人材ビジネス業界の基礎知識
人材ビジネス業界は、大きく五つの力 テゴリーに分かれています。
人材紹介業は、転職者に登録してもらい、自社が持っている求人案件とのマッチングをする形態です。誤解されやすいのですが、ここでいう「紹介」とは、転職者を企業に紹介するという意昧です。
人材派遣業は、自社で雇用している労働者を、人材を必要としている企業に一定期間派遣する形態です。労働者は企業ではなく、あくまでも派遣会社と契約を結ぶのが特徴です。
求人媒体は、自社で直接採用活動を行っている会社の情報を集積する
メディアを運営している形態です。
採用コンサルテイングは、企業の採用活動 (多くは新卒 ・中途の両方)を一括して請け負い、採用を代行する形態です。
五つの人材ビジネス業界
自社に登録している転職者を、求人企業に紹介する。本書で取り上げているエージェント業界もこのこと。
▽おもな企業
リクルートキャリア、パーソルキャリア(旧インテリジェンス)、JACリクルートメントなど
自社で雇用している労働者を、一定期間企業に派遣する。労働者はあくまでも派遣会社と雇用契約を結ぶ。
▽おもな企業
リクルートスタッフィング、パソナ、マンパワー・ジャパン、テンプスタッフなど
企業の求人広告を集積したメディアを運営する。
▽おもな企業
リクナビネクスト、DODA、エン・ジャパン・アイデム、マイナビ転職など
企業の採用活動を一括して代行する。企業の面接担当者芯どを代行している場合もある。
▽おもな企業
リンクアンドモチベーション、レジェンダ・コーポレーション、トライアンフなど
業務内容は人材紹介業によく似ているが、国が運営しているという点が特徴。条件のいい案件を見つけすらい半面、 人材紹介業の手薄な地方都市では利用せざるを得芯いこともある。
エージェント業界の特徴を知っておこう
エージェント業界は、離職率が非常に高いのが特徴です。在籍年数は長くても 5年くらいで、 10年間同じ会社に在籍している人などほとんどいません。
その理由に、未経験者でも独り立ちできるようになるまで、それほど時間がかからないという業界の特徴があります。新卒でもだいたい半年経てば、一人で現場に出て案件を担当します。 1年も経てば十分な戦力です。
この状況では、会社にとっては長く雇うほどデメリッ卜のほうが大きくなります。実力主義とはいえ、年齢が高くなってくるほど給料も上げざるを得ません。とはいえ、 10年目社員と新人を比べても仕事の成果がそれほど変わらない。それならば、安く雇える人材を歓迎します。
また、この業界は独立しやすいのも特徴です。ノウハウと人脈があれば、たいした投資をしなくても開業できるのです。詳しくは後述しますが、大手エージェン卜ではクライアント企業担当と転職者担当が別々にな っています。
そこで、どちらかのキャリアを新卒後数年で積み、その後は中堅に転職して、働きながらもう一つのラインの業務も身につける。そして40歳くらいで独立、といったキャリアをたどる人も多いのです。したがって大手エージェン卜には若い担当者が多く、また人材の流動化も進んで、いるため、途中で担当が入れ替わることもあるのです。