こんにちは、ベンチャー・スタートアップへの転職のサポートをしているキープレイヤーズの高野です。
今回は、「スモールビジネスの教科書」を出版された武田所長にお話をお伺いいたしました。
対談動画も公開しておりますので、ぜひ併せてご覧くださいませ。
目次
武田所長の経歴
戦略系コンサルティングファームに入社。退職後、20以上のビジネスを展開し、それぞれ売上年間数百万円〜10億円。トレンディ・ハイリスクなベンチャービジネスではなく「安定・着実」に売上100億円程度を目指すスモールビジネスを推奨。
武田所長とは?
高野:武田所長のキャリアを簡単にお伺いできますでしょうか?
武田所長:私は、大学卒業後に戦略系コンサルティングファームに入社しました。
成長戦略やいろんなプロジェクトをやった後、独立しました。
独立後は、割と大きな不動産系ビジネスやベンチャー的なビジネスなど幅広く携わった結果
「スモールビジネスって良いよね」
という風に2. 3年前から強く思うようになりました。
その頃からTwitterを始めて、スモビジ(スモールビジネス)の発信活動を今もやっています。
今でも沢山のスモールビジネスを運用しています。
自分が結構タッチしているものもあれば、自分から手離れしていて上手くまわっているものもあるという状態です。
高野:武田所長のTwitterを見ている方も多いかと思いますが、非常に鋭い角度で、ぐいぐいと入り込んでくるので、まだ見たことが無い方は是非見てみてください。
戦略コンサルはビジネスマンとしての筋トレの場!
高野:武田所長自身は、とても有名な戦略系コンサルティングファーム出身ということですが
「戦略コンサルに行くのが良いのか?起業するのが良いのか?」
「起業するためには、コンサル出身が良いのか?」
転職エージェントをしていると、このような質問を100万回くらい聞かれます。
このことについて、武田所長はどう思われているかお伺いできますでしょうか?
武田所長:私も就職する前は、高野さんに相談されている方々と同じ悩みを持っていました。
「コンサルに行ってビジネスを学べるんですか?」
と多くの方に質問していました。
私が実際経験してみたところ、そこまで役に立ちませんでした。
戦略コンサルは、ビジネスマンとして「筋トレの場」としては良いです。
例えば、ExcelやPowerPointや振る舞い方や、ハードワークすることなどの一般的なことを学ぶ場としては良い場所でした。
しかし
「そこから独立してスモールビジネスやって儲かりますか?」
というと、非常に遠いところにあります。
その辺は期待しない方がいいと思います。
反対にスモールビジネスを直接学べるところは、ベンチャーの中で数億円の事業をまわしているところの方が良いと思います。
スモールビジネスの立場を向上させたい!
高野:こういうリアルな声が大事ですよね。
スモールビジネスという言葉自体も、今回から流行りそうな言葉だと思っています。
武田所長:今までだとベンチャービジネスに対して
「しょぼいビジネス」
という風に馬鹿にされていたかと思いますが、私としては
「馬鹿にされるようなビジネスではない」
と思っています。
立場向上を今回の活動を通じて行っていきたいと考えています。
高野:世の中のビジネスの形は、今は非常に多様化しています。
その多様化されている中、スモールビジネスの部分はなかなか語ってくれる人が今まではいなかったなと思います。
本にまとめられているタイプの属性の方が少なかったという認識です。
武田所長:発信をするインセンティブがあまりないですよね。
VCの場合は、発信して、多くの人を企業に誘因していき、自分の持ち球が増えることが良いところです。
しかし、スモールビジネスのノウハウは、発信したところで正直、全く得なことがありません。
そうすると、ただ静かに飲んでるおじさんたちという風になっていって、実際は楽しく過ごしているけど、誰も見ていない。
イーロン・マスクなどは非常に発言力が強いので、起業というとそういったスタイルが全てに見えてしまいがちです。
資金調達型のスタートアップとスモールビジネスの違いについて
高野:資金調達型のスタートアップという通常上場を目指す、売却するという会社と、スモールビジネス。
この2つについて、あまりよくわかってない方が多いかなと思います。
このあたりを簡単に補足説明して頂いてもよろしいでしょうか?
