インタビュー

カンボジアでリモートワーク!?上場企業からスタートアップに転職した男(植木大介)のその後に直撃。旧SCOUTER、ROXX

22 CO.,LTD 共同代表・株式会社SCOUTER(現ROXX) SARDINE事業責任者 植木大介

22 CO.,LTD 共同代表@カンボジア 大手人材会社→SCOUTER(現ROXX)

にて事業立ち上げ、マーケティング責任者を経て、事業責任者を務める。カンボジアで”あったくて優しい独自経済圏”を作るため、独自トークンが流通するシェアハウスを運営。

Twitter 植木 大介  @daisuke_ueki

 

新卒で入社した会社を1年で辞めてSCOUTERにジョイン

高野:今回は、「上場企業→スタートアップに転職した男の末路」の記事がバズり、10万人に読まれた株式会社SCOUTER 植木大介さんにお話をお伺いします。植木さんはカンボジアでフルリモートのベンチャー社員として働きながら、ご自身の事業を運営されています。

 

植木:あまり一般的ではない働き方かもしれませんが、大手企業などにいて、スタートアップへの転職や海外で働くことを考えている方にとって、少しでも参考になればと思っています。

 

高野:新卒時代の経歴からお聞きできればと思います。

 

植木:新卒で東証一部上場の人材会社に入社しました。求人広告の営業を担当しており、テレアポや飛び込みも含めて、「THE 新規営業」をやっていました。

 

高野:新卒でも人材業界を選ばれたのですね。そこからなぜ転職をしようと思ったんですか?

 

植木:実は、普通に新規営業をやっていても面白くないので、自身で興味のあったスタートアップ系のIT企業にもよく訪問していたんです。私の担当は大手や中堅企業向けの媒体だったので、スタートアップ企業に訪問しても売上に繋がることはほとんどありません。ですが、週1回までと決めて、転職市場に関する情報提供をする代わりにスタートアップのリアルな情報を仕入れたりしていました(笑)

そんな勝手な活動の中で、会社をM&Aする前の株式会社アラン・プロダクツの代表取締役 花房弘也さんに出会い「人材業界で面白いサービスをやっている人がいるからあってみる?」とお話があり、株式会社SCOUTERの代表取締役 中嶋汰朗とのランチをセッティングしていただきました。

 

高野:ご自身で自発的に行動されていたからこそあった出会いですね。

 

植木:ランチで「SCOUTER」のビジネスモデルを聞き、ビジネスとしての面白さはもちろんのこと、それこそが人材業界の課題を解決できるプロダクトになるのではないかと思いました。そんなサービスに立ち上げから関われるのは「今しかない」と思い、新卒で入社した会社を1年で辞めてSCOUTERにジョインすることを決めました。3日で(笑)

 

高野:かなり爆速の意思決定ですね。

 

植木:このタイミングでSCOUTERというプロダクトは世の中に出ていなかったので、まだ会社に売上というものは無いに等しかったです。

だからこそ、前職の上司からは頻繁に「そんな会社に行って大丈夫か?」と懸念され、とある上司には「お前の人生終わったな」と言われたのをよく覚えています。しかし、このような発言も、実際は僕自身を本気で心配してくれていたのだと思います。

 

高野:そんな中、どうして意思決定ができたのでしょうか?ベンチャー・スタートアップの世界へ挑戦される方も増えてきたムーブメントが影響しているのでしょうか。

 

植木:もちろんビジネスモデルへの共感や、スタートアップへの憧れのようなものがあったのも事実ですが、「失敗しても死なないから」という思いで挑戦したというのも大きいかもしません。あとは自分自身にのみ関わるキャリアなどの意思決定については、直感を大切にしています。自分自身のことって、自分が一番考えていますし、直感ってそういった自身の思考の集積だと思いますので。

 

高野:ご自身の意思があっての意思決定だったのですね。

 

スタートアップ転職の意思決定ポイント

高野:スタートアップの転職において何かポイントなどがあれば教えてください。

植木:結局はどこの会社にいっても、辛いことなんてあるのは当たり前なので、その辛いタイミングで「頑張る理由があるのか」という部分が重要なのではないかと思っています。

・やりたいことが一致している
・ビジョンに心底共感できる
・創業者を尊敬できる
・解決したい課題が一致している
・とにかく成長したい

上記のようなポイントの中で、なんでも良いので、その人自身が「本気で腹落ちしている項目があるのか?」という部分ですね。

 

高野:本当におしゃる通りであると思います。

 

