「あなたは、三年後、五年後にどんなキャリアプランを持っていますか?」という質問に対して、みなさんならどのように答えますか?
多くの人が「企画がしたい」「専門的な仕事がしたい」「会社に必要な人材になりたい」などといいますが、具体的に「なぜそのように思うのか?」までは答えられないことが多いようです。
キャリアだけでなく、時には自分の幼少期・学生時代にまでさかのぼり、自己分析をしてみることもお勧めします。
自分のやりたいこと、向いていることはもちろんのこと、おのずと怖いくらいに「なぜそのように思うのか?」という理由が導き出されてくるからです。
アメリカの心理学者によると、乳幼児期に築かれる「基本的信頼感」を「ベーシックトラスト」と呼ぶそうです。
広義では、幼少期に感じたことや体験したことが、その後の人格形成に影響を及ぼし、本質的なその人の資質を培うということを意味します。
幼少の頃の記憶や経験が、その後の人生に影響するというならば、そこに自己分析のためのヒントがたくさん眠っているはずです。
私の場合は、幼少の頃に祖父が保護観察官をしていたことが、私の人格形成に大いに影響を及ぼしていたことを最近とみに感じるようになりました。
祖父のカウンセリングに、同席していたこともあったからです。
幼いながらも、罪を犯した人が仕事を見つけるためには、たいへん苦労しなければならないということを身にしみて感じざるを得ませんでした。
私が現在、一人でも多くの人に自分に合った仕事を探して活躍してほしいと感じる理由は、その体験に根ざしているように思います。
父の影響も受けています。父は、私が小学校から高校まで、PTAの会長をしていました。
当然、一生徒として、全校生徒と一緒に父の話を聞く機会があったわけですが、子供の頃はそれがとても恥ずかしかった思い出があります。
祖父、父ともに人望があることに、なんとなくコンプレックスも抱いていました。
同時に、人の役に立つ仕事をしなければ……という思いも育っていったように感じます。
また、大きな家族の本家で育ち、かつ末っ子だったことにも要因があるようです。
たくさんの人が出入りするので、この人はこのような性格だな……この人はこんなことが得意なんだな……そんなふうに小さい頃から人を分析する癖があったからです。
こうやって振り返ってみると、さまざまな角度から検証して、なぜ今この仕事をしているのか、自分なりにとても腑に落ちる気がします。
みなさんはどんな子供でしたか?
どんな学生時代を送っていましたか?普段、ゆっくりと顧みることのない記憶の中に、「セカンドキャリア」へとつながる思いがけないヒントが眠っていないとは限りません。