税理士業界にメスを入れたビスカス 八木美代子社長の創業ストーリー

インタビュー          
       
       
     

株式会社ビスカス 代表取締役 八木美代子氏

1991年早稲田大学卒、同年リクルート入社。1995年有限会社ビスカス設立、個人や法人に税理士を無料で紹介する事業で創業。2001年株式会社に組織変更。

株式会社ビスカス

中小企業の経営者や個人事業主と税理士などの専門家を結びつけるマッチングサービスを中心に、事業主と税理士の双方をトータルサポートする企業。

 

今回は、税理士紹介を中心に事業を展開する、株式会社ビスカスの八木美代子社長の創業ストーリーについてです。業界内では大変な実績と知名度があるのですが、他業界の方に、成長企業としてのビズカスを知ってもらいたくてインタビューさせていただきました。

税理士紹介というのは非常にニーズがあり、今後お世話になる方も皆さんの中に出てくると思っています。ぜひご一読くださいませ!

 

リクルートの活気に惹かれて入社

高野::ビスカスについては、業界内の方に認知されているものの、他業界の方にはあまり知られておらず、社長の八木さんについてもベールに包まれているところがあると思っております。本日は知られざる側面に迫って参りたいと思います!よろしくお願いします。

ビスカス新卒で社会人になるところから、ビスカスの事業の内容・今後の展望までお伺いしていきますね。

まず、新卒ではリクルートに入社されていますが、どういった理由でリクルートを選ばれたのでしょうか?

 

八木:実は、リクルートという会社について、電話をもらうまで知らなかったんです。普通に就職活動をして、大手企業も含めて内定をいただいていたのですが、「なんだか、このまま社会人になるのかあ」と感じているときにお電話いただいたのがリクルートでした。

 

知らない会社だったので、怪しい会社かな?と思って友達に聞いたら、どうやらそうではないということで、軽い気持ちで面談に行ってみました。そうしたら、次はこの人に会ってごらん、次はこの人と会ってごらん、と。結局10人くらいとお話していたら、気づいたら最終面接になっていた、というのが実際のところです。

 

当時、リクルートや光通信といった会社がどんどん成長しているときだったので、少し内定ブルーのようになっていた私にとって、体育会的で活気のあるリクルートは魅力的に映ったのだと思います。

 

 

高野::当時、リクルートは新卒で何人くらいを採用していたのでしょうか。

 

八木:1000人近く採用していたと思います。私はその中でクリエイティブ職・制作職での採用でしたね。

 

高野::やはり入ってからはご活躍されたのでしょうか?

 

八木:いや、正直自分甘かったなあ、と思うことも多いですよ。温室育ちだったことを実感しました。

 

高野:最近では、人気企業ランキングで1位になるなど、大人気企業の一つですが、当時は激しい会社だったのでしょうか。

 

八木:今はもうそんなことないと思うので言えますが、元気があるかないかで言うと元気はありましたが、品があるかないかで言うと品はなかったと思います(笑)。

ある会社のアポイントに行ったら、目標を達成できなかった顧客先の営業社員が朝礼で前に立たされているような時代でしたが、リクルートも例に漏れていなかったと思います。営業で数字を作れない人は人にあらず、というような風潮がありましたね。

 

私は制作だったので、そうして営業がとってきた案件を形にする仕事をしていました。もう少し真面目に仕事をしていたら、もっとすごいものが作れていたかもしれないと、今だと思うこともあります。そういう意味でも温室育ちだったな、と。

 

高野:営業も経験した今だからこそ、もっとできたと思う部分があるのかもしれませんね。

 

企業からあっという間に集まった税理士への不満

高野:これまでの話からビスカスの創業に繋がるイメージがあまり湧かなかったのですが、当時から起業は考えていたのでしょうか?

