こんにちは、ベンチャー・スタートアップへの転職支援を約25年続けているキープレイヤーズの高野秀敏です。
転職活動で、職務経歴書と並んで多くの人が頭を悩ませるのが「志望動機」です。採用担当が採否を判断する上で非常に重視する項目でありながら、いざ書こうとすると「どの会社にも当てはまる当たり障りのない文章」になってしまう——これまで約2万人のキャリア相談に乗ってきた中で、何度も見てきた光景です。
志望動機の本質はシンプルです。「なぜ他社ではなく、この会社なのか」に、自分の経験と紐づけて答えること。これができていない志望動機は、どんなに丁寧に書いても採用担当の心に響きません。本記事では、通る志望動機の型、職種・状況別の例文、落ちるNGパターン、そしてベンチャー転職ならではの伝え方までを、私の現場経験から体系的にまとめます。
- 採用担当が志望動機で見ている2つのポイント
- 通る志望動機の「型」(結論→理由→貢献)
- 志望動機を作る5ステップ
- そのまま使える志望動機の例文
- 落ちる志望動機のNGパターン
- ベンチャー・スタートアップ転職ならではの伝え方
- 年代別・状況別の志望動機の作り方
採用担当が志望動機で見ている2つのポイント
そもそも採用担当は、志望動機の何を見ているのか。突き詰めると2つです。
- 本気度(なぜこの会社なのか)——自社をどれだけ理解し、どこに惹かれたのか。「どこでもいい」人は採りたくない。
- 再現性(活躍してくれそうか)——これまでの経験が、自社の課題解決にどう活きるのか。入社後の貢献イメージが湧くか。
つまり志望動機は「熱意を語る場」ではなく、「自分が自社で活躍する根拠を示す場」です。「御社の理念に共感しました」だけでは不十分。なぜ共感したのか、その共感が自分の経験とどう繋がり、入社後にどんな貢献をするのか——ここまで示せて初めて、採用担当は「この人を会ってみたい」と思います。面接で深掘りされる前提で、一貫したストーリーを作ることが大切です。面接対策とセットで考えると効果的です(ベンチャー転職の面接対策)。
通る志望動機の「型」——結論→理由→貢献
志望動機には、説得力が出る黄金の型があります。「結論(書き出し)→理由→入社後の貢献(締め)」の3部構成です。
| 構成 | 書く内容 | ポイント |
|---|---|---|
| ①結論(書き出し) | なぜこの会社を志望するのか、一言で | 最初の1〜2文で惹きつける |
| ②理由 | その会社でなければならない理由+自分の経験との接点 | 企業研究と自己分析を紐づける |
| ③貢献(締め) | 入社後、自分の強みでどう貢献するか | 再現性・即戦力性を示す |
この型の肝は②と③です。①の「結論」は誰でも書けますが、②で「企業理解×自分の経験」を、③で「入社後の貢献」を具体的に書けるかどうかで、ほぼ勝負が決まります。自分の経験や強みの棚卸しができていないと②③が薄くなるので、先に自己分析を済ませておきましょう(転職の自己PRの書き方ガイドが役立ちます)。
志望動機を作る5ステップ
- 企業研究を深める——事業内容・課題・カルチャー・競合との違いを調べる。IR・採用ページ・社員インタビューまで読み込む。
- 「惹かれた点」を3つ書き出す——事業の将来性、解決している課題、働く人、フェーズ……何に心が動いたかを言語化する。
- 自分の経験と接続する——惹かれた点と、自分の経験・強みが重なるポイントを探す。ここが志望動機の核。
- 入社後の貢献を描く——「自分の◯◯の経験は、御社の△△という課題に活かせる」と具体化する。
- 型に流し込む——結論→理由→貢献の順に整える。冗長さを削り、一読で伝わる長さに。
そのまま使える志望動機の例文
「貴社の『中小企業のDXを現場目線で支援する』という事業に強く共感し、志望いたしました。前職では法人営業として5年間、IT導入に不慣れな顧客への提案を担当し、解約率を業界平均の半分に抑えてきました。貴社が重視される『売って終わりにしない伴走型の支援』は、私がこれまで大切にしてきた営業スタイルそのものです。これまで培った顧客の不安を解きほぐす提案力を活かし、貴社の継続率向上に貢献したいと考えております。」
「大企業で培った業務の仕組み化の経験を、急成長中の貴社で活かしたいと考え志望いたしました。前職では整った仕組みの中で成果を出してきましたが、ゼロから事業を作る現場で自分の力を試したいという思いが年々強くなりました。貴社の『少人数で大きな課題に挑む』フェーズにおいて、私の業務設計・効率化の経験は、組織の急拡大に伴う混乱を整える場面で必ず役立つと考えております。」
例文はあくまで「型」の参考です。そのままコピーせず、必ず自分の言葉と具体的な経験に置き換えてください。採用担当は何百通もの志望動機を読んでおり、テンプレ感のある文章はすぐ見抜きます。
落ちる志望動機のNGパターン
逆に、採用担当の評価を下げてしまう典型的なNGパターンを押さえましょう。
| NGパターン | なぜダメか |
|---|---|
| 「社会に貢献したい」 | 抽象的すぎて、なぜこの会社かが伝わらない |
