こんにちは、ベンチャー・スタートアップへの転職支援を約25年続けているキープレイヤーズの高野秀敏です。
「人事の仕事に興味があります。未経験からでもなれますか?」「採用担当からHRBPにステップアップしたい」「CHROを目指すには何が必要?」——人事キャリアを志す方からのご相談は、ここ数年で急増しています。
2026年現在、人事は「事業を伸ばす経営機能」として、スタートアップ・大企業を問わず最も需要が高い職種のひとつになりました。特にHRBP(Human Resources Business Partner)の求人は急増し、年収レンジも上昇傾向にあります。doda等の主要転職媒体でもHRBPだけで数百件の求人が常時掲載されています。
本記事では、人事職への転職を考える方に向けて、仕事内容・必要スキル・年収相場・未経験からのなり方・キャリアパスを、私が25年で見てきた数千名の人事キャリアの実例ベースで徹底解説します。CHRO転職ガイドと併せて読むことで、人事キャリアの全体像が掴めます。
- 2026年|人事職の市場動向と需要トレンド
- 人事職の主要4ポジション(採用・HRBP・労務・組織開発)と仕事内容
- 年収相場・SOレンジ(ポジション別・フェーズ別)
- 未経験から人事に転職する5ステップ
- 必要スキル・推奨資格
- キャリアパス(CHRO・CHO・独立まで)
- 向いている人・向いていない人
- 失敗パターン・成功事例・FAQ
2026年|人事職の市場動向
まず数字で市場を把握します。2026年現在の人事職市場は、過去最高水準の需要にあります。
| 項目 | 2026年の実態 |
|---|---|
| 人事職の有効求人倍率 | 約2.0〜2.5倍(全職種平均の2倍) |
| HRBP求人の前年比増加率 | 約30〜40%増 |
| 採用担当の中央値年収 | 500〜800万円 |
| HRBPの中央値年収 | 650〜1,000万円 |
| 人事マネージャーの中央値年収 | 800〜1,200万円 |
| CHRO/人事部長の年収レンジ | 1,200〜2,000万円+SO |
| 未経験からの転職成功率 | 約25〜35%(業界・年齢で大きく変動) |
2026年の最大トレンドは「HRBPの戦略人事化」。事業現場に深く入り込み、事業成長を人材戦略で支える役割が、スタートアップ・大企業ともに急増中。年収レンジも上昇しており、ハイクラス層では1,200万円超のオファーも珍しくありません。
人事職の主要4ポジション
「人事」と一括りにされますが、実際は専門領域が明確に分かれています。それぞれの仕事内容と年収レンジを整理します。
ポジション1:採用担当(リクルーター)
仕事内容:求人作成・媒体運用・スカウト送信・面接設定・候補者対応・オファー交渉・入社フォロー。新卒採用と中途採用で動きは異なる。
年収レンジ:500〜800万円(マネージャー層は800〜1,200万円)
必要スキル:候補者発掘力、口説き力、スカウト文作成、データ分析、エージェント管理、面接設計
未経験者の最も入りやすいエントリーポジション。ベンチャーでは社員数の増加に合わせて採用担当の需要が爆発的に増えます。スタートアップ採用ガイドで採用担当の実務を詳しく解説。
ポジション2:HRBP(HRビジネスパートナー)
仕事内容:特定事業部・組織への伴走、組織課題の特定と解決、評価制度運用、エンゲージメント施策、人材開発、マネージャー支援。事業責任者の「右腕」的存在。
年収レンジ:650〜1,200万円(CHRO候補は1,200〜1,800万円)
必要スキル:事業理解力、組織開発、人材データ分析、コミュニケーション、コーチング、マネージャー支援
2026年現在、最も需要が伸びているポジション。AI系・SaaS系スタートアップでは「HRBP1人で50〜100名規模の事業部を担当」が一般的になっています。
ポジション3:労務・人事制度
仕事内容:給与計算、社会保険、入退社手続き、就業規則整備、勤怠管理、人事制度設計、評価制度運用、給与テーブル整備。
年収レンジ:450〜800万円(マネージャー層は800〜1,200万円)
必要スキル:労働法務、社労士知識、Excel・人事システム運用、評価制度設計、社内制度交渉
スタートアップでは「労務専任が1人もいない」会社も多く、創業期〜成長期で重宝されます。社労士資格があれば独立・複業の選択肢も広がります。
