「DUO」から「ZIZAI」へ社名変更した急成長ベンチャーの成長秘訣とは

インタビュー          
       
       
     

代表取締役CEO 塚本大地

1993年生まれ、大阪出身の横浜育ち。幼少期を一瞬だけカナダで過ごし、小学校から横浜へ移住。小学生から大学までサッカーに打ち込み続けた元サッカー少年。大学在学中に部活をする傍らWebサービスを複数リリースし、大学4年次に共同代表の渡辺と株式会社DUOを設立。名古屋大学情報工学科卒業(17卒)

代表取締役COO 渡辺稜太

1992年生まれ、愛知県豊橋市出身。大学1年次より代表の塚本と仕事をする間柄になり、複数のWebサービスの構築・運用を経験する。大学3年次に株式会社DUOを塚本と共に共同創業し、同社COOに就任。得意のマネジメント力を生かし、会社運営のディレクション周りを担当。名古屋大学情報工学科卒業(17卒)

株式会社ZIZAI(旧:株式会社DUO)

バーチャルYouTuber事業とアミューズメント事業の2事業を展開しています。バーチャルYouTuber事業では、YouTubeチャンネル「ミライアカリ・プロジェクト」・バーチャルライブ配信アプリIRIAM・バーチャルYouTuberの事務所ENTUM。

アミューズメント事業は、スロパチステーションYouTubeチャンネル・スマホアプリ・Webサイトなどの運営を行っています。

こんにちは、ベンチャー・スタートアップへの転職のサポートをしているキープレイヤーズの高野です。

若手の起業家に多数お会いしていますが、私が注目している企業の1つが「DUO」です。

以前、取材させていただいたときも、創業メンバーの塚本さんと渡辺さんから成功する起業家特有のものすごいエネルギーを感じました。

「DUO」は、2019年4月1日に社名を「ZIZAI(ジザイ)」へと変更されました。

社名だけでなくミッション・ビジョンも含め、コーポレートアイデンティティを刷新した経緯、そして今後の展望についてお聞きしました。

代表取締役2人体制で塚本さんと渡辺さんは名古屋大学在学中に「DUO」を起業されています。

会社を経営しながら大学も卒業され、アミューズメント事業やVR事業など複数の事業を展開しています。

急成長ベンチャーはいくつかありますが、その中でも数か月の間に驚くほど成長しているベンチャーの1つです。

前回の取材時とは違う視点からお話しいただいたので、ぜひお読みください。

取材にはCEOの塚本さんとCOOの渡辺さんにご協力いただきました。

 

株式会社ZIZAI 代表取締役CEO 塚本大地氏(手前)と代表取締役COO 渡辺稜太氏(奥)

本当の意味での「経営者」はまだ遠い存在

高野お会いしたのは約半年前ですよね。あれから、また組織や事業が成長していると伺いました。なにか変化はありましたか。

 

塚本:サービス面ではIRIAM(イリアム)というバーチャルライブ配信事業をローンチしています。

ローンチして半年ほどたった今、事業として形になってきました。ただ、理想のプロダクトと比較すると、まだ数%程度しか達成できていません。

組織としては、ここ半年で、約30人ほど増えました。30人増えると、会社としてできることの幅も広がりました。

ただ一方で、半年前には出てこなかった課題も多数出てきました。数か月で大きな変化をしているのだなと改めて感じています。

 

高野30人程度増えた方々というのはどういった職種の方々なのでしょうか。

 

塚本:幅広く採用しています。

例えば管理部門ですが、7人採用しました。人事、経理、労務、総務というバックオフィスの体制を整えて、会社をさらに成長させていこうと思っています。

また、事業面に関しても、IRIAM事業部ではやりたいことが全然できていないので、プロデューサー、プランナー、エンジニアとあらゆる職種の人も採用してきました。

 

高野私も紹介させていただきましたが、有名企業の方が集まっていますよね。

 

塚本:大手ITベンチャーや大手ソーシャルゲーム会社、大手人材会社からも来ています。4月からは新卒も5人入ります。

 

高野社内の仕組みや体制が整ってきましたか。

 

