それでは、これまで述べてきたような能力を、企業に対してどのようにアピールしていけばよいのでしょうか。ここで、重要なポイントになるのが、「再現性」です。
たとえば、インターネットの広告営業をしている人が、同業種同職種……つまリインターネットの広告営業をしている他社に転職するのは、実績がある人であれば比較的容易に感じられますよね。
同業種ということで仕事の流れが相手側にとってつかみやすく、プロセスの確認や仕事のやり方、どうやって成果をあげたのか?などが説明しやすいからです。
では、インターネット広告営業の経験者が、人材業界の法人営業の仕事に転職する場合はどうでしょうか?業界が異なります。
この場合は、仕事のプロセスやスタイルが大きく異なるかもしれません。
先ほどの例よりも、もっと詳しく、どのような顧客に、どのような営業スタイル(新規、ルート)でどのくらいの単価のサービスを提供していたのかなど、自分のやってきた仕事を相手に伝わるように再現しなければなりません。
目標が達成しないと思われる場合には、どのような思考や行動をしたのか?など、相手に仕事の内容のイメージを喚起させるように説明する必要があるのです。
とはいえ、ここでは職種については「営業」という共通点があるので、比較的「再現性」のイメージは喚起させやすいと思います。
ではこの人が、インターネット広告営業から、人材会社のマーケティングに転職をしようと思ったら、どうなるでしょうか?業界も職種も異なります。
ここで熟慮すべきは、自分のやってきた経験を顧みて、少しでも職種同士の似ている部分や共通項をイメージするということです。
広告を取る立場から、動向をリサーチする立場に変わるとはいえ、共通項は探せばいくらでも見つかるはず。
「どういった商品が求められているのか」「どうアピールすれば、消費者の心をつかめるのか」……そういった動向を探る素養は培っていたはずです。
まったく違う職種に見えても、仕事にはかならず共通点というか、基本原理のようなものがあると、私はつねづね考えています。
つねに、自分の職種とは違う仕事、異業界との共通項を探る視点を身につけておくことが、どんなシチュエーションにおいても、みなさんのスキルの「再現能力」につながると意識してください。
そうすることで、キャリアを考える視点がぐっと広がるはずです。