こんにちは、ベンチャー・スタートアップへの転職のサポートをしているキープレイヤーズの高野です。
今回は、働き方改革総合研究所代表取締役の新田龍さんにお話をお伺い致しました。
新田龍さんは、労働環境とレピュテーション改善による業績&従業員満足度向上支援、ビジネスと労務関連のトラブルと炎上予防&解決サポートが専門とされています。
動画でも公開しておりますので、ぜひ併せてご覧くださいませ。
目次
新田龍さんの経歴
早稲田大学政治経済学部経済学科卒業後、1999年にグッドウィル・グループ株式会社入社、2001年にインテリジェンス入社後、2007年に働き方改革総合研究所株式会社を設立されました。厚生労働省 イクメンプロジェクト推進委員就任、厚生労働省 ハラスメント対策企画委員就任。
働き方改革総合研究所
働き方改革推進による「労働環境改善支援」と、悪意ある取引先相手の各種トラブル解決、レピュテーション改善をおこなう「企業防衛コンサルティング」を手掛けられています。
ブラック企業専門家とは何者?
高野:今回は、ブラック企業を語らせたら圧倒的ナンバーワンのブラック企業の専門家新田龍さんにお越しいただきました。
改めて、新田さんのプロフィールについてお伺いできますでしょうか?
新田氏:ご紹介頂きました、ブラック企業専門家新田でございます。
インターネットの2ちゃんねるのクチコミサイトで「ブラック企業ランキング」をご覧になったことありますか?
「ブラック企業ランキング」は、入ってはいけない会社がリスト化されているものです。
私がいた会社は、ブラック企業ランキングの偏差値72、75の会社にいました。
実は自他共に認めるブラック企業出身です。
その経験を活かし
「ブラックな会社にしてはいけないよ」
という経営者向けのコンサルティングや、ブラック企業になってしまった会社をまともな会社に戻す為の、労働環境改善のコンサルティングや、風評被害が広がってしまった会社さんの
「これは風評だよ、実際は良い会社さんだよ」
というレピュテーション改善をしています。
個人の方向けには、ブラック企業で働いている方の抜け出すお手伝いや
そこに入社しないようにするためには「こういう準備が必要だよ」
というアドバイスをしている専門家です。
メディアでもいろんなところで発信・発言しています。
厚生労働省のハラスメント対策企画委員も務めており
「世の中からパワハラを無くしていこう」
という活動をしています。
ブラック企業の正しい定義とは?
高野:そもそもブラック企業は、どのような会社のことを言うのですか?
新田氏:世間一般の認識だと
・長時間労働の割に給料が安い
・残業が発生しているのに残業代を払わない
・上司がパワハラ・セクハラをしてくる
・割に合わない労働環境で使いつぶされて酷い思いをする
このような会社のイメージを持たれているかと思います。
その通りですが、私自身の解釈としてはもう少し細かいものがあります。
明らかに法律違反の労働条件をわかっていながら、改善しようとせずに従業員にやらせて、それによって他の会社より当然安く使えます。
そのため、コスパが良いサービスを出してしまうんですよね。
そして、お客様からはかえって選ばれてしまう
「あの会社は安いね!良いね」
と言われて、法律違反の労働条件の会社が選ばれてしまいます。
まともにやっている会社は、コストを上乗せしないといけないので、値段は高くなるので、まともな会社が割に合いません。
悪い会社がお客様から選ばれてしまうという、迷惑な存在ですね。
潰れて欲しいという会社がブラック企業という認識を持っています。
高野:ちゃんと定義して頂くと良いですよね。ブラック企業は、曖昧に使われることが多いかと思います。
ブラック企業を見抜く方法はあるのか?
高野:私のYouTubeでも良くブラック企業について質問されることがありますが
例えば、転職・就職する際ブラック企業を見抜く方法はありますか?
