コラム

成長できないスタートアップが持つ「7つの悪習慣」とは?

※こちらの記事は寄稿記事です。

最近、経営者の方に、若者がどのように考えているのかを知りたい、という声をいただきました。私は仕事柄、年代問わずお話させていただく機会があるのですが、これが若者の声か、と言われると分からない部分があるので、直接寄稿していただくことにしました。

今回はMaru(@maru28302743)さんによる寄稿です。ご執筆ありがとうございました!

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はじめまして。Maruと申します。

僕はとあるスタートアップで働いてまして、ジョインした際は社員数は5人ほど、シード期からアーリーステージへの移行期でした。

今でこそ、数十名規模まで会社が成長しやっと事業スピードが加速してきていますが、どん底も経験してきました。

そして今回、高野さんから貴重な寄稿の機会をいただきましたので、これまでの経験で得た教訓を言語化してみることにしました。

どんなスタートアップでも、これから挙げる7つの特徴が生まれてしまう可能性はありますし、組織の脆いスタートアップは特に意識しておくべきことだと思います。自戒を十二分に込めて、述べていきます。

1.鳥の目で状況を判断する時間を設けない

私はスタートアップ企業を「急成長が求められるプロジェクトチーム」と定義しています。そのため、急成長しない企業はスタートアップとは呼べないと考えています。

では、急成長するためには何が必要なのか。それは、事業の「勝ち筋」だと私は考えています。

「勝ち筋」とは、つまり「事業の成功に直結するツボ」のことです。この勝ち筋は、いわば鳥の目、鷹の目をもって初めて見えてくるものがあると思っています。

例えば、堀江氏のこのインタビューは、クラシルの勝ち筋を言語化した、お手本のようなものです。

当時スマートフォンの浸透率は日本の人口の5割を超えていた。マス媒体よりも個々人に合わせた広告が始まろうとしていた。クラシルも当初はSNS上のみでコンテンツを完結させる「分散型メディア」として展開を開始。

だが、「アルゴリズムを握るFacebookの決定に左右される広告事業モデルは危うい」といち早く気づいた堀江は同年6月、「分散型」「アプリ」両方でユーザーを伸ばす戦略に舵を切る。SNSに投稿したレシピを集約し、データベース化するためだ。早期に手を打つこの戦略が当たった。料理動画はBuzzFeed が運営する「Tasty」(日本版の正式創刊は20168月)や国内発の「DELISH KITCHEN」(20159月サービス開始)などが先行していたが、後発のクラシルはアプリで先行した。堀江が素早い方向転換ができたのも、「この戦いは、最適にファイナンスして、最適な広告量を投下した会社が勝つ」と判断していたからだ。

出典:料理動画数世界一「クラシル」は会社存続の危機から始まった——経験ゼロで作った1分のデモ動画

トレンドに合わせてサービスを開始して目の前の売上を立てることはできたとしても、手を動かしながら鳥の目をもって状況を見渡し、成長し続けることは難しいことだと思います。しかし、事業の真の勝ち筋は仮説検証によってしか見つけることはできないため、目の前の行動、視野の広い状況確認の両方が重要になります。

