荷福 怜
京都大学建築学科出身。2009年に新卒で野村不動産株式会社に入社し、不動産ファンドにてオフィスビルの運営や、集計・決算業務に従事。2011年より株式会社シグマクシスにて金融機関のプロジェクトを経験。その後、2016年より株式会社ボストン・コンサルティング・グループの戦略コンサルタントへ転身。2017年からはコンサルタントとして働きながら、エンジニア養成学校「G’s ACADEMY TOKYO」へ通いプロダクトの開発を行う。2018年より株式会社Speeeにて事業開発に従事。
目次
不動産ファンドへ憧れ野村不動産へ入社、そしてコンサルタントへの転身
高野:今回はG’s ACADEMY(ジーズアカデミー)でプログラミングを学ばれ、皆さんが憧れるようなキャリアを歩んでいる荷福さんに特別インタビューをさせて頂きます。荷福さんのキャリア戦略は多くの方が参考になるのではないかと思っております。
荷福:お手柔らかにお願いします!(笑)
高野:(笑)では、まずは荷福さんのご経歴をお伺いします。
荷福:私は京都大学で建築の設計を学んでおりましたが、新卒時は建築や設計だけではなく、不動産ファンドを中心に見ました。建築にビジネス面から関わりたい思いを持っていたのだと思います。
私の就活時期はリーマンショックの影響で不動産ファンドが倒産していった時代で、どうにかインターンのご縁で野村不動産に入社することが出来ました。
高野:あー、懐かしい時代ですね。
荷福:野村不動産では、不動産ファンドが保有する物件に関する集計・決算業務やオフィスビルの運営に従事しました。当時はリーマンショックの余波で賃料水準、稼働率が低下している時代背景もあり、悩みながら仕事したのを覚えています。
高野:新卒からかなりディープな仕事を担当されていましたね。
荷福:そして野村不動産で2年働いた後、転職活動を開始しました。転職理由はありきたりです(笑)。1つ目に業務の幅を広げたい、2つ目に業界の垣根を越えたいという思いでした。そして、ご縁があって株式会社シグマクシスに入社しました。
高野:そうなんですね。
荷福:シグマクシスではITコンサルタントとして金融機関のプロジェクトに携わらせて頂きました。事業会社向け決済サービスの成長支援プロジェクトで、業務・IT・顧客導入・プロジェクトマネジメントなど幅広い経験をさせて頂きました。その後、さらに広い世界を見たいと思い戦略コンサルタントを目指し、BCGに入社しました。
戦略コンサルティングファームBCGで得たこと、気がついたこと。
そして、プログラミングスクールに通う日々
高野:戦略コンサルへ入社し、何か実感された事はありましたか?
荷福:良かった点は、やはりビジネスに対する視野が広がりました。ITコンサル時代は経験できなかったテーマ、例えば新規事業の立案や、ある業界の店舗網の改革、公共団体のプロジェクトにも携わることができました。ただ苦労もとても多かったです。ITコンサル時代は、作るものはある程度分かっていてゴールが見えている感覚はあったのですが、戦略コンサルとしてはゴール自体を模索しなければいけない。そこはやはり苦労しました。
高野:、、、私には戦略コンサルタントの素質はなさそうです。
荷福:何と言ってもBCGでの仕事では常にクライアント様を大きな変革に繋がるような経営課題に関与出来ました。ハードワークですが知的好奇心が刺激され非常に面白かったです。
その中で、ある時、友人と食事をしていて、「今年何しよう?」という話になり、私は以前から気になっているプログラミングを学ぶことにしました。当時は(今もですが)機械学習が流行り始めた時期で、大きな変化が起きていると感じていたんですね。そこでエンジニア養成学校「G’s ACADEMY TOKYO」へ通うことを決めました。
高野:G’s ACADEMYさんはDEV1期生の時から、制作したWebサービスやアプリをプレゼンする、Global GEEK オーディションに参加させて頂いております。本当に将来有望で本気な、素敵な方が集まっている印象です。
荷福:私は仕事との両立がマストでしたので、週末集中コースに通いました。
高野:えええええ?外資コンサルタントとして超ハードに働きながら、週末はエンジニアリングの勉強をされていたのですね。頭が上がりません。
荷福:確かに大変ではありましたが、週末集中コースなら社会人の方でも通えますし、卒業までにプロダクトも作れますので、皆様にもオススメです!