 

八木:リクルートを踏み台にして起業するんだ!という人が周囲にたくさんいましたが、私は社長になりたいとも、お金を稼ぎたいとも、思っていませんでした。人のためになることが実感できるような仕事がしたいと思って、発展途上国で日本語教師をしたい、と思っていたくらいです。

 

ただ、それも調べていくと、簡単な仕事ではなく難しいのだろうな、と思っていたときに、相続について考える機会があったんです。

そのときの経験から、合った弁護士を紹介するビジネスをしようとも考えたのですが、弁護士の紹介は日本の法律で許されていません。一方で、税理士は禁止されていなかったので、合った税理士を紹介することにはチャンスがあるのではないかと考えていました。

 

高野:実際にニーズはあったのでしょうか?

 

八木:実は、正式に起業する前に、企業リストのようなものを手に入れて、「今の税理士さんいかがですか?」というようなFAXを送ってみたんです。そうしたら、すごい量の返信が来てしまって。それも記載されているのは不満がほとんどでした。

 

企業側に不満があることは分かったので、これはどうにかしたいな、と思って、簡単な契約書を作り、登録税理士を集める営業を始めました。

 

 

税理士が正しく評価される環境を

高野:企業側の需要は想像通りあったんですね。税理士側はどうだったのでしょうか?

 

八木:実は、税理士側の営業は難航した部分もありました。当時の税理士は、知り合いや知り合いの紹介で見つけることが多く、税理士は変えちゃいけない、という風潮が色濃くありました。ましてや、私は税理士経験もなかったので、すぐに信頼を獲得することは難しかったですね。

 

ただ、そんな中でも、企業側にニーズがあることは分かっていましたし、この営業が実現すれば、税理士が正しく評価される環境が作れると思っていたので、自信はありました。

自信をもって営業活動ができていたので、次第に、20代の若い人とは思えない、むしろ信頼できる、と言われることも増えていきました。そういった意味では、税理士側にも現状を変えたいという人は少なくなかったのだと思います。登録税理士の人数はどんどん増えていきました。

 

高野:企業・税理士の両側でニーズがあったのをうまくマッチングできたわけですね。

 

八木:そうですね。

 

一方で「今の税理士に満足していますか?」と聞くことはタブー視されていました。登録税理士が増えるにつれて、税理士会にも少し目をつけられてしまったこともありました。

 

ただ、私たちは間違ったことをしているのではなく、税理士が手を差し伸べるべき企業のためになることをしていましたし、これは巡り巡って正しいことをしている税理士のためになるという確信がありました。

 

そのため、FAXの反響の一部をエクセルの資料で見せに行ったんです。そこには、企業の年商から考えて法外な報酬を請求しているケースや、詳しくない業界の顧問をして企業が損をしているケースがたくさん掲載されていました。

 

その資料を見せながら、「企業の願いとしては、税の専門家である税理士に、中でもきちんとした人に頼みたいはずです。それに対して、適切な税理士が満足のいくサービスを提供できるようにすることを、税理士会の目標にしないといけないのではないですか?」と提言したんです。

 

税理士の方もこの思いは一緒ですから、最終的に賛同していただけました。

むしろ今では、税理士会や税務署にお客様からの問い合わせがあると、税理士を紹介してくれるサービスがあるんだよ、とビスカスを紹介してもらえるようにまでなりました。

 

高野:ニーズのあることをされていたので、最終的には賛同が得られたんですね。

 

社員の統制がとれない経験を乗り越えて

 

高野:ある種、予想通りというか順風満帆に進んだように感じるのですが、反対に大変だったことありますか?

