こんにちは、ベンチャー・スタートアップへの転職のサポートをしているキープレイヤーズの高野です。
今回は、2020年3月9日に総額約11億円の大型資金調達をされたAIQさんに取材をさせていただきました。AIQさんは高い技術力を誇り、プロファイリング(※)AIを用いてマーケットインサイトを分析、企業のマーケティング課題を解決する企業です。(※プロファイリング:顧客の行動・購買履歴などを分析し、傾向や特性を割り出すこと)
個人の時代とも言われ、発信する人がどんどん増えていますよね。このユーザーが生成するコンテンツ(※UGC)を元に、AIQさんのプロファイリング技術を用いると、UGCより適切な情報に(※UGC:User Generated Contentsの略。企業ではないユーザーが生成したコンテンツのこと)
今回は代表取締役の高松睦さんに、AIQ創業までの経歴・経緯、事業内容と強み、今後の展望と採用したい人材像について、お伺いしてきました!なお、今回の取材はZoomにて、遠隔で行いました。
スタートアップに関わる方、興味のある方は必見の内容となっておりますので、ぜひご覧ください!
目次
代表取締役 高松 睦さんの経歴
1999年、北海道大学 工学部 応用物理学科卒業後、IT企業でのコンシューマーゲーム開発や起業を経験。ネオス株式会社では先端技術開発責任者として大手通信キャリア向けの携帯電話用エンジン開発等に従事。2017年7月、AIQを設立。代表取締役に就任。
AIQ株式会社
人工知能を活用し、消費者インサイトの可視化することにより、個を大切にした企業と個人の繋がりを創出する企業。新しい体験を提供するインサイトマーケティング支援サービスを提供している。
創業までの高松さんのキャリア
高野:まず、AIQ創業に至るまでの経緯を教えて下さい!
高松:はい、大学から説明しますと、私は北海道大学 工学部 応用物理学科の出身です。応用物理学科からITの領域に進む人は決して多いとは言えないのですが、在学中にコンピュータを使ったアルバイトをしていたこともあり、就職する際はIT業界を志望していました。
新卒でIT企業に入社しゲームやシステムの開発を、次に転職したIT企業では主にコンシューマーゲームの開発をしていました。
高野:なるほど、大学の専攻とは違う領域に進まれたんですね。
また、前職もIT業界ではありますが、今の事業領域とは必ずしも近くないような気がします。どのようにして今の事業に行き着いたのでしょうか?
高松:起業前に所属していたネオス株式会社で、大手通信キャリア向けに技術開発サービスを提供していたときに考えたことが、今の事業を考えるきっかけになりました。当時、担当していた開発プロジェクトでディープラーニングを扱い、その可能性に衝撃を受けたんですね。
ソフトウェアプログラミングは、プログラマが想定した範囲内でしか稼働しません。それに対して、AIは想定を超える力があります。
人が組んだプログラムが基点になることに違いはないのですが、自分の想定を超えるものを生み出すその可能性には惹かれるものがありました。
実は、私はその前にもゲーム会社を立ち上げた経験があったのですが、やむを得ない理由で撤退していました。しかし、機械学習の未知の可能性に出会い、今後の人生を考えたときにもう一度自分の事業を立ち上げたいと思い立ちました。
当時、私は札幌支社で先端技術開発責任者を務めていたのですが、信頼するパートナーが必要だと思い、東京本社で常務取締役で事業を担当していた渡辺と共同創業しました。
AIQの事業
プロファイリングAI「LiveReal」で個々人に最適化したマーケティングを
高野:現在の事業について、教えていただいてもよろしいでしょうか?
高松:はい。私たちは、SNS上の写真や動画、テキストなどの情報をAIで分析し、より個人個人に合ったマーケティングができるサービスを提供しています。
消費者の過去の行動から、傾向や特性を割り出すことをプロファイリングと言います。私たちはプロファイリングAI「LiveReal(リブリール)」で特許を取得していまして、SNSの投稿データ、いわゆるUGC(※)等より得られた情報を、複合的に解析・プロファイリングすることができます。
高野:なるほど。どんな考えでこのサービスに行き着いたのでしょうか?
高松:まだまだ、個人に最適化されたマーケティング活動ができるという考えが根幹にあります。
Web上に様々な情報がまとめられるようになり、評判のいいレストランや場所を検索して調べられるようになりましたよね。でも、まだ自分の求めていた情報を得ることが難しい状態は残っていると感じています。
例えば、大切な食事の機会で、口コミや点数の高い店舗を必死に探して予約したのに、自分の思っていた環境と違った…想像以上に騒がしかった…という経験、多くの人があるのではないでしょうか。
点数で人気のあるお店は分かるようになったかもしれませんが、「自分に合ったお店」の情報はまだ手に入っていないということです。そこで私たちが機械学習を通じて、介在価値を発揮できるのではないかと考えました。
高野:私も実際に経験したことがありました…!
高松:そこで注目したのが、SNSです。現在は知り合いとのコミュニケーションツールにとどまらず、自分自身の趣味・嗜好を積極的に発信する人が増えています。「個人」の時代とも言われている中で、UGCを使わない手はないと考えました。
高野:私もSNSで積極的に発信しているので、それに応じて自分に合った情報が得られるようになったら嬉しいですね。
高松:そうですよね。ただ、「テキスト」「動画」「画像」それぞれを解析するツールはあっても、それらを複合的に解析できるツールがありませんでした。
そこで開発した革新的な技術が「LiveReal」です。AIが正しく活用されるためには、たくさんのデータが必要なのですが、SNSには膨大な投稿がありますよね。そのため、LiveRealでSNSの投稿データを解析、プロファイリングすることで、より個々人に合った情報を届けられるようになります。
高野:自分に合った情報を収集したい消費者と、適切な消費者に情報を配信したい広告主の双方の課題を解決できそうですね。
SNSの投稿への反応から売上予測を立てることも可能に
高野:LiveRealはプロファイリングAIエンジンとのことなのですが、どのような形で企業に提供しているのでしょうか?