ポジション4:組織開発・タレントマネジメント
仕事内容:組織サーベイ実施、エンゲージメント施策、研修設計、後継者計画、コーチング、文化形成、価値観浸透。
年収レンジ:700〜1,200万円
必要スキル:組織開発理論、ファシリテーション、コーチング、データ分析、研修設計、文化形成
シリーズC以上の規模が大きい会社で需要が増えるポジション。事業成長と組織成長の連動を支える戦略的役割。
2026年|ポジション別・フェーズ別の年収レンジ
| ポジション | シリーズA | シリーズB-C | シリーズD・上場準備 | 上場後 |
|---|---|---|---|---|
| 採用担当(メンバー) | 450〜600 | 500〜700 | 600〜800 | 650〜900 |
| 採用マネージャー | 650〜800 | 750〜950 | 850〜1,100 | 950〜1,300 |
| HRBP(メンバー) | 600〜750 | 700〜900 | 800〜1,000 | 900〜1,200 |
| シニアHRBP | 800〜1,000 | 900〜1,200 | 1,000〜1,400 | 1,200〜1,600 |
| 人事マネージャー | 800〜1,000 | 900〜1,200 | 1,000〜1,400 | 1,100〜1,500 |
| 人事部長 | 1,000〜1,300 | 1,100〜1,500 | 1,200〜1,800 | 1,400〜2,000 |
| CHRO | 1,200〜1,500+SO 0.3〜1% | 1,300〜1,800+SO 0.5〜2% | 1,500〜2,000+SO 0.3〜1% | 1,800〜3,000+業績連動 |
※単位:万円。表面年収のみ。SOは別途。
2026年の特徴は「HRBPの年収レンジ拡大」。シリーズB以上のスタートアップでは、HRBPメンバークラスでも800〜1,000万円の提示が珍しくありません。事業現場の理解力と人事知見を兼ね備えた人材は、市場から強く求められています。
未経験から人事に転職する5ステップ
Step1:自分の「人事への入り口」を決める
未経験から人事に入る場合、最も成功確率が高いのは以下の3つのルート:
- 採用担当:営業経験者・コミュニケーション力がある人に向く
- 労務担当:経理・総務経験者、社労士資格保有者に向く
- HRBP補助/組織開発:コンサル・営業企画出身者に向く
30歳前後までなら、ジュニアポジションでの未経験参入が現実的。それ以降は、隣接職種(採用に強い営業マネージャーなど)から「経験者枠」で参入するのが王道です。
Step2:「人事の仕事を疑似体験」する
転職前に副業・複業で人事業務を経験するのが最強。具体的には:
- スタートアップの採用業務委託(週5〜10時間、月10〜30万円)
- 人事コミュニティでの活動(人事の引き出し・MIMIGURI Lab等)
- 採用イベントの企画・運営ボランティア
- 友人スタートアップの採用支援
実務経験を1〜2社分作っておくと、本採用転職の成功率は劇的に上がります。
Step3:必要スキル・知識を体系化する
人事の基礎知識を以下の手段で学習:
- 書籍:『人事の超プロが本音で明かす評価制度のホント』『組織開発の探究』『ピープルアナリティクスの教科書』
- 動画講座:Udemy・Schoo・グロービス学び放題で人事関連コースを5〜10本
- 業界メディア:HR NOTE、HRzine、jinjer Online、日本人材ニュース
- 勉強会:YOUTRUST勉強会、Marketing-people コミュニティ等
Step4:推奨資格を取得
必須ではないが、未経験者には「学習意欲の証明」として有効:
- キャリアコンサルタント(国家資格):HRBP志望者に最適
- 社会保険労務士:労務志望者に強力
- 人事総務検定/衛生管理者:労務基礎を証明
- メンタルヘルス・マネジメント検定:HRBP補助に有効
Step5:転職活動の準備
- 職務経歴書に「人事に関わった経験」を具体的に書く(副業・社内活動含む)
- ベンチャー特化と人事特化、両方のエージェント登録
- YOUTRUST・LinkedIn等でカジュアル面談を10〜20件
- 志望理由・キャリアビジョンの言語化
職務経歴書の書き方はベンチャー転職の職務経歴書完全ガイドを参考に。エージェント選びは転職エージェントの選び方ガイドで詳述。
