ゴールドマン・サックスから上場会社マネーフォワードのCFOへ 金坂直哉さんの語るCFOの全て

インタビュー          
       
       
     

取締役執行役員 CFO 金坂 直哉

2007年、東京大学経済学部卒業。ゴールドマン・サックス証券株式会社の東京オフィス、サンフランシスコオフィスにて約8年間勤務。テクノロジー・金融業界を中心にクロスボーダーM&Aや資金調達のアドバイザリー業務、ゴールドマン・サックスが運営する投資ファンドを通じた投資及び投資先企業の価値向上業務に携わる。2014年よりマネーフォワードに参画。

 

ゴールドマン・サックスからマネーフォワードへ、金坂さんのキャリア

高野:今回はCFO特集としまして、マネーフォワード取締役執行役員 CFO金坂 直哉さんにお話をお伺いします。

開成、東大、ゴールドマン・サックスというキャリアの金坂さんがベンチャーにジョインし、マネーフォワードを上場まで導かれました。今回、お話をお伺い出来ることを楽しみにしていました。

 

金坂:私は環境にこそ恵まれましたが、私の話は当社広報が「なんでこんなにつまらないのだろう…。」と頭を悩ませるレベルです。お役に立てるよう頑張りますが、どうか期待しないでください(笑)。

 

高野:いえいえ(笑)、よろしくお願い致します。まずは学生時代のお話からお伺いしたいと思います。金坂さんは開成高校を卒業された後、東京大学経済学部に入学されたんですよね?

 

金坂:はい。学生時代は視野を広げたくて、自分なりに試行錯誤しながらチャレンジする日々でした。AIESECというインターンシップを斡旋するNPO法人で、日本でインターンシップを行う海外の学生のサポートをしたり、インターン受入先に営業に行ったりして、早い段階で海外の学生や社会人の方々などと関わることで、狭かった視野が一気に広がった気がします。私もAIESECを通じて、香港で2ヶ月ほどインターンシップを経験しました。

 

高野:学生時代からグローバルな経験を積まれていたんですね。他にはどんなことをされていたんですか?

 

金坂:ビジネスにも興味があったので、「ビジネスマンとしてのベーシックスキルを身に付けたい」と思い、会計士の資格スクールにも通っていました。

 

高野:それでも会計士に進まなかったのは、何か理由があるんですか?

 

金坂:監査法人でインターンシップをする中で、自分は会計士には向いていないんじゃないかと感じたこともあって…。私が就職活動をしていた2006年頃ライブドア事件などもあって、「会社は誰のものか」といった議論がされていた頃なんです。もともと金融のゼミに入っていたこともあり、金融にもすごく興味がありました。

「会社が誰のものか」という問いに対して、学生の頃の自分は当然答えを出せるわけがないのですが、プライベート・エクイティのような仕組みで世の中を変えることができるんじゃないかと思い、最終的にゴールドマン・サックスに入社したんです。

 

高野:学生時代から金坂さんは、色んなことに興味を持たれていたんですね。ゴールドマン・サックスではどのような業務を担当されていたんですか?

 

金坂:最初の3年間は、プライベート・エクイティのチームに配属となり、投資先企業の方々とコミュニケーションを図りながら、その会社の価値をいかに最大化していくかがテーマとしてありました。その後は、テクノロジー・金融業界を中心にクロスボーダーM&Aや資金調達のアドバイザリー業務に携わりました。

 

サンフランシスコでベンチャーの可能性を体感
そして、マネーフォワードとの出会い

 

高野:金坂さんはゴールドマン・サックス時代、海外の最先端ベンチャー企業とお仕事をされてきたのですよね?

 

金坂:はい。私の人生の契機となったのが、1年間のゴールドマン・サックス、サンフランシスコオフィスでの勤務です。

現地に住みながらベンチャーのプロジェクトに関与することで、UberやLyftなどのサービスの存在を知りました。周りの友人達も、会う度に新しいサービスを使いこなしていたんです。カフェのレジも滞在中に次々と大きなレジからタブレット型に置き換わっていくシーンを目の当たりにしました。「ここで、衝撃的なスケールとスピード感で世の中が変わっているんだ。」と体感した事を覚えています。

 

高野:当時のサンフランシスコのスタートアップは、金坂さんの目にはどう映りましたか?

