採用管理システム(ATS)について質問を受けることが多くなりました。
「採用管理システムを導入すべきか?」
「どれを入れるべきか?」
「使い方はどうしたら良いのか?」
顧問として経営会議などに参加する機会がありますが、このような議論が増えてきています。経営者や人事の方にとって、採用管理をどうするのかについてはサービスが増えすぎて頭を悩ませているケースも少なくないようです。大型調達をして、採用をするから採用管理システムを入れる。このような流れも出てきており、スタートアップでの導入も増加傾向にあります。
ただしシステムについてはどの会社も全て導入したほうが良いということでもないわけで、採用数や人事の体制によっても検討が必要かと思います。ついつい経営をしていますと、KPI、特に面接数を追ってしまうのですが、候補者の質や中身の方が大事であることが多く、数字を追った結果かえって無駄に時間を使っているということもあります。
また、この記事にははっきりとかけませんでしたが、「このATS使っているため、エージェントとしてはもう推薦するのが面倒になったので嫌だな」と個人的に感じてしまったものもあります。そのくらいシステムのUIUXは関わる人全員に影響があります。
何れにしてもATSは注目の領域ですので、この記事が導入にあたって少しでも参考になればと思います。
目次
採用管理システム(ATS)とは?
応募から採用までを一元管理するシステムのこと
採用管理システムは、別名でATS(Applicant Tracking Systemの略)とも呼ばれています。
今まで、エクセルやスプレッドシートで管理して応募から採用までのプロセスを、簡単に管理できるようにしたシステムと思っていただければ、大枠相違ないと思います。フェーズ別に分けて、以下のような機能があります。
- 応募求人管理:複数の求人をカンタンに作成し、一覧化することができます
- 個人情報管理:応募者の個人情報をまとめて管理することができます
- 選考進捗管理:面接評価や申し送りを選考過程と併せて管理することができます
- 内定者管理:内定者とのコミュニケーション状況を管理することができます
これらの機能を直感的に操作できるようにしたり、社員の声がわかるようにしたりなど、各社で工夫されています。
エクセルでなく、採用管理システムを導入するメリットは?
人事のみなさんとお仕事させていただくことが多いですが、人事の工数はどんどん増えていて大変ですよね。労務と兼務、広報と兼務、ときには営業と兼務という企業さんも中にはありますね。仕事はできる人に集まっていくので、企業としては仕方ない部分もありますが、そうは言っても大変なものは大変ですよね。
そういった優秀な人事のみなさんにとっては、採用管理システム(ATS)を導入することで、工数を大きく削減することができるのは大きな魅力だと思います。
採用管理システムといいますが、一元化だけならExcelでもできたので、そこまでの工数削減にはならないです。また、大事なのは結果に繋がることですから、結果に繋がる意味でのメリットを考えてみたいと思います。
採用に詳しいコンサルタントと議論できる
サブスクリション型のサービスを提供している企業の多くがカスタマーサクセス(CS)に力を入れていますが、この採用領域においては特に重要になります。採用担当は人の入れ替わりが早く、人事経験のない方が担当するケースも少なくありません。また、スタートアップ企業だとそのフェーズを経験している人事というのは数少ないため、活かせるナレッジが不足することが多いです。そういった場合に、経験・知識が豊富で、データも集まる採用管理システム提供企業のコンサルタント・CSは非常に力を発揮してくれます。
新しい採用担当をより早く即戦力化できる
前述のとおり、採用担当は入れ替わりの激しい職種でもあることから、新しく配属された方がすぐに理解できるよう、直感的に操作できることが大切ですね。管理することが仕事ではありませんが、管理できていないと適切な打ち手も考えられるようにならないので、直感的に操作できる採用管理システムは教育観点からも優れているといえます。
エクセルでなく採用管理システムを導入するデメリットは?
