LEAN BODY 中山善貴社長が着眼した、フィットネス市場のポテンシャル

インタビュー          
       
       
     

こんにちは、ベンチャー・スタートアップへの転職のサポートをしているキープレイヤーズの高野です。

キープレイヤーズでは成長中のスタートアップ企業の代表の方に、キャリアや同社の事業・ビジネスについてインタビューをしております。今回は、LEAN BODYさんに取材をさせていただきました。

LEAN BODYさんは、2020年4月11日に「令和版ビリーズ・ブート・キャンプ」の独占配信を開始して、話題となっています。

(上記の記事は、同社執行役員CXOのrokoさんのnoteです。)

今回は代表の中山善貴さんに、創業の経緯や事業内容、今後の展望について、お伺いしてきました!

スタートアップに関わる方、興味のある方は必見の内容となっておりますので、ぜひご覧くださいませ!

代表取締役 中山 善貴

1993年生まれ、三重県出身。22歳の時に株式会社LEAN BODYを創業。同社、代表取締役社長。

株式会社LEAN BODY

月額1,480円(税抜)で様々なジャンルのフィットネスレッスンがいつでもどこでも月額1,480円(税抜)で受け放題のサービス、LEAN BODYを運営する企業。

LEAN BODYの創業ストーリー

自分で可能性を広げられる起業で世の中に貢献を

LEAN BODYらしく、体を動かしつつお話お伺いしました(笑)



高野中山さん、本日はお話できるのを楽しみにしておりました!どうぞよろしくお願いします!

フィットネス、ヨガ、ピラティスといったジャンル自体は自分はすごい好きなもので、いつもチェックしています。最近だと、「令和版ビリーズ・ブート・キャンプ」で話題になりましたね!

まずは、あらためまして、起業されたきっかけについてお伺いしてもよろしいでしょうか。

中山:もともと、父の影響もあり、仕事は楽しめるものだというイメージがあったため、高校を卒業してすぐに、石油系の会社に就職して働き始めました。出世して社長になることを目指して働いていたのですが、出世していくには高卒の壁があることに気づいてしまったんです。

いくら頑張っても、自分の限界が決められている。そんな状況でこのまま仕事を続けるよりも、何か新しいことを始めた方が世の中に貢献できるのではないか。自分の可能性を信じて、起業をしたいと考え始めました。


高野:お父様も会社を経営されていたのでしょうか。

中山:アパレル系の会社の経営をしていましたね。世界各地をよくあちこち飛び回って楽しそうに仕事をしていた記憶があります。ヴィヴィアンやクロムハーツ、イルビゾンテなどの世界的な人気ブランドとも交流があったようで、話を聞くたびにワクワクしていたことを覚えています。


高野:グローバルにビジネスを展開している存在が身近にいたんですね。

Twitterで情報収集しながら三重で創業

高野:起業を志してからはどのように行動したのでしょうか。

中山:起業に関する本を読んだり、東京のスタートアップのコミュニティを率いる起業家や投資家のツイートをみたり、ビジネスへの感度を高めていました。

ただ、イーロン・マスクやスティーブ・ジョブス、マーク・ザッカーバーグのような起業家になりたいと考えていましたが、いかんせん周囲には相談できる投資家も起業家もいないような状況でした。

そのため、ネット上、特にTwitterからいろんな起業家の情報を収集してサービスを考えることが日課になっていましたね。

実際に起業したのは、2015年12月に地元・三重でのことです。

高野:三重で起業されたですね。三重で起業されたのには理由があったのでしょうか。

中山:「まずはやってみよう」という気持ちが強かったので、三重でやることに具体的なメリットを感じていたわけではありません。ただ、まず始めることに価値があると考えていました。

ANRI 佐俣さんのQ&Aをみて東京へ

中山:そうした中で、「ANRI」の佐俣アンリさんのツイートが拠点を変えるきっかけになりました。匿名Q&AサイトのAsk.fmで東京に起業家が集まる理由を述べられていたのですが、「とりあえず、東京に来よう」と本当に一言だけでした。

でも不思議と言葉では語りつくせない。東京で起業する様々な意味が全て集約されていたように感じて、起業した翌年の9月には上京しました。

高野:私も地方の出身なので、東京に来た時は刺激が多いなと感じましたね。

Skyland 木下慶彦さんと会った翌日に出資が決定

高野:中山さんは実際に東京に来てみていかがでしたか。

中山:やはり最初は慣れなかったのですが、なんとかスタートアップのコミュニティにアクセスしたい一心で行動していました。様々なリアルな場にも参加していたのですが、ある時にたまたまTwitterでフォローした人が、Skyland Venturesの木下慶彦さんだったんです。

