キーエンスといえば日本を代表する成功企業であり、平均給与も2,000万円を超えている。一方でその中身についてはベールに包まれていますよね。今回は創業者の滝崎武光さんとキーエンスに迫ってみます。
2023年時点で、滝崎武光氏は総資産3兆4280億円とファーストリテイリング柳井さんについで、日本2位でいらっしゃいます!
元キーエンスの方は活躍している方も多いですね。Splink創業CEOの青山裕紀さんのツイートが大変参考になりましたので、掲載させていただきます。
大事なことはみんなキーエンスから学んだ
— 青山裕紀@Splink (@splink_aoyama) September 26, 2022
①MVVと社員の行動原則の高い一致度
②創業者の製品企画と価格への目利き
③数字と原則で物事の真髄を捉える
④成長市場を利用した人材育成ノウハウ
⑤コンサル営業の最強フレームワーク
⑥強い新商品連発の企画力
⑦グローバルを最初から前提とした事業設計
こうしたことが徹底されているキーエンスは魅力的な会社です。まずはその特徴に迫ります。
目次
キーエンスとは?
キーエンスは、大阪府大阪市東淀川区に本社を置く、自動制御機器、計測機器、情報機器、光学顕微鏡・電子顕微鏡などの開発および製造販売を行う企業です。1974年に設立され、現在は世界44カ国・200拠点で事業を展開しています。
社名 | 株式会社キーエンス |
設立 | 1974年5月27日 |
資本金 | 資本金: 306億3,754万円 |
株式公開市場 | 東京証券取引所プライム市場 |
従業員数 | 連結従業員数: 10,580名(2023年3月時点) |
代表者 | 代表取締役社長 中田 有 |
世界初や業界初の商品を多数生み出している企業で、世界のさまざまな業界のクライアントがその商品を採用しています。また、海外市場でもダイレクトセールス体制を根付かせ、売上を大きく伸ばしていることで知られています。
キーエンスの社名の由来
キーエンスの社名は、”Key of Science”に由来しています。創業者で現名誉会長の滝崎武光氏が、1974年に兵庫県尼崎市で「リード電機」として設立し、1986年に現在の「キーエンス」に社名を変更しました。この名前は、科学の鍵という意味を持っており、その精神を反映しています。
1972年に滝崎武光氏によって立ち上げられたリード電機が、1974年に改組され、設立された背景があります。現社名に変更されたのは1986年のことです。
キーエンス出身の起業家・経営者一覧リスト
株式会社エス・エム・エス |
創業者 |
諸藤 周平 |
株式会社SHIFT |
取締役副社長 |
佐々木 道夫 |
株式会社FAプロダクツ |
会長 |
天野 眞也 |
株式会社FAプロダクツ |
代表取締役社長 |
貴田 義和 |
株式会社Splink |
代表取締役社長 |
青山 裕紀 |
株式会社レバレッジ |
代表取締役 |
只石 昌幸 |
チャレナジー株式会社 |
代表取締役 |
清水 敦史 |
A1A株式会社 |
代表取締役 |
松原 脩平 |
クロスマート株式会社 |
取締役 |
岡林 輝明 |
メドケア株式会社 |
取締役 |
木村 芳朗 |
メトロウェザー株式会社 |
取締役COO |
吉川 達彦 |
アスエネ株式会社 |
取締役COO |
岩田圭弘 |
キーエンス出身者の多くは卒業後、営業コンサル、人材派遣、製造業分野に転身することが今でも一般的です。
一方で、近年ではプロダクトを持ったスタートアップを起業する人、または転職する人が年々増えています。リストの中では上場企業は2社(エスエムエス、Shift)、それ以外の未上場企業はプロダクト・ビジネスをしている、およびエクイティ調達をしているスタートアップです。
スタートアップ創業者として大成功させたのは、諸藤さんが第一号。次点で、キーエンス殿堂入りのトップセールス(連続での営業No1を達成、社長賞を受賞するなどの伝説的な営業)である天野氏(FAプロダクツ会長)や青山氏(株式会社Splink代表取締役)など新たなプロダクトを開発して、大規模な資金調達を成功させてきたことも特筆すべき点だと思います。