キャリアパス|人事の次の選択肢
1. CHRO・人事部長路線
HRBP→シニアHRBP→人事マネージャー→人事部長→CHROへ。年収1,500〜3,000万円。CHRO転職ガイドで詳述している通り、CXOの中で最も「組織カルチャー」に直結するポジション。
2. 採用責任者(VP of Talent)路線
採用担当→採用マネージャー→VP of Talent / Head of Recruitingへ。年収1,000〜2,000万円。スタートアップではCEO直下のキーポジションになるケースも。
3. 組織開発・コンサルタント路線
事業会社で組織開発を経験→組織開発コンサル・複業フリーランス・独立コーチへ。年収700〜2,000万円(独立後はばらつき大)。
4. 起業・独立路線
HR Tech・採用コンサル・組織コンサル会社の起業。私の知人で人事出身の起業家は多く、HRTechスタートアップ・採用代行・組織コンサルなど多様な道があります。
5. CXO・経営者路線
CHROからCOO・CEOへキャリアアップするケースも増加中。組織・人事の知見は事業経営の中核スキル。CXO転職ガイドも併読推奨。
年代別アドバイス
20代
未経験参入に最も有利。採用担当・労務担当のジュニアポジションで入り、3〜5年で年収700〜900万円が現実的。20代のベンチャー転職ガイドもご参照。
30代
キャリアの幅が広がる時期。HRBP・人事マネージャーへのステップアップが現実的。30代のベンチャー転職ガイド参照。
40代
未経験参入はやや厳しいが、隣接職種(営業・経営企画)からの経験者枠なら可能。シニアHRBP・人事マネージャー・CHRO候補として年収1,000〜1,800万円。40代のベンチャー転職ガイド参照。
50代
大企業出身者なら「組織カルチャー設計」「人材育成」での豊富な経験を活かしてCHRO・社外取締役・アドバイザーへ。45歳以上のベンチャー転職ガイド参照。
人事職に向いている人・向いていない人
向いている人
- 人の話を「聞く」のが得意
- 1対1のコミュニケーションに喜びを感じる
- 事業と人の両方に興味がある
- 「組織」「文化」「成長」というテーマに関心が強い
- 長期視点で人を見られる
- 地味な業務を着実に遂行できる
向いていない人
- 短期成果を求めるタイプ
- 「自分が前に出る」志向が強い
- 数字成果が見えないと不安になる
- 感情労働が苦手
- 機密情報を扱うストレスが大きい
- 意思決定の責任を取りたくない
失敗パターン3選
失敗1:「人事=楽そう」と思って入る
人事は実は最も感情労働が多い職種。社員の解雇・降格・労務トラブル対応など、メンタル消耗の大きい業務が多い。「人の温もりが好き」だけでは続きません。
失敗2:採用担当のままキャリアが停滞
採用担当で5〜10年同じ業務を続けると、HRBP・人事マネージャーへのステップアップが難しくなる。3〜5年経ったら次のチャレンジ(HRBP・組織開発・採用責任者)に動くべき。
失敗3:転職先の「人事の権限」を確認しない
「人事に来たけど、結局CEOがすべて決める」「人事制度を変えたくても予算がない」というケース。入社前に「人事の意思決定権限・予算規模」を確認することが必須。
成功事例3選
成功事例1:営業6年→シリーズC SaaS HRBP(30歳)
大手商社営業出身、人事未経験。副業で2社のスタートアップ採用支援を1年実施した後、シリーズC SaaS企業のHRBPに転職。年収750万円→850万円+0.5%SO。事業現場理解と人事知見の両立で評価され、2年でシニアHRBPに昇進。
成功事例2:労務担当→シリーズD スタートアップ人事マネージャー(35歳)
大手メーカー労務担当10年。社労士資格保有。シリーズDの上場準備中スタートアップで人事マネージャーに就任。年収700万円→1,050万円+1%SO。上場準備での労務リスク管理を主導、上場後はCHRO候補に。
成功事例3:人事コンサル→自社サービスCHRO(42歳)
人事コンサル12年。シリーズC AIスタートアップのCHROにヘッドハンティングで参画。年収1,400万円→1,800万円+2%SO。組織設計・評価制度・採用戦略を全面再設計、1年で離職率を半減。CHRO転職ガイドに近いケース。
FAQ|人事転職のよくある質問
Q1. 未経験から人事になれる年齢の限界は?