塚本:仕組みや体制は、十分に整っているとは言えない状況で、急ピッチで組織として整備しています。

これまでの3年間は、勢いで突っ走ってきて事業を成長させることのみに全リソースを割いてきました。

現在は、売上も利益も徐々に大きくなり、組織規模が100人を超え、会社が組織として成長していく必要のあるフェーズになりました。

この組織が10倍、20倍となっていくための体制作りの足固めをしています。

特に、この半年で組織体制の整備に目が向いてきました。

管理部門を含めた組織体制を整えることで、事業の成長にコミットしやすい状況が作られていくものだと考えています。

会社の組織体制や管理体制を強くすることは、制度を固くしていくとか、ベンチャー精神を忘れるとかではなく、会社を成長させるために”大人の力”や組織の力、仕組み化の力を利用していく必要があると考えています。

現在は、僕が1起業家、1事業部長レベルの存在にとどまってしまっていますが、これからは「経営者」となって会社を成長させていかなければと思っています。

僕がもっと大人になることで組織が成長していくという意識があります。まだまだ経営者と呼ぶにはほど遠いなと。

 

高野まだ経営者になりきれていないというのはどういったところでしょうか。

 

塚本:僕自身の能力の低さが、会社の成長のボトルネックになってしまっていることを常に感じています。

よりレベルの高い経営者であれば、もっとプロダクトの質も良くなるし、売上も上がるのでは、と日々自問自答し悔しさでいっぱいです。

会社の成長は経営者の器に依存していることを強く感じます。会社をさらに成長させるための経営者にまだまだなれていません。

多種多様な事業に挑戦している

高野現在の事業をご説明いただけますか。

 

渡辺:創業時から展開している事業はアミューズメント事業です。

アミューズメント領域のメディアを展開していて、YouTube、Webサイト、アプリを運営しております。

YouTubeチャンネルは登録者数87万人と業界No1です。

アミューズメント事業でしっかりと売上利益を作れているので、他の事業にどんどん投資をしています。

他には、ミライアカリをはじめとしたVTuberに関するIP事業部があります。1年半前に発足した事業部で、VTuberのプロデュース、クリエイター事務所「ENTUM」の運営をしています。

事業も成長して人も集まってきましたが、まだまだやれることも多く、これからの事業だと思っているので、さらなる成長を遂げるために事業計画や組織面の練り直しをしているところです。

新しい事業では、先ほど塚本が述べたように、IRIAM(イリアム)が10月にローンチして、形になってきています。

IRIAM(イリアム)はバーチャルキャラ×ライブ配信のプラットフォームで、誰にも正解がわからない未知の領域です。

優秀なメンバーも集まり、チーム力も高く、これからどのように戦っていくかをメンバーの皆で日々ブラッシュアップしてアップデートしている最中です。

 

高野塚本さんと渡辺さんの役割はどのように分かれているのでしょうか。

 

渡辺:創業時からはっきりしていて、塚本は攻めの人材で、サッカーで例えるならペナルティエリア(相手ゴールの目の前)にずっと待機しているようなタイプです(笑)

一方で、僕は守備よりなミッドフィルダーみたいな感じです。

塚本は僕が見てきた同年代の中でも、”点を取る力”が非常に優れています。事業を作るときのキーマンを説得したり引き込んだりと、サッカーでいうゴールみたいな、流れを変える力を持っています。

また、事業選定能力もすごく高いと思います。

そして、事業を推し進める力もトップクラスだと思っており、創業時から今に至るまでリスペクトを持ち続け、一緒にやっています。

塚本が大きな案件を持ってきたり方向性を示してくれて、そこに向けて必要なことで塚本ができない、もしくは、やらなくていいことをどんどん僕が巻き取って仕組み化したりいろいろな形で今まで二人で会社を大きくしてきました。

新規事業に取り組むことは創業当初からの方針

高野なぜ新規事業をここまでやっていこうとしているのでしょうか。

 

塚本:会社を始めた時から、新規事業を生み出し続けていこうと思っていました。

何か特定の分野や領域で世界を変えたいという思いを持っていたわけではなく、長く続く大きな会社を作りたいと思っていました。

長く続くというのは、連続的にその時代に即した事業に取り組んでいくことが重要だと考えています。ドメインに拘らず新規事業に取り組んでいくことは創業当初から大事にしています。