売上規模で考えると、VALX(プロテイン)で有名なレバレッジが有名です。最近では、エネルギー領域でチャレナジーはキーエンス開発出身の清水氏が創業、メディカル領域でSplinkが創業、京都大学発スタートアップのメトロウェザーに吉川氏が取締役に就任されるなど、キーエンスの事業領域である製造業ではない分野での起業も進んでいます。
キーエンスの年収
キーエンスの平均年収は、第54期有価証券報告書によると下記の通りとされています
平均年収:2279万円
キーエンスは激務?その労働環境について
キーエンスは「30歳で家が建ち、40歳で墓が立つ」
営業所に戻ってから翌日以降の準備や営業計画の発表や議論を行い
創業者 滝崎武光さんの生い立ち
1945年6月10日兵庫県芦屋市に生まれる。
滝崎武光さんの出身大学、経歴
兵庫県立尼崎工業高等学校卒業を卒業し、1974年5月、兵庫県尼崎市にてリード電機を設立。当時は29歳での起業です。現在は20代経営者が多いわけですが、当時としてはそんなに多くはなかったのではないかと。
尼崎工業高等学校はみんなの高校情報によると偏差値42から43とのことです。401校中311番目くらいの学校とのことです。当時がどうだったのかはわかりませんが、一つの参考情報ということで。
滝崎武光さんと松本人志さんは同期
あの有名なダウンタウンの松本人志さんも実は、尼崎工業高等学校出身。このめちゃくちゃすごい人を輩出しているあたりすごい学校なのかもしれません。興味深いです。
起業に2度失敗し、3度目の正直で大成功
大社長は成功したときの逸話ばかりが残りがちですが、滝崎さんは実は2度起業に失敗し、3度目で成功しています。
あまり語られませんが、成功している起業家も何度か起業に失敗して、チャレンジを繰り返す中で成功を掴み取っている人が多いです。滝崎さんもその一人と言えるでしょう。
日本を代表する企業キーエンス。創業者の滝崎武光さんは実は3回目の起業。不撓不屈の精神。最初からこの栄光があったわけではない。電子機器メーカーと組み立て下請けで失敗。 pic.twitter.com/NOt0ri1LxF
— 高野秀敏/ベンチャー転職/エンジェル投資家/M&A (@keyplayers) January 9, 2023
滝崎武光さんの名言
「人件費は経費ではなく、付加価値創造の要素である」
「顧客の欲しいというモノは創らない」
他にも私が面白いなと思ったのは、こちらです。元キーエンスの岩田さんがツイートされていたので、ご紹介させていただきます!
さあ今日はジムに行って有酸素だ!ラーメンとチャーハン食べると毎回0.8kgくらい太るので、戻します🫃毎日食べたい😫キーエンス会長の滝崎さんが太るのは自己管理できてない証拠と言われていて、それ以降体型維持は何よりも力入れてます😇
— 岩田圭弘|元キーエンス 3期連続ランキング1位 (@yoshiiwatadesu) April 12, 2022
他にも無数にあるのだと思います。こういうことも話していた。語り継がれているなど情報もお待ちしております。
滝崎武光さんの資産
日本の富豪第2位に。資産は226億ドル(約3兆4,280億円)
滝崎さんが理事を務める「キーエンス財団」
(キーエンス財団HPより)
現在、滝崎さんはキーエンス財団の理事を務めていらっしゃいます。この取組みが非常に素晴らしく、尊敬できるものだったので、ご紹介させていただきます。
キーエンス財団とは、学業優秀かつ品行方正な学生に対し奨学金給付による経済的な支援を行い、もって社会に貢献する人材の育成に寄与することを目的とする法人です。給付型奨学金の形をとっており、返済不要となっています。
2020年の新大学1年生への給付は、期間4年、月額8万円で500名の奨学生を募集しています。
1年間で一人当たり96万円、それが500名ですから、4億8000万円、4年間にして19億2000万円を奨学金として給付することになります。大変素晴らしい取り組みで感銘を受けました。
元社員のかたが語るキーエンスの凄かった点について 岡林輝明さん
現在、クロスマートの執行役員を務めていらっしゃる、岡林さんもこのようにおっしゃっていました。先輩の背中をみて学ぶ部分も、営業は特に多いですよね。
