株式会社セレス 常務取締役 兼 管理本部長 小林 保裕
1994年、早稲田大学商学部を卒業後、第一生命保険株式会社(元・第一生命保険相互会社)を経て、2004年、三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社(元・三菱証券株式会社)に入社。株式公開支援業務に従事。2006年、同社を退社し、同年10月、株式会社セレス取締役に就任、2017年4月、株式会社セレス常務取締役に就任。
目次
セレスを上場させてわかったこと
高野:前半では、「セレスCFO 小林 保裕さんの語る、ベンチャー転職のリアルと仮想通貨ビジネスの今後の展望」をテーマに、小林さんのご経歴をフックに、ベンチャー転職のリアルや仮想通貨ビジネスのトレンドなど、たくさんのお話をお伺いしました。
後半では、「上場」と「CFO」をテーマにお話をお伺いしたいと思います。セレスさんは、2014年10月に東京証券取引所マザーズ市場に上場され、2016年12月に東京証券取引所市場第一部へ市場変更をされています。実際に上場業務を経験され、良かったことはありますか?
小林:上場して良かったことは、会社として大人になれたことが大きいですね。上場会社には法律を含めた様々なルールの上で最大のパフォーマンスを発揮することが求められます。
上場準備開始前にはあまり意識しなかったことを、上場準備というプロセスを通してトレーニングされた感覚です。こうしろという先生がいるわけではありませんが、ルールへのアジャストや振る舞いを直す過程を通じて、会社として大人にしてもらった印象があります。
高野:本当に手探り状態でスタートしたとお話しする会社さんが多いですよね。
小林:会社として一段成熟する、社会の公器としての役割を果たさないといけないみたいな部分では視座が変わりましたね。
準備開始前は、売上・利益・至上主義という部分もあり、多少やんちゃだったこともあったと思います。それが、実際に上場準備や上場することで洗礼され、矯正されて来たとも感じますね。
上場によって、資金調達の手段が多様化したり、優秀な人材の採用力がついたことももちろんありました。
高野:セレスさんは上場した後も、投資に積極的だった印象を持ちます。
小林:代表と私が投資銀行出身でもあり、かなり投資には積極的ですね。
上場後は、仮想通貨事業を中心に投資を加速させました。この萌芽と拡大のステップの中で、まずは出資をしたのは合理的な判断だったと考えています。
上場準備で大変だったこと
高野:上場のプロセスで大変だったことは何でしょうか?
小林:どこの企業も予算統制で苦労すると思います。
しかし、セレスは予算統制ではあまり苦労しませんでした。スマートフォン広告市場が本格的に立ち上がり売上が伸びるタイミングが上場準備のタイミングとちょうど重なったので、月次ベースで立てた予算を下回ることはありませんでした。そこのストレスがほぼなかったのはラッキーでしたね。
高野:この、「予実が合わない問題」が上場準備で皆さんが一番苦労するがポイントですよね。堅実なビジネスモデルと組織ができていた証拠ですね。
小林:一方、私の上場準備の仕事内容としては辛かったですね。
上場申請のための有価証券報告書(Ⅰの部)と新規上場申請者に係る各種説明資料の作成は本当に大変でした。これを作れる人が社内に私しかいなかったのです。
高野:Ⅰの部等は、上場審査において、中核をなす重要な審査書類ですよね。
原則的に連結ベースでの作成を求められており、内容も多岐にわたり、広範なデータや根拠資料が必要とされるため、作成分担の決定、必要データの確認・収集等、早い段階から作成に着手することが望まれているはずですが。
小林:しかし、当時のセレスの管理部門は最低限の人数で運営されていたため、私しかそれらの書類を作ることができる人間がいませんでした。取締役が自ら作文し、データを集めて100ページを超える資料を作成しました。今、同様の作業をやれと言われても出来ればご遠慮したいですね(笑)。
高野:お疲れ様です。
小林:細かな会計処理の整理はそこまで大変ではありませんでした。一方、人材を揃えたり組織体制を整えること関しては会社経営の思想に通底するものであったりするので、時間をかけました。
管理部門が汗をかいて必要なものが揃えば、上場出来ますというフェーズではありましたね。
上場時のバリュエーションの考え方
小林:バリュエーション(時価総額)の設定においては証券会社と対立関係になることもありました。
セレスは上場する時にまとまった成長資金を調達したいという思いがあり、上場時の公募価格をどの水準にするのが適切なのか主幹事証券会社との間で大いに議論がありました。
高野:基本的にはどこの会社も高く出たいわけですよね?