本当に偶然だったのですが、すぐに木下さんからDMでご連絡いただき、毎週開催されていた15分MTGに呼んでいただきました。
それまで、投資家の方とお話したことが一度もなくて、前日に映画『スティーブ・ジョブズ』を見て、投資家と起業家との間のコミュニケーションについて、予習してから参加したのを覚えています(笑)。
結局、きっかけはTwitterだったのですが、連絡をとってすぐ次のMTGに参加させていただけたので、このスピード感で動けるのはやはり東京にいることメリットだなと思いました。

高野:スタートアップにスピードは欠かせないですよね。投資はすぐに決まったのでしょうか。

中山:会った翌日に投資していただくことが決まりました。

投資家と起業家は対等に語り合う必要があると思って、かなり意気込んでお会いしたのですが、いざ木下さんとお会いしてみると、全然イメージしていたものと違っていました。非常にアットホームな雰囲気で、親身に相談に乗っていただきましたね。

木下さんから「まず10人の若手起業家に会ってみよう!」といわれたので、まずはその通り行動しようと思い、木下さんにご紹介いただいて、多くの起業家の方とお話ししました。

カウモ 太田さんと話して学んだ事業戦略

そうして木下さんと会った翌日に、カウモの太田和光さんのお話ししたことが一つの大きな転機になったように思います。

当初、人々のライフスタイルに関わって、より豊かにしていくような事業を作りたいという想いが漠然とあったので、飲食店の予約システムアプリケーションの事業を展開しようと考えていました。当時は、食べログも電話で予約するような体験だったので、ネット予約ができるサービスがあったらいいのではと思っていました。それを太田さんに話してフィードバックをいただいた際に、自分自身リサーチが全然足りていなかったことに気づきました。事業のグロース戦略の描き方や後発として何を強みにして勝っていくのかということをもっと考えるべきだということを教えていただきました。

今でも、行動スピードを落とさないために「自分ならなんとかなる」という主人公フィルターをかけることを大切にしているのですが、同時に、きちんと情報収集をしてなんとかできる戦略を練ること、この両輪が必要なんだと気づくことができました。これは現在の事業設計にも役立っています。

このように起業家と会って学んだことをブログなどでアウトプットする姿を見て評価していただいたのか、木下さんには会った次の日にシードフェーズでの投資をご決断いただいた、という流れですね。

高野:私も投資をさせていただいているので、わかるのですが、中山さんは学ぶ力というか、粘り強さが本当に強いですよね。人を巻き込んでよいものを積極的に取り入れながら、自分の強さを磨くというところに起業家としてだけでなく、人としての魅力を感じています。

LEAN BODYの事業

ボディメイクの面白さを知り、Lifmoをリリース

高野:この資金調達を受けて生まれたのが、現在の「LEAN BODY」の原型ですね。

中山:そうですね。女性向けダイエット動画メディアの『Lifmo』をリリースしました。
実は僕自身、上京当時は今よりもかなり太っていて、姉からダイエットを勧められたくらいだったんです。そこでパーソナルジムに通ってみたところ、みるみるうちに体重が落ちていって、その様子が自分でも実感値としてわかるのがおもしろくて、この体験をもっと世の中に広めていきたいと思ったのが、ユーザーとしての原体験です。

ボディメイクを楽しくできるようにできないかと考え始めて実際にフィットネスの動画を作ってみると面白くて手応えがあったので、パーソナルトレーナーの方にも協力してもらいながらLifmoを立ち上げることにしました。

高野:私が会った頃はすでに痩せていたので、太っていたイメージがつかないですね(笑)。
私もヨガやフィットネスが好きなので、1ユーザーとしても非常に面白いサービスだと思っています。

中山:これはダイエットの後日談なのですが、パーソナルトレーニングに通って短期間で痩せたものの、費用が高くて継続できなかったんです。結果、食事管理が終わると徐々にリバウンドしてしまいました。痩せられたのは食事制限をしていたからであって、痩せたままでいるとすると、永遠に食事制限をすることになる。それは辛いなと思って、運動で長期的にボディメイクをする方向にシフトしようと考えていました。それで、高野さんに採用についての各種アドバイスをいただきました。そんな中LEAN BODYを一緒に作り上げることになる鞍立と出会いました。

高野:鞍立寛子さんはリアルワールドやDeNAで事業を作っていた方ですね。

中山:はい。鞍立と出会った時は、Lifmoを運営する中で広告モデルの限界を感じていて、事業のピポットを考えていたときでした。

楽しくできるフィットネス体験をオンラインで

中山:なぜか鞍立にB-monsterに行こうと誘われて体験に行ってみました。これが、想像以上に楽しくて、当日に入会していました。どハマりしてしまい週7で通うようになったのですが、こういった熱狂して楽しめるフィットネス体験をオンラインで展開できると面白いのではないか?と着想を得ることができました。実際に、リサーチを進めていくと、フィットネス動画のサブスクリプションビジネスが海外でとても成功していることが分かりました。

