インタビュー

アイデミー代表の石川 聡彦さんがAIのビジネス活用の現在地と展望を徹底解説!

AIという言葉はもうすでに一般的な言葉になりましたね。一方で、AIが単純業務を代替していく、という声を聞きながら実感のない方もいらっしゃるのではないでしょうか。

実は、AIが扱っている領域の特性上、表には出づらいですが、AIの活用は着実に前に進んでいます。

今回は、AIの学習支援・ソリューション提供を手がける株式会社アイデミー代表取締役の石川 聡彦さんに、AIのビジネス活用の状況と今後の展望について、解説していただきました!

今後のキャリアを考える個人の方、AIの導入を検討している企業の方、それぞれの参考になればと思います。ぜひご一読ください!

代表取締役 石川 聡彦氏

【経歴】
東京大学工学部卒。元歌舞伎子役として活躍し、TBSテレビで放送していた『消えた天才』にも出演。2014年6月10日、株式会社アイデミー(旧 Goods株式会社)設立。同社、代表取締役に就任。現在は、法人向け・個人向けにAI関連のサービスを提供する傍ら、早稲田大学リーディング理工学博士プログラムなどで、AIプログラミング実践授業の講師も担当している。

株式会社アイデミー

法人向けに、AIを活用したビジネスソリューションサービスを提供しています。また、個人・法人向けに、AI などの最先端技術を WEB ブラウザ上で学べる学習サービス「Aidemy」を提供しています。

AIのビジネス活用の現状・事例

高野:今回は、AIについてのオンライン学習サービス「Aidemy」を提供しているアイデミー代表の石川さんにインタビューさせていただきます。
本日はAIの現状、現在の事業に至った経緯、Aidemyの展望をお伺いしていければと思います!

AIをビジネス活用し、大きな成果が上がった事例は密かに生まれ始めている

高野:まず、AIに関するニュースは多くメディアで拝見していますが、具体的な活用事例をお伺いしたいです。

石川:AIについては成功している取り組みが表に出づらい側面がありますよね。メディアでは、キャッチーな取り組みの方が取り上げられやすいため、本当にビジネスに活用できているのかは、懐疑的な方も多いかもしれません。

ただ、密かに様々な会社で結果が出るケースが増えてきている印象があります。
これは、ヤフーさんの勉強会でお伺いしたことなのですが、ヤフーさんですでに運用されていて、結果が出ているものがあるんです。

Yahoo! Japanのトップページを見ていただくと、Yahoo!ニュースの画像がありますよね(画面を見せながら)。この画像は顔に合わせて元画像がトリミングされているのですが、実はこちら、クリック率が上がりやすいように機械学習を用いて、自動で行われているそうです。

正直、そんな裏側のこと言われても気付けないですよね。

でも、気付けないほど地味ですけど、例えばこれでクリック率が1%でも上がると、ものすごい広告効果がありますよね。Yahoo! Japanのトップページ平均月間数十億PV以上あるそうです。平均クリック率が1%上がるとすると、新しく数千万PV以上生まれることになります。とんでもない数字ですよね。

高野:存じ上げませんでした・・・。見えないところで大きな実績が上がっているケースもあるんですね。

石川:ただ、取り入れたい企業の数に対して、実際に活用できている企業は限られてしまっていると思います。

そのため、私たちはAI学習だけに限らず、企業がAIを活用していくためのソリューションの提供にも力を入れています。AIの活用といっても、個別の企業によって大きく事情が異なるんですね。私たちはそうした企業に、研修とソリューション作りの両面から支援できるように取り組んでいます。

運用に向けた社内教育と現場実装を一貫して進められるのがアイデミーの強み

高野:なるほど。AIの領域についてはプレイヤーがまだまだ増えている印象があります。競合しないものなのでしょうか?

