キープレイヤーズ高野秀敏の推薦書NETFLIXの最強人事戦略 自由と責任の文化を築く

コラム          
       
       
     

経営者・人事さんの皆さんオススメの1冊

今回は、キープレイヤーズ高野秀敏の推薦書として、経営者・人事の皆さんにオススメの1冊をご紹介させて頂きます。「NETFLIXの最強人事戦略 自由と責任の文化を築く」です。書店で目にしたことのある方も多いのではないでしょうか?

 

【「どうすればネットフリックスの成功を支えてきた、あの俊敏なハイパフォーマンス文化を形成できるのか」それを説明するのが本書である】(本文抜粋)

 

最強の人事戦略を問わず、企業経営における大切なエッセンス満載の1冊となっています。私はたくさんの経営者・人事の皆さんとお会いして、最新のリアルなトレンドをキャッチアップさせて頂いております。改めて大切だと思うのは、リアルなトレンドの学びと書籍で得たの学びを踏まえて、実践することです。

 

皆さまお忙しい中だとは思いますので、今回はポイントを整理させて頂きました。そして、この書籍を手に取り、実践することで少しでも採用成功に繋がりますと幸いです。

 

内容概要

NETFLIXの最強人事戦略 自由と責任の文化を築く

 

 

DVDの郵送レンタルから、映画のストリーミング配信、独自コンテンツ製作へと業態を進化させながら驚異的な成長を続けるNETFLIX。その成功の秘密は、型破りな人事制度に支えられたカルチャーにある。「業界最高水準の給料」「将来の業務にふさわしくない人は解雇」「有給休暇は廃止」等、同社の元最高人事責任者が刺激的な戦略の精髄を示す。「シリコンバレー史上、最も重要な文書」と呼ばれたNETFLIX CULTURE DECKを元に書籍化!

 

目次

序章 新しい働き方

ー自由と責任の文化を育む

(人にはもともと力がある。それを取り上げてはいけない/人の力を解き放て/自由と責任の規律)

 

第1章 成功に貢献することが最大のモチベーション

ー従業員を大人として扱う

(優れたチームは嬉々として挑戦に立ち向かう/迅速でなければ、思いがけないニーズやチャンスに対応できない/光明が見えた)

 

第2章 従業員一人ひとりが事業を理解する

ー課題が何であるかをつねに伝える

(人は仕事に娯楽を求めない、学びたいのだ/コミュニケーションのハートビート/コミュニケーションは双方向で/どんなレベルの従業員も事業を理解することができる/飲み会よりも、事業や顧客について学ぶ機会を提供しよう/継続する)

 

第3章 人は嘘やごまかしを嫌う

ー徹底的に正直になる

(それ直接言ったの?/人は批判を歓迎するようになる/フィードバックの与え方を練習しよう/上司が模範を示せば部下もそれをまねる/フィードバックの仕組みを設ける/全員が事業に関する問題について知る権利がある/間違いを素直に認めればより良いインプットが得られる/オープンな共有は歴史の書き換えを難しくする/匿名調査が発する矛盾したメッセージ)

 

第4章 議論を活発にする

ー意見を育み、事実に基づいて議論を行う

(根拠に基づく意見をもとう/データ自体には何の意見もない/見栄えはよいが中身のないデータに注意/事業のため、顧客のための議論に徹する/私心のない人という評判を得よう/自分のやりたい議論を企画する)

 

第5章 未来の理想の会社を今からつくり始める

ー徹底して未来に目を向ける

(頭数をそろえればよいというものではない/今のチームがこの先必要なチームになると期待してはいけない/6か月先を考える/会社はチームであって家族ではない/昇進させることが正解とは限らない/スタートアップ創業者の目線で考える/ノスタルジアは危険な証拠)

 

第6章 どの仕事にも優秀な人材を配置する

ーすべての職務に適材を

(そこで働いていたことが誇りになるような会社にしよう/従業員得点が素晴らしい仕事をさせるわけではない/愛はお金じゃ買えない/モチベーションは人材濃度と魅力的な課題から/才能の多様性/履歴書に表れないスキル/採用の文化を形成する/人事担当者はビジネスマインドを持て)

 

第7章 会社にもたらす価値をもとに報酬を決める

ー報酬は主観的判断である

(人事考課と報酬制度を分離する/あなたの会社で働くことの価値を説明する/トップレベルの給与を支払うことの価値/契約時ボーナスの不思議/透明性が市場ベースの報酬を支える)