 

金坂:素直にスタートアップの一点突破が楽しそうでした。メンバーを一から集めて、一人一人がイキイキと仕事をしている姿には羨ましさすらありましたね。スマートフォンの登場からこれから時代が変わっていく無限大の可能性の片鱗を見たような心地です。

 

高野:人生において本当に貴重なご経験となったのですね。

 

金坂:人生の視野が広がりましたね。

 

高野:その後のマネーフォワードへの入社はどういった経緯だったんですか?

 

金坂:マネーフォワードとの出会いは、過去からのつながりに恵まれました。転職しようと思って自発的に動いていた訳ではありません。

たまたま、学生時代の友人がマネーフォワードで働いていて、オフィスに遊びに行くことになったんです。自分自身もマネーフォワードの存在については知っていて、どんな会社なんだろうという興味はありました。実際に社長の辻や創業メンバー達と話をする中で、『お金を前へ。人生をもっと前へ。』というミッション、『すべての人の、「お金のプラットフォーム」になる。』というビジョン、そしてサービスの可能性に共感しジョインすることを決めました。

 

高野:外資系金融企業からベンチャーへの転職に悩むことはなかったのですか?

 

金坂:不安よりもワクワク感の方が大きかったですね。ゴールドマン・サックスで担当していた案件については、会社にもお客様にも迷惑がかからないよう、転職する時期はもちろん調整させて頂きました。ベンチャーへの挑戦については、サンフランシスコでベンチャーの可能性を体感していたこと、マネーフォワードの創業メンバーと目指す世界を共有できていたことで、不安はいつの間にか払拭されていましたね。

今は正社員が250名ほどの組織になりましたが、その頃は正社員がまだ30人位だったので、カオスでしたね(笑)。

 

高野:現在は、ビジョンである『すべての人の、「お金のプラットフォーム」になる。』の通り、サービスを着実に展開されていますね。

 

金坂:個人向けには、自動家計簿・資産管理サービス「マネーフォワード」、自動貯金アプリ「しらたま」、お金の相談窓口「mirai talk」などを展開しています。

法人向けには、バックオフィス業務の大幅な効率化や資金繰りの不安解消など、企業経営の改善をめざし「MFクラウドシリーズ」を提供しています。

これらのサービスを通じて、少しずつ「お金のプラットフォーム」の形成が実現しつつあるのではないかと考えております。

 

解明、CFOの仕事の全貌

高野:ゴールドマン・サックスから、マネーフォワードに転職され、どんな変化がありましたか?

 

金坂:組織の規模も構成も違っていました。入社した頃はまだ30人位でエンジニアが多く、法務や総務もいない状況だったので、色んな事を全員でカバーしながらやっている状況でした。とは言っても、私は財務の知見はあっても経理はやったことがなくて…。まずは経理において経験者を採用して任せた方がいいなと思いました。人事、広報、労務、法務などについても同じで、各領域で活躍できる人に任せた方がいいですよね。ゴールドマン・サックスは規模も大きく、各分野のプロフェッショナルが集まっていたので、そこは大きな違いでしたね。

 

高野:ベンチャー企業に全てを知っている方など、どこにもいませんよね。

 

金坂:おっしゃる通りです。経理・法務・管理・総務・労務等々の専門知識を持ったメンバーが入社してくれてから、会社のバックオフィスの根幹が進化しました。

 

高野:企業のフェーズや事業内容によって仕事内容はもちろん異なると思いますが、現在、金坂さんはCFOとしてどんな業務を行っていますか?

 

金坂:以前は事業のミーティングにも参加することが多かったんですが、最近は業務領域が増えてきたこともあり、事業については経営メンバーでの定例会議で状況を把握するようにしています。

グループ会社を含む、会社全体のPL・BSを見て、人材・経営資源の最適配置や既存の事業の延長線上にない成長戦略を描くことも重要だと考えています。成長戦略の可能性は、M&A、投資、ジョイントベンチャーの設立の検討、財務戦略の検討など多岐に渡ります。加えて、IRの対応、銀行とのお取引など様々です。

振り返ると年々、私の仕事内容も変わっています。2014年の冬に当社は、オープンバンクAPIコンセプトを打ち出しました。これは金融機関がAPIを解放することで新しいユーザーの窓口が生まれるので一緒にやっていこうという取り組みです。2015年には金融機関の出資を受けることで、金融機関との協業にチャレンジしていく事業の枠組みができました。その時期は資金調達や事業提携周りの仕事が多く、昨年はIPOの準備がメインの業務でした。

 

高野:上場前と上場後で変化はありましたか?

