コンサルティングファームからベンチャー、スタートアップへ転職する際に考えるべき点

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こんにちは、ベンチャー・スタートアップへの転職のサポートをしているキープレイヤーズの高野です。

各業界から、スタートアップ・ベンチャーに転職する際のポイントをまとめています。

今回は、コンサルティングファームからベンチャー・スタートアップへ転職する際に考えるべきこと、転職事情についてまとめました。

※こちらの記事の内容はYouTubeでも解説しています。動画・音声で読みたい方はぜひご覧くださいませ。

コンサルからベンチャーへの転職や起業という選択肢

コンサルティングファームからベンチャー企業や、数人しか社員がいないスタートアップに転職する方や起業する方は今も昔も多いです。

特に、コンサル人口が増えた昨今においては、コンサル業界からベンチャーへ関わる絶対数が増えた印象です。

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また、社員としてでなくても副業で、資金調達のアドバイスや経営戦略の立案の手伝いを友人ベースで行っているという若手の方を見かけるようになりました。

そのように、経験を積んでから転職をする方は、転職後にギャップがなく活躍できています。

戦略コンサル出身者の転職先

戦略コンサル出身の方は、上場前後のベンチャーに転職して経営企画のようなポジションについていることが多いです。

また、経営企画にとどまらず、事業部長や営業部長として事業サイドにも貢献して幹部になっている方もいます。

例えば、現在シニフィアン株式会社共同代表の小林 賢治さんは戦略コンサルのCDI(コーポレートディレクション)からディー・エヌ・エーに転職し、人事、経営企画、事業サイドなども歴任し、取締役や執行役員として活躍されました。

私が小林さんと最初にお会いした時は、小林さんはDeNAの人事としてでしたが、過去お会いした人事の方の中でも最も結果が出せる人事の方だと感じた一人でした。

とは言いながらも、戦略コンサル出身で経験があるから結果が出せるのか、小林さん自体が優れているのかで言えば、小林さんの場合は後者だとは感じました。

かなり多くの戦略コンサルの方にお会いしてきましたが、ベンチャー、スタートアップでは結果がイマイチ出せなかったという人も一定数いるというのが事実です。

コンサルタントとしては優秀で活躍していた人でも結果が出ないという場合があります。

特定の名前は挙げることは控えますが、戦略コンサル出身者がベンチャー、スタートアップで苦労している方がいます。どういった点で苦労するかというと、周りのメンバーのプロフェッショナリズム、ジアタマ(地頭)、コミュニケーション能力などのビジネススキルがかなり違うということが要因のようです。

コンサルティングファームにいると新卒の方も中途の方も優秀な方ばかりで、かつハードワークをいとわずクライアントのために成果を出そうと必死になって働いている方ばかりです。

良い意味でも悪い意味でも、自分と同じような方が多くコミュニケーションが多くなくても意思統一されています。

しかし、事業会社に行くとギャップが発生します。

部下をマネジメントしていると、言ったことをやらないという人がそもそも多かったりするのです。

コンサルティングファームにいると、必死に徹夜してでも期限内に言われたことはするなど、クライアントのためなら何でもしていこうとする精神で働いている方が多いでしょう。

しかし、事業会社だと全員がなんとしても期限に終わらせようとするマインドを持っているわけではないのでマネジメントの難しさが発生します。

例えば、仕事自体の優先順位が低い人がいたり、自分のやりたい仕事だけする人がいたり、期限のことをあまり重要視していなかったりということがあります。

また、なかなか優れた人材を採用できません。

コンサルティングファームでは優秀な人が当たり前のように採用できたかもしれませんが、知名度の低い事業会社だとなかなかそうもいきません。

採用やマネジメントにおいても、当たり前のことを当たり前にできないメンバーともやらなければいけない側面があり、人的なマネジメントが必要です。

人間的な魅力で引っ張らなければいけないことなどもあります。

決して事業会社の人材が劣っていると言いたいわけではなく、ゼロイチで事業を立ち上げる力だったり、スモールビジネスを大きくする能力だったり、カオスのなかを突き進み事業を作り上げたりという力は、どうしてもコンサルタントの方からするとスキルセットが異なってくるので同じものさしでは比較できません。

事業会社がコンサルタントを採用するのも、長期的な目線に立ったしっかりした事業計画だったり、規模が大きくなったゆえにもっと効率的なやり方ができないかといったコストダウン的なところだったりと、ベンチャーにいたらなかなか手が回らないもしくは、そうしたことができる人材がいないからです。

高野の約20年前の思い出

今まで戦略コンサルティングファーム出身の方で衝撃を受けた方は、元マッキンゼーでパートナーを務めたディー・エヌ・エー創業者の南場智子さんです。

それは私が社会人一年目の1999年のことでした。

ディー・エヌ・エーを創業した南場さんは創業メンバーを集めることに真剣でした。当時同じく黎明期だったインテリジェンスの新入社員でした。

南場さんはマッキンゼーのパートナー出身の起業家ということで、私から見ると雲の上の存在でした。その南場さんが、私の目の前で真剣に説明をした後に、テーブルにガッと頭をつけて(叩きつけてと言っても良いかもしれません)どうか良い人をうちの会社に紹介してください!と頼まれました。

