新卒でベンチャーに行った人の5年後│市場価値が上がる人・苦戦する人の決定的な違い

新卒でベンチャー・スタートアップに行った人の5年後
執筆者:高野秀敏
株式会社キープレイヤーズ/代表取締役
東北大→インテリジェンス出身、キープレイヤーズ代表。東北大学特任教授(客員)、12,000人以上のキャリア面談、4,000人以上の経営者と採用相談にのる。80社以上の投資、9社上場経験あり、2社役員で上場、クラウドワークス、メドレー。178社上場支援実績あり。顧問、アドバイザー、社外役員30社以上、キャリアや起業、スタートアップ関連の講演回数100回以上。「ベンチャーの作法」ダイヤモンド社5万部を超えるベストセラー

この記事でわかること

  • 新卒でベンチャー・スタートアップに入った人の5年後のリアルな実態
  • 市場価値が上がる人と苦戦する人の決定的な違い
  • ベンチャーとスタートアップの具体的な違いと選び方
  • フェーズ別(創業直後・シリーズA・シリーズB)のリスクとリターン
  • 大企業に行った同期と本当に差がつくタイミング

新卒でベンチャーに行くべきか。学生から最もよく聞かれる質問です。ただ、この質問にまともに答えられる人は実はほとんどいません。就活の情報を持っている人は転職市場を知らず、転職市場を知っている人は学生と接点がないからです。キャリア相談1万2000件以上、経営者・エグゼクティブの支援4,000件以上。そのなかで新卒でベンチャー・スタートアップに入った方の5年後、10年後を数多く見てきました。実際に何が起きたのかをお伝えします。

目次

結論:5年後は二極化する。分かれ目は「任された範囲」

先に結論です。新卒でベンチャーに行った人の5年後は、はっきり二極化します

そして分かれ目は、会社の知名度でも規模でもありません。5年間で何をどこまで任されたかです。事業を一つ任され、数字を持ち、人を動かした経験がある人は、27〜28歳の時点で市場価値が跳ね上がります。一方、忙しく働いたが担当範囲が広がらなかった人は、大企業に行った同期より苦しくなります。

「ベンチャーに行ったから成長する」は誤りです。任される環境に身を置けたかどうかが全てです。ベンチャー転職全般の考え方はベンチャー転職 完全ガイドにまとめていますので、あわせてご覧ください。

まず、ベンチャーとスタートアップは違います

学生の相談を受けていると、この2つを同じ意味で使っている方がほとんどです。就活では区別せず語られますが、実態はかなり違います

ベンチャー スタートアップ
定義 成長を目指す若い企業全般(日本独自の言い方) 新しい仕組みで急成長を狙い、外部から資金調達をしている企業
ビジネスモデル 既存モデルで着実に伸ばす会社も含む 革新的なモデルで短期間の急成長を目指す
資金調達 自己資金や融資中心も多い 株式による外部調達が前提
成長スピード 緩やかだが着実 急成長。ただし消える確率も高い
安定性 比較的安定 成長か消滅か、振れ幅が大きい
5年後の見え方 堅実に伸びている可能性が高い 大きく化けるか、存在しないか

この違いが、5年後を大きく左右します。どちらが良いかではなく、どちらが自分に合うかで選ぶべきです。株式による調達をしているかどうかが実務上の分かれ目だと覚えておいてください。

5年後に市場価値が上がっていた人・苦戦していた人

私が実際に見てきた数百のケースから、5年後に差がついた要因をまとめます。

市場価値が上がっていた人 苦戦していた人
数字 売上でも利用者数でも「自分が何をどれだけ動かしたか」を説明できる 忙しかったが、担当範囲が広がらなかった
職域 営業→事業設計など職種を横断して経験している 同じ業務を大量にこなす役割で固定された
会社の成長 伸びている会社にいてポジションが自然と増えた 会社が伸びず、実績を作る機会が限られた
上司 優秀な上司の下で、5年間の学びの質が高かった 教えてくれる人がおらず、基礎動作が身につかなかった
語り方 「何を成したか」を具体的に語れる 「◯◯というスタートアップにいました」としか語れない

成長と作業量は違います人手が足りない会社では、同じ業務を大量にこなす役割で固定されることがある。これは本人の能力とは関係なく起きます。会社選びの段階で「任される環境かどうか」を見極めることが極めて重要です。