 

高野新規事業はどういうスタイルで取り組んでいきますか。

 

塚本:僕が調べて、興味ある領域で事業を考えている状況です。

まだまだ新規事業のタネを見つけることができる体制が整っていません。

新規事業案を考えたら色々な人からフィードバックが返ってくる組織にしていきたいですし、自発的に新規事業のアイデアがメンバーから出てくる組織を目指しています。

現状の体制には危機感を強く持っています。

 

高野既存事業に忙しいからなかなか出てこないのでしょうか。

 

塚本:そういった面も否定できません。そのため、各メンバーが抱えている作業の負担を減らすべく、経理や労務、人事面のバックオフィスを整えて、既存事業を大きくすることや新規事業を作る時間的余裕や精神的余裕を生んでいこうとしています。

直近でジョインしたメンバーのおかげもあり、管理体制が強化されつつあるので、新規事業にベクトルがより向かっていくと思います。

立場、身分に関係なくチャンスを与える

高野新しく入ってきた方にもとてもチャンスを与えていますよね。

 

塚本:チャンスを与えすぎというくらい与えていますね。

自分で何かをやってやるという気持ちがある人ではないとついていけないと思います。なんでもやりたいことができる環境があり、資本も投下しています。

自由があるからこそ、同時に責任も伴ってきます。自由であり、裁量があるからこそ責任が伴っていることを忘れないでほしいとメンバーには伝えています。

 

高野やりたいことがあれば、どんなことでもできる環境なのですね。

 

塚本:新規事業に限らず、例えばIRIAM(イリアム)の新機能の追加にしても、僕からはあまり口出しはしていません。現場の部長が判断を下してフィードバックを行い、事業を進める体制にしています。

部長に一任しています。その代わり、部長クラスになる人はレベルが高い人ばかりです。部長クラスになると、信頼して完全に任せることができます。しっかりと信頼関係を築いた人間力のあるメンバーにはどんどん仕事を任していく環境です。

成長し続けるための社名変更

高野半年間でどういった変化があったのかわかりました。ではこの度の社名変更の経緯についてお聞かせください。

 

渡辺:会社を始めたときは、二人で始めたということで「2人で」という意味を込めてふわっとした気持ちで「DUO」という社名にしました。

ミッション・バリューは一応存在はしましたが、しっかり運用などはできていませんでした。会

社が大きくなるにつれて、ミッション・バリューなど含め、会社に強い意思がないと、これ以上会社として成長できないと感じました。

そして、ミッション・バリューを考えようと思ったときに、一番外部にも内部にも触れる社名も変えたほうがいいなと感じ、会社名も含めコーポレートアイデンティティを一新することを二人で決めました。

 

塚本:僕たちの中で会社を一生かけてやっていこうという思いが決まったことの現れだと思います。

社会の器として、なぜこの会社が存在しているのかを、自分自身、会社のメンバー、ユーザーや市場に対して納得いく形で発信していかなければならないと考え、改めてどういう存在でありたいかから逆算して社名をつけることにしました。

高野どういう形で社名を変更したのでしょうか。

 

渡辺:僕たちだけで勝手に決めてトップダウンで落としていくのではいけないと思っていたので、昔からいる社員や僕らをよく知っている外部の方々にヒアリングをして、DUOはこういうイメージだよね、そしてこういうところを目指していかないといけないよね、という要素を一つずつ拾っていきました。

結果として、ブランディングパートナーとも話して出てきた数ある案の中から選んだのが「ZIZAI」でした。

 

高野ZIZAIという名前にしたのはどういった理由からですか。

 

渡辺:塚本が先ほど述べたように、僕らの会社は「事業を特定の領域で展開していく会社」ではなく、「時代に即した事業を展開して、長期的に成長しつづける会社」にしたいという思いがありました。

具体的には、サイバーエージェントさん、DMMさん、DeNAさんなど、1つの領域ではなく複数ドメインで多展開している会社のイメージです。この方向性のもとで、社名案を複数出してもらったので、正直どれになっても納得感はありました。

