仕事のやりがいなのか給与なのか

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仕事のやりがいVS給与

仕事のやりがいもあり給与も高い。どちらも高い方がやはり良いですよね。でもどちらもはとれないというときはどうしたら良いのか、そのような相談もよく受けます。仕事のやりがいと給与は仕事選びの優先順位の中で常に上位になるものです。

近年はワークライバランスも人気ですが、二つに絞ると、仕事のやりがいと給与だと答える方が多いのです。ご相談を受けたかたの中にこのような方がおりました。

仕事のやりがいを重視した転職をした方の実例

38歳、営業一筋。日本のメーカー、外資メーカーでそれぞれ営業と営業マネジャーを歴任。プレイヤーとしてはトップ営業マン、マネジャーとしても常勝チームを率いて第一線で活躍してきた男性がいました。ところが、彼が当時在籍していた会社は、競合他社の参入によって、イノベーターとしての優位性をなくしつつあり、その結果、業績にかげりが見えはじめていたのです。

そんな折、外資系のIT企業からヘッドハンティングの話を持ちかけられました。彼の年収は当時2000万円を超え、転職先でもその金額を保証してくれるという、願ってもない好条件での提示でした。

「もちろん給料には不満はない。でも何か釈然としない。俺の人生は、これでいいのだろうか?」

走りつづけてきた人生を振り返り、彼はふと思いとどまったのです。そんな折、ご相談にのる縁がありました。

外資系の会社というのは、年収も高くキャリアアップも図れますが、最終的決裁権は本社が持っているため、日本法人にまかせられている権限は限られています。ましてや日本人の自分が、この先管理職に食い込んでいける可能性はきわめて低い。「この先も外資の手先となって働いていくのだろうか?」

心の奥に、そんな思いを抱いていたのです。

「彼は、日本の大手企業でビジネス的慣習を得ており、さらに外資系企業での成果主義、プロフェッショナリズムを身につけている。この先はキャリアアップで何かを学ぶというよりは、徹底的にアウトプットしたほうがやりがいを感じるのでは……」

私は、そう強く感じました。お客さまに対しての営業戦略や、社員教育に携わるなど、これまで培った経験や知識を活かし還元すべきだと考えたのです。改革する側、育てる側にまわるということです。そこで、会社の規模は300人程度の人材系の成長企業をご紹介することになりました。

マネジャークラスでの採用です。とはいえ、前職ではマネジャーとして管理していた人数はせいぜい10人程度。新しい会社では、組織が小さい分、100人ほどのメンバーを統括しなければなりません。しかも、スタッフの平均年齢は30歳を切っている。マネジメントの難易度は、きわめて高いわけです。

「年収は4割程度下がり、1100万円になってしまいますが、それでもいいですか?」「かまいません!」

彼は、何か新しい挑戦に賭けているようでした。

入社後、彼は着々と若い会社を改革してゆきました。日本の大手企業をはじめ外資系とのネットワークを持つ彼は、人材系の経験はないものの、組織の課題をヒアリングしたうえで、企業の特性に合わせた組織論を展開、またコスト分析を行い、チーム全体の業績をあげました。

組織に合理的かつ科学的なアプローチを試み、日先の短期的スパンだけにとらわれがちだったセールスプランにも中長期的な計画査定を導入、社員の教育体制を整えることにも成功したのです。入社当時は、

「こりゃあ、まいったな……子供ばかりの組織じゃないか」

と正直いって辟易していた彼も、今では、良き兄貴分として若いスタッフにも慕われ、執行役員にまで昇格しています。

昇格後は、年収も前職時と同程度にまで回復。実質上はスライドですが、外資系メーカーに在職していたときよりも、役職はあがったことになります。これまでインプットしてきた知識と経験とを、見事にアウトプットに転化した成功例です。

仕事のやりがいは自分次第というマインドセットが大事

やりがいのある仕事は何かというのは人にとってそれぞれ違うものです。できるビジネスパーソンを見てきて感じたこととがあります。できる人はやりがいのある仕事を見つけたという人では案外ありません。どのような仕事でもやりがいがあると感じられるようにマインドセットできるスキルを持っていたりします。

また、さらには、やりがいそのものはどんな仕事でも同じだなと重視しないようにしているという人もいます。これも一つのモチベーションに左右されず、仕事の結果を出せる人の特徴とも言えます。自分としては転職、キャリア、投資など人や社長の役に立てる仕事ということでわかりやすくやり甲斐を感じているのでちょっと得しているかなと思います。

ただ他の仕事だとしてもおそらく自分なりにいいところを見つけて、やり甲斐もあるな、辛いこともあるけど楽しいなと思うようにマインドセットするのが自分の性格ではあります。

こういう考え方もあるかなということで何か参考になれば嬉しいです。原体験から遡ってこの仕事を選ぶまで考え込まなくて私は良いと考えます。どう貢献できるのか、結果を出せるのかが大事ですね。

執筆者:高野 秀敏

東北大→インテリジェンス出身、キープレイヤーズ代表。11,000人以上のキャリア面談、4,000人以上の経営者と採用相談にのる。55社以上の投資、5社上場経験あり、2社役員で上場、クラウドワークス、メドレー。149社上場支援実績あり。55社以上の社外役員・アドバイザー・エンジェル投資を国内・シリコンバレー・バングラデシュで実行。キャリアや起業、スタートアップ関連の講演回数100回以上。
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