私が新人の頃、友人に紹介されて、有名一流企業に勤める人のキャリア相談にのったことがありました。

話を聞いてみると……、

「上司は意思決定が遅く仕事ができない。上司の人間性が信頼できない。部下のことを考えていない。評価が曖味。とにかくもっと仕事をまかせてはしい。年功序列的な要素が強いので将来が不安」

……などなど、上司の批判からはじまり、あらゆる不満が一気に噴き出してきました。なんと答えていいのやら……と思いながらも、意を決してこうアドバイスさせていただきました。

「今の会社で活躍するイメージが強く持てますか?あなたのビジネスモデルになるような人、尊敬できる人はいますか?もし、どちらも持てないのであれば、頑張りはきかないもの。どちらかひとつでも持てるように努力をしてみてください。不満をいっぱい抱えながら仕事をするより、もっと前向きなモチベーションで働けるよう、何か具体的な目標を定めたほうがよくありませんか?」

つまり不満を抱えるエネルギーを、目標に向かうための努力をするエネルギーに変換したほうが得策だと申し上げたのです。

私の考えとしては、「上司と合わない」というのは、もっとも仕事に対するモチベーションを下げるネガティブな感情だと思います。

自分を「会社」と想定したら、上司は仕事をくれる「クライアント」に相当します。お客さまのことを「合わない」などと思って毛嫌いしていては、いい仕事もできません。不満が優勢になり仕事に本気になれないとしたら、それはとてももったいないことだと思います。

実はその人に、六年ぶりに再会する機会がありました。が、お会いしてびっくり。あいかわらず、まったく同じような不満を国にされていたからです――。

みなさんも、今働いている会社の悪い点は、すぐにあげることができるのではないでしょうか……反対に、良い点はいかがですか?

転職希望の方によくお話しさせていただくのは、「今の会社の良い点をきちんと理解したうえで転職したほうがいい」ということです。「今の会社は本当にダメなところばかりなんです」……悪い点しか見ていない人は、次の会社に行っても、また悪い点にばかり目がいきます。不満のローテーションから抜け出せなくなることは明らかです。

不満ばっかりで頭がいっぱいになっているなら、転職をする時期ではありません。

高野 秀敏

キープレイヤーズ 代表取締役

99年に株式会社インテリジェンスへ入社。2005年に株式会社キープレイヤーズを設立。3000名以上の経営者の相談と、10000名以上の個人のキャリアカウンセリングを行う。また、55社以上の社外役員・アドバイザー・エンジェル投資を国内・シリコンバレー・バングラデシュで実行。キャリアや起業、スタートアップ関連の講演回数100回以上。

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