どちらか一方でも、曖昧にしているスタートアップは必ずどこかでコケてしまうと考えています。

2.近視眼的な目標達成に執着する

スタートアップ企業は急成長を遂げるためにチャレンジングな目標を立てる企業が多いです。時には、未達に終わってしまうこともあります。

その際に「目標未達に終わりそうなとき、組織としてどう動くのか?」という観点から、チームの総合力が問われると考えています。

ある時、目標を大幅に下回り資金繰りが急速に悪化したことがありました。

そのとき、思考停止して「プッシュ通知を送りまくる」、「メルマガを打ちまくる」などの施策を実行してしまったんですよね。

結果、面白いほどに施策が空振りに終わりました。

それは考えてみれば当たり前で、「未達による焦りから考えた施策なんてものはユーザーの課題を何一つ解決していない」からだと今は思います。

毎月の予算の達成なんて、僕に言わせれば、どうでもいいこと。ユーザーファーストでもなんでもなく、会社ファーストの問題だからです。

 仮に、今月どころか来月も予算が達成できなかったとしても、仕方がない。それは利用者からうちのサービスが愛されていない証しだからです。予算を達成するため、新規の会員を無理にでも増やそうと、メルマガなどを連打したとしても、それで急に(会社が)愛されるようになるわけがない。たくさんメールが届いたら、利用者にとって迷惑です。そんな「アンチ・ユーザーファースト」な行動を、僕は絶対に許しません。

出典:「予算達成はどうでもいい」 一休社長が極論を言う理由

ちょうど苦しかった時期、日経クロストレンドの榊社長のこの記事を読んで目がさめるような気持ちになったのを覚えています。

目標未達が続いている、自分の会社が説教されているような感覚でした。

もっとも避けたいことは負け癖がつき、未達し続けることに他なりません。

負け癖ほど、成長が求められるスタートアップを苦しめるものはないと思います。

3.常に意識できるKPI設計ができていない

目標達成できる組織は、総じて数字への意識が高いです。

裏を返すと、メンバーの数字に対する意識が低く、KPIを確認しても答えられないような時期は会社は全然伸びませんでした。

これは、KPIの達成に魅力を付加できないマネジャー、KPIを達成した際のベネフィットが理解できていないままのメンバー、双方に問題があると思います。

また、こうした「目標への納得感」「事業への共感」を会社選びの重要ポイントに挙げる若手社員は増えていると言われています。

これからはスタートアップに限らず、多くの組織において「ワクワクするような」「腹落ち感のある」目標設定が求められてくるのではないでしょうか。

 

4.情報がクローズドで、社員間で情報共有が少ない

十分な情報共有がなされていないスタートアップは、スタートアップとしてのメリットを十分に活かせていないと感じます。スタートアップでは、ビジネスの変化などに伴い、報告すべき項目が変わったりするので、完全に情報共有ルールを決めることが難しいです。

すると、「次々と生まれる課題」をスピード感を持って解決する、という小規模組織ならではの特徴が活かせなくなってしまうことが多いです。

そうした問題に対して、SmartHRは「100の問題を50人で2個ずつ解く」ためにも徹底的にオープンな情報共有の体制を確立しています。

これら100問の問題を、社長が1人で解いていたらすごく時間がかかってしまいますよね。問題は次々と湧いて出てくるので、11問へのトライ&エラーは減り、正答率も低くなります。

そこで、SmartHRでは100の問題を社長が解くのではなく、「50人で2問ずつ解く」というスタイルをとっています。この考え方が、経営と組織運営のベースにもなっています。

メンバーが問題を2問ずつ見つけて解くことができれば、スピードは50倍になり、11問へのトライ&エラーを増やすことができ、正答率も高くなると思っています。

出典:宮田昇始のブログ

問題を解決するためには、今何が問題なのかという状況を把握するための情報共有が欠かせません。

また、スタートアップに転職する人に意外と多いタイプが、社長は全てが分かっていると思ってしまう人なのかな、と最近感じています。

スタートアップにジョインする理由は社長が好きだから、尊敬できるからという方も多いですよね。しかし、社長も全てが見切れているわけではありません。また、メンバー同士が共有できていないことは、社長にも伝わりません。こうした共有不足が社長の意思決定を誤ったものにしてしまうリスクもあります。

ホウレンソウはビジネスマンの基本と言われますが、情報がクローズドで適切に共有できない組織は、どれだけ優秀なブレインがあっても機能しなくなってしまうのだと思います。

5.社長も社員も情報発信しない

積極的に情報発信していないスタートアップは、あらゆる場面でハンデを負うと考えています。

noteやツイッターなどあらゆる発信手段があるにもかかわらず、忙しさを理由に発信しないメンバーが多いというのは明らかな損失と言っても過言ではないのではないでしょうか。

