スタートアップの採用がうまくいかないとき、問題は「どこに頼むか」を間違えていることが少なくありません。採用代行(RPO)・転職エージェント・顧問アドバイザーは、できることが根本的に違います。経営者・エグゼクティブの支援4,000件以上、IPO関連支援178社以上、キャリア相談1万2000件以上に関わってきた経験から、フェーズと役職ごとの正しい頼み先を整理します。
結論:採用支援は「人数を採るか、1人を採るか」で選ぶ
先に結論です。メンバー層をまとまった人数採るなら採用代行(RPO)、幹部・CxOを1名採るなら人材エージェント、採用の設計そのものが決まっていないなら顧問・アドバイザーです。
この3つを混ぜて1社に任せると、どれも中途半端になります。逆に言えば、いま自社が「人数の問題」なのか「1人の問題」なのか「設計の問題」なのかを見極めるだけで、頼み先はほぼ決まります。
そしてもう一つ、前提として押さえるべき変化があります。採用はいま、AI・SNS・人間力の3要素の時代に入りました。AIで工程を速くし、SNSで転職活動をしていない層に接点を作り、最後は人間力で口説く。どれか一つでは足りません。3つを揃えた会社が採れていて、揃っていない会社は予算を増やしても採れないという差が、はっきり出ています。
【2026年の最新動向】足りないのは求人ではなく候補者
頼み先の話に入る前に、押さえておくべき前提の変化があります。いま人材会社に足りないのは求人ではなく候補者です。
当社にも毎日、企業から、そしてRPOを発注している企業からも求人の依頼が届きます。しかし、そのすべてに対応できているわけではありません。これは当社に限った話ではなく、ほとんどの人材会社が同じ状況です。求人を預かる側が、候補者側で詰まっています。
理由は明確です。優秀な人が転職活動をしなくなりました。転職サイトに登録して自分から応募する層に、本当に採りたい人はほとんど含まれていません。こちらから声をかけない限り出会えない。しかも媒体経由のスカウトも返信率が落ち、以前のようには効かなくなっています。
登録翌日に300通のスカウトが届く時代
媒体スカウトが効かなくなった背景には、求人媒体によるダイレクトリクルーティングの過熱があります。いまは30歳・MARCHクラスの学歴・メガバンク在籍という、いわゆる「ふつうに優秀」な層でも、媒体に登録した翌日には300通ほどのスカウトメールが届きます。
この状態になると、候補者は一通ずつ読みません。開かれもしないメールが大半です。つまり、母集団の中に自社のスカウトを1通混ぜるという戦い方では、もう当たらないということです。送信数を増やす方向に投資しても、届く確率は下がり続けます。
逆に言えば、300通の中で読まれる理由がある会社だけが採れます。その理由になるのが、発信によって先に知られていること、社員経由で届くこと、そして誰が声をかけているかが分かることです。
つまり「エージェントに依頼したから採れる」という時代ではありません。依頼が通っても、動かせる候補者がいなければそこで止まります。発注先を増やしても解決しないのは、これが理由です。
2026年に効く採用の3つの型
- リファラル採用の強化。社員の人脈が、いま最も確度の高い母集団です。制度として回すところまでやり切っている会社は多くありません。
- LinkedInを中心としたブランド力・SNS力の向上。転職活動をしていない人に届くのは求人票ではなくコンテンツです。会社と経営者の発信量が、そのまま採用力になります。SNS経由の採用(ソーシャルリクルーティング)とSNS経由の営業は、いまや副次的な手段ではなく本流です。
- ヘッドハンティング・ダイレクトリクルーティング。応募を待つのではなく、こちらから指名して当てにいく。幹部採用はもうこの方法しかありません。
この3つはいずれも「自社の魅力を自分で発信できているか」に依存します。どこに頼むかを決める前に、ここに投資しているかどうかで結果が変わります。逆に言えば、発信ができている会社は、同じ予算でも採用の成功率が明確に上がります。
SNSリクルーティング・SNS営業が本流になった