新田氏:ありますね。
ブラック企業研究歴20年の私が、あらゆるケースを見てきて
「ここは大丈夫、ここはダメ」
という基準がありますので、説明させて頂きます。
入社前にブラック企業を見抜くチェックポイント3選
新田氏:転職する方は、自分が希望・応募する企業が
「ブラック企業なのかどうか?」
気になりますよね。
でも入らないとわからないことが多い中で、入る前にブラック企業なのか明確にわかる方法があります。
いくつもありますが、凝縮して3つのポイントに絞って説明致します。
①求人票・求人サイトに抽象的なアピール・横文字が多い
新田氏:企業の求人票、求人サイトを見て頂くと、いろんな説明が記載されていると思いますがよくあるのが「抽象的なアピール」
まともな会社は、ちゃんと数字で説明できます。
ブラック企業の場合は、数字が出せないので
「アットホームな職場です」
「20代を中心とした若い力で成長しています」
「この会社に入れば圧倒的に成長出来る」
抽象的なポジティブな言い回しをしている会社が怪しいです。
あとは、職種内容で言うとまともな会社の場合は、例えば営業職の説明欄に
「〇〇な商品を△△してお客様に売る仕事です」
明確に説明できますが、ブラック企業の場合は横文字を使います。
「インサイドセールスと書いてあったが、単なるテレアポ担当だった」
「お客様サポートは、クレーム処理担当だった」
「幹部候補生は、単なる店員だった」
本来人気では無い職種を、横文字を使うことで良くみせてカモフラージュして見せているケースが多いです。
「抽象的な言葉」「横文字表記を多用している」ところは、ブラック企業かなと思って良いです。
②肝心な情報が明確に出されていない・情報が後出し
新田氏:2つめのポイントが、肝心な情報が明確に出されていない、もしくは後出しな会社も怪しいです。
求人票に関しても、情報不足な会社があります。
例えば月給35万円とだけ記載されていたら、高いなと思います。
しかし、よく見たら基本給が20万円も無く、手当てや残業代が50時間分ついて35万円というところもあります。
良いところだけを見せて、肝心なところを説明しないというのは
「都合が悪い部分を隠したいんだろうな」
というのが分かります。
情報量が少ない求人票はブラック企業かなと思ってもらうと良いです。
最近ご相談であったのが、フルタイムのお仕事で高い給料を記載して応募していた会社が、実は業務委託・契約社員だったということが内定出たあとに分かったというケースもありました。
求人票はよく見て頂きたいのと、記載が無ければ説明を求めましょう。
③面接のハードルが低く簡単に内定が貰える
新田氏:3つめのポイントは、面接のときにハードルが低くあっさり受かってしまう会社はブラック企業の可能性が高いです。
一般的なまともな会社の選考は、書類選考があって、筆記試験、面接が3〜4回や多いときは5回あります。
ちゃんと現場の社員さんや人事の方が出てきて、人柄や経歴、実績、潜在能力を見極めて判断します。
ブラック企業は、人が沢山辞めていて、そういうことをやっている時間がありません。
採用できたら誰でも良いことが多いです。
よくあるのが「経験不問」「学歴不問」「資格不問」など、誰でも良いから入って欲しいというのが多いです。
あとは、面接回数がやたら少ない場合です。
「面接1回で内定出た」
「社長と10分雑談して内定を貰った」
よくよく考えると、なぜ評価されたのかわからないというケースもあります。
そもそも、何も評価していなくて、頭数さえ採用出来れば良いという選考基準がブラック企業では多いです。
「合わなければ、入ってから勝手に辞めろ」
という会社もあります。
以上の3つのポイントを事前に確認しておけば、大体のブラック企業を見抜くことは出来ます。
ブラック企業から抜け出す方法
高野:素晴らしいまとめですね。
よく聞かれる質問なのですが
「ブラック企業に入社してしまったけど辞められない…」
「ブラック企業から抜け出せない」
このような人はどうしたら良いのでしょうか?