「新卒でベンチャーはやめとけ」は正しいのか

半分は正しく、半分は間違いです。

正しい部分は、研修も制度もない環境で、自分で動けない人は本当に苦しくなるという点です。大企業は新人を育てる仕組みに投資しています。ベンチャーにその余裕はありません。手取り足取り教えてもらえる前提で入ると、確実に後悔します。転職の失敗パターンについてはベンチャー転職 失敗・後悔ガイドで詳しくまとめています。

間違っている部分は、「ベンチャーに行くと転職できなくなる」という主張です。これは事実ではありません。中途採用の現場で見られるのは会社名ではなく、何を成したかです。むしろ20代で事業を動かした経験がある人は、大企業からも強く求められます

ただし、これは任される環境にいた場合に限るという条件付きです。だから「やめとけ」と言われるのも、まったく的外れではありません。

フェーズ別の比較:創業直後・シリーズA・シリーズB

ベンチャーといっても、フェーズによって入社後の経験はまるで違います。

創業直後(数人〜10人) シリーズA前後(20〜50人) シリーズB以降(100人以上)
裁量 最大。何でもやる 高い。任される可能性が最も高い 中程度。役割が明確になりつつある
リスク 事業が消える確率が最も高い 創業直後より低い。事業の形が見え始めている 比較的安定。制度も整い始める
学びの質 何でもやるが、教わる環境はない 実践で学べるバランスが良い 教えてくれる人がいる。基礎が身につく
5年後の振れ幅 創業メンバーとして大きなリターンか、短い職歴 事業責任者になれる可能性が高い 成長企業の経験は積めるが、突出しにくい
おすすめな人 覚悟がある人だけ 新卒にとって最も現実的な選択肢 迷っているならここが無難

迷っている方には、シリーズA前後かシリーズB以降をおすすめしています。創業直後は裁量が最大ですが、会社が続かなければ職歴が短く終わります。新卒でここに入るのは、覚悟がある人だけにおすすめします。年収の考え方は年収・手取りガイドもご覧ください。スタートアップの場合、ストックオプションの設計次第で実質的な報酬が大きく変わります。

大企業に行った同期との差はどこでつくか

よく聞かれますが、5年目の年収で比べると、多くの場合は大企業のほうが高いです。ここは正直にお伝えしています。

大企業 ベンチャー・スタートアップ
入社5年目の年収 500万〜600万円(安定) 400万〜700万円(振れ幅大)
入社5年目の肩書 担当〜主任クラス 責任者・マネージャーを経験している可能性
28〜32歳での市場価値 担当実績。管理職経験はまだ 人を動かした経験があれば評価が跳ね上がる
35歳以降 管理職への昇進待ち 事業責任者やCxOの選択肢が開く

差がつくのは28歳から32歳あたりです。大企業の同期が「担当」を続けている時期に、ベンチャーの人は「責任者」を経験します。転職市場で管理職・事業責任者のポジションが開くとき、実際に人を動かした経験があるかどうかで評価が分かれます。経営幹部としてのキャリアに関心のある方はCXO転職ガイドもあわせてどうぞ。

ただし繰り返しますが、任された場合に限ります

地方の学生はどうすればいいか

地方大学の学生から相談を受けることが増えました。都市部の学生と比べて、実力ではなく情報量で差がついているのが実情です。

具体的には、どんな会社があるかを知らない、社会人に会う機会がない、インターンの選択肢が少ない。この3つです。

いまはオンラインで解消できます。多くのスタートアップがリモートのインターンを受け入れていますし、経営者に直接連絡が取れる時代です。地方にいること自体は不利ではありません。情報を取りに行かないことが不利になります

迷っている学生がいまやるべき3つのこと

  1. フェーズを見る癖をつける。何人いて、どこまで調達していて、何年目か。この3つを聞くだけで会社の実態がかなり分かります。
  2. 誰の下で働くのかを確認する。会社ではなく、直属の上司になる人に必ず会わせてもらってください。断られるならその時点で判断材料です。
  3. 社会人に会う。1人でも実際に働いている人に話を聞くと、ネットの情報がいかに雑かが分かります。

年代別のキャリア戦略については年齢別転職ガイドにまとめていますので、あわせてご覧ください。

よくある質問(FAQ)

新卒でベンチャーに行くとどうなりますか?