小林:私の経験上、投資家にしっかり根拠が説明ができるのであれば、上場時にはなるべく高いバリュエーションで出ることを目指すべきであると思います。理論上、株価は売買を通して適正価格に収れんするものですが、実態としては上場時の価格がどの水準になるかによって、調達額だけでなくその後の株価推移にも影響がでることも多いからです。
上場時のバリュエーションが50億なのか100億なのか、 1,000億なのかによってその後の株価の動きの基準点と売買に参加する投資家の顔ぶれが変わってくると思います。
高野:どんなご経験からこれが言えるのですか?
小林:私は投資銀行出身です。その時に接触したアナリストやファンドマネージャーの中には、時価総額100億円以下の銘柄は基本的にカバーしませんという人も多くいました。
高野:機関投資家的は投資しても、仕事のインパクトがないと考えられてしまうのですね。
小林:おっしゃる通りです。例えば、数千億円を運用する機関投資家を想像してみてください。巨額の資金を運用する投資家が、投資実行する時のワンショットは数十億円になることも普通にあります。
その時、時価総額が100億円程の会社を投資対象として見られるかを考えてみてください。数十億円を一社に投資してしまったらそこで相場をゆがめてしまう可能性があります。そのことで投資を躊躇することもあるのです。
一方で、投資効率の観点からは、細かく投資した際に管理コストが大きくなってしまうという問題もあります。そのため、運用資金の大きな投資家の中にはまとまった額を投資したいと投資先を探す会社もあります。
高野:会社のバリュエーションを考える時、機関投資家の目線も踏まえることが大切ですね。
小林:私はセレスの上場時にロードショー(上場承認後の株式公開を行う前に、様々な機関投資家に向けて行う会社説明会)で43の機関投資家を訪問しました。
その時、機関投資家の担当者の方からよく言われたのは、「いつ時価総額100億円を超えるんですか?」「経常利益はいつ10億円を超えるんですか?」という言葉でした。
そのため、個人投資家だけでなく機関投資家にも投資対象として見てもらうには、バリュエーションと業績を意識することも大事なんだと考えるにいたりました。
上場をゴールとせず今後の企業成長の起爆剤と考えよう
高野:残念なことにスタートアップの上場後の成長率に関して、上場がゴールであると揶揄されるケースもあります。いかに継続的な成長が難しいかということを意味しているのだと思います。
セレスさんは、上場後も確実に成長を遂げていますよね。なぜそれが実現できているのでしょうか。
小林:上場するときにある程度のまとまった額の成長資金を確保できないと、その次の事業展開がすごく難しくなります。この点を意識していました。
セレスはマザーズ上場時に約11億円を調達し、東証一部に鞍替えするタイミングで約20億円を調達することができました。この31億円の調達がその後のビジネスの展開に大きく影響しています。
高野:上場は通過点であり、ゴールではないですもんね。
小林:事業が最大限背伸びした状態の時に上場するケースも見られます。
上場後、十分な成長資金を確保できず、かつ、そこからの事業の伸びしろがないとどうしても業績は停滞し株価は下がる傾向にあります。ただでさえ、時価総額100億円以下で上場して、そこから株価が更に低迷してしまうと投資家から注目されにくい会社になりますしね。
誰も見てくれなくなるということはまとまった資金の調達が難しくなることも意味します。時価総額100億円で10%の希薄化を前提にすれば10億円を調達できますが、時価総額30億円では同条件で3億円しか調達出来ないのです。
これを考えると近時の未上場企業のエクイティファイナンスの方がよっぽど大きな額を調達出来ていたりしますよね。
高野:今のご時世はそうですよね。
小林:上場してから3〜4年たって痛感しますが、将来性を含め事業をご理解いただけるように丁寧な開示をしていくことを通じて、株価がフェアバリューに置かれるようになることが大事なんだなと思うようになりました。
高野:非常に参考になりました。
CFOの仕事の醍醐味は上場後にある
小林:上場後、程なくして会社をお辞めになるCFOもいらっしゃると思います。上場後に更なるキャリアアップを他の会社で目指すことも選択肢としてはあります。これを否定している訳ではありません。
しかし、私は個人的に思うのは上場までのチャレンジだけでなく、上場後に控えている会社を更に伸ばして、投資家の期待に答えていくチャレンジも(茨の道では有りますが)楽しいよとお伝えしたいです。私は上場を果たしても(セレスからクビって言われたら別ですが)会社を変わる理由が全くないと思っています。
高野:具体的に楽しいチャレンジとは何でしょうか?
