こんにちは、ベンチャー・スタートアップへの転職支援を約25年続けているキープレイヤーズの高野秀敏です。
「いい転職をしている人」に共通する要素のひとつが、質の高い人脈(ネットワーク)を持っていることです。求人サイトには出てこない非公開のポジション、業界のリアルな内情、信頼できる人からの紹介——こうした情報や機会は、結局のところ「人」を通じて流れてきます。近年は知人紹介経由のリファラル採用が増え、人脈の価値はますます高まっています。
ただし、誤解してほしくないのは、「単なる名刺交換」には意味がないということです。大事なのは数ではなく、いざというときに相談に乗ってくれる「バリューのあるつながり」をどう作るか。本記事では、社会人が転職とキャリアに効く人脈を作る方法を、私の現場経験から体系的にまとめます。
- なぜ「バリューのある人脈」が転職を有利にするのか
- 人脈づくりの基本は「give and give」
- 社外・社内の人脈を広げる具体的な方法
- リファラル採用に繋げる人脈の育て方
- 人脈づくりで向いている人・空回りする人
- 年代別の人脈戦略
- やりがちな失敗パターン
なぜ「バリューのある人脈」が転職を有利にするのか
たとえば他業界に転職したいと考えたとき、その業界に知人がいれば、雰囲気がわかり、内情をヒアリングでき、場合によっては紹介してもらえます。「なんとなく見当がつく」「その気になれば話が聞ける」「関連業界に知人がいる」——ちょっとしたことのようで、この差は意外に大きい。まったく白紙で面接に臨むのと、予備知識を持って臨むのとでは、心の余裕がまるで違います。
ビジネスは情報戦です。人との接点が多い人には情報が集まり、相談に乗ってくれる人も見つかりやすい。約25年この業界にいる実感として、長期的にキャリアで成功する人は、交際範囲が広く、人づきあいを大切にしていることが多い。逆に、つながりが狭いと、転職のたびに毎回ゼロから情報を集めることになります。こうした情報格差が転職の成否を分けることは、ベンチャー転職の失敗・後悔ガイドでも繰り返し触れているテーマです。
人脈づくりの基本は「give and give」
多くの人が人脈づくりを「自分が得をするため」に始めて失敗します。本質は逆です。人脈構築の基本は「give and give」——まず相手にとって価値を提供することです。名刺を交換しただけでは、相手を知ることも自分を知ってもらうこともできません。おつきあいは深まらない。
大切なのは、「相手がしてもらって嬉しいこと」を先にやること。たとえば知人が著書を出したら、買って読む人はいても、レビューを書いたりSNSで紹介したりする人はなかなかいません。相手が広めたいサービスがあれば、自分の周りに紹介する。こうした「先に与える」行動を積み重ねた人のところに、巡り巡って情報とチャンスが返ってきます。
- 知人の著書・サービスをSNSやブログで紹介する
- 相手が探している人材・情報を、自分の人脈から繋ぐ
- 役に立ちそうな記事・情報をひと言添えて共有する
- イベントや勉強会で会った人に、後日フォローアップの連絡をする
- 見返りを期待せず、まず相手の役に立つことを考える
「自分には提供できるものがない」と思う必要はありません。情報を繋ぐ、感謝を伝える、紹介する——お金がかからない「give」はいくらでもあります。自分のバリューを上げ、win-winの関係を作っていくことが、結果的に最強の人脈になります。
社外・社内の人脈を広げる具体的な方法
人脈には「社外」と「社内」の両方があり、どちらも転職とキャリアに効きます。
| 種類 | 広げ方 | 転職への効き方 |
|---|---|---|
| 社外(リアル) | 勉強会・カンファレンス・交流会・転職イベントへの参加 | 業界の生情報、非公開求人、リファラルの起点 |
| 社外(オンライン) | LinkedIn・X等で経歴を発信、発信者と繋がる | 企業からの直接オファー、遠隔のつながり |
| 社内 | 部署・年次を越えて社内の人と関係を作る | 推薦・評判、転職先での適応力にも直結 |
| 転職のプロ | 信頼できるエージェントと長期的な関係を築く | 市場情報・非公開求人・キャリア相談 |
意外と見落とされがちなのが「転職エージェントも人脈の一種」だという点です。良いエージェントは、市場の最新情報、非公開求人、あなたの市場価値を率直に教えてくれる存在。一度の転職で終わりにせず、長期的な相談相手として関係を築くと、キャリア全体の財産になります。エージェントとの付き合い方は転職エージェントの選び方ガイドを参考にしてください。
リファラル採用に繋げる人脈の育て方
近年、知人の紹介経由で採用されるリファラル採用が大きく増えています。企業にとってはミスマッチが少なく、候補者にとっても内情を知った上で入社できるため、双方にメリットがあります。人脈をリファラルに繋げるには、日頃の関係づくりが効いてきます。