その中でも「ZIZAI」を選んだ理由は、「変幻自在」「自由自在」という言葉からとった「ZIZAI」という響きがとてもしっくり来たからです。

組織面でも事業面でも時代の流れに沿って「変幻自在」、「自由自在」に形を変えながら成長し続ける会社であり続けるというメッセージも込めてできた社名ですが、自分たちの目指す会社を表現できているとてもいい社名だと感じ、「ZIZAI」という会社名にしました。

 

高野「ZIZAI」として次はどういったことにチャレンジしていくのでしょうか。

 

渡辺:繰り返しになりますが、時代に即して事業を作っていきたいので、まさに「ジザイ」にやっていきたいです。常に新しいことに取り組んでいかないといけないと思っています。

だから、何かやりたい人がいたら、すぐにその環境を与えるようにしています。

事業成功のカギを握るのは「人」

高野やりたい人にはどんどんリソースを投下していくのでしょうか。

 

渡辺:スタートアップの中では、リソースをどんどん新規事業に投下していると思います。

例えば、直近では新しいIP事業を作りたい人に数千万円の事業資金を投資して、半年かけてプロダクトが完成したこともあります。

また、大学生のインターンでやりたい事業があるというので1000万円ほど予算を割いています。

彼自身が東大や慶應、早稲田、一橋の学生インターンを集めてきて事業を作っています。事業としては正直まだまだですが、チャレンジしたい人には立場関係なく任せていきます。

 

高野ここまで急成長した理由はどういったところにあると考えていますか。

 

本:アミューズメント事業に関しては、マーケットがよかったですね。あとは運ですね。VTuber事業についてはまだまだ当たっているとはいえない。

あとは人ですね。新しいプロダクトが上手くいくのも、センスのある人がきちんと市場選定をして、市場の中でどういったプロダクトを作っていくかがカギになってきます。

「ZIZAI」に興味を抱いた方へ

高野会社としても急成長しているので、採用拡大予定だと思いますが、会社に興味を持った方に伝えたいメッセージはありませんか。

 

塚本:やれることの幅が広い、つまり裁量はあります。ただし、裁量と責任はセットだということは認識していただきたいです。

大手企業に比べて十分な研修制度があるわけではないので、何もない環境で泥臭く事業作りをしていきたい、楽しんでいきたいという人に来ていただきたいです。

同じ規模や年代の会社と比べても、チャレンジ出来ることの幅は広いと思います。

 

渡辺:塚本に付け加えると、1人が会社に与える影響が大きく、1人の力でも会社が大きく動く環境があります。自分の力を試してみたい人にぜひ来ていただきたいです。

 

高野ありがとうございました。

高野秀敏からの取材後コメント

名古屋大学出身のお二人が起業したDUO改めZIZAIですが、代表の2人が非常に仲が良くて、すごくパワーがある会社なんですよね。

塚本さんはビジネス界の明石家さんまさんかと思うくらい明るく、話が面白く、突き抜けていますね。渡辺さんはそれに対して、冷静に物事を捉えていると感じていまして、二人のバランスが絶妙に良いと思います。

スタートアップ全体の中でもここまで伸びている会社はなかなかないです。

以前、私がご紹介させていただいた方は、コンサルティングファームからの転職でした。お仕事を任されてのびのびとご活躍されているとご本人から伺いました。

また、近年のスタートアップとは異なり、調達をほぼせずに足元で収益を大きくあげて事業を増やしているので、堅実な会社だと思いますね。まず資金を集めようという若手起業家が増えていると感じます。

ただし、資金集めは起業の目的ではないはずで、このように最初から売り上げが立つ事業をやることができるのはすごいことですね。学びも大きいと感じます。

このようなタイミングのZIZAIにジョインすることは、エキサイティングで良い経験になりおススメできます!!

執筆者:高野 秀敏

東北大→インテリジェンス出身、キープレイヤーズ代表。11,000人以上のキャリア面談、4,000人以上の経営者と採用相談にのる。55社以上の投資、5社上場経験あり、2社役員で上場、クラウドワークス、メドレー。149社上場支援実績あり。55社以上の社外役員・アドバイザー・エンジェル投資を国内・シリコンバレー・バングラデシュで実行。キャリアや起業、スタートアップ関連の講演回数100回以上。
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