小林:例えば、誰もやったことがない、本邦初のような仕事にも挑戦できたりします。
セレスで力を入れている仮想通貨関連ビジネスにおいては、各種手続きや仮想通貨に関する会計処理を監査法人等の関係各所と相談しながら模索していく仕事がありました。これは新たに道を作っていくようで楽しかったです。
高野:この仕事を楽しめるかも大切ですね。
小林:挑戦しながらも目の前では、自分たちが作った中期計画をどうやって達成させるのか、そのために必要な資金はいくらでどう調達するのかも常に考えています。
セレスで行った初のケースとして、東証一部への市場変更の準備をしながら、ムービングストライク型の新株予約権を使った資金調達をしました。それは、その当時、初の試みでこの2つを同時に準備した会社はありませんでした。特にインサイダーについては非常に神経を使いましたし、情報コントロールに苦労しました。
こんなチャレンジは大変ですが、純粋に楽しいです。ハイプレッシャーな仕事を楽しいと思える一種のアドレナリンジャンキーのような方にマッチしている仕事であるとは思いますね(笑)。
上場後はチャレンジの種類や会社のステージが変わっていくので、それはもうめちゃくちゃ刺激的です。
CFOになるには
高野:小林さんのようなCFOのキャリアを目指している方に、アドバイスを頂戴したいです。アドレナリンジャンキーのポイントに加えて何が必要でしょうか?
小林:最近お会いするCFOの方で増えてきたなと思うCFO以前のキャリアは、大きく分けて二系統あると思います。
①監査法人にいた会計士
②投資銀行にいた人
どちらのバックグラウンドの方もCFOとしてご活躍する可能性が高いと思います。CFOとしてやるべき業務や就任後に遭遇する出来事はだいたい初めての体験なので、自分で調べてチャレンジしなければならないことがたくさん待っています。
結局のところ、最後自分が責任を持つというマインドがあり、困難にも前向きに取り組めれば大丈夫だと思います。
そして、皆さん意外と気にされるポイントですが、前職と転職先の事業内容が乖離していても基本的にはあまり心配はいりません。現に私も、セレスのポイントメディア事業がどんな仕組みで運営されているのかをほとんど理解しないで、入社しています。
高野:ある意味これまでの仕事内容や過去の成功体験に固執しないことも大切ですね。
小林:未上場ベンチャー企業のCFOの仕事は、一言でいうと「人・物・金の調達」です。ある意味、CFOより管理本部長といった方がイメージが合うかもしうません。その仕事の中でも特にCFOはお金の調達がメインの仕事になりますね。
投資銀行出身の方にとってアドバンテージになるのは、ファイナンスを理解し、手続きを含め「お金の調達」という業務ができることです。私もベンチャーキャピタル業務の経験があったり、直前は投資銀行の出身だったため、このバックグラウンドは武器になりました。
会計士出身の方はアカウンティング(財務会計)が武器ですね。決算の締切業務は当然ながら、新たな分野にチャレンジしているベンチャー企業にとって、監査法人と会計処理や内部統制について議論・整理する局面は多くあります。
この時にアカウンティングの知識を大いに活かすことができます。ただ、直接的にこれまでの仕事内容が活きてくるのは会社が上場準備を本格化させるフェーズであることも多いかもしれませんね。
高野:確かにそうですね。
小林:自分のスキル特性がどこにあって、10〜20名のベンチャーで価値をどう発揮するのか、あらかじめ想定しておくことをおすすめします。その過程で補っておいた方がいいスキルが見えてくるかもしれません。
CFOをやりたい人には、監査法人に勤める30才手前の若手の方が多いように思います。彼らにはアカウンティングにプラスαのスペシャルを身につける努力をして欲しいと思います。そのほうが絶対に活躍できる範囲が広がります。
高野:具体的にはどんなアクションを取ればいいのですか?
小林:いきなり未上場ベンチャー企業のCFOを目指すのではなく、事業会社の投資銀行等に転職し、資金調達手法を学ぶ、ベテランのCFOの下でスタッフとして経験を積むといった選択肢があると思います。特に監査法人出身のCFOの下でというのは良い環境かと思います。
性格的な要因もありますが、監査法人出身の方がいきなりスタートアップ企業のCFOになられて苦労されるというケースも実際見て来ました。企業のステージが初期であればあるほどCFOが担う業務の範囲は広がりますし、(会社を存続させるという意味を含め)資金調達に関する実務が出来ないと仕事にならないという側面があったりします。
ただ、監査法人出身の方がいきなりCFOになるのはよくないというわけではありません。
監査法人の経験だけで十分CFOがやれるという意識だと厳しいということだと思います。実際、資金調達の交渉の現場で投資家との共通認識(ファイナンスの土地勘みたいなもの)がないと難しい業務であるのは事実ですね。
高野:確かにこの状態で百戦錬磨のキャピタリストと仕事をするのは難しいですね。
小林:監査法人にいてもこの領域の勉強はできますし、ネットワーキングやできることはあるので意識されるといいと思います。
経営者の皆様必読!CFO採用にあたり着目すべきポイント
高野:たくさんの経営者の方が小林さんのようなCFOを探しております。CFO採用にあたり着目すべきポイントを教えてください。
小林:仕事にコミットしてくれる人を採用できるかがキーになります。マインドに注目してください。
高野:スキルセットだけではなくマインドを見るべきなのですね!
