ベンチャー転職のメリットやデメリット、不安について考える

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こんにちは、ベンチャー・スタートアップへの転職のサポートをしているキープレイヤーズの高野です。

ベンチャーに転職するのは不安だ、という声は、以前よりも聞く回数が減った気がします。ベンチャー企業が上場して話題になることも増え、ひたすら労働する、安定感のない環境というような誤った認識からは、少しずつ変わりつつあるのかな、と思います。国が働き方改革を掲げていることや、オープンワーク(旧Vorkers)、転職会議など転職の口コミサイトができてから評判を気をつけるようになってきたということもあるかもしれません。

とはいえ、新しいことをするときは誰だって、不安です。私も、大学を卒業してベンチャー企業に入る際は、本当にこれでいいのか、と考えました。今もこのままで人生やキャリアとしていいのか、いつも考えています。ただ、考えても行動することは止めないできたので、今さまざまな人や機会に恵まれているとも感じています。

大切なことは、なるべく多くの客観的な事実を集めた上で、自分自身のスタンスをどのように決めるかだと思います。そのため、今回の記事でも、まずはベンチャー転職のメリット・デメリットについて、なるべく客観的にお話ししたいと思います。私自身も6年ベンチャー企業で働きましたので、その上でお役に立つことをお話ししたいと思います。

ベンチャー企業とはどんな会社なのか

ベンチャー企業、スタートアップ企業に転職したいという人が増えています。今やベンチャー業界は不人気業界ではなく、人気業界になってきたといっても過言ではありません。ではいったいベンチャー企業とはどんな会社でしょうか。私が思うにベンチャー企業とは、成長させたい会社、もっといえば急成長を目指していく会社のことを指すと考えます。

会社には色々あり、オーナー会社として去年と今年変わらずにやっていきたい。家族経営であり、成長を目指していない会社も多いです。パパママストアという言葉なんかもありますよね。これが良い悪いということではなく、志向性の問題です。大きいとベンチャーと言わないかというかというとそうでもないです。

DeNAは大きなベンチャーですが、会社も自ら永久ベンチャーを発信しています。大きいですが果敢に挑戦して、更なる成長を志向しています。ベンチャーというと上場をすると決めている会社もありますが、そうでない会社も多いです。上場を目指していないベンチャーもあります。

 

ベンチャー転職のメリットは?

└成長機会が多くある

いわゆる大企業というと、若手の頃は現場に立ち、30代後半もしくは40代くらいからマネジメントをする立場になるというのが一般的なキャリアではないでしょうか。もちろん、長い下積みを経てから大企業の潤沢な資源を用いてマネジメントの一端に参画していくことも、とても魅力的ではあります。しかし、そもそも20年以上、同じ会社に居続けることを前提とした成長スピードではありますよね。

一方でベンチャー企業はどうかというと、20年後どんな仕事をやっているか、分かりません。そもそも事業内容が変わっている可能性もありますね。状況に応じて柔軟な決定がなされていくので、社員一人一人が任される仕事の幅は増えていきます。また立ち上がったばかりのベンチャー企業だと何も決まっていないことが多いので自ら仕事を創り出すという能力が磨かれていきます。こうした幅広い仕事をこなしたり、0から仕事を創出したりという経験はベンチャー企業特有のものなので、必然的に成長機会が増えるでしょう。

また元々の規模が小さい分、会社の成長スピードも大企業のそれとは比較になりません。事業がどんどん拡大するにつれて責任あるポジションが増え、人手も足りない場合が多いですから、結果として若くして重い意思決定に携わる可能性が高まります。こうして正解のない状態の中で会社の命運を左右するような意思決定の機会を得られることが、成長機会に繋がると考えています。

 

└経営者と近い距離間で仕事ができる

ベンチャー企業は、社員数が少なく社長との距離が近いことが多いです。主体性を持った方にとっては、こうした環境は事業や会社の戦略から日々の戦術まで様々な事を議論できるため、とてもエキサイティングでしょう。社長がどのようなことを考えて日々仕事をしているのかを、間近で見ることができるのはベンチャー企業ならではのメリットですね。

 

└多額の報酬を得られる可能性がある

ベンチャー企業ではストックオプションを発行しているところも少なくありません。ストックオプションを持った状態で転職先の企業が上場するなどすれば、多額のリターンを得ることができます。実際メルカリさんの上場に際してストックオプション制度に注目が集まりましたね。いわゆる億万長者が続出しました。挑戦した人がリターンがあることはとても良いことで、今後もこのような成功企業が出てくると思いますし、ご支援していきたいと思っています。

 

└経営者としての能力を磨く事ができるチャンスがある

世の中的には元カルビーの松本氏や元LIXILの瀬戸氏などのプロ経営者に注目が集まっています。企業価値の増大に貢献できる人材の究極がプロ経営者なのだと思いますが、こうした人材は今後もますます需要が高まるでしょう。すべての企業がそうだとは言えませんが、ベンチャー企業は小さい組織のため結果を残して昇進を重ねれば、比較的早い段階で経営領域の仕事をするようになります。こうして若くして経営スキルを身に着けられることは自らの市場価値を上げることにつながるでしょう。

 

ベンチャー転職のデメリットは?