採用担当なら30歳前後、HRBPなら35歳前後が現実的な未経験参入ライン。それ以降は隣接職種からの経験者枠で攻めるのが王道。
Q2. 文系・理系で差はある?
差は基本ない。ただしピープルアナリティクス・人事DX領域では理系・データサイエンス系の知見が強み。
Q3. 大手企業とベンチャー、どっちで経験を積むべき?
キャリアの目的次第。「制度の完成度」「専門性の深化」を求めるなら大手、「裁量と幅広い経験」を求めるならベンチャー。ベンチャー転職完全ガイド参照。
Q4. 副業で人事を経験するのに最適な方法は?
YOUTRUST・SOKUDAN・カオナビ・HRMOS等の「スタートアップ採用業務委託マッチングサービス」を利用。週5〜10時間で複数社経験を積める。
Q5. 人事の仕事はAIで自動化されない?
定型業務(書類整理・スカウト送信)は自動化が進むが、「事業と人を繋ぐ判断」「組織文化形成」「キャリア面談」など人にしかできない領域はむしろ重要性が増します。
Q6. CHROまで何年かかる?
人事キャリアの中で最も時間がかかるポジション。早くて15年、平均20〜25年。ただしスタートアップではCHRO候補として30代後半で就任するケースも増加中。
Q7. 人事評価制度を学ぶおすすめの方法は?
評価制度設計・運用の実務経験が最強。書籍では『人事評価制度の作り方』『心理的安全性のつくりかた』。実務で2〜3社の制度を経験するのが理想。
Q8. リファラル採用・スカウト・直接応募、どれが人事キャリアに有利?
2026年現在はYOUTRUST・LinkedIn経由の直接コンタクトが最も有効。人事担当者は積極的にSNSを使うべき。
まとめ:2026年は「人と組織を動かせる人」が最強
2026年現在、人事は「コスト部門」から「事業を伸ばす経営機能」へと完全に位置付けが変わりました。AIの台頭、組織の流動化、エンゲージメント重視の経営——これらすべてが「人事の戦略性」を求める方向に進んでいます。
一方で、未経験から目指す方は「やみくもに学ぶ」のではなく、自分の強みと志向にあったポジション選び、副業での実務経験積み、計画的なキャリアパス設計が成功の鍵です。私が25年見てきた中で、人事キャリアで成功する方は例外なく「事業理解」と「人への深い関心」の両方を持ち続けています。
キープレイヤーズでは、人事・HR系職種の転職支援に強い実績があります。採用担当・HRBP・人事マネージャー・CHROまで、フェーズ・規模別の優良ポジションを多数保有。年収・キャリアパス・働き方を総合的にすり合わせる支援が可能です。人事への転職・キャリアアップをお考えの方は、ぜひ一度ご相談ください。