近年、医療・ヘルスケア領域のスタートアップが非常に注目を集めています。
私はヨガをしたり、玄米を食べたりしていて、元々このヘルスケアの領域には強い興味がありました。
自分自身が健康的な生活を送れるようになることもそうですし、周りの大切な人と心身ともに健康で長く一緒にいられるのは嬉しいですよね。
ヘルスケア領域の取り組みがもっともっと活発化していったらいいな、と思っています。
ビジネス領域においては、業務を効率化しようという取り組みが進み、それが医療領域にも進出にしょうとしているというのもそうですが、医療従事者のビジネスへの参画が増えてきたことも大きな要因があるように思います。
今回の記事では、そもそもヘルスケアにどんな領域があるのかをまとめた上で、いくつかオススメの企業をみていければと思います。
ヘルスケアとは
そもそもヘルスケアとはどんな領域を指すのでしょうか。
健康の維持や増進のための行為や健康管理のこと。 東洋では、養生、あるいは未病といった概念によって、健康時からの健康の維持や増進が図られてきた。近年になり西洋でも、健康の維持・増進や予防医学にも注意が払われるようになってきている。(Wikipediaより)
Wikipediaではこのように定義されています。今回は、発症後の新たな治療方法を開発する企業は割愛させていただき、このヘルスケアの定義に沿って、サービスや企業、求人をご紹介させていただきます。
医療・ヘルスケアサービスの5つの分類
今回、医療・ヘルスケア関連のサービスをこれらの5つに分けて考えてみました。
①情報を得る
インターネットが普及し、多くの情報にアクセスできるようになったことは言うまでもない事実だと思います。
また、情報が膨大になるにつれて、どの情報が正しいのか分からない状況が悪化した面もありますよね。
体調が悪くなったときに信頼できる情報にアクセスできず、不安になったときが私もありました。
そういった状況を防ぐために、医師監修の下で医療情報を提供するメディアやQ&Aプラットフォームが生まれています。
情報の信頼性が少し前に話題になりましたが、まだまだ信頼できる情報源ばかりでないので、信頼できるメディア・プラットフォームを使うことが大切ですね。
②情報を記録する
情報を記録することで未病予防に努める動きも広まっています。継続的に自分自身のデータを取ることで、自分自身の体に変化があった際にすぐに気づくことができるためですね。
最近では「レコーディングダイエット」という、記録するだけのダイエット手法も注目されていますね。
記録することで改善点が見えたり、出した結果が目に見えて継続したくなったりすれば、確かにダイエットする上で良さそうですよね。PDCAというやつでしょうか。
実際に病気になったときに、より正確な診療結果を得るために活用することもできます。
③検査・解析する
堀江貴文さんがピロリ菌の検査キット付きの本を出版されていましたね。
遺伝子や血液などを検査・解析するサービスもたくさん生まれてきています。
どんなに一般的な情報を得ても、情報を記録していても、自分自身がそれに当てはまるとは限りません。
そういった場合に、検査・解析することで自分自身の体の特徴を理解することが有効です。
自分自身で体の情報を得るための手段は今後増えていきそうですね。
④オンライン診療をする
近年の大事なトピックスとして、オンライン診療があります。
オンライン診療とは、遠隔医療のうち、医師-患者間において、情報通信機器を通して、患者の診察及び 診断を行い診断結果の伝達や処方等の診療行為を、リアルタイムにより行う行為のことです。
現在、「医師の働き方改革に関する検討会」において、医師の働き方の改 善に関する検討が行われていますが、平成 30 年2月に公表された中間的な論点整理 において、ICT を活用した勤務環境改善が必要との意見が示されています。
また、情報通信機器を用いた診療は、医師の不足す る地域において有用なものと考えられています。
参照:厚生労働省『オンライン診療の適切な実施に関する指針』
⑤効率化する
冒頭で触れたように病院の業務を効率化しようという動きも生まれています。クラウド電子カルテについては色々な企業が取り組んでいます。病院で働く人は、かなりハードワーキングだと言われることもないことはなく、業務の効率化により労働環境が改善が進むことは大切かと思います。