自社フィットしない可能性がある
自社の採用の形に合わないシステムを選択してしまうと、上記のようなメリットが得られず、スイッチングコストだけかかってしまうと思います。いくつかテンプレートがあったり、変更したりできるシステムが多いとはいえ、どの企業にもフィットするかと言うと断言はできないです。ただ、それをすり合わせるためにコンサルタントやCSがいるので、きちんと情報開示してディスカッションできればできる限り自社に合った使い方ができるようになるでしょう。
システムだけ導入しても結果が出づらい場合がある
また、オフライン作業が絡み、人の手を加えることで効果が上がるような状況だと、採用管理システムだけでは思うような結果が得られないこともあります。その場合は、採用業務のアウトソーシング(RPO)を検討するといいかもしれませんね。採用管理システムと併せてRPOサービスも提供している企業もありますので、こちらはぜひチェックしていただけるといいと思います。
おすすめの採用管理システムサービスまとめ
HRMOS(ハーモス)採用管理
採用×ITと言えばビズリーチ、というような立ち位置になりつつありますよね。HRMOS採用管理はそんなBIZREACHが提供する採用管理システムです。
HRMOS採用管理では、そのまま会社の魅力を引き出す求人票を作成し、応募者や人材紹介会社に情報発信することができます。SNS連携、リファラル採用など、比較的新しい採用手法にも対応しています。ビズリーチの圧倒的な営業力、営業網で当社クライアントでは圧倒的な社数を誇っています。
あまり知られていない事実としては、エージェントからすると一つの画面で多くのクライアント企業の案件をみて、マッチングがかえられるためクライアント社数が多いということそのものが付加価値になっています。結果推薦数も増えているという現象もあるはずです。
HERP ATS
HERP ATSは「スクラム採用を実現する採用管理プラットフォーム」と銘打っている通り、スクラム採用(いわゆるリファラル採用に近いかもしれません)に強みを持っています。
他のサービスが人事で採用することを想定して作られているのに対して、HERP ATSは現場の社員を採用に巻き込んでいくことを想定しています。現場の社員を巻き込むことで、人事の負担が減るのはもちろん、現場とマッチ度の高い人材を採用できるようになるので、最終的に現場が負担する教育コストなども軽減できると考えられます。
UIUXに優れクライアント企業の評判が良いのもHERP ATSの特徴です。求人票をいちいち沢山媒体に合わせて作らなくていいですとか、メッセージを返すのに一元化されるですとか、使い勝手の良さをあげるクライアントが多いです。
Slackでの通知機能のような比較的新しいチャットツールに対応していたり、先に紹介したRPOサービスに力を入れていたり、媒体も複数対応していたり、幅広い企業が導入しやすいサービスになっています。
ジョブカン 採用管理
人事担当者1,000人の意見を集約したシステムだというので、すごいですよね。「Indeed」や「Googleしごと検索」の求人ページ作成なども容易にできるようになっています。そのため、正社員のみならず、様々な雇用形態における採用で利用できますね。候補者数などによってプランが変わるようです。
またやはり気になるのは価格ということもあるかと思いますが、リーズナブルな価格から選択されたというクライアントも多いです。
Talentio(タレンティオ)
タレンティオはフリークアウト・ホールディングスの関連会社です。採用過程において、誰が今どのタスクを持っているのかを可視化して、アラートメールなどを発信することで、処理漏れを防ぐことができます。チャネルごとに、応募や選考の状況をフェーズ別にグラフ化します。
事例が取り上げられていますが、時間コストを3分の1にするという驚異的な結果を残しているみたいですね。こちらもリーゾナブルな価格を採用した理由にあげているクライアントがおりました。
SONAR(ソナー)
新卒採用と中途採用を同じシステムで管理できるのが人気みたいですね。もともとは、新卒で利用している企業が多かったみたいです。割と細かい設定が可能なので、企業ごとのルールに柔軟に対応できるのが、強みとして評判がいいようです。500社以上が利用しています。
リクログ