 

第8章 円満な解雇の方法

ー必要な人事制度の変更は迅速に

ーその会社で働いていたことを誇れるような組織にしよう

(「10試合」ごとに人事考課を行う/人事考課制度を廃止しよう/PIPを破棄せよ《または業務改善に実際に役立つものにせよ》/訴訟を起こされることはめったにない/従業員「エンゲージメント」について/私流のアルゴリズム/文化を自分のものとして受け入れ、実践する/自ら実践する)

 

著者紹介

#マッコード・パティ

元NETFLIX最高人事責任者で、NETFLIX CULTURE DECKの共同執筆者。サン・マイクロシステムズで人事のキャリアを始め、ポーランドなどを経て、NETFLIXには創業時から参加。人材集め、多様性、コミュニケーションなどを専門とする。現在は企業文化やリーダーシップについて複数の企業や起業家へのコンサルテーションをしながら、世界中で講演活動を行っている。

 

注目ポイント

私は、たくさんの経営者から、ミッションバリューの設定やカルチャー作りの相談を受けることがあります。ここでは、これらのヒントとなる、NETFLIXがシリコンバレーで爆発的な成長を遂げる要因となった、組織内における文化形成の手法について述べられています。

 

中でも注目すべきポイントは序章です。最初に「20世紀に開発された人材管理手法では、21世紀の企業が直面する課題に立ち向かえるはずがない」と謳っています。続けて21世紀の破壊的変化の荒波を乗り越えていくためには「この先何が起こるかはわからず、何もかもが変化している」と考え、それに心を躍らせるような組織を作ることが最良の方法だと著者は述べています。

 

実際に多くの企業が20世紀と相も変わらず、トップダウン方式の経営にしがみつき、「従業員エンゲージメント」を高め、「エンパワメント」を促すための施策でうわべを飾り立てていと見ることもできます。最近はやりの生涯学習のような人事施策や、仲間意識を育むための楽しい催し、業績不振の従業員に対する業績改善計画など、たくさんの施策が講じられています。しかし、こうした施策はどれもお金と時間がかかるうえ本来は業務を妨げるものであると気がつくことが大切です。

 

さらに悪いことに、人間が仕事に対してベストを尽くすためには、インセンティブを与えられ、何をするかを指示されなくてはならないという前提を基に古い人事制度は設計されてます。こうした制度は力を引き出す(エンパワメント)のではなく、むしろ力を奪っているのだと著者は述べています。

 

著者はスタートアップの世界に足を踏み入れてから、日々「人間にはもともと力がある」ということを以前とは違う視点から考察するようになったそうです。そうした経験から導き出されたものが次のことです。

 

「従業員に力を与えるのではなく、あなたたちはもう力を持っているのだと思い出させ、力を存分に発揮できる環境を整えるのが会社の務めである。そうすれば、彼らは放っておいても目覚ましい仕事をしてくれる。」 

 

こうした根幹の思想を皮切りに、NETFLIXは成長の源泉ともいえる社内文化、人事制度を作り上げていったのです。この言葉はたくさんの人のヒントになるなと思います。

 

キープレイヤーズ高野のコメント

誰をバスに乗せて誰を降ろすのか、このようなところが徹底されています。強い会社は採用に力を入れており、Netflixでは優れたヘッドハンターを何人も自社内に抱えスカウト活動を行なっています。

加えて、パフォーマンスがでなければ退出頂いているとのこと。日本と米国でルールの違いはあるとはいえ、強い会社、組織は採用のコミットメントの高さと、社内を常に高密度組織にしている傾向にあります。そこにいられる水準にないひとはご退出いただいているという。このような厳しさも強い組織には必須だと感じます。

ぜひ、書籍を手にとって読んでみてください。

執筆者:高野 秀敏

東北大→インテリジェンス出身、キープレイヤーズ代表。11,000人以上のキャリア面談、4,000人以上の経営者と採用相談にのる。55社以上の投資、5社上場経験あり、2社役員で上場、クラウドワークス、メドレー。149社上場支援実績あり。55社以上の社外役員・アドバイザー・エンジェル投資を国内・シリコンバレー・バングラデシュで実行。キャリアや起業、スタートアップ関連の講演回数100回以上。
一覧に戻る