こんなに桁違いなハイキャリアの人が良い仲間を集めることに心血注いでいるんだなと感動し、絶対に良い人をご紹介しようと決めました。

これは戦略コンサルティングファームで身につくスキルとは関係ないことかもしれませんが、戦略コンサル出身者が起業して必ずしも成功しているとは言えないと思います。

このエピソードはエージェントとして、そして投資家として起業家を見る時に大変な影響を今でも私に与えています。不恰好経営。非常に面白いです。

コンサル業界出身者はコンサル以外の知識がないことを自覚しておこう

コンサルティングファーム出身の経営者はコンサル業界に詳しいわけですが、創業者の多くは、外資戦略コンサルですとかそれ以外のコンサルファームについての知識は特にありません。

創業者の多くはコンサル出身ではないからです。

マッキンゼーとBCG(ボストンコンサルティンググループ)は知っていますが、ベイン、A.T.カーニーなどはあまり聞いたことがないです。

アクセンチュアは流石にみんな知っていますが、過去一人コンサル出身者を採用して失敗したことがあると、コンサルはやっぱりダメみたいなアレルギーになってしまっている創業者も一定数いるということは申し伝えておきます。

コンサルティングファームとベンチャー、スタートアップの違いですが、共通言語がそこまでなく、人材の質にばらつきがあります。従って理屈だけでは動いてくれません。

やるべきことではない仕事をしてしまっていることもしばしばです。人のマネジメント、組織のマネジメントが大事です。

もちろん採用から事務的なことからなんでもやらなければいけないのがベンチャー、スタートアップです。

一方で採用の仕事をしていますと、創業者の人が比較的たたき上げに近い場合は、投資銀行や戦略ファームの方が幹部にいると安心感があります。

経営メンバーが強いという印象を与えることができます。もちろん能力や経験も大事ですが、使えるキャリアであるとも言えます。

コンサルタントの方に考えてほしい年収

コンサルティングファームには、転職”希望者”は非常に多いです。しかし実際に転職する人は必ずしも多くありません。

その1つの原因が年収です。コンサルティング業界は、一般的に年収が高い業界です。

しかし、ベンチャー企業は全体的に年収がおさえられています。

そのため、どんなにいい経歴でも、ベンチャー企業に入った時点で年収が下がることを覚悟しなければいけません。

ベンチャー企業の経営陣になればストックオプションが比較的多くもらえます。幹部になれば数億円分の資産になることもあります。

ですが、ストックオプションをもらっても上場できなければ意味がありません。年収をおさえてストックオプションでどでかくドン!と思っていても、ストックオプションが実際の資産となることは多くありません。

ベンチャー企業に転職する場合は、金銭的な見返りを求めるのではなく、事業会社での経験や小さい会社を大きくするという経験、先のわからないなか事業を前にすすめる経験などを求めて転職すべきかと思います。

ベンチャー企業やスタートアップの見分け方

私は投資家なので、「いいベンチャー企業を教えてください」「次のメルカリを教えてください」と質問をしばしば受けます。

もしそれがわかれば私は今頃、億万長者になって宇宙旅行に応募しているでしょうね。

この会社が確実に伸びる!というのは分かりませんが、伸びた会社に結果として比較的あてはまることは見当たります。

その1つにスタートアップやベンチャー企業であれば社長が優秀であるかという点です。社長の経歴が優れていて、投資家や周りのメンバーからすぐ信用を得てアクセルを踏むパターンもありますし、企業で働いていて圧倒的な実績を出した場合もありますし、小さいころからビジネスが好きで儲ける経験を積んで金儲け自体に長けている場合もあります。

いずれにしても創業した社長がベンチャーを成長させるうえでの核となるものを持っています。

特に人数があまり多くないベンチャーやスタートアップに入社を考えるときは、社長を見て判断してください。私が紹介するベンチャーのなかには、知名度が高くなく知る人ぞ知るというベンチャーもあります。

そうした企業に対して最初はあまり乗り気でなくても社長に会ってみて、この会社にぜひ入りたい!と思われるコンサル出身の方がこれまでもいました。

小さい企業だと社長の与えるインパクトが大きいので、社長とぜひ話してみてください。

投資家に話を聞くのも有効

私がエンジェル投資家だから言っているわけではありませんが、ベンチャー企業に投資をしている方は、多くのベンチャー企業の内部情報を持っているので、そういう方に聞くことによってベンチャー企業に転職するうえで良い情報を得ることができます。

転職エージェントも企業の中の話を聞けますが、自分の身銭を切って投資をするという行為は企業を見るときの本気度が少なからず違ってきます。

投資家目線と転職エージェントの2つの目線をどっちも持っている私に相談しろと言っているわけではありませんが、多角的な目線から企業を捉えている人に会ってみましょう。

コンサルからベンチャー転職支援実績のある高野までお気軽にご連絡を

長年、ベンチャー、スタートアップへの転職支援を行ってきました。

コンサルティング業界にいる優秀な方を求めているスタートアップやベンチャー企業が本当に数多くあります。

そうした企業と求職者のマッチングを少しでも多くして、企業も求職者側も満足できるようにできればよいと私は考えています。

どんな相談でもいいのでぜひお気軽にご相談ください。お待ちしています。

キープレイヤーズでは、ベンチャー・スタートアップへの転職のサポートを実施しています。

執筆者:高野 秀敏

東北大→インテリジェンス出身、キープレイヤーズ代表。11,000人以上のキャリア面談、4,000人以上の経営者と採用相談にのる。55社以上の投資、5社上場経験あり、2社役員で上場、クラウドワークス、メドレー。149社上場支援実績あり。55社以上の社外役員・アドバイザー・エンジェル投資を国内・シリコンバレー・バングラデシュで実行。キャリアや起業、スタートアップ関連の講演回数100回以上。
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