HRソリューションズが提供する採用管理ツールです。母集団形成から始まり、面接・選考管理まで採用の全工程を網羅していて、豊富な機能があるのが魅力です。リクログは提供し始めるのが早く、利用されている企業数が多いですね。
Job Suite(ジョブスイート)
中途採用に必要な機能に絞り込んで、使いやすさを高めることで、顧客満足度が高いサービスです。契約継続率は95%以上と非常に高く保っているそうです。
個人情報管理にも力を入れており、4つの社会認証を得るなどして、安全性もかなり考慮されています。
マッチングッド
人材紹介会社と連携する機能に力を入れており、人材エージェントが一押しする人材の情報が集まるようになっています。各求人広告からの応募者データを簡単に取り込むことができます。
GoQ採用管理
GoQは自社の採用サイトが簡単に作れ、他の媒体と併せて進捗管理できるのが特徴です。写真やテキストさえ準備できれば、採用サイトを誰でも簡単に作ることができます。サブディレクトリ管理なので、ドメイン取得も必要ありません。求人情報をそのままIndeedにも掲載することができるので、安定的な集客が見込めます。
Jobギア採促
アイデムが提供する採用管理ツールが「Jobギア採促」です。採用ホームページ構築・採用管理ができます。
応募者に面談前にリマインドするなど、歩留まりを高めるための機能も搭載さています。
jinjer採用
ネオキャリアが提供する採用管理システムが、jinjer採用です。
jinjerは機能が網羅的なのが特徴です。求人作成やメール機能などに加えて、各種ナビサイトとの連携も可能です。自社のナビサイトを持っていないからこそできる戦略ですね。採用企業の方は求人を出す媒体を絞るのは難しいと思いますので、jinjerは比較的取り入れやすいサービスなのではないかと思います。
Cycle
Cycleはエン・ジャパンが提供する採用管理システムです。採用データの一元化や業務の自動化、選考プロセス可視化などで、業務の効率化を実現します。
実際に導入した企業から「設定の自由度が高いため、自社に合った運用ができる」「生産性が向上し、結果的に応募者の質も向上した」といった声をよく聞きます。
HITO-Linkリクルーティング
パーソルグループのパーソルプロセス&テクノロジーが提供している採用管理システムが「HITO-Link」です。応募者データの取り込み、応募者へのメール送信など、多くの業務を自動化することができます。
dodaやIndeedなどの30を超える媒体データの取り込みが自動化できたり、Outlookなどのスケジューラーとの連携で、進捗管理が容易です。
アクセスオンラインキャリア(AOLC)
AOLCはマイナビが提供する採用管理システムです。まず、AOLという新卒向けのサービスをリリースし、そのキャリア採用版を横展開する形でリリースされたのがAOLCです。メール機能や適性検査(SHL)などと連携しているのが使いやすいポイントです。
リクナビHRTech 採用管理
採用領域最大手企業のリクルートも採用管理システムを提供しています。
リクナビHRTechの何よりの特徴は、初期費用・月額費用・追加料金などが一切発生しない料金システムですね。併せて、エージェントサービスやRPOサービスを利用してもらうのが目的なのでしょうか。
Workable(ワーカブル)
最後は海外、ギリシャからです。MonsterやGlassdoorなどのグローバルな求人プラットフォーム、LinkedInのようなSNSなど様々なチャネルからの候補者を一括管理できるため、海外では広く使われています。モバイル対応できているので、メッセージやフィードバックがスマホ上で行えるのも人気の理由です。
ご検討中の方は高野までご相談ください
そもそも採用管理システムは必要なのか?工数削減のために採用管理システムを導入しようと考えているのに、うまく使いこなせず、むしろ負担が増えてしまうような事態になることは避けたいですよね。「どんなツールを導入して良いか分からない、迷っている」という方がいらっしゃれば、相談にのれますので、お気軽にご連絡ください。
また、あのシステムを入れてしまったので、使いにくすぎるためもう推薦したくないなというものもあります。ここには書けませんでしたが。また私のようなエージェントは社長や役員とダイレクトでコミュニケーションをしたほうが結果が出ます。この辺りのダイレクトと採用管理システムをうまく組み合わせる手法もお伝えできます。