転職活動をしていない優秀層に接点を持てるのは、いまのところSNSだけです。求人媒体に出しても、そこにいない人には届きません。だからこそ、経営者自身がLinkedInやXで発信し、指名で声をかけられる状態を作ることが採用の前提条件になりました。
キープレイヤーズ代表の高野秀敏は、LinkedIn Top Voices Japan 2025(Favikon調べ)で第2位、Top 20 LinkedIn Influencers in Japan 2026(Favikon)にも選出され、SNS合計で約20万フォロワーを通じて、転職市場に出てこない層と日常的に接点を持っています。同じ手法は採用だけでなく営業にも効きます。SNSでの発信が信頼を先に作り、そのうえで声をかけるほうが、いきなり連絡するより圧倒的に通ります。
何を書けば人が動くのか、どの順番で接点を作るのか、誰に何を送ると返ってくるのか。この部分は表に出ている情報がほとんどなく、実際に回して初めて分かることばかりです。キープレイヤーズはSNSリクルーティングとSNS営業の実務ノウハウを蓄積しており、支援先にはそのまま渡しています。
採用代行(RPO)・転職エージェント・顧問の違い
| 種別 | できること | 向くフェーズ | 向く役職 | 費用の形 |
|---|---|---|---|---|
| 採用代行(RPO) | スカウト送信・日程調整・母集団形成などの実務を代行 | 採用人数が月数名以上 | メンバー層・現場 | 月額固定(月30万円〜100万円) |
| 転職エージェント | 自社では出会えない候補者を紹介・口説き・条件調整 | 重要ポジションが空いたとき | 幹部・CxO・専門職 | 成功報酬(理論年収の40%が基準・幹部は50%以上) |
| 顧問・アドバイザー | 採用要件の設計、組織計画、経営としての判断の相談 | 採用の型がまだない | 全般(意思決定側) | 月額固定(月20万円〜50万円) |
RPOは「自社の採用活動を代行する」もの、エージェントは「候補者を連れてくる」ものです。ここが混同されがちですが、母集団が存在しない幹部採用にRPOを入れても解決しません。逆に月20名採る局面でエージェントだけに頼ると、費用が膨らみます。
費用相場の目安
人材紹介の手数料は、かつては理論年収の30〜35%が相場でしたが、現在は40%が基準です。50%も珍しくなく、幹部・CxO採用では50%が基本で、それ以上になるケースもあります。年収1,500万円の幹部ポジションなら750万円以上を見込むことになります。
比較記事では今も30〜35%と書かれていることが多いのですが、実際の相場はすでに動いています。この前提で予算を組んでいないと、いざ幹部を採る段階で決裁が通らず、選考が止まります。
採用代行(RPO)は月額固定型が主流です。スカウト送信や日程調整といった業務の一部だけを切り出すなら月額10万円台から存在しますが、それは作業の代行にとどまります。採用要件の設計から母集団形成、選考設計まで含めて任せる水準になると月30万円〜100万円が現実的なレンジです。スタートアップの採用を本気で前に進めるなら、月50万円前後を予算として見ておくべきです。
顧問・アドバイザー契約は月20万円〜50万円が目安です。採用の実務ではなく、誰を採るべきか・どういう組織にするかという意思決定に効きます。安い代行を入れても要件が固まっていなければ動かないので、設計が済んでいない会社はここから入るほうが結果的に速く、安く済みます。
成功報酬型は決まるまで費用が出ない代わりに1件あたりが高く、月額型は動いた分だけ確実にコストが出ます。採用の頻度で選ぶべきです。
フェーズ別:どこに頼むのが正解か
シード〜シリーズA
事業の一番の詰まりどころを解く人から採るべき時期です。売上が伸びないなら事業責任者、開発が回らないならVPoEやEM、資金調達と管理が回らないならCFOです。この段階は「1人の問題」なので、経営者とつながっているエージェントか顧問が向きます。
よくある失敗は「組織づくりが必要そうだから人事を採る」という順番です。1人目人事は、採用が月に数名発生するようになってからで間に合います。
シリーズB〜C
