【社外取締役・社外役員とは?】企業を外部から支えるその役割についてわかりやすく解説!

コラム          
       
       
     

こんにちは、ベンチャー・スタートアップへの転職のサポートをしているキープレイヤーズの高野です。

「社外役員が欲しい」

最近ニーズが急に上がっています。かねてからもちろんあるニーズなのですが最近さらに加速しているため再度まとめました。

「社外取締役」「社外役員」という言葉を最近特によく聞くようになりました。社内取締役とは異なる立場ですが、どのような役割を持っているのか、ご存知でしょうか?

欧米と比べて、日本ではまだ社外取締役がいない、少ない会社が多いです。コーポレートガバナンスの重要度が高まる中、近年特にニーズが高まっています。

私自身、過去にクラウドワークスや現在メドレーなど役割を担わせていただいております。社外取締役になりたいという希望を伺うことも以前より増えてまいりました。

今回は、そのような背景から最近注目され、期待度の高まっている社外取締役・社外役員の役割を解説します。

社外取締役・社外役員の立ち位置とその役割とは?

外部からの監視を強化する

「社外取締役」とは、社外から採用した取締役のことです。

取締役と言えば、社内で昇進するのが一般的です。しかし、あえて取引関係のない全くの外部から採用するのには理由があります。

社外取締役の役割は、「経営の監視」です。客観的視点から企業統制を図ります。
重要なのは、外部の人間であること、株主としての視点を持っている点にあります。

取締役会のメンバーは、業務代行の代表者である代表取締役社長、執行役員、これらを監視するための各種委員会、社外取締役です。

社外取締役の責任は、通常の社内の取締役と変わりません。

アメリカの株主文化の中で浸透

社外取締役は英語で「Outside Director」と言い、すでに浸透しています。
アメリカでは取締役会のうち60%以上を社外取締役が占めるなど、株主重視の経営文化が根付いていることがわかります。

株式会社は、持ち主が「株主」、業務代行者が「経営者」という考えに基づきますから、経営者は株主のために、企業価値を向上させる行動を取らなければなりません。

日本は従業員主義から株主主義への移行がスムーズではなく、いまだ浸透率は低いままです。

現在の日本では、大企業を中心に導入されています。日本では馴染みの少ない言葉かもしれませんが、近年増え続けている役職です。

社外取締役・社外役員のもたらすメリット

社外から経営を見る人がいることで企業統治(コーポレートガバナンス)意識が高まる

企業には「コーポレートガバナンス」というものが存在します。直訳すると「企業統治」です。これは、企業が法令を遵守し、不正行為を働かないよう監視する体制を築く仕組みのことです。

情報開示のあり方や、監査役や社外取締役を含む取締役会など、会社の機関のあり方そのものを指すこともあります。

コーポレートガバナンスの考え方は、そもそも企業は経営者の私物ではなく、お金を出している株主のもの、という前提に基づきます。

従業員は、株主に利益を還元するために働く。この監視役となるのが、社外取締役の大きな役割です。上場企業では、最低二名の社外取締役が義務付けられています。

株主価値・企業価値最大化につながる

社外取締役のメリットは、経営に関わる際、内部の人間関係、利害関係などが一切ないという点です。社外という立場から客観的に意見を述べることが出来ます。

社外取締役は、株主の代表という意味合いもあります。時には社内の取締役と真っ向から対立してしまうこともあるかもしれません。しかし、株主の代弁者として、また監視役として、利益拡大、企業価値の向上を求めることに尽力します。

社外取締役は社内に客観的な視点を持ち込むことが出来る重要な役割を果たしています。今後注目の役職であり、期待が高まっています。

社外取締役の問題点は?気になる募集状況や報酬もご紹介

役割期待ではなく、元官僚の天下り先、大口顧客の元役員などの関係性から人選

これらは日本では古くからある文化で、いまだにないとは言えないかと思います。

本当に一般株主の代表として経営会議に意見できる人物なのかが考えられておらず、社外取締役にふさわしくない人選がなされているケースもないとは言えません。まさに現在の日本企業の問題点とも言えるでしょう。