 

金坂:確かに上場は会社としてとても重要なイベントだったのですが、通過点に過ぎません。私たちの目指すミッションやビジョンの実現にはまだまだ足りないことばかりなんです。上場日を迎える前から、上場後にどんな戦略をとっていこうかと議論していました。

上場で得た資金を使って事業にどうドライブをかけていくか、上場後のマネーフォワードにフォーカスを当てて考えていましたね。なので、今でも良いサービスを届けるためにどんな戦略で経営を進めていこうか、議論が絶えず、経営陣のスタンスは変わっていないと思います。

 

高野:マネーフォワードさんと言えば、BtoC・BtoB含め、フィンテックをキーワードに事業創出型のベンチャーのイメージがありますが、どのような戦略や方向性なのでしょうか。

 

金坂:もちろん飛び地でやっているのではなく、事業を派生させ徐々に徐々に広げています。アメリカのSaaSベンチャーに近しい戦略で、会計というコアな部分から請求書などに派生して同じお客様に複数の価値を提供出来る企業を目指しています。

 

高野:何かベンチマークをしている企業様はありますか?

 

金坂:アメリカのクラウド会計の最大手、Intuitは1つのベンチマークとして見ています。Intuitは、独自のエコシステムを作り出して、会計ソフト内のデータを活用し融資もしています。この戦略や企業事例を学びつつ、日本の法律や市場にマッチするソリューションを提供するために、事業ポートフォリオを組みたいと考えています。

 

マネーフォワードさんはこんな方を探しています

高野:ここからは採用に関してお聞きしたいと思います。採用ターゲットについて教えてください。

 

金坂:エンジニア・事業開発・人事・財務経理・営業メンバーなど、多岐に渡って積極採用しています。採用は全方位的ですね。

今の当社は250人規模になったので、数名~数十名規模の超ベンチャー志向の方には少し大きすぎる組織になったのかもしれません。そんな方には、15人規模の当社のグループ会社で挑戦してもらいたいですね。メンバー全員でゼロからサービスを創る過程は、見ていてとても楽しそうです。「MFチャレンジシステム」という希望の部署に異動できる制度もあり、昨日まで家計簿を開発していた人が今日からは会計ソフトを開発しているケースもあります。試行錯誤しながら、メンバーが成長できる環境作りに取り組んでいるところです。

現在、マネーフォワードのバックオフィスのメンバーは25人程で、法務・総務・労務の管理部門が15人、経営企画・財務経理が10人程度の構成です。会社全体として次々と新しい事を始めるため、全体で連携してボールが落ちないようにしています。

 

高野:マネーフォワードさんは新卒採用も開始されていますね。

 

金坂:昨年は、新卒を6人採用し、今年は新卒が20人入社しました。経営陣が新卒を大切にしたい思いが強いんです。経営陣のバックグラウンドを見ても、新卒の会社に長くいて、しっかり大切に育てて頂いたメンバーが多いんですよ。辻もマネックス証券に9年程在籍して、社長の松本大さんに育ててもらったといつも言っています。今のマネーフォワードがあるのは、経営陣がしっかりと新卒でビジネスや経営の基礎を学び、活かせているからなんです。

 

高野:この採用の成功は人事の皆さんの物凄い頑張りですね。

 

金坂:ゼロから新卒採用の制度を構築してくれた人事には頭が上がりません。

私も新卒採用に関与させて頂くことがあります。学生の皆さんと話していると、まだ学生なのに凄いなあと思うことが多々あります。25歳位になれば素晴らしいビジネスパーソンになるだろうなぁと、大きな期待をしてしまいますね。

ちなみに、新卒第1号はもうすでにマネーフォワードのグループ会社(株式会社MF KESSAI)の役員となって、活躍しています。若手に期待をしてどんどん任せ、チャレンジできる環境を用意できるのは、当社の強みかもしれません。

 