新田氏:「会社に対して裏切りになるのではないか」
「スキルが無いのに辞めても次で通用するかわからない」
このように思っている方が多いですが、心配する必要はありません。
大体洗脳であることが多くて、入社してからブラック企業と感じても、簡単に辞めることは出来ます。
民法がありますので、法律上で辞めたいと思った2週間前までに
「辞めます」
と言えば、2週間後には契約が自動的に切れるという法律があるので、それに沿って退職届を出して辞めれば良いです。
しかし、そうもいかない場合もありますよね
「辞めるな!」
「退職届は受け付けない!」
このように言われるケースもあります。
こういった場合のときは、まず前提としてはブラック企業に入らないようにすることです。
「稼ぎたい」
「成長したい」
などという自分の価値観を大事にせずに
「この会社に入ったら親が喜びそうだから」
「周りに凄いと思って貰えそうだから」
という風に思い、価値観の合わない会社に入ってしまうと、違うなと思い辞めてしまうこともあります。
まずは、自分の価値観を大事にしましょう。
あとは、先ほども説明した通り、まともな会社は選考が厳しいです。
「ブラック企業しか受からない」
ということにならないよう、充実した学生生活を送ってください。
他にも、ネット上でブラック企業と噂になっている場合、書き込んだ人にとってはブラック企業かもしれませんが、自分には合う会社かもしれないので、自分の価値観に沿って会社を選んでください。
「ブラック企業」に入ってしまった場合の対処法
新田氏:それでも、ブラック企業に入ってしまったという場合は、社内の信用できる上司や人事、経営者など話が通じる人に直訴してみてください。
直訴して変わるのであれば良いですが、変わらない場合は、高野さんのような無敵な転職エージェントを頼って辞めた方が良いです。
石の上にも三年ということわざは「石」だから通用しますが、石でなければ通用しません。
泥沼のところに3年いるより、若い方が第二新卒や求人も多くあるので、早く辞めた方が良いです。
辞められないということは基本ありませんが、ブラック企業に入ったきっかけがあると思います。
転職エージェントや求人サイト、ハローワークなどの入社のきっかけとなった関連各所に
「酷いことされました!」
という情報を共有してください。
怪しい会社は、ブラックリストとして名前がまわりますので、淘汰されるきっかけになります。
辞めるにしても恨みをはらしたいという場合は、行政の窓口に相談してください。
そうすることで「行政処分」「行政指導」が入る場合があります。
お金を取り返したい場合は「労働審判」という法的手段で訴えることも出来ます。
「辞められないよ」
「辞めたら損害賠償だよ」
という風に脅しもありますが、いろんな法律で守られているので、ブラック企業を辞めることは可能です。
辞めることも権利の一つなので、権利を行使してください。
退職交渉代行サービス「ブラック辞めたい.com」
新田氏:それでもブラック企業を辞められないという場合は、私が出ていきます。
「ブラック辞めたい.com」というサービスを展開しています。
退職代行サービスは沢山ありますが、退職代行は代理人が「辞めます」と言うだけで、何の交渉も出来ません。
「ブラック辞めたい.com」は、退職交渉代行サービスです。
労働組合が窓口となって、いろんな権利主張
「残業代を払え」
「退職金を払え」
「有休消化させろ」
いろんな交渉が出来ますので、権利を主張して辞められます。
「ブラック辞めたい.com」に問い合わせ頂ければ、即解決するので、このようなサービスを活用して、ハッピーな人生を歩んで頂きたいです。
高野:最近は、心が優しい方が多いのかなと思いますね。
私からすると
「辞めるのは、簡単じゃないの?」
と思いますが、今は辞められない方の方が凄く沢山いるというのが、TwitterやYouTubeなどを通じても分かります。
悩みすぎてしまうのであれば、是非新田さんのところに相談して頂きたいです。
経営者がブラック企業と気づいていない場合もある
高野:自分の会社が
「ブラック企業なのか?」
という自覚が、本人だけでなく、社長も気づいていないケースが最近増えていますよね。
「昔の基準と今の基準が全然違う」ということに、経営者側もキャッチアップできていない場合があります。
新田氏:仰る通りですね。
昭和後期、平成初期のマインドのままの経営者は多いです。
高野:「自分が若い頃はこうだった」
というのは社会情勢上通用しなくなってきています。
もちろん仕事はコミットして本気で取り組みますが、今はクチコミサイトにすぐに書かれてしまう時代なので、コンプライアンスには今一度気をつけて頂きたいです。
個人の方も溜め込まないようにしてください。
新田さん今回は有難うございました。