先日、ミダスキャピタル主催のビジネスコンテストに参加させていただきました。
ミダスキャピタル代表パートナーの吉村英毅さんといえば、ベンチャー界隈ではもちろん有名なわけですが、まだご存知ではない方もいらっしゃるかもしれません。ミダスキャピタルは、第一号案件のBuySell Technologies(バイセルテクノロジーズ)が上場するなど早速結果を出している注目のファンドです。
まずは、あらためて吉村さんについて説明しますね。その上で、吉村さんと取締役パートナー寺田修輔さんとの対談を通して、ミダスキャピタルの特徴や魅力に迫りたいと思います!
ミダスキャピタルとは
ミダスキャピタルは下記2点を特徴とするプライベートエクイティファンドです。
1.外部資本は集めず、原則ミダスキャピタルメンバーのみがLP出資する権利を持つため、実質的なファンドの期限が到来せず、中長期のリターン最大化を追求出来ること。
2.ビジネスプロフェッショナルに加えて起業家・実業家が多く参画していること。
ミダスキャピタルは、一社、一人では辿り着かない地点に、ミダスキャピタルというビジョンに共感した多くの会社及び個人の集合体、即ち群として辿り着こうという試みになります。ミダスキャピタルのコンセプトは、出来る限り優秀な人材が集まって、出来る限り中長期目線で経営することにより永続的かつ最速の成長を続けていくことです。
ミダスキャピタル代表パートナー吉村英毅さんについて
旅行サイトを軸とした「エアトリ」を共同創業し、たった10年で東証一部上場。さらには「BuySell Technologies」や「まぐまぐ」の上場と実績を重ねておられます。
今回のミダスキャピタル立ち上げにあたっては、界隈でも「なんかすごいことやるらしい」と大変話題だったわけです。ただ、まだまだベールに包まれているところもありもっと知りたい!との思いで、お話をお伺いしてきました!
代表パートナー吉村英毅さんとの対談
高野:ベンチャー、スタートアップ界隈におりますと最近何かと話題になるのが「ミダスキャピタル」についてです。
エアトリの吉村さんのことを知っている方は多いと思うのですが、ミダスキャピタルについてはベールに包まれているところも多いので、率直なところ伺ってみようと思います!
さて、吉村さん、ミダスキャピタルとはどんな会社、ファンドなのでしょうか?
吉村さん:ミダスキャピタルは一社、一人ではたどりつかないところに、ビジョンに共感した多くの会社や、個人の集合を「群」としてたどりつこうという、そういうファンドなんです。
ミダスキャピタルのコンセプトは、出来るだけ多くの優秀な人材が集まり、出来るだけ中長期目線での経営をし、永続的且つ最速の成長を続けていきたいと考えているんですね。
高野:なるほどですね。ということは、「一人で孫正義さん、ソフトバンクになれなくても、みんなが集まることでより高みを目指していく」試みということですね。それはとてもエキサイティングでわかりやすい目標ですね!
ミダスキャピタルの特徴はどんなものになるのでしょうか?
吉村さん:ミダスキャピタルは、いわゆるプライベートエクイティファンドですが、他のプライベートエクイティファンドにない特徴が2つありまして、
1、外部資本を集めていない
ミダスキャピタルメンバーのみがLP投資家のため実質的なファンドの期限が到来せず、中長期のリターンを目指すことができます。
2、起業家、実業家、ビジネスプロフェッショナルが多数参画している
例えばミダスキャピタルシニアパートナーの黒川さんはイングリウッドというECマーケティングを手掛ける企業の創業経営者ですが、ミダスファンドにご自身の保有するイングリウッド株を現物出資することで会社ごとジョインしています。
高野:これはかなり珍しいファンドですね。初めて聞いたモデルです。
現状はミダスの企業群で未上場含めて時価総額総計は約1000億。今後、2024年に1兆円。2030年に10兆円。2040年で100兆円を目指しています。
これはとても一社ではたどりつけない目標で、是非全員でたどりつきたい!と思っています。
ゼロから創業して上場できたとしても、その延長線上に必ずしも孫正義さんが経営するソフトバンクが見えてくるわけではないということを痛感しています。数十兆円の世界レベルに一社一人では辿り着けなくても、全員の集合、群で目指していきたいんです。
高野:世界的にも初めてのコンセプト、ビジネスモデルだと感じていまして、非常にエキサイティングですね!