クラウド電子カルテ以外にも、ITを用いて業務効率化を図るサービスも出てきています。病院に行く時の手続きは、ほぼ手書きというかオフラインで進みますが、医師に診ていただくときはパソコンで入力しているので、IT化がもっと進んでいくものと思われます。
医療・ヘルスケア関連の企業・求人まとめ
①知識を得る
メドレー(MEDLEY)
私が社外役員をしている会社でもありますが、「MEDLEY」というオンライン医療辞典をリリースしています。
500名を超える医師の協力のもと、質の高い情報をまとめるプロジェクトとして進んでいます。医師出身の経営メンバーとして、取締役医師の豊田 剛一郎さん、執行役員/医師の島 佑介さんなどがおります。
オンライン医療辞典以外にも、「JobMedley」という医療介護求人サービスもよくWeb上では目にするのではないかと思います。後ほど紹介しますが、オンライン診療システムなども手がけており、ヘルスケアベンチャーの中でも、幅広い職種があるほうなのではないかと思います。
さて、何らか独自情報もと思うのですが、豊田さんは普段からお仕事が正確で知られています。
サッカーのプレースキックもかなり正確だと評判でもあります。
「ぼくらの未来をつくる仕事」という書籍も出しております。
また、最近は執行役員でオンライン診療やクラウドカルテなど医療機関向けSaaSの事業責任者、田中大介さんのツイッターやセミナーも大人気です。
メディカルノート
メディカルノートは「メディカルノート医療相談」といういつでも医師に相談できるサービスを提供しているのが特徴です。
月額432円でいつでもチャットで相談できるというものになっています。いつ病気になるかは誰にも分からないものなので、保険をかける意味合いで使えるようになっていくかもしれませんね。
募集中の職種としては、メディア関連の職種が多いです。病院のマーケティング支援というコンサルタント的な職種もこちらのページを拝見しますとあるようです。
②情報を記録する
FiNC Technologies
FiNCアプリは使用されている方がたくさんいらっしゃいますね。パーソナルトレーナーAI(人工知能)を内蔵しているヘルスケアアプリを提供しています。
個々人の情報を管理できるようになっているため、そこから派生して個別に適したライフスタイルサポートやサプリメントのリコメンド、プライベートジムなどのサービスを展開しています。
それに伴い、リアルでの職種も増えているのが、FiNCの現在の採用の特徴と言えるかと思います。
溝口さんは広範囲なネットワークがあることでも知られており、大物幹部の方リクルーティングにも次々と成功されています。
社長の溝口勇児さんは高校在学中からトレーナーをされていて、そこからパーソナライズされたサービスを作りたいという風に思うようになったそうです。
KAKEHASHI
KAKEHASHIは「musubi」という電子薬歴システムを提供しています。
薬剤師さんは、実は調合や患者さんとのコミュニケーション以外で、薬歴の登録にかなりの時間を取られています。musubiを利用すると、患者さんに服薬指導をしながら薬歴の下書きが作成できます。
そのため、特記事項のみ追記すればよい状態となり、薬歴の作成・登録にかかっていた時間を大幅に削減することができます。結果、患者さんと向き合う時間が増やせるサービスになっています。
薬剤師のリアルな課題を解決するために、200名以上の薬剤師と話をしながら作り上げられてきたプロダクトです。
現在、順調に拡大しており、薬剤師・コンサルタントを含めた各種職種で採用を行なっています。
KAKEHASHIの中尾さんも家庭から影響を受けて、今の事業にたどり着いていらっしゃいますね。
トリプル・ダブリュー・ジャパン
排泄のタイミングをお知らせしてくれる、「DFree」というウェアラブルデバイスを提供している企業が、トリプル・ダブリュー・ジャパンです。こちらは介護現場などで実際に活用されています。
ウェアラブル端末が関わりますので、組み込みエンジニアの募集があることがこの企業の特徴でしょうか。