高野:そして何より、マネーフォワードさんは経営陣のバランスがいいですね。

 

金坂:バランスはいいかもしれませんが、会社の成長のために、経営陣も一人ひとりのスキルをもっと磨いていかないといけないと思っています。

 

マネーフォワード赤字上場の真意

高野:そして、改めまして2017年9月29日マネーフォワードの東京証券取引所マザーズ市場へ新規上場おめでとうございます。この上場の立役者である金坂さんにお聞きしてみたいことがありました。

マネーフォワードの赤字上場に関してはどのようにお考えでしょうか?私の仕事柄、社長や会計士の方にご質問を受ける事も多いのですが、今回の上場は簡単な事ではなかったと考えています。

 

金坂:株価は市場が決めることなので、株価水準に関してはコメントできることはないのですが、誠実にIR資料を作成して、株主の皆様と対話していくことを大切にしています。

 

高野:赤字で上場される場合は、PSRやPERに関してどう見ていくことになるのでしょか?

 

金坂:昨今は市場の見方自体が様々で、PSRを見る方や、少し先のPERを見る方などバリュエーションの評価は個々の投資家の判断によると考えています。特に個人投資家さんはファンダメンタルズに基づくバリュエーションではなく、他の要素で投資される方もいるので、いわゆる成熟企業と比較するとバリュエーションの見方は分かれてくる銘柄であったとは思います。

 

高野:ちなみに上場時の従業員に対するSOの設計はどのようにされましたか?マネーフォワードさんはIRにも給与面の詳細の記載がありました。

 

金坂:昔からSOと組み合わせて給与を支払っています。最近は有償SOなど、昔よりも手法が増えました。有償SOのメリットはメンバーが会社に出資することで会社の株主としての実感を持てることと、費用計上が不要だったため会社のPLを傷つけないことです。ただ、2018年4月以降は行使価格の一定部分が費用化されてしまうため有償SOは減ると思います。

 

高野:ベンチャーにとっては、少し良くない方向になってしまいましたね。

 

経営者の皆様必読!CFO採用にあたり着目すべきポイント

高野:今、たくさんの経営者の皆様がCFOを探しております。CFOの採用成功のためにアドバイスを頂戴したいです。

 

金坂:ほとんどのベンチャー企業の社長が一人の人間に全てを求めすぎている印象を持ちます。資金調達からIR・経理・バックオフィスまで全て出来る人は、ほとんどいないのではないかなと思います。

 

高野:私もお会いした事はありませんね…。

 

金坂:CFOと一言で言っても、一人一人の得意分野やバックグラウンドは様々です。会社のフェーズごとに求められる仕事内容も変わってきます。どんなスキル・能力が必要なのか優先順位を付けながら因数分解をして、1人に全て依存するのではなく、チームを作る中で得意分野をシェアしていくことを念頭に置くと良いかもしれません。

 

高野:ありがとうございます。マネーフォワードさんは、社長の辻庸介さんも金融出身ですね。トップの方が金融のバックグラウンドで金融に強い場合、同じようなバックグラウンドから、IPOの準備を進めることに難しさはありませんでしたか?これは、金融に限らず他の、共通するバックグラウンドがある方に言えると思っております。

 

金坂:バックグラウンドの領域こそ共通しますが、どちらもIPO準備の経験はありませんでした。経営者としての辻の強み、投資銀行出身の私の強みがそれぞれあると思います。辻とは、お互いに出来ること・出来ないことを明確にしながら、認識を合わせていく事を大切にしています。その結果、IPO準備でも意見が割れることはほぼありませんでした。

同じ情報が共有され、それを元に判断していれば意見は割れることはある程度防げると思います。情報の非対称性を作らないことで、意思決定や認識の違いをなくすことが出来ると思いますし、お互いの強みを活かすことが出来ると思います。

 

CFOになるには?

高野:金坂さんのようなCFOとしてのキャリアをお考えの方にメッセージを頂戴したいです。

 

金坂:ベンチャーの転職で大切なのは、以下の2点に尽きるのではないでしょうか?

1 会社の方向性やビジョン・プロダクトに心から共感出来るか?
2 チームとの相性や社風がマッチするのか?