週末集中コース
実装力を身につけ、Webサービスを創り上げるプロのエンジニアスキルを習得します。共通科目の後、Webサービスディベロッパーコース・Nativeアプリディベロッパーコースを選択し、サーバーサイド(PHP&RubyonRails)からフロントエンド(Javascript&HTML5)までを、4ヶ月集中でトータルに学び、2ヶ月の卒業制作では現役の一流エンジニア・メンターがGitHUB上での個別指導を実施。オリジナルの「サービス」をローンチするまで、徹底指導を行います。
高野:よくゼロベースからオリジナルの「サービス」まで完結されましたね。そして、なぜ本当にお忙しい中、エンジニアスクールへ通うことを決断されたのですか?
荷福:この時代、プログラミングITの知識は不可欠で、本格的に学ばないとやばいなという危機感も持っていました。また、プログラミングの知識は、明確に上達が測りやすいです。確実に身につけられる能力ですので、プログラミングを学ぶことを決めました。
高野:ご参考までに教えてください。数あるプログラミングスクールの中で、G’s ACADEMYを選ばれたポイントはどこにありますか?
荷福:カリキュラムのゴールが、Webサービスやアプリを作り、Global Geek Auditionという場でプレゼンまでさせてもらえるという設定で、私にとって最高でした。卒業するためには、自分のプロダクトを公開しなければならないのです。
自分の限界まで開発する面白さがありましたし、機能を絞れば何とかプロダクトを完成させる事ができそうでした。自分の能力をギリギリまで大きくストレッチさせることがとても魅力的でした。
英語で例えれば、文法や英単語だけ学んでも喋れる英語を手にいれる事は出来ません。やはり、喋って(=自分でプロダクトを作ることで)能力を高めることができ、大きく成長できた実感がありました。
高野:それは素晴らしいですね。在学中はどのように過ごされていたんですか?
荷福:平日は働いて、土曜日はG’s ACADEMY、日曜日に課題をこなしていました。平日は遅くなることもありましたし、私は妻も子供もおりますので、コンサルタント&G’s ACADEMY&家庭の両立はハードでした。
ですが、G’s ACADEMYでは毎週末課題のプレゼンテーションがありまして、やはり負けず嫌いなところもあるので、仕事で疲れていても、できる限りのアウトプットを追求していましたね。
高野:荷福さんは見た目は穏やかですが、内なる闘争心は誰よりも強いのでしょうね。
荷福:一方で、サービス面の詰めの難しさや、エンジニア1本で生きていくことの難しさも身を以て体験でき、それも大きな学びになりました。
高野:どこまでもハングリーですね。
キャリアに悩んだらまずは行動、客観的に自分のポジショニングを確認する
荷福:G’s ACADEMYでサービスを作る中で、Web業界への距離感が案外近くなっていくのを感じ始め、Web業界や事業会社で働くことの興味を持ち始めました。更に、自分は手を動かすのが好きだったとも気付き、Web業界の事業会社への転職を意識し始めました。そして実際に会社の方とお話しさせて頂くと、自分が事業会社の現場で働くイメージを持つことが出来たのです。
高野:コンサルタントの方が事業会社の面接に足を運ばれると、経営企画の仕事をやりたいと主張する方が多い印象です。しかし、事業会社の経営者の皆様は現場感を大切にしているため、現場経験がない方に経営企画は任せることが出来ないと考える傾向があり、中々ご縁に結びつかない傾向があります。事業会社は全員が手を動かす必要がありますので。
荷福:そんな中で、現場に入りたいと主張していた私は異端児だったということだったんですか(笑)。
高野:荷福さんを全く否定していません!むしろ荷福さんのスタンスを尊敬しております。これまでのキャリアでご経験豊富で仕事のストレッチ力があるが方が、ゼロベースの心意気で現場に入り、秒速でキャッチアップされれば、スタートラインこそ後ろに立つことになるかもしれませんが、結果近道をされているのではないでしょうか?
荷福:ありがとうございます。高野さんにこう言って頂けるとは嬉しいです!