小林:これまでお話しした通り、金融バックグラウンドこそありますが、実際の業務はだいたい初体験です。現に私もそうでした。
アドレナリンジャンキーの素養があれば、困難も楽しめますし前向きに仕事に取り組めると思います。おそらく、未上場ベンチャー企業のCFOとして採用されたい方は、体力的な部分は大丈夫な方々です。
高野:確かにそうですね。
小林:セレスでの資金調達の際に、私は自分がベンチャーキャピタリストをしていた時のネットワークも活用して投資家の方々に、自分がセレスのCFOを責任もってやりますので投資してくださいと言ったことがあります。
調達時、「セレスはスタート間もない会社です。上場するか潰れるか全く分からないですが、少なくともどちらかの結論が出るまで絶対に私は辞めません。」とお話ししていました。だから投資してくれと。
高野:そこのコミットメントがある方を採用することが大切なんですね。
小林:事業会社のCFOとして2〜3年働き、まだまだ会社の成功までは時間かかりそうだし、そこまで待てないと悩んでいる方もいるかもしれません。個人的には自分のターンがくるまで会社や事業を信じて待てない人は、他の会社に行っても結局はチャンスを掴めないと思っています。
波乗りみたいに、ターンがくるタイミングを予測できる方はいいのですが、そんな方はほとんどいないので。
高野:経営者の方はCFOにこのマインドを確認して頂きたいですね。
小林:また、スタートアップの泥臭い仕事に対する覚悟感と耐性も確認するべきです。
私も想像以上に、泥臭い仕事を経験しています。今でも忘れられないのは、セレス初の銀行借入です。
セレスの初めての銀行借入では、社長と二人で東京信用保証協会に行って会社の状況や利益計画を説明して保証書をいただき、その保証書をみずほ銀行に出して、1,000万円を貸していただきました。
保証協会の窓口で手続きを待たれている方は、我々以外はほぼ銀行の担当者さんで、いきなり受付の方に「株式会社セレスさん」と呼ばれた時は、銀行名以外の名前が呼ばれたせいか、みんなこっちを見るんです。「誰だ?」みたいな。
高野:確かにざわつきますね。
小林:すごく変な気分でしたよ(笑)。会社も調子がいいという状況では無かったので、銀行に資金の相談をして足許を見られるのが嫌でそんな行動をとったんですが、無知ゆえですよね。でも、これがセレス初の銀行借入です。銀行借入も今では16億円程度ありますが、最初の1,000万円はまさにこんな手さぐりで借りてましたね。
CFOの採用にあたっては「こんな仕事もお願いします。あなたはそれができますか?」、この確認も大切だと思います。
高野:この泥臭さは投資銀行や会計士の方が持つ業務イメージをはるかに超えていますよね。
ベンチャー・スタートアップの成功要因を全ては測定出来ない
小林:企業の成長には計算できないラッキーな要素が含まれていると思っています。企業は、着実に成長してその事業を市場が求めるタイミングがくるまで待つ忍耐力を持つことも大切です。
高野:正確に計算できないマーケットの動きがありますね。
小林:セレスが2014年にIPOできたのは、当然、事業の成長がベースにあるのですが、一方で色々な偶然が重なったからだとも思います。
例えば、マクロで見ればインターネット広告に出稿する広告主が徐々に広告効果をシビアに求めるようになった結果、費用対効果の明確なアフィリエイト広告が注目されるようになりました。そして、それをメインに扱っているセレスのポイントメディアが収益を拡大するようになりました。
また、iPhone4が発売されたことを契機に、ガラケーからスマートフォンに利用者の端末がシフトしたというのも我々にとっては大きな事業環境の変化でした。
従来、ガラケーをメインにポイントサイトを運営していた時期は、着メロや待ち受け画像のコンテンツに月額300円程度を課金するようなビジネスをしていた所謂コンテンツプロバイダーがメインの広告主でした。
しかし、利用者の端末がスマートフォンに移行して通信回線が太くなり、表現の自由度を増したリッチなコンテンツを提供できるようになったことから、徐々にナショナルクライアントがモバイル端末(スマートフォン)を広告媒体として認知するようになってきました。
高野:こんな要素は事業会社がコントロールできることではありませんね。
小林:時代の先読みは出来ますが、コントロールは不可能です。
しかし、この流れの中で、いち早くスマートフォンメディアへの移行を行ったので急速に拡大するスマーフォン広告のパイを取れました。