キーエンスに入って一番良かったのは、営業のロールモデルとなる先輩方に多く出会えたことだと思う。他社であればエース級の人材になれるような人たちが山のようにいる。いまだに自分の脳裏にも当時の先輩、マネージャーの姿が焼き付いており、営業として目指すべき目標になっている。
元社員のかたが語るキーエンスの凄かった点について Aさん
そうですね、凄いのは個々の社員よりも、マネジメント、管理の徹底さだと思います。 営業でいうと、活動のを分単位でチェックしていること。当たり前の水準を高めていること。
過去に退社時間を9:30にするというルールを定めた時は、浸透させるため、毎日事業本社→各営業所に連絡を入れて確認(という名の追い出し)を行ってましたね。
「ルール徹底させる」というのは他業界ではかなり緩いことを転職後感じました。 あとは謎な文化として、Yシャツは白限定、という不文律があります。
裏では白シャツにあらざらものは社員にあらず、と言っていた人がいたらしいです。
元社員のかたが語るキーエンスの凄かった点について Bさん
創業者のすごいところとしては、なんといっても一代で今のキーエンスを作り上げたこと。キーエンス創業前に何度か起業を失敗、それでも挑戦し続けキーエンスで成功しています。
キーエンスのすごいところ としては、採用が科学されています。20秒面接、適性検査、ビデオ録画しながら詰められる面接…10年以上殆ど変わらない内容で新卒採用をし続けてPDCAを回していますね。
営業の育成が体系立っています。入社直後は缶詰めで製品知識の勉強、営業マニュアルに沿った育成、新商品が出ると営業所にビデオが送られてきて全員ロープレ、競合情報も全て本社から送られてきて他社比較を徹底的に学べる。
製品が良くて即納。新商品は世界初機能がつく事が多い、基本的に他社より良い商品、日本全国注文翌日に届きます。
元社員のかたが語るキーエンスの凄かった点について Cさん
高い緊張感を持ち、全員が結果を出せるような空気感を作り上げているのは、さすがの一言ですよね。
社内のあの「キンッと張り詰めた空気感」を忘れない。ラクしない空気感。
— 澤野 太暉/成長戦略M&A/ironmanトライアスロン (@Taiki_530) January 9, 2023
×社内でスリッパに履き替えて過ごす。
○革靴をきちっと履く。
革靴が蒸れた時にデスクの下で、少し靴紐を緩めていてもNGだった。
高い緊張感が高い成果を産む。 https://t.co/pkDxLYG8Re
元社員のかたが語るキーエンスの凄かった点について しんりさん
資料ダウンロードしたら即電話する。これは当たり前のことですが、当たり前の徹底ができてない会社が多いですよね。大事なことですね。スピード。
40代で墓が立った人は見たことなかったですw
— しんり@freee IPO事業部 マネージャー (@shinri_55) May 13, 2020
でも1分単位の報告とか、資料ダウンロード後すぐ電話はしていた。
すぐ電話するのは実際効果あって、別の会社の調査でも7倍効果的だったというのを見た。
私はアポ詰めすぎて一時間に2回スピード違反で捕まってからは安全運転を心がけるようになりました。 https://t.co/Q1eEXFLy6f
キーエンスの採用
キーエンスは、中途採用でも新卒採用でも大きく門戸を開いています。中途採用の募集職種は下記の通りです。
ソフトウェア関連(開発)
ソフトウェア関連(技術)
ハードウェア関連(開発)
デザイン関連(開発)
技術関連(事務)
生産関連(事務)
経理関連(事務)
マーケティング関連(事務)
マーケティング関連(技術)
営業事務
機械メーカーであるので、技術・開発系の職種の募集が盛んですね。
営業職は新卒採用を中心に採用しており、20秒面接はひとつの名物のようなものになっています。
まとめ
まだまだ謎が多いキーエンスですが、他にも知っている情報があれば、ご教示いただけますと幸いです!オービックさんの方からキーエンスを参考にしているというお話も伺ったことがあります。多くの企業から参考にされている気がします。出身者ですと、エス・エム・エス(SMS)の創業者の諸藤周平さんが有名で、東証一部上場していますね。