| 「成長したい」「スキルを身につけたい」 | 自分本位。会社は学校ではない |
| 「裁量が大きいから」 | どの会社にも言える+裁量=ベンチャーは短絡的 |
| 「給与・待遇が良いから」 | 本音でも、そのまま書くと貢献意欲を疑われる |
| 「商品・サービスが好きだから」だけ | 受け手の視点。提供側でどう貢献するかがない |
| 前職の不満・愚痴 | 他責的に見え、自社でも辞めると思われる |
特に多いのが「成長したい」「裁量が欲しい」です。気持ちはわかりますが、これは「自分が何を得たいか」であって「会社に何を提供できるか」ではありません。採用は「貢献してくれる人」を選ぶ場。視点を「get」から「give」に切り替えるだけで、志望動機の質は大きく変わります。これは前述の転職の失敗・後悔ガイドで扱う「ミスマッチの原因」とも通じる話です。
ベンチャー・スタートアップ転職ならではの伝え方
ベンチャー・スタートアップの志望動機では、大企業とは違う観点が問われます。私が支援する現場で、経営者が「この人と働きたい」と感じるポイントは次の通りです。
- 事業・ミッションへの本気の共感——なぜこの課題に取り組みたいのか、自分の原体験と結びつける
- フェーズへの理解——整っていない環境で、自ら動ける人材であることを示す
- 「裁量が欲しい」ではなく「貢献できる」——裁量は与えられるものではなく、価値を出した結果として得るもの
- 変化・不確実性を楽しめる姿勢——困難な状況でも挑戦を続けた経験があると刺さる
注意したいのは、「裁量が大きい=ベンチャー」という短絡です。扱う金額の大きさで言えば大企業の方が裁量は大きいことも多い。「なんとなくベンチャーが良さそう」ではなく、「なぜこの会社のこのフェーズで、自分が貢献したいのか」を語れることが重要です。ベンチャー転職全体の考え方はベンチャー転職の完全ガイドに、幹部・CxO層の志望動機の示し方はCXO転職ガイドにまとめています。
年代別・状況別の志望動機の作り方
20代:ポテンシャルと素直さを軸に
実績が少なくても、「なぜこの領域に挑戦したいか」の熱量と、吸収力・素直さを示せれば十分戦えます。背伸びした実績アピールより、本気度で勝負を。年齢別転職ガイドも参考に。
30代:経験と貢献の接続を明確に
即戦力が問われる年代。「自分の◯◯の経験が、御社の△△に直結する」という再現性を、具体的な数字とエピソードで示しましょう。
40代・50代:マネジメント・専門性で語る
個人の貢献に加え、組織をどう動かすか、専門性をどう移植するかが問われます。「自分が入ることで組織がどう変わるか」を描けると説得力が増します。
未経験職種への挑戦の場合
「なぜ未経験なのに挑戦するのか」への納得感が鍵。これまでの経験のうち「持ち運べる強み」を抽出し、新しい領域でどう活きるかを橋渡しして語りましょう。強みの言語化は転職成功の土台です。
よくある質問(FAQ)
Q1. 志望動機はどれくらいの長さが適切?
職務経歴書なら200〜400字程度、面接では1〜2分で話せる長さが目安です。長ければ良いわけではなく、結論→理由→貢献が一読で伝わる簡潔さが大切です。
Q2. 正直、給与アップが一番の理由です。どう書く?
本音が待遇でも、志望動機では「貢献」を軸に据えてください。年収交渉は別の場(オファー面談)で正々堂々と行うもの。条件交渉はオファー面談・条件交渉ガイドで解説しています。
Q3. 複数社に応募中。志望動機は使い回していい?
骨格(自分の強み・貢献)は共通でも、「なぜこの会社か」の部分は必ず一社ごとに作り込んでください。使い回しは採用担当に見抜かれ、本気度を疑われます。
Q4. 企業研究はどこまでやればいい?
事業内容・課題・競合との違い・カルチャーは最低限。採用ページや社員インタビュー、可能ならIR資料まで読むと、志望動機に深みが出ます。エージェント経由なら内部情報も得られます(エージェントの選び方ガイド)。
Q5. 志望動機が思いつきません。どうすれば?
思いつかないのは、企業研究か自己分析のどちらかが不足しているサインです。「惹かれた点」と「自分の経験」を別々に書き出し、重なる点を探すと核が見えてきます。それでも難しければ、その会社は本当に合っているか再検討を。
まとめ——志望動機は「なぜこの会社か」に尽きる
通る志望動機の条件は、突き詰めれば「なぜ他社ではなく、この会社なのか」に、自分の経験と紐づけて答えられていることです。結論→理由→貢献の型に沿って、企業研究と自己分析を接続し、入社後の貢献を具体的に描く。「成長したい」「裁量が欲しい」という get の発想を、「こう貢献できる」という give の発想に切り替えるだけで、志望動機の説得力は見違えます。
キープレイヤーズでは、ベンチャー・スタートアップへの転職を検討される方の志望動機づくりを、企業の内情を踏まえて一緒に磨いています。「志望動機がどうしても薄くなる」「この会社にどう刺せばいいかわからない」という方は、ぜひ一度ご相談ください。あなたの経験と、その会社が本当に求めているものを繋ぐお手伝いをします。