成功する人は無職の期間を短縮しようとし、後悔する人は正社員にこだわる。

転職          
       
       
     

嫌だからといってすぐに辞表は出さない

現職中の転職活動をはじめたほうがいいのは、無職の期間をなるべくつくらないためでもあります。
拘束時間が長く、時間管理がきびしい会社は退職してから転職活動をスタートするしかありませんが、それでも在職中に情報収集をする、なんとか時間をつくって人材エージェントに事情を話すなど、可能な限り次に向けての準備をしたほうがいいでしょう。

そういう理由ではなく、いったん辞めてから、転職活動をスタートし、なかなか就職先が決まらなかった場合、やはり「他の企業がほしいと思わなかった人材」という感じに見られてしまいます。
しばらく旅行したい、休養したいという場合でも、ブランクが長くなると、やはり「本気で働く気があるのか?」という目で見られてしまいます。

離職期間が長いと評価されない

ブランクができてしまった理由を正当化するのはむずかしく、人材エージェントとしても、なかなかフォローがむずかしいのが現実です。目安としては、ブランクはやはり長くて3カ月でしょうか。
それが限度だと思います。現役感がない人を避ける傾向がありますし、ゆっくり仕事を探そうというスタンスでは熱意が足りないと見られてしまいがちだからです。ーあるいは、「健康上に不安があるのでは?」と懸念する企業もあります。

ただ、親の介護など家庭の事情や、ご自身の病気などで心ならずも、長いブランクができてしまうこともありえます。
そういうケースでは、転職というより再就職になりますから、また一段とハードルが高くなるでしょう。

もちろん、理解のある企業とめぐりあって、首尾よく採用になる場合もありますが、それは運に任せるしかありません。
もし、なかなか就職先が決まらず、ブランクがさらに長くなるようなら、方針転換したほうが現実的でしょう。

たとえば、正社員にこだわらず、「契約社員でもいいから使ってみてください」と交渉してみるのです。意欲がアピールできますし、無職の期聞が長くなるよりキャリア的にはいいでしょう。
Wさんは母親の介護で、勤めていた会社を退職しました。
上司からは介護休暇を申請したらどうかと言われ、引き留められましたが、予定が立つことではなく、同僚に迷惑をかけるのもためらわれたのです。

1人っ子のWさんは高齢の父だけに介護を頼むのも心配でしたし、余命宣告をされた母のそばに少しでも長くいて、十分なことをしてあげたいという気持ちも強くありました。
母は約半年後に、息を引きとりました。葬儀や実家の片付けが終わった頃には、退職から約1年が過ぎようとしていました。
しばらく放心状態だったWさんも就職活動を始めました。
しかし、思うような勤務先がありません。ブランクが、ネックになるのか、書類審査や面接で落ち続けてしまいます。
やっと契約社員ならという会社が見つかり、迷いつつも勤めることを決めました。

仕事自体は前職の経験が生きる職場だったので、Wさんはそこで頭角をあらわし、契約期間が切れる頃には、チームになくてはならない存在になっていました。
働きぶりを評価した上司からはぜひ正社員にと言われています。
Wさんが復帰したことを知った前の会社からも連絡がありました。欠員が出たので戻ってこないかというのです。うれしいオファーに感謝しつつ、再就職させてくれた現在の会社でがんばろうと考えています。

これは新卒で就職が決まらなかった方などにも有効です。
少しでも早く社会人デビューしたほうがその後の展開がよくなると思います。与えられた場所で実績を積んで、正社員登用へのチャンスをねらってください。

 

執筆者:高野 秀敏

東北大→インテリジェンス出身、キープレイヤーズ代表。11,000人以上のキャリア面談、4,000人以上の経営者と採用相談にのる。55社以上の投資、5社上場経験あり、2社役員で上場、クラウドワークス、メドレー。149社上場支援実績あり。55社以上の社外役員・アドバイザー・エンジェル投資を国内・シリコンバレー・バングラデシュで実行。キャリアや起業、スタートアップ関連の講演回数100回以上。
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