『野村證券第2事業法人部』
横尾 宣政 (著)
内容紹介
「ノルマ証券」と言われた厳しい社風ながら、一時は経常利益でトヨタを抜いた全盛期の野村證券。そのなかで著者は新人トップの成績を上げ、後の社長・田淵義久氏に抜擢され、第二事業法人部へ。待っていたのはアクの強い先輩たち。彼らとぶつかりながら、出世していった著者は、やがて退社、独立。ところが、その後、オリンパス巨額粉飾決算事件で「飛ばしの指南役」として逮捕されてしまう。野村時代と事件のすべてを実名で書く。
苛烈なノルマ、強烈な先輩たち、損失補填問題…バブル期の野村證券で、いちばん稼いだ男―「オリンパス巨額粉飾事件」で逮捕された著者が、黄金時代と事件の真相を綴った実名手記。
キープレイヤーズ高野のコメント
私のお知り合いの方々が口々に面白かったというので、拝読させていただきました。あっという間に読み終わりました。評判の通り。
横尾さんが、就職活動をしていた時代は、メガバンクに内定した場合に、野村証券に就職をする人は皆無だったと。そもそも京大出身の方が証券会社にはほとんどいない時代。そういった時代にノルマ証券とも揶揄される、野村に入ったという決断もここまでの方になった背景にはあったのかなと思います。ベンチャー企業などという言葉もなかった頃でしょうし。
後半は無実を主張するために書いているところももちろんあるのだろうと思いますが、それを差し引いても読み応えがありました。
リクルートの江副さんは取り調べの時は座ることも許されなかったようですね…。
ノルマが達成できなければ、上司に殴られるのは当然で、私も何度か殴られました。怒り狂った支店の課長が部下に電話機を投げつけて壊してしまったこともあります。その時は、たまたまはじめて野村と取引する電話工事会社の社長が株券を持って来店していて「電話を粗末に扱う奴らとは付き合えん!」とひどく怒られました
ある旅館の経営者のもとに3年間通い、億単位の取引をしてもらえるようになった。しかしうまくいかずに数億円の損失を出してしまった。そのまま損を取り返せないうちに本社への異動が決まり、ご挨拶に伺うと、その経営者は「俺がスった数億が、君の人生の肥やしになってくれるならそれでいい。立派になれよ」と快く送り出してくれました。あの言葉は終生忘れられないですね。