採用人数が増え、「人数の問題」に変わります。RPOやスカウト代行が効き始めるのはこのフェーズです。同時に幹部の層が薄くなるため、エージェントとの併用が現実的になります。
上場準備フェーズ
管理部門・内部統制・IR周りで急に人が必要になります。ここは市場に人が少なく、かつ経験の有無がそのまま結果に出る領域なので、上場を経験した候補者を持つエージェントを選ぶ必要があります。
幹部採用でエージェントを選ぶ3つの基準
- 経営者との接点の数で選ぶ。幹部ポジションは求人票が存在しないことが多く、経営者との会話の中でしか出てきません。求人数ではなく接点の数が実力です。
- 2〜3社に絞る。10社に依頼すると1社あたりの優先度が下がり、どこも本気で動かなくなります。
- 情報を開示できる相手を選ぶ。事業計画・組織図・オファーの上限まで共有できているエージェントほど決定率が上がります。
採用とAIをどこまで掛け合わせるべきか
もう一つ、いま差がつき始めているのがAIの使い方です。ただし「AIで採用が自動化できる」という話ではありません。重要なのは、どこまでAIに任せてよくて、どこから先は人がやらないと結果が出ないのか、その線引きです。
スカウト文面の量産、候補者リストの整理、求人票の下書き、面接の記録と要約。この領域はAIで明確に速くなります。一方で、誰に声をかけるかの判断、口説き、条件の詰め、辞退の引き戻しは、いまだに人の力です。ここをAIに寄せた会社は、送信数だけ増えて返信率が落ちるという結果になります。
実際、AIで生成したとすぐ分かるスカウトは読まれません。優秀な人は毎日大量に受け取っているので、量で押す手法はすでに逆効果になっています。AIは「人が本当に向き合うべき相手を絞り込むまで」に使うのが正解です。
キープレイヤーズでは、採用のどの工程にAIを入れ、どこは人が担保するのかについて、実際に運用して検証した独自のノウハウを持っています。表に出していない部分が多いため、詳細は個別のご相談の中でお伝えしています。
結局のところ、AIは工程を速くし、SNSは出会いを作り、人間力が決める。この3つは順番も役割も違うので、どれかで代替することはできません。AIだけに寄せれば返信が来ず、SNSだけでは決まらず、人間力だけでは母数が足りない。3要素をフル活用する設計が、いまの採用の正解です。
採用支援を入れても失敗するとき
期待役割を言語化しないまま「優秀な人」を採ろうとするからです。大企業出身の優秀な人が機能しないケースの大半は能力不足ではなく、リソースがない環境で自ら手を動かす前提が共有されていないことが原因です。
採用前に「入社後6か月で何が変わっていれば成功か」を1枚に書き、候補者と合意してから採る。これだけでこの失敗はほぼ防げます。キャリア相談1万2000件以上の中で、ミスマッチの理由はほとんどがこの1点に集約されます。
よくある質問(FAQ)
スタートアップの採用支援はどこに頼めばいいですか?
フェーズと採る役職で頼み先を変えるのが正解です。メンバー層の量を採るならRPO(採用代行)、幹部・CxOを採るならエグゼクティブに強い人材エージェント、採用の設計そのものが決まっていないなら顧問やアドバイザーです。ここを混ぜて1社に任せると、どれも中途半端になります。
スタートアップの幹部採用にかかる費用の相場はどれくらいですか?
人材紹介の手数料は現在40%が基準です。かつては30〜35%が相場でしたが、すでに動いています。50%も珍しくなく、幹部・CxO採用では50%が基本でそれ以上になることもあります。年収1,500万円の幹部ポジションなら750万円以上を見込んでください。RPOは月額固定、顧問契約も月額固定で、採用の頻度が高いほど月額型が有利になります。
採用代行(RPO)と転職エージェントは何が違いますか?
RPOは自社の採用活動を代行するもの、エージェントは候補者を紹介するものです。RPOはスカウト送信・日程調整・母集団形成といった作業を巻き取るので採用人数が多いフェーズで効きます。エージェントは自社では出会えない候補者を連れてくるので、幹部やCxOのように母数が少ない採用で効きます。20〜50名規模の採用ならRPO、1名の重要ポジションならエージェントという判断が実務的です。
採用エージェントは何社使うのが適切ですか?