- 「いい人がいたら教えて」と言われる人になる——信頼の蓄積が紹介を生む
- 自分の興味・キャリアの方向性を周囲に伝えておく——人は「何を探しているか」を知らないと繋げられない
- 過去の同僚・上司との関係を切らさない——リファラルの多くは元同僚から来る
- 紹介してもらったら、結果を必ず報告する——次の紹介に繋がる
リファラル採用の仕組み・年収・メリットデメリットはベンチャーのリファラル転職完全ガイドで詳しく解説しています。企業側がどう人材を探しているかを知ると、自分の動き方も変わります。採用する側の視点はスタートアップ採用ガイドも参考になります。
人脈づくりで向いている人・空回りする人
| 良い人脈が作れる人 | 空回りする人 |
|---|---|
| まず相手に価値を提供しようとする(give first) | 最初から見返り・紹介を求める |
| 少数でも深い関係を大切にする | 名刺の枚数・フォロワー数を競う |
| 会った後にフォローアップを欠かさない | 交換して終わり、連絡が続かない |
| 自分の専門性・バリューを磨いている | 提供できる価値がなく、もらうばかり |
人脈づくりは「広げる」より「深める」が本質です。100枚の名刺より、いざというとき本音で相談できる10人のほうが、はるかにキャリアを支えてくれます。
年代別の人脈戦略
20代:とにかく会って、giveの習慣をつける
実績が少なくても、素直さ・行動力・フォローアップで信頼は作れます。この時期に「先に与える」習慣を身につけた人は、30代以降に大きな差がつきます。年齢別転職ガイドも参考に。
30代:専門性を起点に「呼ばれる」人脈へ
専門性が固まり、提供できるバリューが明確になる年代。発信や登壇を通じて「あの領域ならあの人」と認知されると、向こうから機会が来るようになります。
40代・50代:人脈そのものが「資産」になる
長年かけて築いた信頼関係が、最大の武器になる年代。幹部・顧問・CxOクラスの採用は、ほぼ人づての紹介で動きます。経営層のキャリアと人脈の関係はCXO転職ガイドも参考にしてください。
失敗パターン——人脈づくりでやりがちな間違い
- 「take」から入る——会った瞬間に転職相談・紹介依頼をして引かれる
- 名刺・フォロワーの数を目的化する——量を追って、関係が浅いまま
- フォローアップしない——会って終わり、関係が続かない
- 提供できるバリューを磨いていない——もらうばかりで関係が一方通行
- 困ったときだけ連絡する——普段の関係がないので相手も動きにくい
人脈は「困ってから作る」ものではなく「日頃から育てる」ものです。転職を考え始めてから慌てて人脈を作ろうとしても遅い。普段からgiveを積み重ねておくことが、いざというときに効いてきます。
よくある質問(FAQ)
Q1. 人見知りで交流会が苦手です。人脈は作れますか?
作れます。大人数の交流会が苦手なら、1対1の対話やオンラインでの発信から始めましょう。深い関係を少数作る方が、浅い名刺交換を量産するより価値があります。
Q2. 提供できるバリューが何もない気がします。
情報を繋ぐ、感謝を伝える、紹介する——お金も専門性も要らない「give」はいくらでもあります。まず相手の役に立つことを考える姿勢自体が、最初のバリューです。
Q3. SNSでの人脈づくりは転職に効きますか?
効きます。LinkedInやXで経歴・専門性を発信していると、企業から直接オファーが来たり、遠方の人と繋がれたりします。ただし発信しっぱなしでなく、相手との対話を大切に。
Q4. 前職の人とは縁を切るべき?
むしろ大切にすべきです。リファラル採用の多くは元同僚・元上司から来ます。円満に退職し、関係を切らさないことが将来の財産になります。退職の進め方は退職交渉ガイドを参考に。
Q5. 人脈とエージェント、どちらに頼るべき?
両方です。エージェントは市場情報・非公開求人に強く、人脈は内情・リファラルに強い。役割が違うので、併用するのが最も効果的です。
まとめ——人脈は「give」から育つ資産
転職とキャリアに効く人脈は、名刺の枚数では作れません。まず相手に価値を提供し(give and give)、少数でも深い信頼関係を育て、フォローアップを欠かさない。この積み重ねが、いざというときに情報と機会をもたらしてくれます。そして人脈は、困ってから作るものではなく、日頃から育てる資産です。
キープレイヤーズでは、ベンチャー・スタートアップへの転職支援を通じて、多くの経営者・キーパーソンと候補者を繋いできました。「いい人脈がなくて情報が入ってこない」「リファラルに繋がる動き方を知りたい」という方は、ぜひ一度ご相談ください。私たち自身が、あなたのキャリアにとっての一つの「人脈」として伴走します。