様々なカルチャーの会社があるので、人によってはA社では力を発揮できるけど、B社だと力を発揮し切れないことも往々にあると思います。この2つがマッチしていれば、フィットできると思います。

そして、CFOとしては、「その会社をどれだけ成長させられるか。そのために何をするか」ここを突き詰めて考えることが大切だと思っています。会社全体の財務の責任を担うので、自社の財務が株主や金融機関から見たらどう映るのか、多角的な視点を意識することも大切だと思います。

また、どんなに重要なポストを任されても自分一人では絶対に何もできないので、強いチームをいかに作っていくかということの重要性も日々感じています。

 

高野:これまでのご経験はどう活かされていますか?

 

金坂:私は、プライベート・エクイティのチームに3年、IBDのチームに4年半いました。特に、プライベート・エクイティで見た世界は今の業務にも活かされています。

プライベート・エクイティでは、会社の経営に入り込み、会社の意思決定やその雰囲気、判断の場面に立ち会うことが出来ました。プライベート・エクイティでの経験を活かしてベンチャーで活躍されている方もたくさんいらっしゃいます。ラクスルのCFOの永見さんもそうですね。特に、若手で活躍されている方も多いので、ベンチャーの世界に飛び込んでもらいたいです。

やったことがないことでも日々勉強しながら挑戦し続けてみると、違う世界が見えてくることもあると思います。

 

高野:最後に金融業界で今後のキャリアを考えたり、悩んだりしている人に締めのメッセージをお願い致します。

 

金坂:金融や投資銀行の世界にいると、取引額が大きいので金融のプロフェッショナルとして、世の中がわかったような気持ちになってしまいがちです。現に私もそうでした。

でも世の中の限定的な部分を限定的に見ていただけだったと後になって気づきました。金融業界にいると、日々接する企業や人が限られてしまうことも多いと思うんですが、閉じた世界にいると、本当の意味で社会の成り立ちや世の中の動きを理解することは難しいと思うんです。それは非常にもったいないことだと思います。変に高いプライドを持って「こういう人とこんな仕事しかやらない」というスタンスで自分の可能性を狭めることなく、ミクロな視点とマクロな視点を掛け合わせながら、広い視野で社会に貢献できると素晴らしいと思います。

 

高野:このメッセージは刺さります。ありがとうございました。

 

キープレイヤーズ高野のコメント

ここ数年、スタートアップの資金調達の環境はとても良くなりました。大型で調達し、上場を目指すことが出来るようになっています。一方で実際に大型調達している会社を見ますと、CFOに投資銀行出身の方がいることが多いです。

私は、普段エンジェル投資もしております。調達関連のご相談を受けることも多いですが、大型調達するにはVCを始め金融機関から資金を集める必要があると考えています。そうすると社長一人だけ優秀だということではリスクが高く、経営チーム、ビジネスモデル、マーケットなど多角的な視点での判断になります。その上でCFOに投資銀行など金融系のバックグラウンドがあり、優れた方がいますとお金の出し手も安心できるということがあるでしょう。

CFOの方のキャリアを見ていますと、①投資銀行出身、②会計士出身、③管理部長出身の3パターンが多いと思います。また、それぞれを併せ持っている方もいます。金坂さんは、投資銀行経験があり、上場経験、事業会社経験があるCFOの方で、若手の方が金坂さんと一緒に仕事をされるということでしたら、大いに得るものがあると思います。

もちろん受け身の姿勢ではいけませんが、会社選びは、ビジョン、マーケットがもちろん大事で、その上でやはり一緒に働く人が誰なのかということも大事な要素の一つだとは思います。マネーフォワードさんにとって上場というのは一つの通過点であり、これからが第二の創業ということで、ますます面白くなるタイミングだと思います。キャリアの選択ということで強くお勧めできる企業です。

 

<取材・執筆・撮影>高野秀敏・田崎莉奈

執筆者:高野 秀敏

東北大→インテリジェンス出身、キープレイヤーズ代表。11,000人以上のキャリア面談、4,000人以上の経営者と採用相談にのる。55社以上の投資、5社上場経験あり、2社役員で上場、クラウドワークス、メドレー。149社上場支援実績あり。55社以上の社外役員・アドバイザー・エンジェル投資を国内・シリコンバレー・バングラデシュで実行。キャリアや起業、スタートアップ関連の講演回数100回以上。
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