取締役パートナー寺田修輔さんとの対談
高野:寺田さんといえば外資系金融のシティグループ証券、ベンチャーから東証一部上場を果たしたじげんのCFOを経て、ミダスキャピタルにジョインされています。寺田さんがミダスにジョインしたということでベンチャー界隈でも大変な話題、インパクトがありました!
寺田さん:いえいえとんでもないです。ミダスキャピタルには、東証一部上場企業の経営経験者や、未上場でも企業価値数百億円規模に成長させた創業経営者が多く在籍しています。
一定規模まで会社を成長させてきた実績や目線があるからこそ、これまでの延長線上に数十兆円の世界があるわけではないという壁の高さも実感しています。この壁を突破する何か新しい形の企業群が必要であり、求められていると考えています。
吉村から誘われ、ビジョン共感型の企業群でより高い目標に全員でたどりつきたい、と考えるようになりました。
高野:なるほどですね。現在までにどのような実績や事例があるのでしょうか?
寺田さん:例えば投資先には、第一号案件のBuySell Technologiesや、直近でセガ エンタテインメントをグループに迎え入れたGENDAなどがあります。
第一号案件は現在東証マザーズに上場しているBuySell Technologiesなのですが、3年前に株式の約80%をバイアウトで取得しました。
BuySell Technologiesは公募時の時価総額が約120億円。一般的なファンドは外部の投資家から資金を預かっているので売れるタイミング、例えばIPOの際に多くの株式を現金化しないといけないわけですが、自己資金のみで運用しているミダスは長期での投資保有と経営へのコミットが可能です。
BuySell Technologiesは、上場後に増えた戦略オプションを活用して投資財務戦略を推進し、ポストIPOの時価総額は最大で450億円程度まで増加していますが、現在もミダスキャピタルのファンドが66%程度を保有しています。
今後も長期的に更なる成長を支援し、大きなリターンを取っていきたいと考えています。
(BuySell Technologies岩田さんには以前取材をさせていただきました!)
バイセルテクノロジーズ岩田匡平氏が語る、マーケティングドリブン経営
高野:上場後も継続して支援されて成長しているのはすごいですね!成長の秘訣はどこにあるのでしょうか?
寺田さん:3年前に立ち上げた仮説、すなわち、事業家・起業家とビジネスプロフェッショナルが組むことで生まれるシナジーが非常に大きなものであるということが証明されてきているんだと思います。
ちなみにミダスキャピタルには4つのストラテジーがあります。
1.バイアウト
BuySell Technologiesがそれに当たりますが、発行済株式総数のマジョリティを現金で買い取ります。
2.現物出資
イングリッド、ARETECO HOLDINGSなどのケースですが、オーナー経営者が保有する株式をミダスファンドに現物出資することで、経営者と会社ごとミダスに加わっていただきます。
3.新規設立
一方でGENDAは新規設立した会社です。会長の片岡は東証一部上場企業のイオンファンタジー元社長であり、社長の申はゴールドマンサックス証券の最年少マネージンングダイレクターでした。この二人がミダス資本を活用して起業しています。
4.マイノリティ出資
枠はあまり大きくありませんが、VC的なマイノリティ投資も行っています。いいものがあれば投資検討するというスタンスです。
高野:上場後もミダスキャピタルと関わる機会、チャンスはあるのですか?最近時価総額が思わしくない上場企業、具体的には20億以下の会社も多いなと感じていまして。
寺田さん:上場企業への投資もありえると考えています。また、上場したもののその後の経営に苦しんでおられる企業などは、創業社長に保有している株式を現物出資することでミダスキャピタルにジョインして頂き、グロースをサポートさせて頂くということもあり得るかと思っております。