武田所長:定義上の違いと、実際にビジネスとしてどのように違うのか説明させて頂きます。
①資金調達型のスタートアップ
武田所長:資金調達する場合ですね。
まず銀行を除いた例えですが、エクイティの調達をする場合は、株式の10%や20%を2,000万円などでお買い上げ頂いて
「2,000万円が将来20億円になるので、この株式をお買い上げください。」
「絶対、急成長してお返しいたします」
というのがエクイティファイナンスです。
このためには、急成長して高値で売却する。
「M&Aで売却するのか?」
「上場して流動化させて売却するのか?」
をやらなければいけないですが、それを
「やります」
という前提で調達をします。
日本の市場だと、M&Aで非常に高い売却は珍しいです。
そのため、VCとか大きなリターンを求めているところから資金調達をすると、基本的にはIPOを目指します。
IPOして大きくなるという前提でないと、資金調達することはできません。
そうすると、資金調達をするところは、利益を出していって、例えば
「売上10億円で安定していて、社員たちは年収2,000万円」
このようなオプションは存在しません。
それよりも
「我々は大きな成長を目指していきます」
「株主さんに大きなリターンをもたらします」と
リスクを取ってでも急成長しないといけません。
「急成長しないのであれば、潰れてしまえ」というような経営になってくるので、そうすると
「失敗を恐れず突撃するのだ!」
「突撃してダメだったとしてもそれが一つの誠意だ」
というような考えには基本的にはなります。
②スモールビジネス
武田所長:一方でスモールビジネスは、成長する必要がないというのが一番のポイントです。
程よく安定する程度に、新規の開拓などをやれば良いです。
例えば、キープレイヤーズさんのお客さんも
「キープレイヤーズさんに急成長して欲しい!」
と思っていませんよね。
「急成長よりも、うちに良い人紹介してよ」
「高野さんいい仕事してよ」
ということの方がお客さんが思うことなので、キープレイヤーズが
「急成長目指します!」
と言って、2年後潰れた方がお客さんは困りますよね。
高野:あとは、サービスが劣化しても困りますよね。
武田所長:そうですね。
お客さんとしては、急成長して欲しいというよりは、良い品質で長くお仕事を一緒にさせて欲しいということを求めています。
サービスの品質を保って、自分にも社員にも高い給料を払って、安定しているというのがスモールビジネスが目指すところです。
結果として
「上場しなくても、売上200億円を目指さなくても構わない」
というのが、スモールビジネスの考えです。
高野:小企業というと何のことかわかりませんが、スタートアップとの対比での「スモールビジネス」という言葉自体を世の中的に普及させるのが良いのではないかなと、武田所長の本を読んで思いました。
この言葉をクローズアップさせた人が過去誰一人いないと思うので、ここから広がっていったら面白いなと思います。
これは分かる人にしか伝わらない話だといつも思っていました。
武田所長:起業する前からこういう世界もあるし、スタートアップの世界もあるし、スタートアップならではの熱狂感や夢を皆で見るというのは、非常に楽しいので、私も否定するわけではありません。
しかし
「全員がIPOする必要はないし、急成長を求める必要はない」
という前提で
「でも自分達はこういった理由で急成長を求めていく」
ということは、理解した上でやった方がいいかなと思います。
儲かる鉄板のスモールビジネスとは?
高野:本書の内容になってしまいますが
「儲かるスモールビジネス・鉄板のスモールビジネスとは一体何だろうか?」
というのが皆さんも気になっているかと思いますので、少し教えて頂けますでしょうか?