最近はツイッター経由で採用ができているという企業もよく見かけます。

「なぜそのスタートアップで働くのか」ということに対して意味を求める人が多い中で、実際に中で働くメンバーが見えづらいというのは、採用の入り口に限らず、意思決定フェーズでも障害になり得ます。

また、BtoBスタートアップであれば、社員の発信が直接見込み客に届くこともあり、直接的な売上の向上にも繋がる可能性があります。

一定の方向性やルールを決めて、情報発信することは、成長にポジティブな影響を与えると言えると思います。

6.適切に「損切り」ができない

スタートアップは常に新しく何かに取り組み続ける会社が多いですよね。

だからこそ、うまく損切りすることが求められます。「自分たちならやれる」というポジティブな自信を持つことはとっても大事だと思いますが、失敗を認める勇気はそれ以上に重要であると感じています。

自分が素晴らしいと思っていた技術やサービスが駄目であったと察した時の心理的な不協和。多くのシリコンバレーのベンチャーキャピタリストのように、学歴も、過去の経歴も優秀な人間であればあるほど、自分の失敗を認めることは難しくなり、時に何であんなに追加投資し続けたのかと思われるような失敗事例を見ることになる。皮肉なものである。

出典:なぜ損切りができない?ベンチャーキャピタリストの葛藤

伊佐山氏ほどのベンチャーキャピタリストであっても、失敗を認め損切りするのは難しいということがこの問題の難解さを物語っていますね。

逆に、失敗を認められる組織は強いです。また、得てしてそうした企業が仕組みでそういった組織状態を作り出しているようです。

例えば、メルカリは撤退判断の基準を明確化しています。イギリス市場からの撤退も、損切りラインの明確さゆえの判断だったのではないでしょうか。

スタートアップにとって最も貴重なリソースは時間とも言えますので、新しいことをやることと同等、もしくはそれ以上、やらないことをなるべく早く決めることも重要だと言えます。

7.事業のコアバリューが曖昧

事業のコアバリューが曖昧なスタートアップが伸びないのは、なんとなくイメージがつくのではないかと思います。名前が知っている企業であれば、よく分からない商品を使う人もいるかもしれませんが、名前も内容も分からない場合は購買者は増えません。

また、端的に事業のキモを伝えられないと、採用や広報などもうまく機能しないことが多いです。事業のコアバリューが不明確だと、組織制度やミッション・ビジョンなどともリンクせず、情報の受信者に納得感を産むことができません。

これから載せるフレームワークは「STARTUP(スタートアップ):アイデアから利益を生みだす組織マネジメント」 という本からの引用なのですが、下記の「〜」を埋められるかということで、セルフチェックしてみてもいいかもしれません。

「私の顧客は~~である。

顧客の問題は~~である。

顧客は現在、~~によって問題を解決している。

顧客はこれまでも~~によって解決を試みている

十段階でいうとこの問題の深刻さは~である。

この問題を解決するために顧客は~~ドル投じる」

このフレームをうまく穴埋めできない事業は、ニーズのない事業か、複雑すぎる高難易度の事業なのかなと思います。

スタートアップ企業に転職検討されている方はこのフレームを意識して企業選びをすることで、自分の仕事観と一致する企業を見つけられるかも知れません。

まとめ

偉そうに教訓のようなことをだらだらと書いてきましたが、私もまだまだ道半ばの存在です。

ぜひ、一緒にスタートアップ業界を盛り上げていければと思います!

 

キープレイヤーズ 高野のコメント

今回はMaruさんにスタートアップ界隈のことを匿名で書いていただきました。

冒頭でもお伝えしたように、若手の方が何を考えているのか?知りたいという経営層の方が多いため、そのままにまとめていただきました。

若手の方の意見もこのような感じで取り上げて行きたいと思っております、匿名でも実名でも発信していきたいという方がおりましたらお気軽にお声がけください。

 

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