こんにちは、キープレイヤーズの高野秀敏です。約25年、7,500名以上のベンチャー・スタートアップ転職を支援してきました。近年、相談が明確に増えているのが広報・PR(パブリックリレーションズ)への転職です。「マーケティングから広報にキャリアを広げたい」「PR会社から事業会社の広報に移りたい」「スタートアップの一人目広報に挑戦したい」——広報・PRは、会社の“伝える力”そのものを担う、事業に直結した仕事です。
一方で、広報は「花形に見えて実は地味で泥臭い」「未経験からは入りにくい」という声も多い職種です。本記事では、広報・PRの仕事内容、リアルな年収相場、未経験からなるための現実的なルート、スタートアップ広報のキャリアパスまで、私が現場で見てきたことを率直にお伝えします。
【この記事でわかること・要点まとめ】
- 広報・PRの仕事は「メディアリレーション/オウンド・SNS/採用広報/IR/危機管理」の5領域で捉える
- 広報・PRの年収相場【2026年最新データ】と、企業規模・業界による差
- 未経験から広報になる2つの王道ルート(PR会社経由・社内異動+隣接スキル)
- スタートアップの「一人目広報」に向いている人・向いていない人
- 広報・PRに転職する6ステップと、よくある失敗パターン
- 年代別(20代・30代・40代・50代)の広報キャリア戦略
- よくある質問(未経験でも入れる?マーケとの違いは?英語は必要?)
広報・PRの仕事は「5つの領域」で捉える
まず全体像です。「広報=プレスリリースを書く人」というイメージを持たれがちですが、実際の仕事はもっと広い。私は広報・PRの仕事を次の5領域で説明しています。
| 領域 | 主な業務 | 目的 |
|---|---|---|
| ①メディアリレーション | プレスリリース、記者との関係構築、取材対応、記者向けイベント | 第三者(メディア)を通じた信頼・認知の獲得 |
| ②オウンド・SNS広報 | オウンドメディア運営、公式SNS運用、note・ブログ発信 | 自社チャネルでの継続的な情報発信とファン形成 |
| ③採用広報 | 企業文化・社員ストーリーの発信、採用イベント、社内報 | 優秀な人材の惹きつけ(採用ブランディング) |
| ④IR・投資家対応 | 決算・資金調達の情報開示、投資家向け資料、株主対応 | 投資家・株主との信頼形成(上場・調達フェーズで重要) |
| ⑤危機管理広報(リスク広報) | 不祥事・炎上時の対応、メディア対応方針の設計 | 企業価値の毀損を最小化する“守り”の広報 |
広報の本質は、プレスリリースの配信そのものではありません。単発のリリース配信だけでは継続的な成果は出ず、オウンドメディア・SNS・メディアリレーションを組み合わせて初めて「広報サイクル」が機能します。「誰に・何のテーマで・どのタイミングで届けるか」を設計し、メディアリストを継続的に更新していく地道な積み重ねが、広報の実力です。
広報・PRの年収相場【2026年最新】
最も気になる年収です。まず一般的な統計から見ると、広報を含む「企画事務員」の平均年収は、厚生労働省の調査で従業員10人以上の企業で約444万円、1,000人以上の大企業で約486万円。求人ボックスの集計では広報の平均は約424万円、PR業界全体では約428万円と、いわゆる“事務職の平均”に近い水準です。
ただし、これはあくまで平均です。私の実感では、広報・PRの年収は企業規模・業界・そして「攻めの広報を担えるか」で大きく二極化します。実際、人材紹介大手JACの成約実績では広報職の平均は約794万円、中心層は600〜900万円、経験を積めば30代後半で1,000万円超、金融・製薬・グローバル企業の広報責任者では1,500万円以上のケースもあります。
| 段階・ポジション | 年収の目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| 未経験・アシスタント(20代) | 300〜450万円 | PR会社・事業会社の広報アシスタントから |
| 広報担当(実務3〜5年) | 450〜650万円 | メディアリレーション・リリースを一人で回せる |
| 広報マネージャー・リーダー | 650〜900万円 | 戦略設計・チームマネジメント・予算管理 |
| 広報責任者・PRマネージャー | 800〜1,200万円 | 経営と連動した広報戦略、IR・危機管理まで |
| CCO(最高コミュニケーション責任者) | 1,200〜2,000万円+SO | 経営幹部として全社のレピュテーションを統括 |
広報職は同じ肩書きでも、スタートアップと大手で200万円以上の差が出ることも珍しくありません。年収の考え方・オファー比較の全体像は転職時の年収・手取りガイドで体系的に整理していますので、条件を比べる前に一度目を通してください。広報の頂点であるCCOはCXOの一角であり、経営幹部としての報酬・ストックオプションを含めたキャリアはCXO転職ガイドが参考になります。
未経験から広報になる2つの王道ルート
「広報は未経験からは入りにくい」——これは事実です。広報の求人は即戦力を求めるものが多く、特にミドル層の完全未経験からの転職はハードルが高いのが現実です。それでも道はあります。私が見てきた成功者は、次の2ルートのどちらかを通っています。