武田所長:一つは、セグメント特化型人材ビジネスが最強のスモールビジネスです。
これは成功例が非常に多いです。
他にもセグメント特化型コンサルや、営業代理店も多いです。
大きくなってくると光通信みたいになりますが、自分たちでプロダクトを作る必要がない場合が結構多いので
「営業代理店やればいいじゃん」
ということですね。
ソフトバンクも自社の製品はないですし、iPhoneを流通させているだけなので代理店ですよね。
代理店ビジネスというのは馬鹿にできない、スモールビジネスです。
あとは、上手くやらないと儲からなくなっていますが、メディアですね。
メディア周辺のところで、過去であればSEO系のメディア、今はインフルエンサー系の事務所に移ってきていますが、こういった広告は非常に介在しやすいです。
スモールではなくなっていますが、アナグラムさんとかもそうですよね。
ベンチャーキャピタルが注目するビジネスモデルとは?
高野:私はベンチャーキャピタルの方が大好きですが、ベンチャーキャピタルさんというのは、投資をして、投資をして下さったLPの方々にお金をお返しするというモデルです。
非常に跳ねるビジネスや、トレンドになるものに投資していくと思います。
本書にも書いてありますが、ちゃんとスモールビジネスで、営業利益を積んでいけばしっかり儲かるわけですし、別に営業利益が出ていれば売却もできるということですよね?
武田所長:そうですね。
例えば、スタートアップですと、インポッシブルミートなどの植物肉のベンチャーは凄くバリュエーションがついて、一時期はアメリカ最大のエアラインよりも大きな時価総額がついていたりしました。
将来的な期待感が凄く大きいところで、ベンチャーキャピタルとしては
「こういったビジネスにベットしていきたい」
着実に利益を生み出す不動産屋とかはベンチャーキャピタルとしては、全く魅力的ではないですよね。
利益は出ていて、社員の給料も高くてというビジネスは、ベンチャーキャピタルとしては、見る価値がないです。
しかし、経営する側としては非常にやりやすいです。
注目するビジネスモデルとしては全然違ってきますね。
スモールビジネスの考えに行き着いた理由
高野:武田所長は輝かしいキャリアで、起業したり、シリアルでいろんなサービスを作ったりしていて、凄く優秀で器用な方です。
しかし、失敗したりハードシングスになったりしたことはありましたか?
武田所長:大失敗はないですが、初めての起業のときは、作ったプロダクトが売れなくて苦労はしました。
あとは、資本政策の失敗では凄く苦労しましたが、組織が崩壊したり、誰かに裏切られたというのはないですね。
高野:初期の頃のそういう経験もあって、今の考えに至るということですね。
武田所長:そうですね。
よくベンチャー・スタートアップ的なやり方だと、数は失敗しますが、失敗の辛さはあまり語られてないですね。
ベンチャーのハードシングスで語られているものは、結果的に上手くいったからドラマチックで済みますが、ほとんどの場合はただ辛いだけです。
株主がからも怒られて、社員からも怒られて、経営陣はいがみ合って自分は辛くて、良いことはなくて、ただただ辛いだけです。
一年で逃げられたら良いですが、場合によっては七年間辛いですよね。
「辛くてもいいから私はやるんだ」
というヒロイズムが人間にはありますが、ただ辛いだけです。
当然発信もされないので、その辛さは伝わりづらいです。
こういった背景もあって、私は安定着実な成功をコンセプトとしています。
武田所長が、キープレイヤーズ高野へ逆インタビュー!
高野:今度は武田所長からの提案で、私に逆に質問して頂けるということなので、質問をお願い致します。
武田所長:高野さんは今も基本的にスタートアップのハイレイヤー、CxOなどの人材ビジネスに特化されているのでしょうか?
高野:キープレイヤーズ自体は、スタートアップ・ベンチャーに紹介する専門エージェントです。
実はハイクラスだけやっているわけではありません。
第二新卒の方、ミドル、ハイレイヤーもやっていますし、職種も問わずやっています。
武田所長:スタートアップに特化したからこそ、提供できているようなサービスって、スタートアップに行きたい人たちが高野さんのところに相談するということなんでしょうか?
高野:そうですね。
結果として、スモールビジネスのような会社、オーナー経営でイグジットは目指していない会社さんに行かれる方ももちろんいます。
上場ベンチャーくらいのところに行く方もいますが、広義でスタートアップ・ベンチャーに行く人。
日本だと、まだまだ限られていますので、そういう限られている方々に特化しています。
武田所長:今後例えば、アクセンチュアさんが高野さんのところに来て
「うちもスタートアップに行く人採りたいんですよね」
と言われた場合は、どう対応されるのでしょうか?
