからヒット商品を作り続けていくことしかないと思っています。9月にBlabo!のユーザーのアイデアから生まれたハウス食品の「シチューオンライス」とかめっちゃめっちゃ売れてるんですよ。「ごはんにかけて食べるシチューというと、お行儀が悪いと怒られますが、ワンプレートで食べられる料理はやはり調理の手間もかからない。」また、「ごはんかけ専用とか、見た目が美味しそうになればごはんにかけても彩りがよくて良いかな〜。」というアイデアが、実際に実現して全国のスーパーに並んで売れているわけです。

また、カルビーと47都道府県のポテトチップスのアイデアをBlabo!上で募集して、2018年には全国で発売されるプロジェクトも実施しています。いま、Blabo!は生活者の本音やアイデアを流通させて、”わたしたちのほしい”をつくれるサービスになっていっています。Blabo!をもっともっといろんなメーカーに使ってもらって、生活者発想からの商品がコンビニやスーパーにたくさん並ぶようになったら自然と知ってくれる人も増えますし、「作り手と使い手のズレ」がなくなっていく世の中になると信じています。

 

高野:私の出身地、宮城県かららどんな味のポテトチップスが生まれるか非常に楽しみです。また、先日は、カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社(CCC)が行うベンチャー企業向け協業プログラム「T-VENTURE PROGRAM」での優秀賞の受賞おめでとうございます。

 

坂田:ありがとうございます。数百社の中から選んで頂き、非常に光栄です。蔦屋書店・TポイントでおなじみのCCCグループと6500万人のTポイント会員×Blabo!とか、ワクワクする連携をしていければと思っています。今後がますます楽しみになりました。

 

 

Blaboはこんな方を待っています

高野:メンバーについて教えて下さい。現在は何名体制ですか?

 

坂田:外部パートナーにもガッツリ協力してもらってやっていますが十数名です。エンジニア・デザイナーのプロダクトを作るメンバーが中心です。ようやく、コミュニティーシステムがiOS・Android・PC含め出来上がってきましたので、次は、これをどう世の中に広めて、お客さまの本音からズレのない商品を作るか、というフェーズです。

CTOは楽天出身で、楽天時代にはMVPを受賞するくらい優秀なエンジニアですし、CDOはイギリスのRoyal College of Artでサービスデザインを学び、デザインコンサルタントとしても活躍していました。自分より優秀な人を採用しろとよく言われていますが、それはちゃんとできているかと思います。

 

高野:どんな方と一緒に働きたいですか?

 

坂田:やっぱりBlaboのミッションや価値観に共感している方と一緒に働きたいです。ユーザー視点からサービスを作るという感覚を持っていることは重要視します。

マーケティングコンサルタントの場合はクライアントの懐に入っていける人がいいなぁと思います。私たちのクライアントは、役員や部長クラスが多いので、単純に経験だけでは価値を出せません。社内にいるからこそ見えなくなっていた視点を提供したり、生活者視点からの商品開発をサポートするためには、クライアントから信頼してもらえることがすべての始まりです。

 

高野:最後に一緒に働きたい方にメッセージをお願いします。

 

坂田:そうですね、一緒に働きたい方にお伝えしたいことは2つあります。1つ目に、どんな状況でも楽しめることです。特にクライアントの課題を「難しそう…」と思わずに「どう解決しようか」と前向きに考えることが大切です。時には、これまでの経験や領域を超えるような課題が出てくることもあるでしょう。その時にどう実行するかが大切です。暗い顔してやるか、それとも厳しいことでも明るく楽しくやるかの違いです。

2つ目に、やり続ける力です。Blaboは創業して7年になりますがよくここまで持ちこたえたと思います。多くの起業家が途中で挫折したり、辞めてしまっています。淡々と、粛々と、いい日も悪い日もやり続けられるかで圧倒的にインパクトが変わってきます。創業時、結果が出てない時に色々と言われましたが全部無視しました(笑)。

いま、大企業から国までBlabo!を使っていただくようになって、150個以上の商品がBlaboから実現しています。すると、否定していた人たちも、「やっぱりいいね、Blaboって。」って言うんです。自分を信じて、やり続ける力のある方と一緒に挑戦していきたいですね。もちろん僕も心折れそうになることもあります。だからこその仲間なんです。お互いに「こいつとだったら、失敗しても後悔しない。」と思える仲間と働けているのは幸せですし、そんな仲間とたくさん巡り会いたいですね。

 

高野:素敵なお話をありがとうございました!

 

キープレイヤーズ高野のコメント

坂田さんにお会いし、お話を伺った時、この会社は成功すると思いました。坂田さんは外資系消費財メーカーでご活躍された後、インターネットベンチャーのエニグモへ転職され新規事業開発を担当されております。メーカーでのマーケティングのご経験とベンチャーでのご経験を生かした集大成がBlaboだと思います。

Blaboは大手企業向けのSaaSのビジネスモデルと+αのコンサルティング。手堅い事業モデルでありかつ時代を捉えていると感じます。加えて、坂田さんは人物面で誠実、実直な方で大手の企業さんから信頼されるお人柄です。「調査」の市場は2000億程度。さらに商品開発となると相当な規模の市場があります。Blaboさんには今後の伸び代が大いにあります。

転職面談の場面で、マーケターにジョブチェンジしたいとお話される方にお会いすることが多いです。しかし、マーケティングの求人はオンラインマーケティングが大半を占めます。オンラインマーケティングの場合は、ソーシャルメディアの運用やディスプレイ広告運用、検索エンジンの最適化などが主な業務になります。この観点からもBlaboでできる仕事には希少性があります。

ユーザとのコミュニケーションを介した、アイデアの発見・企画立案・商品開発などオンラインマーケティングの枠組みを超えたリアルマーケティングに関与することが出来るのです。そして、Blaboは事業モデルが良く、成長性が大いにがあります。マーケティングとテクノロジー。双方にここまで強い会社はほとんどありません。次世代のマーケティング企業として大いに飛躍が期待される会社さんです。

 

<取材・執筆・撮影>高野秀敏・田崎莉奈

 

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坂田さんの書籍『問題解決ドリル―――世界一シンプルな思考トレーニング』を是非、ご一読ください。どんな仕事にも役に立つマーケティングのノウハウを学ぶ事が出来ます。

問題解決ドリル―――世界一シンプルな思考トレーニング

執筆者:高野 秀敏

東北大→インテリジェンス出身、キープレイヤーズ代表。11,000人以上のキャリア面談、4,000人以上の経営者と採用相談にのる。55社以上の投資、5社上場経験あり、2社役員で上場、クラウドワークス、メドレー。149社上場支援実績あり。55社以上の社外役員・アドバイザー・エンジェル投資を国内・シリコンバレー・バングラデシュで実行。キャリアや起業、スタートアップ関連の講演回数100回以上。
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