ルート①:PR会社に入って“広報の基礎体力”を最速で付ける
最も再現性が高いのがこのルートです。PR会社では、短期間で数多くの業界・メディアとの接点を経験でき、リリース作成・メディアリレーション・イベント運営の実務が圧倒的なスピードで身に付きます。そこで2〜3年の経験を積み、「専門家」として事業会社の広報に移るのが王道です。未経験可の求人も、事業会社よりPR会社のほうが見つけやすい傾向があります。
ルート②:隣接スキルを武器に、社内異動・事業会社へ
ライティング(編集・オウンドメディア運営)、SNS運用実績、イベント企画、マーケティングの経験は、そのまま広報に転用できます。特にマーケティング出身者は「発信の設計力」があり、広報と非常に相性が良いです。マーケから広報へキャリアを広げたい方は、あわせてマーケティング職(Webマーケター)の転職・キャリア完全ガイドもご覧ください。両職種を行き来できると市場価値は一気に上がります。
スタートアップの「一人目広報」というキャリア
私が最も面白いと思っているのが、スタートアップの一人目広報です。スタートアップにおける広報の役割は、単なる情報発信ではありません。①認知獲得(自社・サービスをターゲット市場に伝える)、②信頼形成(メディア掲載・実績で第三者評価を積み上げる)、③採用支援(企業ストーリーと組織文化で人材を惹きつける)、④資金調達支援(投資家・パートナーへの信頼基盤を整える)——この4つを一人で担う、極めて経営に近い仕事です。
裁量は大きく、社長の右腕として事業そのものを動かす手応えがあります。その分、成果が数字で見えにくく、社内での期待値調整が難しいという苦労もあります。ベンチャー転職全般の面白さとリスクはベンチャー転職 完全ガイドで、後悔しないための注意点はベンチャー転職の失敗・後悔ガイドで必ず確認してください。
PR会社と事業会社広報、どちらを選ぶべきか
広報キャリアの入口でよく迷うのが「PR会社(支援側)か、事業会社の広報(インハウス)か」です。どちらが正解ということはなく、フェーズと志向で選ぶものです。私はよく次の表で整理してお伝えしています。
| 比較項目 | PR会社(支援側) | 事業会社広報(インハウス) |
|---|---|---|
| 経験の幅 | 短期間で多業界・多メディアを経験できる | 一社の事業に深く関わる |
| スキルの付き方 | 実務スキルが高速で身に付く | 事業理解・経営との距離が近い |
| 未経験の入りやすさ | 比較的入りやすい(未経験可求人が多い) | 即戦力志向で入りにくい |
| 年収の伸び | 役職・案件次第。独立の道も | 責任者・CCOで大きく伸びる |
| 向いている人 | まず基礎体力を最速で付けたい人 | 特定の事業に腰を据えたい人 |
王道は「PR会社で2〜3年 → 事業会社の広報へ専門家として移る」流れです。逆に、最初から特定の事業に強い思い入れがあるなら、成長企業の広報アシスタントから飛び込むのも十分に成立します。
広報・PRの評価指標(KPI)とリアルな1日
「広報は成果が見えにくい」と言われますが、近年はKPIの設計が進んでいます。メディア掲載数・掲載の“質”(ターゲット媒体への露出)、指名検索数やSNSのエンゲージメント、採用応募数への寄与、危機時のダメージ最小化——こうした指標を経営と握れる広報は、社内で確実に信頼されます。逆に「掲載されて満足」で止まると評価されません。広報の実力は、発信を事業インパクト(採用・売上・調達)にどう接続するかで決まります。
リアルな1日は、メディアリストの更新、記者への企画提案、リリースの執筆・校正、取材の同席、オウンドメディアやSNSの運用、社内の情報収集(次に発信できるネタ探し)……と、地道な作業の積み重ねです。華やかなイベントは全体の一部で、大半は“仕込み”の時間だと理解しておきましょう。
広報・PRのメリット・デメリット
| メリット | デメリット・注意点 |
|---|---|
| 経営・事業の中枢に近く、会社の“顔”として動ける | 成果が定量化しにくく、評価されづらい場面がある |
| 社内外の幅広い人脈・メディアネットワークが資産になる | メディア対応・イベントで時間が不規則になりがち |
| ライティング・発信力は他職種・独立でも通用する汎用スキル | 危機管理広報では強いプレッシャーと責任を負う |
| 採用広報・IRまで広げると年収レンジが大きく上がる | 未経験・ミドルからの参入ハードルが高い |
広報・PRに向いている人・向いていない人
| 向いている人 | 向いていない人 |
|---|---|
| 人と会い、関係を粘り強く築くのが好き | 一人で黙々と作業を完結させたい |
| 自社の事業・プロダクトを心から面白いと思える | 会社や商品に興味を持てない |
| 文章・企画・段取りをバランスよくこなせる | 短期の数字だけで評価されたい |
| 裏方として人を立てることに喜びを感じる | 常に自分が主役でいたい |
広報・PRに転職する6ステップ
- 領域を決める:メディアリレーション中心か、採用広報か、IRまで含むのか。志向を明確にする。