高野:大手企業さんが、スタートアップやDXの人を欲しいというのは、ニーズとしてありますので、お答えしようとはしますね。
コンサルティングも、ただコンサル専門でやっても専門会社があります。
それだと差別化にはなりませんが、コンサルのベンチャーのような会社が今多いので、そういう点で言うと
「コンサルティング×ベンチャー」
「コンサルティング×新規事業」
という会社については、それも一つのベンチャーということで、紹介しています。
武田所長:キープレイヤーズとしての成長率目標はあるのでしょうか?
高野:良くも悪くもありません。
私も仕事を組織化していた時期もありました。
実は凄く悩んでいた時期もありましたが、結果的には今、100%グループ会社でエージェントセブンというデザイナー、エンジニアに非常に強い会社に分かれて、転職エージェント会社を作っています。
あとはそこから派生して、PayCareerという面接に行くと、3万円貰えるという「本気の採用を支援する」という求人メディアですが、そのようなメディア事業も作っています。
少し会社を分けて展開しています。
武田所長:キープレイヤーズで扱うようなスタートアップなどは、高野さんが対応されているのでしょうか?
高野:そうですね。
「いつか倒れるのではないか?」
と言われています。
後継者は必要なんだろうなとは、もちろん思っています。
そういうことも日々考えていかなければいけないです。
今もインターンの方を探していますが、私がやっていることが顧問業も30社程やっているので
「どう切り出したら良いのか?」
という風に考えています。
紹介業だけやっているから信用されているというより、顧問として関わったり、役員をやっている会社もあります。
経営者的な仕事をしているからこそ、経営者の方が信用してくれる、候補者の方も信用してくれるというのがあると思います。
これを全て引き継ぐというのは、現実的ではないと思っています。
M&A仲介なども
「なんでやってるの?」
と聞かれますが、顧問をやっていると、会社が買った方が良いという結論になるので、あとは、上場するより売却した方が良いという結論になることが多くて、頼まれてから始まったということです。
一人でやるのは難しいので、それぞれの機能ごとにできる人がもう一人ずついてくれると、私としても理想的だなと思っています。
キープレイヤーズが理想的なスモールビジネス
武田所長:キープレイヤーズが本の中でも、スモールビジネスの素晴らしい成功例として挙げています。
高野さんのスタイル自体が、私が思い描く理想的なスモールビジネスです。
セグメントに特化していて、自分のエゴでは無くてお客さんから要望があったから始めるというのも素晴らしいです。
こういう風にやっていくと、絶対失敗しないですよね。
一方で属人的というのが出てしまいますが、こういうときに
「急成長させないと!」
という目標があると、サービスの品質が下がっても良いから誰かにどんどんお願いしていくことになります。
しかし、そういうことがなく、高野さんが対応してサービス品質を保っている。
他社が同じようなことをしようとしても、撃破するのは無理ですよね。
非常に優位性が構築されていて、素晴らしいなとキープレイヤーズのファンとして思っています。
高野:自分のことを聞かれることは案外少ないので、有難い回でした。
ただひたすらやり続けているだけですが、人材系は長くやる方がいなくて、戦線離脱されていくんですよね。
スモールビジネスの教科書は私自身も非常に参考になりました。
私が思っていて言語化できていない部分が、武田所長によってまとめられているので私としては
「起業や転職、スタートアップ、そしてスモールビジネス」
どれが一番偉いとか偉くないというわけではないと思っています。
知識がないと、何が自分に合うのかわからないと思うので
「どういうものが存在しているのか?」
是非、多くの皆さんに知って頂いて、その中で自分が目指すべき山を登って頂ければなと思います。
私としても
「将来、スモールビジネスを目指す!」
というような方のキャリア支援、相談も承っておりますので、ご興味ある方はキープレイヤーズのサイトからご連絡ください。
今回は有難うございました。