こんにちは、ベンチャー・スタートアップへの転職のサポートをしているキープレイヤーズの高野です。
企業の立ち上げ・スタートアップしようと考えている人は、まずいろいろなwebサイトを読んで情報を集めることでしょう。
ビジネス用語を調べていると、「CAGR」という単語を目にすると思います。
そして「CAGR」とよく似た「CMGR」という単語も存在します。
「CMGRってなんだ?」「CAGRとは何が違うんだ?」と疑問に思ったことでしょう。
CMGRは、最近勢いを増しているSaaSサービスの業績を見る上で重要な指標です。
この記事では、「CMGR」について解説していきます。
目次
CMGR(Compound Monthly Growth Rate)の意味とは?
CMGRのこと
CMGRとは、「Compound Monthly Growth Rate〈月平均成長率〉」の略です。
- Compound〈複利で計算する〉
- Monthly 〈1か月の〉
- Growth 〈成長〉
- Rate 〈率〉
各単語の意味の通り、「1か月の成長率を複利で計算」したものが、「月平均成長率」です。
読み方はそのまま「シー・エム・ジー・アール」と読みます。そして「CAGR」とは、「年平均成長率」を表します。
上記のMothhly(1か月の)がAnnual(年々の)に変わります。
成長率は、出資を募る際やサービスの継続正否を判断する際の重要な材料になります。
より具体的かつ正確な成長率を算出して判断ができるよう、後述する計算方法をぜひ知っておいてください。
CMGRとMoMの違いは?
月次の成長率を示す際に、MoM〈month on month〉という言葉が使用されます。
CMGRは月平均成長率を表すことに対し、MoMの意味は「前月比」を表します。
MoMは、売上や業績などの様子を前月と比較し、好調なのか不調なのかを判断する際に用います。
CMGRを求める計算式とは?
CMGRは、複利計算を使います。
計算式の前に、まずは計算式を理解するために必要な「複利」について見ていきましょう。
複利を理解するためには「単利」と比較すると分かりやすいので、順に説明していきます。
- 単利とは、「元金に対して利息が付く」こと。
- 複利とは、「元金に対して利息が付いたものに、さらに利息が付く」
例えば、元金300万円で年利息10%の場合、単利の場合は300万円+(300万円の10%)なので、1年目は330万円になります。2年目も元金に対しての年利10%が上乗せされ、2年が経った段階では利息を含めると360万円となります。
それに対し複利は、1年目は単利と同じ計算で330万円となりますが、2年目は1年目でついた利息を含む、330万円に10%の利息が付くことになるため、330万円+(330万円の10%)となり、2年が経った段階で363万円となります。
このように複利計算は、時が長く経つほど大きくなることが特徴となります。
ここで複利計算のできるCMGRの計算式の登場です。
CMGR=(N月度の売上÷初月度の売上)^{1÷(N-1)}-1
(N:月
^:べき乗)
この計算式を使って次の2社のCMGRを求めてみましょう。
トラスコ中山株式会社の事例
まずは、トラスコ中山株式会社の業績を元に計算してみます。
〈2018年度売上高〉
1月=15,213百万円。2月=17,268百万円。3月=20,443百万円。4月=16,823百万円。5月=17,199百万円。
この1月から5月までの売上高を計算式に当てはめると、
CMGR=(17199÷15213)^{1÷(5-1)}-1
CMGRは3.12%となります。
※業績引用元:https://www.trusco.co.jp/ir/securities.html
株式会社 いなげやの事例
次に、株式会社いなげやの業績を元に計算してみます。
〈2018年度売上高〉
4月=15,501百万円。5月=15,933百万円。6月=15,715百万円。7月=16,796百万円。8月=16,280百万円。
4月~8月までの売上高を計算式に当てはめます。
(16280÷15501)^{1÷(5-1)}-1
CMGRは1.23%となります。
※業績引用元:https://www.inageya.co.jp/ir/library/
CMGRを計算するエクセルシートの作り方
Excelで5ヶ月分のCMGRを計算するシートの作り方は次の通りです。
A1とA2に項目を作成(今回は月、売上高)
1行目に月度、2行目にそれぞれの売上高を入力
行1、行2以外の行に、CMGRを計算するための項目を作成(説明ではA3に作成)
月平均成長率の項目の隣のセルに、数式「=(F2/B2)^(1/(COUNTA(B2:F2)))-1」と入力。
これで計算ができます。
※求める月数を変更する場合は、F2/B2の「F2」を最終月の売上高のセルを指定する座標番号に変更する必要があります。
最後に
「CMGR」について解説してきました。
CMGRの知識、計算を身につけることで、より正しい事業判断ができるようになります。
CMGR,CAGRが取り上げられるきっかけにもなった、SaaS関連の事業は各社成長を続けています。中でも、SaaS関連銘柄で最高額の時価総額となった(2021年7月6日時点)ラクス社のCAGRの考え方はぜひチェックしておくとよいでしょう。
自分で計算することで、より理解が深まるので、馴染みのない方はいろいろな企業の決算数値を使うなどしてみて練習してみましょう。
キープレイヤーズでは、ベンチャー・スタートアップへの転職のサポートを実施しています。