一方で官僚で大変優れた方も多く、それが役割期待として適切だというものであれば良いとも思います。慣習的にそうなっているということでないことが大切だと感じます。

現状では女性の採用は少ない

社外取締役にも女性の登用が求められています。ダイバーシティが叫ばれる中で、男性だけというのも時代としてどうなのか?という声が上がってきております。女性活躍の取り組みへの象徴にもなりますし、男性ばかりの組織に新しい風を吹き込んでくれることが期待されています。

プロノバの岡島悦子さんが私の知るところではかなり経験実績が豊富です。丸井グループ、セプテーニ、マネーフォワード、ユーグレナ、FiNC Technologies、ランサーズ、ヤプリなどやっておられるます。ここはある意味、ニーズに対してできる方が少ない印象です。第二の岡島さんが求めれているのかもしれません。

社外取締役は兼任が可能だがあまりに多くを引き受けることは望ましいとは言えない。

社外取締役は複数の企業を掛け持ちすることが可能です。

社外取締役の人数が母数として少ないのは、経験のある方に複数の企業から声が掛かる、といったパターンが多いためです。

兼任している方も多いですが、あまりに多ければコーポレートガバナンスとしてそもそも社外取締役の役割をまっとうできるのか?という問題もありますので、注意が必要とも言えます。

平均報酬は定まっていない

社外取締役の気になる報酬ですが、現在のところ、前例が少ないため、確実な値段は言えません。

平均報酬は633万円、という記事がありますが、企業の規模や経緯、経歴によって報酬はバラバラ、というのが現実です。

また、複数の会社を掛け持ちすることが可能であることから、経験がある方への社外取締役ほど依頼がある状況です。

社外役員になるメリット・デメリットとは?

自身が社外役員になる際にもメリット・デメリットがあります。

社外取締役・役員になるメリット

企業側が社外役員を依頼することのメリットは前述のとおりですが、そのメリットを十分に得るために、株式などを渡すことで、社外取締役としてより高いコミットメントを求められることも多いです。その後、社外役員を務める会社がエグジットする際は、キャピタルゲインを得ることができる可能性があります。

また社外役員になることで、取締役会でしか話されていない情報を手に入れることができます。もちろん、そこで得た機密情報を他に利用することは許されることではありません。

しかし、企業の経営の形を複数知っておくことは、自身がまた別の機会で経営をしたり、アドバイスしたりする立場になるときに役に立ちます。

社外取締役・役員になるデメリット

一方で、自身が企業統治を担当する立場になるということは、責任が発生します。

株式も給与ももらっているのに、結果に対して貢献できないとなると、支援先の企業の成長を止めてしまう可能性があります。「◯◯さんが社外取締役に就任したけど、成長しなかった」という噂が多く出てしまうと、他の企業で社外取締役に就任することはどんどん難しくなっていくでしょう。

「名前だけでいいので、貸してください。」

こういった依頼が来ることもありますが、名前だけ貸すことほど怖いものはありません。なぜならば、自分が予想だにしないところで、自身の信頼を崩すような自体になるリスクがあるためです。

あくまで、私は「応援したい企業に対して、より近い立場で成長に貢献したい!」という気持ちで、なるべくその企業の成長を最大化できるよう取り組んでいます。

まとめ

社外取締役は重要な役職ではありますが、日本企業ではその重要性を活用しきれているとは言い難い現状です。天下りやイメージアップのために利用する文化は、まさに忖度を象徴するかのようですね。

古くから企業文化として存在したパワハラなどが問題提起される時代になりました。企業内文化を改善し、良い風土を築いていくためにも、社外取締役は現代の経営に必要なポストなのではないでしょうか。

キープレイヤーズでは、ベンチャー・スタートアップへの転職のサポートを実施しています。

執筆者:高野 秀敏

東北大→インテリジェンス出身、キープレイヤーズ代表。11,000人以上のキャリア面談、4,000人以上の経営者と採用相談にのる。55社以上の投資、5社上場経験あり、2社役員で上場、クラウドワークス、メドレー。149社上場支援実績あり。55社以上の社外役員・アドバイザー・エンジェル投資を国内・シリコンバレー・バングラデシュで実行。キャリアや起業、スタートアップ関連の講演回数100回以上。
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