 

八木:たくさんあります。

 

創業の頃から説明させていただくと、前述のように需要が止まらなかったので、自宅でやるのが難しくなり、自宅とは別にワンルームマンションを借りて、アルバイトを雇って拡大することにしたんです。

 

それでもどんどんスペースが足りなくなって、もっと大きなビルに移転をしました。この頃に、有限会社から株式会社にしました。1997年のことです。

そこから、渋谷のビルに移転してきた、というのがこれまでの事業所の変遷です。

 

お客様が順調に増えていたので、従業員数を増やしたわけですが、ここで統制が取りづらくなっていったことが大変でした。

 

本当に色々なことがありました。ある女性の元社員の方が退職する際に言ってくれたのですが、私が営業に出ているときは喫茶店で休んでいる社員が何人もいる、と。厳しく言うこともあまりなかったので、甘く見られていたのかもしれませんね。他にも様々な報告を受けて、非常にショックを受けました。

 

高野:それはショックですね・・・。どうやって乗り越えたのでしょうか。

 

八木:そのとき自信をなくしてしまったので、帰り道に書店に寄ってみたんです。そこで、「女性経営者はこうあれ!」というような指南書を買って読んだのがきっかけになったと思います。

 

その本を要約すると「自分を男として見せなさい」というようなことがその本には書かれていました。それらができれば、あなたの売上は3倍になるでしょう、とも書かれていました。

 

「そんなの本当?」とも思いましたが、当時、真逆のことをしていたので、1回やってみようと思ったんです。「スカートは履かず、パンツスーツを履く」「社員には社長と呼ばせる」「言葉遣いを変える」など、一つひとつやってみることにしました。

 

言葉については、いきなり始めてもびっくりされると思うので、「違和感があるかもしれないけど、これからは社長と読んでください」と社員の前で宣言してやってみました。会社の雰囲気が変わりましたね。今はもう必ずしもそうではありませんが、最近流行りの「社長が言ってはいけない言葉○選」のようなものは全て口にしていましたね(笑)。

 

でも続けてみたら、本当に売上が3倍になりました。その後も、会社のフェーズや時代に合わせて常にマネジメントや組織作りをアップデートしていますが、一つのポイントだったように思います。

 

お金の相談ならビスカスという世界観を

 

高野:今後はどのような展開をされるご方針でしょうか?

 

八木:会社として、「Win-winの関係を作って、お客さんのためになることをしていく」というスタンスは今後も変わらないと思います。

 

これまでも、「企業とその企業に合った税理士をマッチングすることで、企業が繁栄して、それに応じて税理士も繁栄する、そんなWin-winの関係を作ろう」と考えて事業を展開してきました。実際に、自由に税理士を選べる世の中になってきた感じています。

 

創業後にインターネットが普及しWebサイトから集客ができるようになり、私たちの事業が加速できたことも、成長する上で大きかったと思っています。ニーズのある仕事だからこそ、反響やマーケティングとの相性もよく、追い風になりました。

 

今後は、より多くの情報が集まるようになったからこそ、もっとお客さんのためになることをやっていきたいですね。税金や相続、M&Aをはじめとして、お金のことを相談するならビスカス、と言ってもらえるようなサービス展開をしていきたいと思っています。

 

現段階での構想もありますが、現在は外部から積極的に採用し、新しい社員ともディスカッションを重ねているところです。急成長ベンチャー!というよりも、20年着実に積み上げてきた会社なので、そのよいところは活かしつつ、もっと変化していければと考えています。

 

今後もマクロトレンドに乗って成長していく

 

高野:副業解禁などの流れもあり、フリーランス・個人事業主からの相談も増えるなど、マクロ環境の変化もありそうです。

 

八木:企業の多くが副業を認めることで、実際に副業が普及していくと、確定申告が必要になり、税理士紹介のニーズがさらに増えるということは考えられると思います。

 

一方で、マクロトレンドにおける懸念として、税理士はAIに代替されるのではないか、ということが取り上げられることがありますが、私はむしろ税理士の仕事は増えると考えています。

 

すでに技術革新によって、領収書を読み取って帳簿を作る、そのまま申告する、というようなことができるようになってきていますが、自社にとって最適な会計処理を行うことは税理士抜きではできません。

 

そもそも、現在AIによって代替されている、決済情報を集計する、帳簿を作るといった業務は、各企業の経理の方が担当しています。この業務がより簡単にできるようになると、企業内部でこの業務を抱える必要がなくなるので、税理士にワンストップで会計・経理に関する業務を委託する可能性もあります。その場合、各企業から経理がいなくなり、その分、税理士の仕事が増えると考えられますよね。