高松:現在LiveRealの技術は、SNSの運用を支援するサービス「AILINK」、またそれを深堀したサービス「AISIGHT」「SOCIAL PROFILING」として提供しています。
高野:お伺いできる事例はございますか?
高松:例えば、スイーツ業界で成長中の企業様で活用していただいています。
そのお客様は、適切な情報を届けるということはもちろんですが、新商品を出すときに判断が難しい、売上予測を立てることにも成功しています。
SNSのアカウントで新しい商品を紹介すると、いいねがついたり、コメントがついたりしますよね。このデータが蓄積されて売上データと紐づけられれば、新商品がどれくらい売れそうか、というのが分かるようになります。
また、これらの情報から、自分たちの既存のファンがどんな商品を期待しているか、反対に新たなファンを獲得するためにはどんな商品を作るべきか、といったことも見えてくるので、新商品の開発に役立てることもできます。
高野:いいね数などでなんとなく予測できているつもりでも、想像以上に変数が多くて予測が立てられないという会社さんは多いです。それが算出できるようになるというのは、画期的ですね。
高松:そうですね。また、このようなデータを蓄積しようとすると、かなり多くの時間が掛かるので、先駆けてやってきてすでに多くのデータが蓄積できているのは強みの一つですね。
ご利用いただく企業様に合わせて、蓄積すべきデータや活用方法も変わってくるので、そういったアドバイス・コンサルティングをしています。
強みである技術を企業毎にカスタマイズして提供
高松:他にも、技術開発支援サービスを提供しています。技術を組み合わせることで、マーケティング支援サービスを提供していますが、それぞれの技術単体で見ても活用の場が広がっています。
例えば、商品棚のアソートメント分析がその一例です。
自動販売機における陳列商品の名前やサイズ、陳列順、価格などを、写真から判定する技術として、画像認識エンジン「eyes」が採用されています。
他にも、ファッション解析AI「COLOMO」もビジネスの場ですでに活用されています。大手のスーツ販売企業様が、ChatBotで写真を送ってもらい、スーツコーディネートを分析するというサービスを提供しているのですが、その際にCOLOMOを用いてユーザーのコーディネイト写真を分析しています。
高野:一つひとつの技術とっても、技術力が高く、ビジネスの場でも活用され始めているんですね。
AIQの今後の展望
ソリューションを通じて個人と企業の新たな関わり方を提案・構築していく
高野:今後さらに成長していく上で、強化していきたいポイントはありますか?
高松:もっと個人個人に合ったマーケティングができることを、広く認知していただけるようにしていきたいですね。
これまでアウトバウンドでの営業はせず、基本的にインバウンドでマーケティングのご相談をいただいてきたのですが、新しいマーケティング手法に興味のある、比較的リテラシーの高い企業様でも、最初は理解するのが難しい面もあるようです。
でも、正しく理解いただければ、私たちの技術を活用して力になれると思っていますし、企業様とユーザーの新しい関わり方を作るきっかけになると、これまでの実績からも感じています。
もっと実績を増やして、自分たちも活用できそうだ、と思ってもらえるようにしていけたらと思っています。そのために、ソリューション営業の採用も強化しています。
高野:AIQさんの技術をもって、お客様のマーケティング課題をヒアリングして解決していくことは、今までになかった価値が提供できそうですね。
高松:そうですね。本当にお客様のためになるマーケティング手法を開発し、世の中に広めていく、そんな仕事ができる環境にあるのではないかと思います。
ただ、今までになかった分、理解してもらうには高い営業力・提案力が必要になります。営業力・提案力に自信がある、あるいは磨いていきたい、そんな気概を持った人にぜひ応募していただきたいですね。
革新的な技術を用いてSaaS系のサービス開発をしたいエンジニアも募集中
高野:他にも採用強化している職種はありますか?
高松:エンジニアも積極的に採用していますね。基本的にSaaSのビジネスモデルなので、SaaS系のサービス開発ができるエンジニアの方が望ましいですね。
かなり革新的なサービスに触れる機会もあるので、開発者の方にとっては刺激的な環境だと思います。
誰もが個人としてサービスを利用しているので、個人と企業の関わり方を変えるAIQの仕事は、実体験を元に熱意をもって取り組めるものだと思います。
高野:新たな市場を作っており簡単な領域ではないと思いますが、共感できた方はぜひチャレンジしていただきたいですね。
本日はありがとうございました!
取材あとがき
高松さん、改めてありがとうございました。私自身、発信を継続してきたので、自分に合った情報が届けられるようになるのは素晴らしいことだと感じています。
企業も、届けるべき人材に情報を届けることができれば、収益性の改善が見込めますよね。AIQさんのような高い技術力を誇るテック系スタートアップ企業は、記事中で紹介したような事例が増えていくことで、加速度的な成長を遂げることも多いですね。
現在は、開発職もビジネス職も技術やソリューションを活用して、事例を作り上げていく段階だと感じています。先駆者であるからこそ、すでに蓄積されたデータも多いので、まさに業界を引っ張っていく存在になるのではないでしょうか。
AIQさんへの転職もキープレイヤーズでは支援しておりますので、興味のある方はぜひお問い合わせください!
キープレイヤーズでは、ベンチャー・スタートアップへの転職のサポートを実施しています。