- ポートフォリオを作る:書いた記事・運用したSNS・企画したイベントの実績を可視化する。
- PR会社か事業会社かを選ぶ:基礎体力を付けるならPR会社、事業に深く関わるなら事業会社。
- 企業研究を徹底する:その会社が「今、何を、誰に伝えたいか」を言語化して面接に臨む。
- 専門エージェントを使う:広報・PRは非公開求人が多い。転職エージェントの選び方ガイドを参考に複数活用を。
- 入社後30日の発信計画を語る:即戦力性を示すため、入社後に何を仕掛けるかを具体的に提案する。
広報・PR転職で「よくある失敗パターン」
私が見てきた失敗には、いくつか典型があります。動く前に、ぜひ確認してください。
- 「華やかそう」という理由だけで志望する:実務は地道な調整とライティングの連続。イメージとのギャップで早期離職に。
- プレスリリース配信を“ゴール”にしてしまう:出すことが目的化し、掲載・成果につながらない。設計が抜けている。
- 経営と会話できない:広報は経営戦略の翻訳者。数字・事業を語れないと社内で信頼されない。
- 一人目広報で期待値を握れない:成果が見えにくい職種ほど、入社時に「何を・いつまでに」を合意しておく。失敗構造はベンチャー転職の失敗・後悔ガイドと共通します。
年代別・広報PRキャリア戦略
20代:とにかく場数を踏む
PR会社や成長企業の広報アシスタントで、リリース・メディアリレーションの数をこなしましょう。20代は「未経験可」の門が最も広い年代です。SNS運用やオウンドメディアの実績を作っておくと強い。
30代:専門性+マネジメントで市場価値を上げる
「採用広報が強い」「BtoB SaaSのPRができる」など専門性の旗を立てる時期。チームリードや戦略設計まで担えると、年収レンジが一段上がります。
40代:広報責任者・CCOを狙う
IR・危機管理・経営広報まで含めた“全社のレピュテーション管理”が担える人材は希少です。CXOの一角としてCXO転職ガイドの視点でキャリアを設計しましょう。
50代:顧問・フリーランス広報という選択
培った人脈とメディアネットワークを活かし、複数のスタートアップを支援する顧問・フリーランス広報の道が開けます。経験そのものが商品になる年代です。
よくある質問(FAQ)
Q1. 未経験でも広報になれますか?
なれますが、20代のうちにPR会社や成長企業のアシスタントから入るのが現実的です。ライティング・SNS運用・イベント企画など「広報に転用できる実績」を作っておくと、未経験でも評価されます。
Q2. マーケティングと広報は何が違いますか?
ざっくり言うと、マーケは「売る(購買につなげる)」、広報は「信頼と評判をつくる」仕事です。ただし境界は曖昧になっており、両方を担う人材の価値は高い。詳しくはマーケティング職の転職・キャリア完全ガイドをご覧ください。
Q3. 英語は必要ですか?
国内広報だけなら必須ではありませんが、グローバル企業・外資・海外投資家対応(IR)では英語力があると年収・機会が大きく広がります。
Q4. スタートアップの一人目広報は年収が下がりませんか?
目先の額面は下がることもありますが、裁量・経営経験・SO(ストックオプション)を含めた中長期リターンは大きい。判断材料は年収・手取りガイドを参照してください。
Q5. 広報のキャリア相談はどこにすればいいですか?
広報・PRは非公開求人が多く、専門エージェントの活用が有効です。使い分けは転職エージェントの選び方ガイドをご覧ください。
転職前の自己診断チェックリスト
広報・PRに一歩踏み出す前に、私がいつもお伝えする確認ポイントです。
- 「発信したい事業・プロダクト」があるか:会社を好きになれるかは広報の生命線。
- 地道な調整・ライティングを楽しめるか:華やかさの裏の泥臭さを受け入れられるか。
- 成果の見えにくさに耐えられるか:定量化しづらい仕事で、自分の価値を語れるか。
- 入社後の発信計画を描けるか:即戦力性を示す具体策を用意したか。
- 相談相手・ロールモデルはいるか:現役広報の話を聞いているか。
キープレイヤーズの広報・PR人材キャリア相談
キープレイヤーズでは、スタートアップの一人目広報から、上場企業のPR責任者・CCOポジションまで、広報・PR人材のキャリアを支援してきました。「事業の面白さを世の中に伝えたい」「会社の“顔”として経営に近い場所で働きたい」——そうした思いをお持ちの方に、25年で7,500名を伴走してきた経営者ネットワークをもとにお応えします。広報・PRの非公開求人も多数あります。次の一手を検討中の方は、ぜひキープレイヤーズまでご相談ください。
まとめ:広報・PRは「会社の物語を編集する」戦略職
2026年、広報・PRは“プレスリリースを配る事務職”ではなく、認知・信頼・採用・資金調達までを設計する戦略コミュニケーション職へと進化しました。メディアリレーションからオウンド・SNS、採用広報、IR、危機管理まで、担える領域を広げるほど年収も面白さも上がります。大切なのは「どの会社の、どんな物語を、誰に届けたいか」から逆算すること。あなたの“伝える力”を、ぜひ事業の推進力に変えてください。
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