ママとして働くということは、言葉にする以上に大変なことだと思います。私は気にしていなかったのですが、子供の体調が急変するなど家庭の都合で早退が続くと、どうしても後ろめたさを感じてしまうのだろうな、と思う場面は前職でもありました。また、その後ろめたさから、子供や家族に対してきつく当たってしまって、自己嫌悪してしまったり…… 悩みは尽きないですよね。10000名以上の個人のキャリアカウンセリングを行ってきたので、復職希望のママさんからご相談をいただくことも多々ありました。その度に、ママとして働くことのお悩みを、求職者の方と一緒に考えてきたつもりです。
今回は、復職するママの概況を見た上で、ママとしてベンチャー企業に転職する際に知っておいてほしいベンチャー企業の動向を記載しました。少しでも参考になりましたら幸いです。
目次
復職するママは年々増えている
厚生労働省の調査では、日本の女性の復職率は92.8%だそうです。これを聞いて、「意外と多いな」と感じた方もいらっしゃるのではないでしょうか。一般に復職率と言われている数値は、「育児休業復職率」であり、出産後も働いている人の割合ではありません。育児休業をとった社員が職場に復帰する率ですので、ほぼ100%近くなるのは当然ですよね。
では、出産後も働いている人の割合はどれくらいなのでしょうか。
(出典:国立社会保障・人口問題研究所『第15回出生動向基本調査』)
就業継続率が高くなっており、53.1%の方が出産後も就業を継続しているそうです。働き方改革などもあり、上昇傾向にあるので、今はもう少し増えているのでしょうか。社会保障や旦那さまの収入だけを頼りにするのは不安だという方も増加しているのだと思います。
子供ができることで将来計画も見直す機会になると思うので、復職する環境については改めて考えてみましょう。
子育てのフェーズ別にかかる費用を知ろう
環境を考える上で、避けては通れないのがお金の問題でしょう。
- 3歳までの未就学児 : ¥843,225
- 6歳までの未就学児 : ¥1,216,547
- 小学生 : ¥1,153,541
- 中学生 : ¥1,555,567
- 高校生 : ¥1,703,861
- 大学生 : ¥2,601,282
(内閣府『インターネットによる子育て費用に関する調査』
文部科学省『平成28年度子供の学習費調査』のデータを元に作成)
上記が1年あたりの子育て費用だそうです。公立・私立の平均値を取っているため、公立の人はこれよりも少し低額、私立の人はこれよりも少し高額だと思ってください。
年齢が高くなるほど、お金がかかることが分かります。、
①小学校までの比較的お金が掛からない期間に貯める
②将来的に価値が上がりそうなスキルを身につける
同時に上記2点が重要だと考えられますね。
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では、どんな環境を選ぶべきか、みていきましょう。
サポートを受けて負担をできる限り小さくしたいママは大手に
やはり福利厚生などのサポートが手厚いのは大手企業だと言えます。子育てに対しての理解があるイメージもあり、精神的にも落ち着けるという人も多いのではないでしょうか。まだ小さい子供がいるうちは、大変なことも多いでしょうから、そういったタイミングで手厚いサポートを受けられることは大きな魅力だと言えます。
また、大企業は長く働いてくれることを期待して、こうした制度を整えていることもあるので、長年所属していることが仕事において大切だったりします。逆に言うと、新卒から離れた年齢になって、1からその企業に自分を適応させていくのは簡単ではありません。事実、出産を機に大手企業に転職したが、仕事の仕方に適応できず、結局元の企業に戻ったというケースも耳にします。
とはいえ、制度面でのサポートが手厚いのは子育てにおいては、非常に心強いと思います。人気な分、競争率も高いですが、出産期間に英語を勉強するなど、大手企業で求められるスキルを習得しておけるといいですね。
将来に備えて価値を高めておきたいママはベンチャーのCSに
ベンチャー企業と聞くと激しいイメージがある方もいるようですが、役割やフェーズによっては必ずしもそうではありませんし、時短勤務など働き方も多様化しているので、選択肢に入れた方がいいと思います。なかでも、CS(カスタマーサクセス)の仕事は視野に入れるといいのではないかと思います。近年、サブスクリプション(定期購入)形式で売上を立てるサービスも増えているのはみなさん実感あると思います。定期購入ということは、新規獲得ももちろん大切ですが、継続率の重要性がそれ以上に高まっているわけです。そこで、CS(カスタマーサクセス)という職種を取り入れる企業が増えているわけです。
実はCSは女性が多数活躍している職種でもあります。
例えば、美容ドリンクのBELTAを販売するビーボでは、多数のママ社員が顧客の「キレイになりたい、痩せたい」という目標を達成するためのサポートに取り組んでいます。どんなに良い製品を使っていても、その他の生活習慣に問題があれば、目的を達成できず、効果がない商品と思われてしまいます。そのため、ドリンクの販売ではなく、顧客の目標達成に向けたサポートに注力することで、消費者の満足度を高める取り組みをしているわけです。
仕組みとしては、「結果にコミットする」で有名なRIZAPと同様ですね。ジムを利用すること自体ではなく、ジムを利用することで理想の自分になる徹底的なサポートをするからこそ、単価をあげるなり、継続率を伸ばすなり、LTV(顧客生涯価値)を高める取り組みができるわけです。
何よりも、こうした経験を通して、自身のスキルを高められることが魅力だと思います。現在、CSの採用を強化している企業は増えており、今後も増えていく見込みです。一方で、最近注目されて始めた職種でもあるため、経験者の数はさほど多くありません。CSの経験を活かして、マネジャーとして出世する、広報やマーケティングに幅を広げていく、といったこともぜひ選択肢の1つに入れてもらえるといいのではないかと思います。
「ベンチャー=労働時間が長い」ではなくなってきた!?
ベンチャーの環境も年々変わっており、時短勤務である必要も必ずしもなくなってきています。
例えば、マナラ化粧品で有名なランクアップは、代表の岩崎裕美子さんの著書にもあるように、社員のほとんどが17時に退社するようです。この取り組みは、アフター5を充実させることで、女性がより一層輝くための商品やサービスのアイディアを日常の生活から得てもらうために取り組んでいるそうです。社員が顧客ターゲット層であるからこそ得られるアイディアや事業への情熱もありますよね。
目の前のものを換金できるサービスCASHになったBANKの光本勇介さんも著書の『実験思考』の中で、マスの感覚を失わないように意識して生活している、というようなことを仰っていました。私自身、たくさんの経営者と接してきて、当事者としての情熱を持っていることは、広く使われるサービスになるために重要な要素の1つだと感じています。
少し話がそれてしまいましたが、ベンチャー企業だから労働時間が長くて疲弊するような生活になる、というのは過去のものとなりつつあるのかもしれません。
最後に
以上、ママとして転職する上で考えておいてほしいことと、ママに関連するベンチャー企業の動向をお伝えしました。