日本に置き換えて考えたときに、ビリーズブートキャンプのようなホームフィットネスDVDが大ヒットしていたので、家で映像を見ながらフィットネスをする事自体は受け入れられるイメージがつきました。DVD販売型では、一過性のブームになってしまったものの、ビジネスモデルをサブスクリプション型にして、取得したデータを元に、ユーザーが求めているコンテンツを提供する体制を作ることができれば、継続に繋がり、事業として成り立つのではないかと考えてスタートしました。

高野:一過性のブームに終わってしまったものを、ユーザーニーズに合わせて提供できる体制を整えることで、継続性を生み出すというのは、まさにサブスクリプション型のビジネスモデルの特性を活かしていると言えますね。


LEAN BODYの今後の展望

フィットネス市場を拡大、ライフスタイルをよりよく

高野:今後は、LEAN BODYとしてどのような展望を描いているのでしょうか。

中山:先にフィットネス動画のサブスクリプション型ビジネスが成功していたアメリカはフィットネス大国なのですが、日本に比べてフィットネスのハードルがかなり低いんです。アメリカのフィットネス市場が大きくなった理由としては、低価格でフィットネスを体験できることが大きな要因になっています。

実際に、フィットネス人口を見ると、アメリカは17%で日本は3%ほどです。
フィットネスを広げることで、健康寿命が伸びたり、幸福度が高まったりするというデータも出ていますし、世の中が良くなると信じているので、フィットネス人口を増やしていきたいです。
私たちが目指す「比較的安価+良質なフィットネス体験」を提供する動画のプラットフォーマーは、日本におけるフィットネス市場のゲームチェンジャーになれると考えています。

それは決して、既存のフィットネス市場を破壊するものではなく、アメリカでリアル店舗を運営しているジムがオンライン化していっているように、リアル展開しているフィットネス会社と事業提携するなどして、共存していく方針です。

そして、フィットネスをする人のライフスタイルに関わる事業まで領域を広げていき、ライフスタイルをよりよくする。将来的には、こういった大きな展開をしていきたいと考えています。

高野:市場自体を拡大した上で、その中で領域を横展開していくというのは、投資家としても広がりが見えて魅力的だと感じます。

チームを新たに編成し、成長角度高くユニコーンへ

高野:具体的な数値目標もお伺いできる範囲でおしえていただけますでしょうか。

中山:フィットネス動画のサブスクで月額19.8$で250万人の有料会員がいるサービス、ヨガウェアを展開するluluremonは時価総額2兆円ですし、
室内バイクエクササイズとフィットネス動画サブスクのPelotonは評価額5000億のユニコーンです。

こういった海外で成功しているプレイヤーを見ると、日本でも正しく勝負すればユニコーンになれると考えています。まずは、フィットネス領域で展開して1000億円企業になることが目標です。

高野:ありがとうございます。直近では、今後どのような成長戦略を描かれているのでしょうか。

中山:これからは、チームを新たに編成しながら、成長のスピードを加速していきます。

自分と鞍立の他にも、ポケラボの創業者の佐々木さんが経営参画したり、CTOなど経営陣が増えたりしてきたので、事業成長を更に加速させていきます。同時に、コーポレートチームを強化し、エクイティファイナンスや上場準備に向けた組織作りをしていきたいと考えています。

そのため現在は、エクイティストーリーをともに描き、計画を実行に移してくれる方や成長を支えるだけでなく、加速させられるような管理部門をともに作っていける方を特に募集しています。

スタートアップにとって、成長度合いを表す変化率は生命線のようなものだと考えています。

僕は、いろんな人にたくさんのことを教えてもらいながら、実際に試して良いものを取り込んでいくことで、自分にあった成長法を見つけられたと感じていますし、これからも外からの刺激を積極的に受けていきたいと考えています。挑戦しては失敗して、また挑戦して、たまに成功する。

こうしたプロセスを経て、さらにLEAN BODYに共感してくれる、そんなコアなファンをもっともっと増やしていきたいですね。

高野:健康ジャンル、フィットネス、ヨガ、ピラティス、ダンスですとか、こういった健康を増進させるカテゴリーは大変な成長市場。そして何といっても健康にいいということ自体が素晴らしいことですよね。健康×スタートアップをもっともっと応援していきたいですね!LEAN BODYをやるとわかるのですが、このハイレベルの先生方に仲間になっていただいた巻き込み力が本当にすごいなと思います。

 

 

執筆者:高野 秀敏

東北大→インテリジェンス出身、キープレイヤーズ代表。11,000人以上のキャリア面談、4,000人以上の経営者と採用相談にのる。55社以上の投資、5社上場経験あり、2社役員で上場、クラウドワークス、メドレー。149社上場支援実績あり。55社以上の社外役員・アドバイザー・エンジェル投資を国内・シリコンバレー・バングラデシュで実行。キャリアや起業、スタートアップ関連の講演回数100回以上。
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