 

決して、技術革新の余地や影響がないということではなく、税理士の領域は現在でもFAXで多くのやりとりがなされているような状態ですから、どんな技術革新の可能性があるか、というのはビスカスも考えていますし、まさに絵図を描いているところです。

 

これからも、ユーザーが、簡単に、安く、安心してお金に関する問題を解決できるようにしたいするために必要なことには積極的に取り組んでいきたいと考えています。

 

高野からのコメント

ビスカスのように特定の領域をきちんと深掘りして、ユーザーニーズにこたえている会社は手堅く、ストックされるビジネスと言えます。さらにここからは何らかのテクノロジーを絡めたサービスなども検討されているようです。

最近のスタートアップ、ベンチャー界隈をみておりますと既存事業にテクノロジーを絡めた会社が成功しています。以前に取材したGA technologiesもそうでしたよね。ちょうど会社も変化するタイミングにきており、転職する方にとってオススメの企業です!

なお、八木さんは、元アクセルマークの小林靖弘さんにご紹介いただきました。小林さんご紹介ありがとうございました!

 

ビスカスの採用・求人情報

ビスカスの募集職種(2019年6月18日現在)

CTO
営業企画
コーディネーター(営業)
営業事務
Webクリエイター
記帳代行の管理スタッフ

 

0からサービスを立ち上げるところもあるので、様々な人材が必要になっています。

 

まず、既存サービスにおいては、税理士を顧問として紹介するだけでなく、M&Aなどの相談にもっと答えていけるような体制を整えていきたいというご方針があるそうです。そういった提案営業ができる方はぜひご応募いただければと思います。

 

新規サービスにおいては、ITに関する戦略についてはまさに今面白い絵図を描いているところなので、その戦略を実行できるCOOや実際に開発を束ねるCTOのような人が必要になっているそうです。

 

まさに議論をしながら、組織強化をしているとのことでしたので、これまでにビスカスが培ってきた知見に、新しい思考や知見をプラスオンできる人物は歓迎されるのではないかと思います。

 

ビスカスの労働環境

年収については、業界平均や各職種平均よりも高めと言えます。具体的な数値が出ていないのですが、インタビューの合間に聞いた八木さんの象徴的な話がありました。

 

給与については人それぞれ考えがあると思っています。私自身は、お金をもらえるから働く、という感覚をあまり持っていませんが、逆にお金が重要だという人もいると思います。本人が納得できれば、どれが正解というのはないと思っています。

 

そのため、結果を出していただく必要はありますが、その人の能力・キャリアから考えて、元からインセンティブ込みくらいの感覚で高めに給与を決めています。まだ名前が知られていない企業で、今満たされていいないニーズを満たす新しいビジネスをやろうとしてくれているのだから、給料は高くもらってもいいんじゃないかと思っています。

 

きちんと収益が上がるビジネスモデルを確立されているからこその考え方ではありますが、実際にお伺いしたところではかなり高めに給与を出されているように感じます。

 

残業時間については、35時間のみなし残業を給与に含んでいますが、35時間を超える社員はほとんどいないそうです。もちろん時期による差はありますが、20:00を過ぎると寂しいほどに人がいないと仰っていました。インターネットの普及などに対応して、労働集約型でない、人がいなくてもできる体制を整えてきたことで労働環境も整えられてきていると言えそうです。

 

転職をご検討されている方は、LINEで高野までお問い合わせください。

執筆者:高野 秀敏

東北大→インテリジェンス出身、キープレイヤーズ代表。11,000人以上のキャリア面談、4,000人以上の経営者と採用相談にのる。55社以上の投資、5社上場経験あり、2社役員で上場、クラウドワークス、メドレー。149社上場支援実績あり。55社以上の社外役員・アドバイザー・エンジェル投資を国内・シリコンバレー・バングラデシュで実行。キャリアや起業、スタートアップ関連の講演回数100回以上。
一覧に戻る