ご縁を頂戴したSpeeeのみなさんは大変優秀な方ばかりですし、今後のビジネスの展開について刺激的な議論もさせて頂き感銘を受けました。微力ながらこれまでの経験を生かし、Speeeの事業成長のため尽力し、私も本物の現場力やマーケティング力を身につけていきたいです。
10年後や20年後の自分にフォーカスを当てキャリアを考える
荷福:戦略コンサルタントとして働いている中でキャリアを振り返ると、キャリアの幅を広げてきたと言えると思います。不動産→ITコンサル→戦略コンサルと、やることの幅を段々と広げることができました。その上で次のキャリアを考えた時、迷いがあったのも事実です。例えば、「コンサルを続ける」「事業会社で経営企画に携わる」という迷いです。加えて、気になっていたのが、「事業を回していける人間になれているか」ということでした。
高野:コンサルタントと事業家の求められる資質は確かに異なりますね。
荷福:もちろん、コンサルタントを続ける、というのも素晴らしいと思います。末席にいた私が言うのも何ですが、色々な業界・テーマの仕事ができるので、経験を広げられます。自分の仕事のビジョンが何なのかを見極めることもできると思います。そして私の場合は、現場に立って、組織を動かして行ける能力が欲しいと思いました。
高野:率直な意見をありがとうございます。確かにこれからの時代、現場力は何よりも大切なのかもしれませんね。荷福さんからキャリアに悩む優秀層の皆様にメッセージを頂戴したいです。
荷福:そうですね。私も出来が良い方ではありませんので大したことは言えないのですが、短期ではなく長期的に考えることは大切だと思います。例えば、ハイキャリアの方がスタートアップにご転職される場合、体面ですとか待遇的な面を気にされる方はいると思います。私も家族がいますし、大切な問題ではありました。
ただ、10年後や20年後の自分を考えた時、組織を動かして行ける人間になりたいと思った時、スタートアップやベンチャーで働くことは、決して悪い経験ではないと思うんですね。限られたリソースの中で事業の成果を上げていくという経験は、もしかしたら現場で働かなければ得られないものかもしれません。
ですから、是非皆さまにも、10年後や20年後のご自身のことを考えて、キャリアを作って頂きたいと思います。それに、本当に皆さま優秀な方でしょうから、リスクも小さいのではないかと思います。
高野:ありがとうございます。荷福さんのますますのご活躍をお祈り申し上げます!
G’s ACADEMYさんからの応援メッセージ
児玉 浩康様
G’s ACADEMY TOKYO ジェネラルマネージャー
前職のBCGをお辞めになって安定した職業から離れ、新しい挑戦を選ぶのは並大抵の覚悟ではなかったと思います。しかもお子さんが出来たばかりの時期に(笑)。 実際、6ヶ月前まではプログラミングは全くの初心者だったところから、新言語(Python・Ruby on Rails)や機械学習を短期間に習得し、最新テクノロジーを搭載したプロダクトをたった一人で完成させました。 能力ももちろんですが、最後までやり遂げる素晴らしい胆力をお持ちだと思います。 G’s ACADEMYでの出会いを自身に有効に活かしながらもG’sコミュニティを盛り上げ貢献してくださったことにも深く感謝しています。 これからも荷福さんの挑戦をバックアップしたいと思っています。
G’s ACADEMY
「セカイを変えるGEEKになろう」をテーマにエンジニア起業家を養成することを目的に2015年に設立したのがG’s ACADEMY TOKYOです。プログラミングを短期集中で習得するCoding BootCampと起業支援で500万円までの投資を行うインキュベーションシステム、シェアオフィスが一体になり、卒業後も永年会員として利用できるのが特徴です。これまでに21社の起業が起こり、彼らの資金調達は10億を超えました。G’sには既存産業の中で頑張ってきた30歳前後のビジネスマンが多く入学しており、ITを活用して既存産業を変革することに挑戦しています。
キープレイヤーズ高野のコメント
コンサルなどのハイキャリアの方の転職に関して
コンサルの方はジアタマや数字の強さがある方が多い印象です。プロフェッショナリズムが浸透しており、ハードワーカーであることも強みです。実際、コンサルの方の方がベンチャーよりも労働時間が長いこともあります。コンサル出身者でベンチャーで活躍する方は、考える力があってもまずはやってみるという姿勢もある方です。まずは一度、ベンチャーの熱量や空気感に関して一緒にお話をさせて頂きたいです。
年収が下がったとしても中長期では上がっていくイメージが持てるかどうかが大切です。多くの人は年収を下げた転職の決意が出来ません。一方、ハイキャリアの方がベンチャー転職する例がまだまだ米国と比べても多くない。だからこそ日本はチャンスであると思います。
G’s ACADEMYについて
G’s ACADEMYさんには熱心にプログラミングを勉強している人たちがいて、とにかくアツイです。社会を変えるような何かを作りたいと思い、お金を払って、自分に投資している人たちだけに意識の高さが違うと感じます。
何か自分の現状にモヤモヤしていたら、エンジニアリングを学んでみるのも1つの手段かもしれません。最近は経営者の方が開発側とのスムーズなコミュニケーションを取るためにエンジニアリングを学ぶことケースも多くお聞きします。