└同じことを続けられるとは限らない

メリットの①の裏側にもなるのですが、ある決まった業務をやりたい、極めたいという方は、ベンチャーに行くとやりづらさを感じることがあるかもしれません。変化が激しいため、会社に対して果たすべき役割も時によって変わります。そのため、極めたい業務にだけ時間を割くことができるかというと、必ずしもそうではありません。

やりたいことが決まっていて、それ以外はできればやりたくない、という方は、分業が進んでいる大手企業に所属していた方がいいかもしれません。

 

└倒産リスクがある

中小企業白書からベンチャー企業の10年後の存続確立を割り出すとおよそ10%程度になります。10年で10社のうち9社は倒産してしまうということですね。こうしたリスクは大企業に比べて大きいです。より慎重に、将来性のある転職先を選ぶ必要がありますね。一方で本気でやっていない会社というのか、一旦会社として作ってみたといった本気じゃない会社も多く含まれている気がします。このデータ見る限り。

 

└待遇や当面の年収は良いものではない

外部から資金調達をしているベンチャー企業は特にそうですが、資金が尽きる前の支出はできる限り小さくしたいと考えるものです。出資者の目もありますので、過度に高い給与や福利厚生は設定することが難しいです。そのため、IPOなどで資金が潤沢になりやすいタイミングで従業員の頑張りに報いることができるよう、ストックオプションなどの形式をとるわけです。ですので、早い段階での高水準の年収や手厚い福利厚生にこだわる場合、ベンチャー転職はおすすめしません。ただ、会社が大きく成長した場合はその分報酬や待遇が上がっていくので、自ら給料やポジションをつかみ取りたいという主体性のある方には向いているのではないかと思います。

 

└社風とマッチングしない可能性がある

これはベンチャー転職に限らず言えることですが、社風とのミスマッチが起こる可能性があることは転職のデメリットです。最近ではベンチャー企業が採用活動の一環として体験入社のようなことをしているので、そうした機会を利用してなるべく社風とのマッチング度合いを見たり、社長のビジョンへの共感度をはかったりすることが大切でしょう。

 

ベンチャー転職する上での不安や懸念は?

ここまで、ベンチャー企業への転職に関するメリット・デメリットを見てきました。それらも踏まえると、長年ベンチャー企業への転職のご相談に乗っている中で、以下のような不安や懸念を抱かれている方が多いと感じています。

①年収などの報酬面はどうなのか?
②本当に成長するのか?
③ベンチャーってブラックなのでは?
④評価制度はどうなのか?
⑤大企業からベンチャー企業へ転職するのはリスクが高いのでは?

この5点はベンチャー転職する際は必ずと言っていいほど気になる点かと思います。今回はこのような不安を少しでも解消できればと思います。

 

└年収などの報酬面はどうなのか?

上図の年収に加えて、状況によってはストックオプションが付与されるという認識でおおよそ間違っていないと思われます。最近はベンチャー企業への投資が活発なこともあり、給与水準も上がってきているように感じられます。

 

└本当に成長するのか?

先ほど、メリットのところには成長の機会が多いと書きましたが、そうはいってもベンチャー企業も千差万別です。私は転職の相談をされる方からこうした質問をお受けした場合には、しっかりとその企業を見極めるためにベンチャーキャピタルに聞いたり、信頼できるエージェントに聞いたりしています。結局こうした生の情報から判断することでしか実際の企業状況は把握できないので、積極的に1次情報を得ることが大切だと思います。

 

└ベンチャーってブラックなのでは?

ベンチャー企業は四六時中仕事に拘束されるのではないか、のような不安を抱いておられる方がたくさんおります。実際のところは働き方改革の影響もあり、必ずしもそういった企業ばかりではないように見受けられます。

しかしそうはいっても未上場の企業で上場を目指すとなると、最初の最初は忙しいケースが多いです。やはり上場のためにしなければならないことはとても多く、必然的な部分はあります。しかしその後、監査法人が入るようになるとそれらは緩和されます。というのも適正な労働時間にならなければ上場の承認が下りないからです。これも会社によって様々ですので、ご相談されるのが一番だと思います。

 

└評価制度はどうなのか?