植木:でも死ぬほどやりたいことがあったり、解決したい課題がある人は何も言わずに起業していると思うので、「とにかく成長したい!」くらいの動機がスタートアップへの転職としては一番多いのではないかと思います。覚悟さえあれば、別に崇高な理由なんて要りません。実際に私もそうでした。

 

高野:全てを満たす場所を見つけるのは困難ですし、その必要はないのかも知れませんね。

 

植木:スタートアップの仕事に正解もありませんし、伸びる勝ち筋も見えてないフェーズであることが多いからこそ、そこで踏ん張れる何か〈覚悟のようなもの〉が必要だと考えています。でもそれは、客観的に見て合理的である必要はなく、その人自身にとって腹落ちできているものであれば、頑張る理由の根源になります。それは多少辛いことがあっても折れることはありませんし、辛い時に踏ん張れた時には、成長と共に大きな自信となります。

SCOUTER(現ROXX)の4人目の正社員の仕事とは?

植木:はSCOUTER(現ROXX)に4人目の正社員として入社しています。当時のSCOUTER(現ROXXは、日本初のソーシャルヘッドハンティング事業「SCOUTER」を作ることにコミットしていました。

審査を通過すれば誰でも個人の人材エージェントとして、身近な転職者を企業に紹介し、報酬を受け取ることができる。日本で初めて”誰でも身近な人の転職支援ができるサービス”が「SCOUTER」です。

 

高野:素晴らしい取り組みであると思います。

 

植木:入社後の僕のミッションは、新規でBtoBの営業を行い求人を獲得することでした。スタートアップに転職したからといって、いきなり上流の仕事を任せてもらえるわけもなく、まずは価値を残し、信頼を勝ち取る必要があります。

とにかく行動量を最大化することを意識しました。テレアポからスタートし、がむしゃらに営業していたことを覚えています。

日々、正解が見えない仕事ですし、事業的にも伸び悩んだこともありました。もちろん、大変なことも死ぬほどありましたが目の前の成果を追い求めてやっていく中で、信用を貯金するイメージを持ちながら、仕事に取り組んでいました。

 

高野:素晴らしい姿勢ですね。

 

植木:そして、実際にスタートアップで働いたことで気が付いたこともありました。会社のビジョンや解決したい課題と自分のやりたいことが一致していれば、自分次第で仕事の領域を広げることができるということです。これは大手にいては、なかなか難しいことではないでしょうか。

僕は営業で求人の獲得をミッションにしながら、一方で営業の数値を最大化するためには、広報が必要だと考えました。リリースしたばかりのサービスだったので、大手メディアの信用を借りる(大手メディアに掲載される)ことで、成果を最大化できると考えたからです。

日中は営業業務をし、夜に広報業務として記者さんと会ったりしていました。自分のやりたいことと会社が進むべき方向が同じならば、これをやりたいと手を挙げ、それができるのがスタートアップの魅力です。

会社の進んで行きたい方向性とずれていなければ、無駄に枠や型にハマる必要は一切ありません。成果さえ残していれば、自分がチャレンジしたいと思うことにもどんどんチャレンジできることこそが、スタートアップの大きな魅力だと感じています。

 

高野:仕事を進める上で気をつけていたことはありますか?

 

植木:少し重複するかもしれませんが、信用を積み上げつつ、やりたいことを社内外問わずに発信し続けることは工夫していました。その甲斐あってか、経営陣から「あいつはある程度やりたいことをやらせていた方がパフォーマンスを上がるのではないか」と理解してもらうようになりました。

やはり、あくまで人間なので、苦手なことや嫌いなことをやると、いくら努力したとしても人並みの成果しか出せません。しかし、自分の得意なことや好きなことで努力をすれば、他の人では出せない成果を出すことができます。

そして、やりたいことをやるチャンスを勝ち取れたのであれば、求められる成果は確実に出せるように努力します。そうやってまた信頼を勝ち取っていくのです。

 

高野:このお話をお聞きして私も身が引き締まる思いです。

 

やりたいことの1つをカンボジアで実現する

植木:経営陣との普段の会話の中で、僕自身ののやりたいことについて話したことがありました。「いつか東南アジアでこういうことやりたいんですよねー」

と、これは単なる私の将来的な展望でした。しかし、「生産性が上がり、成果が出るなら、やっちゃえばいいじゃん」と経営陣。そんなこんなで、SCOUTER(現ROXX)社員の僕はカンボジアでのリモートワーク生活をスタートさせました。 

 

高野:そんなきっかけからスタートしたのですね。本当に発信することが大切ですね。カンボジアではどんなお仕事をしていたのですか?