M&Aや事業承継ニーズだけではなく、社長としては「売るよりは会社を大きくしたい」という方も一定数おられるのではないかと考えています。
高野:ミダスキャピタルのビジネスモデルは、運営フィーのランニングはとるのでしょうか?通常ファンドですと毎年2から2.5%程度とるかと思うのですが。
寺田さん:運営フィーはとらないモデルなんです。通常のファンドの場合は、フィーを安定的に毎年取っていると思いますが、ミダスは成功報酬フィーのみの、実際のキャピタルゲインの10%または20%となります。
例えばファンド組成時のバリュエーション10億円だった会社がミダス企業群としてのサポートもあって時価総額100億円まで成長すれば、ファンドとしての含み益は90億円です。
そのうち30%を売却して、ファンド全体として27億円のキャピタルゲインが出たとすると、その10%の2.7億円をミダスが成功報酬としていただき、24.3億円がファンドの出資者であるオーナー経営者のリターンとなります。
さらにミダスの成功報酬に関しては50から60%がファンドキャリーでミダスメンバーに還元されます。このミダスメンバーにはオーナー経営者も含まれているため、自社だけではなく他のファンドや企業でキャピタルゲインが発生した分が還流される構造です。
高野:今回のビジネスコンテストはどのような狙いがあって開催しているのでしょうか?
今回のビジネスコンテストは、二つの目的があります。
一つは将来有望なビジネスエリートの卵たちとの接点獲得、もう一つはミダスキャピタルの認知獲得です。
新卒でも優秀な方であれば是非ジョインしてもらいたいですし、今回のビジネスコンテストにおけるミダスメンバーからのメンタリングを通じ、ビジネスの擬似体験をしてもらいたいと考えています。仮に進路がミダス以外であったとしても、このかけがえのない体験を思い出しいつか戻ってきてもらいたいなという意図もあります。
さらにはこのようにミダスキャピタルを認知している優秀なビジネスエリートを社会に多く抱え、より多くの才能がやがてミダスにジョインして頂ける素地を形成したいと考えております。
あとがき:高野コメント
優勝したのは「ごはんコンシェルジュ」。飲食店予約ビジネス等の市場はまだまだ余地があると考えて、提案。チームワークよく、最後まで粘り抜いてプレゼンも頑張りました。また「質疑応答」の回答レベルも高かったと個人的には感じました。
審査員としては、STRIVEの堤達生さん(retty、ウェルスナビなど連発して上場)、サイバーエージェント藤田ファンドの坡山里帆(ハヤマリ)さん(あの藤田社長から信頼され投資案件など担当)、eastventuresの金子剛士さん(今若手VCでもっとも実績がある)も加わり、フィードバックや審査が行われました。
高野個人の感想としては、そもそも参加者のレベルが高かったです。話していることも明解で、単に思いつきで突っ込まれたら答えられない。みたいなビジネスコンテストが多いのですが、質問に対してもすでに調べていて、回答をできる。考えられるし、話せるような方ばかりでした。
東大出身かつ戦略ファームなどに内定している人などだったようです。「市場価値高いな」「こういう人が本当に起業したら成功するかもしれない」と感じました。もちろん就職もよく2、3年から数年、就職して修行することでできるビジネスパーソンになり、その後に起業したりCXOになっている人も私は沢山見てきました。
今回のビジコン参加者も成功される方が沢山でてくるのではないかと感じました。
ミダスさんの今後の動向がますます気になるところです。今上場を考えている経営者、すでに上場した経営者、これから起業したいまたはスタートアップしたぐらいの起業家にもチャンスがあると思います。
また若手で有望な方についてはミダスさん自体も人材採用されたいそうですよ。おすすめの企業です!