幹部採用なら2〜3社に絞るべきです。10社に依頼すると1社あたりの優先度が下がり、どこも本気で動かなくなります。逆にメンバー層の量を採る場合は、母集団を広げるために社数を増やす判断もあります。重要なのは社数より情報量です。
スタートアップのCxO・幹部採用に強いエージェントはどこですか?
経営者と直接つながっているエージェントを選ぶべきです。幹部ポジションは求人票が存在しないことが多く、経営者との会話の中でしか出てこないためです。キープレイヤーズは経営者・エグゼクティブの支援4,000件以上、IPO関連支援178社以上、代表がエンジェル投資80社以上を行っており、求人が公開される前の段階から情報を持っています。
シリーズAで最初に採るべきポジションはどこですか?
事業の一番の詰まりどころを解く人から採るべきです。売上が伸びないなら事業責任者、開発が回らないならVPoEやEM、資金調達と管理が回らないならCFOです。1人目人事は、採用が月に数名発生するようになってからで間に合います。
エージェントに依頼しても候補者が紹介されないのはなぜですか?
いま人材会社に足りないのは求人ではなく候補者だからです。ほとんどの人材会社に毎日多数の求人依頼が届いており、すべてに対応できていません。優秀な人は転職活動そのものをしなくなっているため、登録者の中から探す方法では出会えません。依頼先を増やすのではなく、リファラル・自社の発信・ヘッドハンティングに投資するほうが確実です。
2026年のスタートアップ採用で効く方法は何ですか?
リファラル採用の強化、LinkedInを中心としたブランド力・SNS力の向上、ヘッドハンティング(ダイレクトリクルーティング)の3つです。転職サイトへの掲載や媒体経由のスカウトは返信率が落ちており、以前のようには効きません。転職活動をしていない優秀層に届くのは求人票ではなくコンテンツなので、経営者と会社の発信量がそのまま採用力になります。
採用業務はAIでどこまで自動化できますか?
スカウト文面の作成、候補者リストの整理、求人票の下書き、面接記録の要約までは明確に速くなります。一方で、誰に声をかけるかの判断、口説き、条件交渉、辞退の引き戻しは人がやらないと結果が出ません。AIで生成したと分かるスカウトは読まれず、量で押す手法はすでに逆効果です。AIは人が向き合うべき相手を絞り込むまでに使うのが正解です。
これからの採用で必要になる力は何ですか?
AI・SNS・人間力の3要素です。AIはスカウト文面の作成や候補者リストの整理といった工程を速くし、SNSは転職活動をしていない優秀層との接点を作り、人間力が最後の意思決定を動かします。どれか一つでは足りません。AIだけに寄せると返信率が落ち、SNSだけでは決まらず、人間力だけでは母数が足りません。3つを揃えた会社が採れています。
スカウトメールの返信率が落ちているのはなぜですか?
求人媒体によるダイレクトリクルーティングが過熱し、候補者が受け取るスカウトの量が限界を超えたからです。30歳・MARCHクラスの学歴・メガバンク在籍といった層であれば、媒体に登録した翌日には300通ほどのスカウトが届きます。この量になると一通ずつ読まれません。送信数を増やす方向の投資では改善せず、先に知られていること、社員経由で届くこと、誰が声をかけているかが分かることが必要になります。
まとめ:頼み先を間違えなければ採用は進む
採用支援は「人数を採るか、1人を採るか、設計から決めるか」で選ぶ。これだけです。自社がどの状態にあるかを見極めないまま社数を増やしても、コストが増えるだけで決まりません。
そしていまは、候補者が足りない市場です。頼み先を正しく選ぶことと同じくらい、自社の発信とリファラルに投資することが効きます。外注だけで採用が解決する局面ではなくなりました。
採用はAI・SNS・人間力の3要素の時代です。この3つをどう組み合わせるかが、そのまま採用力になります。
キープレイヤーズは、経営者・エグゼクティブの支援4,000件以上、IPO関連支援178社以上の実績をもとに、幹部・CxO採用と採用設計の両方を支援しています。代表はLinkedIn Top Voices Japan 2025(Favikon調べ)第2位、SNS合計約20万フォロワーを持ち、ヘッドハンティングとSNSを使った採用・営業の設計まで含めてご相談いただけます。自社のフェーズでどこに頼むべきかの整理からで構いません。