 

植木:BtoBマーケティング責任者として数値責任を持ちながら働いていました。業務はリモートワークでも実施できる内容だったため、業務に関しては心配していませんでした。こんな馬鹿げたことを言っても、「成果を出せるなら」「生産性が上がるなら」と背中を押してくれるSCOUTER社の経営陣は最高でした。

もちろん、ルールもあります。毎月月末の全社ミーティングには必ず帰国して参加することです。

実は、乗り継ぎを駆使すればカンボジア日本間の飛行機代は往復で5万円程度に抑えることができます。毎月帰国すると新しい社員が増えていたり、会社の変化を感じることもありますし、一歩引いて会社や事業について考えるいい機会でもありました。

 

高野:カンボジア拠点ではなく、カンボジアでたった一人のリモートワークは新しいですよね。

 

植木:新しいと思います。実はSCOUTERの業務と並行して、カンボジアでは独自トークンを介在させたCo-living事業の立ち上げをやっていました。

その事業の第1拠点目にあたるシェアハウス兼コワーキングスペースで仕事をしていたので、僕だけでなく、エンジニアやデザイナー、ブロガーなどのクリエイターが同じ空間で働いていました。そこで仕事をする仲間から多くの刺激をもらっていたことも事実でした。

 

高野:リモートワークで仕事をする際に工夫していたことはありますか?

 

植木:僕の業務の動きを社内へ向けて可視化することです。僕のタスクは全部トレロで社内に公開されています。そこで業務内容や動きはリアルタイムで誰もが確認できます。また、Slackは基本的に即レスです。

複雑な問題が発生した場合は、その場でSlackにappear.inのURLを貼り付け、ミーティングを開始することも可能ですので、実は困ることというのは少ないのです。複数名の打ち合わせに関しては、オンライン上での空気感が掴みづらく苦戦することもありますが、それ以外に困ったことは一切ありません。

 

高野:何か時代を感じますね。他に良かったことはありますか?

 

植木:日本とカンボジアの時差が2時間あることです。時差が社内メンバーと僕の陰の立役者になりました。僕は朝型人間ですが、SCOUTER(現ROXX)社員は夜型人間が多く、ちょうど両者の業務時間が合致するようになったのです(笑)将来的には、時差を利用した組織ワークが流行るのではないかと勝手に思っています(笑)

 

カンボジアでのリモートワークだからこそ仕事にフルコミットできた

高野:念願のカンボジアでのリモートワークを続けられていると思いますが、実際のところどうでしょうか?

 

植木:まず、私は東南アジアが大好きなんです。国としてもまだまだ成長していますし、現地に住んでいる人もエネルギッシュでワクワクします。また、僕は寒さが本当に苦手なので、年中常夏の東南アジアは最高の環境です(笑)

そして、エンタメなどの誘惑も少ないので、本当に仕事に集中できます。またご飯は決して美味しくはないので、エンゲル係数が低くなりました(笑)遊ぶことも少なく、エンタメもない、綺麗な女性も少ない(笑)ということで仕事に向き合う時間が必然的に増えましたね。

結果、仕事にフルコミットできる時間が創出されるのです。東京に住んでいると、友達からの飲み会のお誘いや会食、それ以外にもあらゆるコンテンツや広告が常に私たちを「消費」に誘惑してきます。カンボジアではそれがほぼないのです。つまり、生産者として、アウトプットに時間を使い続けることができるのです。

 

高野:確かにそれはあるかもしれませんね。

 

植木:実務的な部分でも、コミュニケーションの生産性を高くするために、当たり前ですが、ミーティングの前のにアジェンダや論点を共有することなど、会議の最適化を追求することができました。

また、リアルで会ってしまうと起こりがちな、ついつい雑談で話し込んでしまうこともありません。僕は人と話すことが好きなので、以前は気がつくと無駄な話に時間を使ってしまっていたので。

 

高野:ある意味、精神と時の部屋を作れるのですね。

 

植木:もちろん仕事は一人ではできませんが、上記のようなリモートワークのメリットは計り知れません。一方、どうしても人間関係の構築においてはリアルの場で接触することの重要性を実感しますし、現在は組織内でマネジメントする立場になったので、今までとはワンランク上の試行錯誤が必要だと感じています。

 

高野:やはり仕事の内容に応じた限界は痛感されているのですね。

 

植木:ちょうど12月から、事業責任者として事業全体の責任を追うミッションをもらいました。カンボジアで働く生活は僕個人の生産性を高める上ではベストな選択肢でありますが、今後の組織全体を考えた上での最適な働き方を再度模索しているところです。

 

高野:最適な働き方がわかりましたら教えてくださいね!