余談ですが役員の小林さんは、ものすごくIRに詳しく、たまにチャットで教えてくださるのですが考察が素晴らしくて勉強させてもらっています。
アクシス
アクシスは「MEDIXS」という電子薬歴システムを提供しています。メディックスの特徴は、操作が簡単な点にあります。こういったツールを取り入れる際は、効果が高いと思っても、スイッチングコストの高さから、なかなか導入に踏み切れないケースも多いです。
そのスイッチングコストを最小限に抑えるために、仕様が複雑になることを避け、ITリテラシーが高くない薬剤師さんでも扱えるようになっています。
⇒医療・ヘルスケア関連のベンチャー/スタートアップに興味のある方は是非ご相談下さい。
③検査・解析する
ジーンクエスト
遺伝子解析のスタートアップ企業です。遺伝子解析サービスの「ジーンクエスト ALL」では、30,000円強で遺伝子の解析ができるようになっています。300以上の項目で健康リスクや体質の遺伝的傾向、祖先のルーツなどがわかるそうです。
アルコール体質や肥満の傾向などの体質もチェックできるので、若いうちからチェックしておくといろんな場面で役立ちそうですね。
なお、代表取締役の高橋 祥子さんは、分子生物学の博士号を持っていらっしゃり、一緒に仕事をさせていただいたことがありますが、非常に頭が切れる優秀な経営者です。
現在は、バイオインフォマティクス担当(研究開発職)とコンテンツ企画担当(営業職)の2職種で採用を行なっています。そもそもは、ワークライフバランスの小室淑恵さんがボランティアでやっている勉強会で高橋さんとはお知り合いになりました。
一応審査員という名目で、プレゼンを審査するというイベントでした。
当時衝撃を受けたこととしては、とある健康飲料を私が飲んでいたときのことです。「高野さんは何故その飲料を飲んでるんですか?」と質問されました。
「痩せるから」と答えたのですが、「エビデンスになる論文は読んだのですか?」と。何故他の価格よりも高いその商品を買ったのでしょうかと。
かなりの衝撃で、本質的な問いかけでした。
なんといいますかある程度はビジネスには詳しい(つもり)ではあったのですが、健康に関わるところはやや盲目的になってしまうところがあり、確かに論文読むなど大切だなと思ってはみたのですが、結局読まずに困ったら高橋さんに相談しようと思いました。(解決になっているのか、、、)
さて、高橋さんはオンラインサロンをやっていて、私もメンバーになっております。
生命科学系オンラインサロン「高橋祥子ラボ」といいます。ご興味のある方はみてみると良いかもしれません。
そう言えばジーンクエストの遺伝子検査によると私はお酒飲める遺伝子らしいのですよね。
飲めないと信じてたのですが、確かにこの2月にお酒毎日飲んでみたところ飲めないこともなかったです。新事実発覚でした。
ミルテル
ミルテルは「テロメアテスト」と「ミアテスト」という疾患予防・早期発見のためのサービスを提供しています。
それぞれ、テロメアテストは病気のかかりやすさがわかり、ミアテストはがんや認知症のリスクを見逃さずに済むものとなっています。
取締役会長の田原栄俊さんは、広島大学で教授としてもご活躍されています。
ミルテルでは、主に検査技師の採用をされているようです。
HRデータラボ
HRとついていますが、「STRESS CHECKER」というメンタルヘルスケアのサービスを提供しています。
メンタルも人間の健康の重要な一因子です。メンタルヘルスの状態を定期的に解析することで、社員の健康管理に役立ちます。ひいては、ピープルアナリティクスの観点でも、集団分析を自動で行い、レポートを出してくれるのは嬉しいですね。
④オンライン診療をする
メドレー(CLINICS)
2度目の登場で恐縮ですが、メドレーはオンライン診療システム「CLINICS」の運営もしております。
こちらのサービスは、オンラインで診療するだけでなく、クラウド電子カルテ、診療所向け予約管理システムなどを相互連携可能な形で提供しています。そのため、⑤の効率化においても重要な役割を果たしています。
MICIN
curonというオンライン診療システムを提供しています。curonの特徴は導入費0円で導入できる点です。
患者様の自己負担額の4%のみの費用で利用できるそうです。
