あなたの転職先で強みを活かせる会社は絶対にある

キャリア          
       
       
     

企業の実態を調べるのは案外難しい

学生の頃は、どんなに業界研究や仕事研究をしても、残念ながら入社前にその企業の実像をつかむことは不可能です。インターンシップを利用してみたところで、やはり就職後の環境とは差異があり、温度差が生じてくるのは否めません。

実際に就職をして、会社の一員となり、実体験を踏まないとわからないことは、たくさんあるのです。

そのギャップを乗り越えていくことこそ、社会人一年生にとっての課題のひとつかもしれませんが、乗り越えられないケースもあります。

ギャップが生じてしまういちばんわかりやすいケースとしてあげられるのが、旅行が好きだから旅行代理店に就職した、などというタイプです。

旅行に行くことと、旅行のサービスをすることはまったく違います。本を読むのが好きだけれど、文章を書くのは苦手。野球を観戦するのとプロ野球選手として球場に立つことがまったく別物であるのと同じで、自分がサービスを受ける側なのか、お客さまを楽しませるため、喜ばせるためにサービスをする側なのかで、まったく立ち位置が異なるわけです。

「好きだから」は、受け手として好きだったからで、送り手として体験してみてもやりがいを感じるという人は、意外と少ない。逆にいえば、それでも気持ちが変わらないなら、それはその人にとっての「天職」だったといえるでしょう。

実際にサービス側に回ってみて、いろいろなギャップを感じ、壁にぶちあたる人は驚くほど多いものです。みなさんの中にも、心当たりがあるのではないでしょうか。

現場に立ってみないとわからない苦労は、就職時の面接や研修ではあまり明かされません。企業サイドは、まず人材を確保することに心血を注いでいますから、当然、不安材料については曖味にぼやかすことが多いのです。学生側が、年収、労働時間、社内環境などについて徹底的にヒアリングを行ったとしても、就職先の実像をつかむのはやはり難しい。そもそも人事の人も、新卒者は採用してしまえば一定の刷り込みがきくものだと高をくくっていた時期もありました。入社してどんなにたいへんであっても、社会人一年生のうちは、ある程度「仕事ってこういうものか―」という思い込みを持たせることができるだろうと考えていたのです。

しかし、それが幻想であり、新卒者の離職率が高くなっているというのは、周知の事実。そこで、企業側は第二新卒の採用に力を注ぐようになったというわけです。今、次から次ヘと第二新卒者向けの人材募集サイトが立ち上がっている背景には、そういった要因があるのです。

新卒の採用コストは実は高い

ちなみにみなさんは、新卒者一人を採用するのにいくらかかるかご存じですか?

1 三〇万円
2 六〇万円
3 一〇〇万円以上

答えは……3。一〇〇万円以上かかるといわれています。結構高いと思いませんか?一方、第二新卒者を人材紹介会社から採用しても、一〇〇万円かかることはありません。

企業はもちろん即戦力が欲しいわけです。しかし、新卒から見つけるのには採用コストもかかるうえ、なかなかぴったりの人材を確保することはできません。そこで、第二新卒の採用に本腰を入れつつあるのです。

二〇代の第二新卒者は、「セカンド就職」希望者のプレゾーンともいえます。三〇代以上の即戦カコアゾーンと比較して、企業側にとってもメリットはあるのです。

第二新卒のメリットは、以下のようなものです。

1 新卒採用では採れない層を採用できることがある(つまり、新卒の就職活動の際には人気企業の陰に隠れてしまっていた企業などに、あらためて人材確保のチャンスが出てくるというケースです)

2 ビジネスマナー、社会人としての常識などを一から教えなくても良い

3研修費などをふくめても、新卒者より採用コストを抑えることができるよく、この年代の採用はポテンシャル採用といわれます。

会社というものは不思議なもので、即戦力を期待している一方で、素直であまり前職企業に染まっていない人材が欲しかったりもするのです。

ビジネスマナーや社会人の常識を身につけた、あまり前職の色に染まっていない第二新卒者を、一から鍛えたほうが早い。そんな思惑を持っているのです。

執筆者:高野 秀敏

東北大→インテリジェンス出身、キープレイヤーズ代表。11,000人以上のキャリア面談、4,000人以上の経営者と採用相談にのる。55社以上の投資、5社上場経験あり、2社役員で上場、クラウドワークス、メドレー。149社上場支援実績あり。55社以上の社外役員・アドバイザー・エンジェル投資を国内・シリコンバレー・バングラデシュで実行。キャリアや起業、スタートアップ関連の講演回数100回以上。
一覧に戻る