 

植木:加えて、僕がカンボジアに行っているもう1つの理由があります。

自分で運営しているシェアハウス事業で“トークンハウス”という、日本初の世界を舞台とした「住まい」のサブスクリプションサービスを立ち上げました。コミュニティに参加することでもらえる独自ポイントで、世界中に展開しているシェアハウスに宿泊することができます。このポイントはコミュニティへの貢献やコミュニティメンバーとの仕事の受発注により稼いだり、使用したりすることも可能です。

 

高野:今の時代にフィットした素晴らしい取り組みですね。

 

植木:現在は、カンボジアのプノンペンに1軒目をオープンしています。僕の身の回りの人が続けて鬱状態になってしまった経験から、少しでも個人が自分らしく生きるために最適な環境を作り出したいと考えています。

 

その第一歩として、「お金」による制限をなくすために、独自ポイントを介在する小さなコミュニティを構築しています。現在は、IT系のフリーランスを中心に30名ほどのコミュニティになっており、そこのメンバーがプノンペンのシェアハウス兼コワーキングスペースに集まっています。

とにかく自分らしく生きることができる、あったかいコミュニティを作っています。

 

高野:仕事を通した自己実現が素晴らしいです。

これから働き方はどう変わって行くのか?

高野:カンボジアでSCOUTERのリモートワークと、カンボジアでの事業の立ち上げ、という2つを両立させた働き方をしている、植木さん。これからの働き方はどうなっていくとお考えですか?

 

植木:最近活発になっているコミュニティやオンラインサロンの流れに近いですが、会社が今までみたいに雇用契約だけで人を縛る働き方は終わっていくのだろうなと考えています。

カンボジアで立ち上げた事業は、自分の経験からどうしても実現したい世界感があり、それを達成するために推進しています。今でさえどうにか頑張れば、自分の会社で収入を作れることでしょう。にもかかわらずSCOUTERの(現ROXX)社員として働く理由は、SCOUTER(現ROXX)のビジョンや解決したい課題に共感しており、これはSCOUTER(現ROXX)でしか解決できない課題だと思っているためです。それに加えて、個人よりも、チームの方が、世の中に提供できる価値が大きくなると考えている点もあります。

SCOUTER(現ROXX)の経営陣やメンバーは本当に優秀で心から尊敬しています。また、個人の活動に対しても、「活きている対価」を、「給与という対価」以上にもらっていると心から思っています。

そして、カンボジアでの自身の活動もSCOUTER(現ROXX)で活きてくると考えています。ある場所で学んだことをSCOUTER(現ROXX)社で活かし、SCOUTER(現ROXX)社で学んだことを更にカンボジアでの活動に還元する。徐々にこのサイクルがうまいこと回り始めていると実感しています。

つまり、今後はお金以外のインセンティブが組織で働く理由として強くなっていくのだと考えています。

 

高野:なるほど。

 

植木:僕はまだまだ未熟者ですが今後は、「個人の方向性」と「会社の方向性」の一致でしか、人を動かすことはできなくなっていくのではないかと考えています。給与で人が動く時代は、実はとっくに終わり始めているのではないでしょうか。個人が実現したいことと、会社が実現したいことが重なっているからこそ、お互いWinWinの関係を構築することができると思っています。

これから、そういった働き方についても発信していきたいですし、自分個人の活動の実現と、SCOUTER(現ROXX)社としてのミッションやビジョンの実現のために、日々精進していきたいと考えています。

 

高野:素敵なお話をありがとうございました。引き続きご活躍を応援しております。

 

 

植木さんのTwitterはこちら

Twitter 植木 大介  @daisuke_ueki

 

キープレイヤーズ高野のコメント

以前からWeb上で植木さんの記事を読んでおり、一体どんな方なのかどうしても会ってみたくて連絡してみたというのが今回の取材のきっかけです。

海外で仕事をしたいという希望を持っている人は沢山いますが、実際にこのようなリモートスタイルでご活躍されている事例はまだそれほど多くありません。植木さんはワークスタイルにおけるイノベーターの方だと感じます。

また、このようなワークスタイルを認めているSCOUTER(現ROXX)社も凄いですよね。あくまでも仕事とは結果ありきだと思いますので、結果を出している植木さんだからこそできていることかもしれません。ですが、自分の夢を夢で終わらせずに、カンボジアで実行しているということが、多くの方に参考になるのではないでしょうか。

複業や副業も注目されていますが、仕事の結果が出ているからこそ平行にできるということを間違えなければ、今後もこのような新しいワークスタイルの方が増えてくるのではないかと感じました!

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