代表取締役CEOの原 聖吾さんは、国立国際医療センターの研修医、日本医療政策機構での政策立案に携わったのちに、スタンフォード大学への留学を経てマッキンゼーに入社し、MICINを立ち上げるという経歴をお持ちです。
T-ICU
遠隔集中治療支援システム(T-ICU)を提供しています。遠隔で直接診療するわけではないのですが、現場の医師や看護師から提供された情報を基に、遠隔地から集中治療医や専門医が24時間体制でアドバイスを実施することで、現場の医師や看護師の負担を軽減したり、治療の質を向上させるシステムのことを指します。
アメリカでは1990年代後半から導入が進み、現在は20%の病床が導入しているそうです。
重症患者のICU死亡率 11.7%低下
患者のICU滞在平均日数 0.63日減少
という実績を上げています。
⑤効率化する
Ubie
UbieはAI問診ツールを医療機関に提供しています。
先に、病院に行った際にほぼ手書きということを書きましたが、それがWeb入力できるというだけでなく、症状や条件に応じて、より詳細なQ&Aをすることが可能になります。
患者側としては、診察前にできる限りの情報を伝えることで、短い診察時間でもより正確な結果を得られるようになり、医師側としては事前に問診票でより多くの情報を得られ、それが電子カルテにコピーすることが可能なので、入力の手間を省き、より診察に専念できるようになります。
クリプラ
「CLIPLA」というクラウド電子カルテサービスを医療機関に提供しています。
中でも「CLIPLA Eye」は眼科の診療所に特化したクラウド電子カルテです。
各種の検査データと検査画像を、ファイリングサービスを通じて、電子カルテで一括で管理できるようになります。暗室でのダークモード対応、コンタクトレンズ処方の簡易化など、眼科特化ならではの機能が使えることが強みです。
現在は、カスタマーサクセス とエンジニアの採用に特化していますので、該当の方はぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
MRSO
予約システムやメディア、健康管理サービスなどを総合的に提供している企業です。中でも、人間ドックや各種がん検診の予約として、日本最大の予防医療プラットフォーム「MRSO(マーソ)」は多くの機関で導入されています。
健康長寿社会の実現ということで、健康寿命を8年伸ばすことを目標として事業を展開されています。
Dr.JOY
病院のための勤怠管理システム「Dr.JOY」を提供しています。
現役の医師の方が社労士の方と協力して作り上げたということで、医療の現場の実状に寄り添った形で開発が進められたサービスと言えます。
ビジネスの場では働き方改革とよく叫ばれていますが、医療関係で働いている方も激務だと聞きます。
医療に誇りを持っていてハードワークを厭わない方もいらっしゃいますが、これからも安定的に医療サービスを提供していただくために医療現場の働き方も変わっていくといいなと思います。
医療・ヘルスケア関連サービスは今後も盛り上がる見込み
長くなりましたが、ヘルスケア関連のベンチャー・スタートアップ企業を5つに分類して紹介させていただきました。
今後、健康に関する興味関心が低くなるということは、あまり考えられないかと思うので、私も非常に注目している分野です。超高齢社会が早く訪れる日本だからこそ、世界に先駆けて介護や医療、ヘルスケアの領域はより進んでいくのではないかと思っています。
医療関連と聞くと、経験者でないといけないとお考えになる方も少なくないのですが、一部の職種を除けば、決してそんなことはありません。
未経験者も含め、ヘルスケアに関わるサービスを展開している企業は採用を強化していますので、まずはぜひお気軽にご相談くださいませ。
⇒医療・ヘルスケア関連のベンチャー/スタートアップに興味のある方は是非ご相談下さい。
ベンチャー企業の求人をお探しの方は、こちらでまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。
ベンチャー転職におすすめの転職エージェントはこちらの記事で紹介しています。
大企業からスタートアップ転職する際のポイントや陥りがちな失敗はこちらの記事で紹介しています。