未上場のベンチャー企業の場合、評価制度はない又はシンプルなものが多いです。社長が全体を見れる規模感であることが多いので、会社が伸びていれば給与や役職は自然とあがっていく事例が多いですね。こうした評価の事に関しては、会社が伸びるのかどうかという視点がとても大切で、そもそも会社が成長していなければ評価されたとしても、それが報酬などのリターンに反映されづらいでしょう。

そのため、「会社が伸びるのか」という観点で考えることをおすすめします。また役員などのポジションで入る場合には自らがその会社を伸ばすことができるのかという視点で考えることが肝要です。

 

└大企業からベンチャー企業へ転職するのはリスクが高いのでは?

こうした不安もよくある不安ですね。しかし漠然と不安に思うだけでは解決はされません。まず自分がどういったキャリアを歩みたいのか、そのために何をするべきなのか、これらを鮮明にしてから改めて考えることが大切でしょう。

その中でメリットのところで述べたようにベンチャー企業で身に付くであろうスキルが今後のキャリアを考える上で特に必要だ、と感じたらやはり転職はリスクではなくチャンスになるでしょうし、逆に大企業で身に付くスキルが重要だと思えば、そのまま会社に貢献するのが良いでしょう。

またそれ以外でも、ベンチャー企業でしか味わえないようなシチュエーション、例えばIPOを迎えたり、目まぐるしいスピードでの事業展開をしたり、社長と近い距離で仕事をしたりなど、そうしたものにワクワクするという事があればその転職を不安に思うことはないのかもしれません。やはり楽しく働くことが結局は自己成長のスピードを高めることに繋がります。好きこそものの上手なれですね。

最近ではPanasonicさんのようにベンチャー企業で働いた後や起業をした後に出戻りをするような取り組みをされている企業さんもあります。大企業でもイノベーションに対して前向きにかつスピーディーに取り組む人材の需要は年々増加しています。こうした流れがどんどん加速していくことを考えると、ベンチャー企業での経験というのはとても貴重なものになりそうですね。

良いベンチャー企業の見極め方

一番聞かれる質問の一つです。良いベンチャーが簡単に見極められたら私の仕事がなくなってしまうのですが(笑)ここでポイントを公開してしまいますね。

①経営者の巻き込み力がある

成長する企業だからこそ転職した方の機会が多くあります。昇進昇格や、昇給、SO、さらには上場経験など可能になります。成長する企業の特徴は経営者が圧倒的に巻き込み力があります。幹部、社員採用ができる。顧客を獲得できる。優良な株主に投資をしてもらう。顧問や社外役員も有力な人に頼める。なってもらえる。自分よりも優秀な人を巻き込める。そのような経営者の会社は伸びます。

②成長業界である

業界の選定がとても大切。伸びない会社は業界自体が苦しいケースが多いです。もちろん業界の産業構造を変えていくような事業、例えばラクスルのような会社はその課題設定が良いと言えます。成長することができる業界、市場選択ができているかどうかは大切なことです。

③その市場の中で勝てる会社かどうか

どのマーケットにも偏差値のようなものがあります。例えば金融系というのは明らかに優秀な方が多く、加えて努力家でハードワークも辞さないようなタイプの人の比率が高いです。就職活動をしていてレベルが高いなと感じたり、人気な業界というのは力のある人が集まります。経営者もそうですし、社員もそうです。その選択している市場の中で勝てる方々なのかということはとても大事な要素です。

 

ベンチャー企業への転職を考えている方へ

ここまで、ベンチャー転職への不安という観点から考えてきました。ここでは一般的に多くの方から聞かれるような事にフォーカスしましたが、もちろん人によって不安も違うでしょう。そうした不安は、結局は生の情報からしか解消されないと思います。

そうした生の情報に常に触れているのが私のような転職エージェントやベンチャーキャピタルであったりします。もしベンチャー転職の不安を解消したいという方がおられましたら、キープレイヤーズ高野までお気軽にご相談いただければと思います。

執筆者:高野 秀敏

東北大→インテリジェンス出身、キープレイヤーズ代表。11,000人以上のキャリア面談、4,000人以上の経営者と採用相談にのる。55社以上の投資、5社上場経験あり、2社役員で上場、クラウドワークス、メドレー。149社上場支援実績あり。55社以上の社外役員・アドバイザー・エンジェル投資を国内・シリコンバレー・バングラデシュで実行。キャリアや起業、スタートアップ関連の講演回数100回以上。
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