時代の変化が読めてそれにキレイに乗れる人はそれでいいと思うのですが、逆に、時代が求めるタイミングが来るまで自分の事業を残すことができるのも大切であると思います。
セレスはこんな方を探しています
高野:最後にセレスさんの欲しい人材像をお聞きしたいと思います。
小林:メディアも管理も投資も全ての部署で人が欲しいです。
募集している職種に対して、未経験であることは全然問題ないと思います。
ただ、「なんでその仕事をしたいのか?」「なんでこの仕事じゃないと駄目なのか?」「この仕事を通じて将来どうなりたいのか?」「そもそもどんなキャリアを描いているのか?」といった質問に対して具体性の高い回答を持っている人がいいです。
「何の仕事をしたいの?」と聞いた時、「人々を笑顔にする仕事がしたいです。」は正直に言ってあまり魅力を感じません。これは質問に答えているようで実は何も答えていません。そもそも相手が笑顔にならなかったら価値を提供していない訳なので、仕事として成立してないとも言えますよね。
高野:自分のwillを言語化して語ることって難しいですよね。
小林:30分〜1時間の面接でこの人は仕事ができるのか、判断するのは非常に難しいと思っています。
判断が難しいという前提に立つなら、採用の現場では、仕事に生きそうな候補者の素養に賭けなければいけません。それが何かといえば、仕事における具体的なビジョンなんです。「私はこれを本気でやりたいです。」という深い想いに、会社として賭けてみるしかありません。もちろん、会社はそれを実現できるサポートもしますが、この深い思いがあるかどうかが重要です。
高野:個々人の将来の可能性を見ているのですね!
小林:誰しもが仕事をすれば困難な局面に遭遇します。そんな会社を辞めたいなと思った時に、仕事における具体的なビジョンが明確であれば、なぜうちの会社に入ろうと思ったのか、応募してきた時の「想い」を思い出させてあげることができます。
また、基本的なポテンシャルとして地頭が良い、独自の素晴らしいネットワーク持っているなど、そのあたりも1つの才能として見ています。さらに加えますと、今の従業員140〜150人のフェーズで必要となるのは、任された仕事に対するコミットの深い方ですね。
高野:小林さんのようなコミットメント力がある方ですね!
小林:管理部門は専門性が高いのでそれぞれに特別なスキルを持っている人を採用する傾向はあります。
最近では弁護士や公認会計士も採用しています。ある分野でスペシャリティのある方を管理部が採用するようになってきました。
私たちとしては、起業など仕事における新たなチャレンジが理由となっている退職は良いと思うのですが、従業員の希望と任せる仕事のアンマッチによる退職者を減らしたいと考えています。その意味からも、採用活動に臨むスタンスはいつでも本気です。
高野:素敵なお話をありがとうございました。
キープレイヤーズ高野のコメント
創業からマザーズ上場。そして東証一部上場へ成長発展されているセレスさん。その中でCFOをされている小林さんにかなりリアルなお話が伺えたと思います。小林さんを通じて、私自身もセレスさんについての理解がより深まりました。
大変好調なセレスさんでは、現在多くのポジションがあり、優れた人材を探されております。会社選びのポイントに、「誰と働くか」があります。その意味でもセレスさんには各界のプロフェッショナルが集まっておりオススメの企業様です。
コアとなる事業領域が手堅く、新領域にも絶えず投資や挑戦をされているセレスさんはある意味、第二の創業期ともいえます。新オフィスは駅直結で、デザインも素晴らしく快適でした。
将来はCFOを目指していて、小林さんのような経験豊富な方と働きたい方は多いと思います。CFOを目指している方に、小林さんのキャリアや考え方は1つのベンチマークとして見て頂きたいです。
また、CFOを採用したいという経営者の方もこちらのメディアをよくご覧いただいているという声も伺っております。ぜひ、CFO採用にあたり着目すべきポイントは参考にして頂きたいです。
スタートアップ・ベンチャー業界が今は盛りがっている時期ですが、「採用」のところは残念ながら充足できていない企業さんばかりです。是非多くの方にスタートアップ・ベンチャー業界に挑戦していただきたいと考えております!
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セレスCFO 小林保裕さんの語る、ベンチャー転職のリアルと仮想通貨ビジネスの今後の展望