5年後に二極化します。分かれ目は会社の知名度ではなく、5年間でどこまで任されたかです。事業を任され数字を持った人は27〜28歳で市場価値が大きく上がります。一方、忙しく働いたが担当範囲が広がらなかった人は、大企業に行った同期より苦しくなります。ベンチャーに行けば成長できるわけではなく、任される環境にいられたかどうかが全てです。

ベンチャーとスタートアップの違いは何ですか?

ベンチャーは成長を目指す若い企業全般を指す日本独自の言い方で、既存のビジネスモデルで着実に伸ばす会社も含みます。スタートアップはそのなかでも新しい仕組みで急成長を狙い、外部から資金調達をしている会社を指します。株式による調達をしているかどうかが実務上の分かれ目です。スタートアップは成長が速い一方で潰れる確率も高くなります。

新卒でベンチャーはやめとけと言われるのはなぜですか?

研修も制度もない環境で、自分から動けない人が苦しくなるためです。ここは事実です。ただし「ベンチャーに行くと転職できなくなる」という主張は正しくありません。中途採用で見られるのは会社名ではなく何を成したかで、20代で事業を動かした経験がある人は大企業からも求められます。

新卒でスタートアップに入るなら、どのフェーズがいいですか?

迷っているならシリーズB以降(100人以上)が無難です。制度が整い始め、教えてくれる人もいます。裁量を最優先するならシリーズA前後(20〜50人)が現実的で、事業の形が見え始めていて、かつ人が足りないため任される可能性が高くなります。創業直後は裁量が最大ですが事業が消える確率も最も高く、覚悟がある人だけにおすすめします。

大企業に行った同期と差がつくのはいつですか?

5年目の年収では多くの場合、大企業のほうが高いです。差がつくのは28歳から32歳あたりで、大企業の同期が担当を続けている時期に、ベンチャーの人は責任者を経験します。転職市場で管理職や事業責任者のポジションが開くとき、実際に人を動かした経験があるかで評価が分かれます。

地方の学生がベンチャーやスタートアップを目指すのは不利ですか?

不利ではありません。差がついているのは実力ではなく情報量です。どんな会社があるか知らない、社会人に会う機会がない、インターンの選択肢が少ない。この3つが原因ですが、いずれもオンラインで解消できます。地方にいることではなく、情報を取りに行かないことが不利になります

学生でもキャリアの相談はできますか?

できます。キープレイヤーズでは学生の方からのご相談も無料でお受けしています。就職先を決めていない段階でも、ベンチャーに興味があるという程度でも構いません。転職の勧誘はしませんし、大企業を選ぶという結論でも問題ありません。

まとめ:会社を選ぶのではなく、任される環境を選ぶ

新卒でベンチャーやスタートアップに行くかどうかは、それ自体が正解でも不正解でもありません。5年後を分けるのは、任される環境にいられたかどうかです。

だからこそ、会社の知名度や調達額ではなく、自分がそこで何を任されるのかを確認してください。それは求人票には書いてありません。人に聞くしかありません。

キープレイヤーズはベンチャー・スタートアップに特化し、キャリア相談1万2000件以上、経営者・エグゼクティブの支援4,000件以上に関わってきました。学生の方のご相談も無料でお受けしています。まだ何も決まっていない段階でも構いません。

無料のキャリア相談はこちらから。ひとことだけでも構いません。

あわせて転職するか迷っているときの判断基準もご覧ください。

なお、私のオンラインサロン「転職についてゆるく話す会」では、新卒の方も含めたキャリア相談やベンチャー情報の共有をしています。お気軽にご参加ください。

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この記事を書いた人

東北大→インテリジェンス出身、キープレイヤーズ代表。東北大学特任教授(客員)、12,000人以上のキャリア面談、4,000人以上の経営者と採用相談にのる。80社以上の投資、9社上場経験あり、2社役員で上場、クラウドワークス、メドレー。178社上場支援実績あり。顧問、アドバイザー、社外役員30社以上、キャリアや起業、スタートアップ関連の講演回数100回以上。「ベンチャーの作法」ダイヤモンド社5万部を超えるベストセラー

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