「ビジネス書や決算報告書で目にするARPUとは一体何だろう?」と疑問に感じている人も多いのではないでしょうか。
月額課金モデルを採用しているビジネスでは目をそらすことができないのがARPUです。
このページでは以下のことを解説します。
- ARPU(Average Revenue Per User)の意味とは?
- ARPUを求める計算式とは?
- ARPUを最大化するための戦略
ARPUについての理解を深め、サブスクリプションビジネスの成長について考えるきっかけにしていただければと思います。
目次
ARPU(Average Revenue Per User)の意味・読み方とは?
ARPUとは1ユーザー当たりの平均収益のことです。エーアールピーユーが一般的な読み方で、「アープ」と読む方もいらっしゃいますが、エーアールピーユーと読めば間違いないかと思います)。
ユーザー課金型のビジネスモデルを構築してる方は、現在の事業の実態を把握したり、将来的に売上を伸ばしていくためにもARPUは重要な指標となります。
ARPUとは1ユーザーあたりの平均収益のこと
ARPUはAverage Revenue Per Userの略語です。
- Average … 平均
- Revenue … 収益
- Per User … 1ユーザー当たり
課金モデルで収益を伸ばすためには、ユーザー数を増やしつつARPUを上昇させる必要があります。
しかしながらユーザー数は右肩上がりに増え続けることはなく、一定の水準で停滞してしまいます。
そのため、ユーザー数が伸びなくなるとARPUを最大化することが事業にとっての課題となるでしょう。
ARPUを最大化するためにまずはしっかりとユーザーの信用を獲得した上で、ユーザーの購入頻度や購入単価を上げていくのが基本です。
Googleを例に考えてみましょう。
Googleは検索するユーザーに最適なページを表示する検索エンジンを無料で提供し、ユーザーの信用を獲得しました。
その後はGoogle上に広告を出せるGoogle Adwordsを始め、さまざまな課金モデルを構築してARPUを向上させ、成功を収めています。
ARPUとARPPUの違いは?〜ARPPUはゲーム事業などで重要〜
ARPPUはAverage Revenue per Paid Userの略語です。
Paid User、つまり課金ユーザー当たりの平均収益を表しています。
課金ユーザーと無課金ユーザーが混合するアプリゲームなどでは、ARPUだけでなくARPPUも重要になります。
ARPPUで収益の源となる課金ユーザーの購買意欲の高さを把握し、ARPPUを引き上げることが収益を伸ばすために必要不可欠です。
ARPUとARPAの違いは?
ARPAはAverage Revenue per Accountの略語です。
1アカウント当たりの平均収益を表します。
ユーザーが1人で複数端末を所持する通信事業や、複数アカウントを所持するソフトウェア事業ではARPAの方が正確なデータを把握することができます。
大手携帯会社のKDDIは、スマートフォンだけでなくタブレット利用者も増加すると見込んだ段階でARPUではなくARPAを導入しました。
ARPUを求める計算式とは?
ARPUは「売上÷ユーザー数」で求めることができます。
ソフトバンク株式会社の通信事業の事例
ソフトバンク通信事業の月次ARPUはおよそ4,440(2017年度)。
1ユーザー当たり毎月4,440円ほど課金していることになります。
ソフトバンクは魅力的な新プランを定期的に打ち出したり、従来よりも速い回線を提供することでARPUの増加を図っています。
株式会社ぐるなびのウェブサイト「ぐるなび」事例
ぐるなびの月次ARPUはおよほ40,000(2019年度)。
ぐるなびに加入してる店舗は毎月40,000ほど課金していることになります。
ぐるなびは既存の販売促進サービスの向上だけではなく、飲食店の経営サポートやネット予約拡大に力を入れることでARPUの増加を図っています。
SaaSで重要なLTVをARPUから算出する方法
ARPUは月間・年間などの、ある期間の1ユーザー当たりの平均収益を指すことが多いですが、契約期間を通じて1ユーザーから得られる売上のことはLTV(エルティーヴィ)と言います。
ARPUは算出する期間に基づいて算出されるため、実際にはユーザー獲得単価とユーザーが解約するまでの生涯価値を照らし合わせることもSaaSビジネスの業績を見る上で重要です。
解約するまでの期間を見るために、考慮すべきなのが1ユーザー当たりの平均契約期間(Average User Lifetime )であり、そのために必要なのが解約率です。
(LTV) = (月間ARPU)× (Average User Lifetime)で表され、
(Average User Lifetime) = 1/(月次解約率)で表すことができるため、LTVは下記のように表せることになります。
(LTV) = (月間ARPU) / (月次解約率)
ARPUやLTV、CACを用いて、SaaSビジネスの収益性を求める方法は下記記事でより詳しくまとめています。
▼https://keyplayers.jp/archives/15570/▼
最後に
ARPUの意味を解説しましたがいかがだったでしょうか?
このページの要点は以下になります。
- ARPUは1ユーザーあたりの平均収益である
- ビジネスモデルによってはARPPUやARPAの方が正確に事業の現状を把握することができる
- ARPUは「売上÷ユーザー数」で求めることができる
- ARPUを最大化するためにはユーザーの信用を獲得し、その上でユーザーの購入頻度や購入単価を上げていく
ユーザーの信用を獲得できていないのに購入頻度や購入単価を上げようとすると、ユーザーは離れてしまいARPUは下がってしまいます。
このような指標を正しく理解していくと、フリーミアム戦略などの獲得施策が妥当なのかが分かるようになっていきます。