石川:AI学習サービスについては、いくつかサービスが出ていますね。ただ、法人向けの方は明確にバッティングしていると感じる部分は少ないかもしれません。

私たちの方針として、「技術が社会実装されている場を作りたい。」と考えています。AIを活用した新たな取り組みってかなり行われているようで、きちんと成果が出せた事例のようなものって意外と出回っていないんですよね。多くの企業さんが実用性をもたせることに苦労していらっしゃいます。

それを、私たちのミドルウェアに乗せて作ることで、AIを実用的なものにしていくことに現在は注力しています。

AIに関するソリューションを提供する会社は他にもありますが、私たちはAIについての企業研修については先行して市場を取ってきています。そのため、AIの仕組みを理解した方が先方の社内にいる状態で、一蓮托生で現場への導入を進めていくことができます。

このAI研修という入り口を押さえていて、現場で活用していくファーストステップ・セカンドステップのストーリーを組めるのは私たちの優位性だと感じています。

高野:現場でAIが活用される状態を目指して、その企業のロードマップが組めるのが強みということですね。

まずはAIが社会実装されている場面を増やし、より魅力的な領域に

高野:多くのプログラミングオンラインスクールでは、転職支援に事業を広げているイメージがあったので、少し意外とも感じました。

石川:もちろん、AIのプログラミング学習をPythonだけでなく、HTML、Rubyなどに広げて、転職支援までしていくということも考えました。

ただ、法人向けにAI研修サービスを提供して1年ほど経って、半年くらい研修を受けたお客様からお問い合わせが来ることが多くありました。その多くが「AIの知識をつけて、一定コーディングもできるようになった。これをどう活かしたらいいか?」という内容でした。「学習した内容を現場の業務改善に繋げる」というところには、もう一つ壁があったんですね。

高野:だから、それを実際に現場にいかにして導入していくか、というところをソリューション提供しているということですね。

石川:はい。私たちも支援をする中で、メーカーを中心に様々な企業様の事例が溜まってきています。
AIを導入する部分は決して派手ではなく、機密性の高いことも多いのですが、可能な範囲で「他社さんだとこんな風にやっています」というノウハウ共有の場を設けることなども、お客様に対して行っています。

こうした共有される成功事例が増え、AIという領域がさらに魅力的になっていくきっかけを作っていければと思っています。

メーカーは技術者が社内にいるため、AIを導入しやすい土壌はある

高野:ちなみに、メーカー系のお客様が多いとおっしゃっていましたが、これはどういった背景があるのでしょうか?

石川:2点あると考えています。
1点目は、メーカー系にはほぼもれなく技術系を専門とする方がいるので、AIの勝手を理解しやすいこと。
2点目は、メーカーの工場などにはリアルな現場があり、AIを使うことで解決できる課題が存在していることです。

1点目のAIの勝手を理解しやすいということについてはなんとなくイメージがつく方もいらっしゃるかもしれません。プログラミングの基礎を理解している方だと、AIの言語についても理解がしやすいです。また、プログラミングの経験がなくても、技術系の方は新しい技術に対して積極的な方が多いので、抵抗感なく学習していただけることもあると思います。

高野:ソリューション提供する場合は、企業は研修メニューも使えるのでしょうか?

石川:研修メニューを取り入れていただいているお客様が多いですね。Aidemyの全40コースを使えるようにしています。やはりソリューションだけ納品して、現場で運用されなければ、AIを活用する価値が半減してしまいます。そのため、後々までしっかり運用できるような体制をお客様に提供したいと考えています。

メーカーがAI活用を積極的に進めている理由

高野:2点目のメーカーの工場などの現場の効率化において、AIが必要とされているという点についても、詳しくお伺いしてもよろしいでしょうか?

石川:効率化の部分については、2つの側面から必要性を説明することができます。それは、「均質化」と「省力化」です。ここでいう「均質化」は人による基準の違いなどがなくなること、「省力化」は人を少なくできることです。

まず、均質化については、ヒューマンエラーが発生しやすい領域のミスを防ぐことで、工場の稼働効率を高めることができます。

例えば、最終検品の際に人が1項目1項目チェックしていくのではミスが生じやすいですが、AIであればある決まったアルゴリズム・基準で検査を回してくれます。
他にも、機械の制御を自動化し、データを蓄積することで機械の故障を事前に予期することができます。

これらが実現できると、今まで想像できなかったような工場のラインが止まるリスクを、未然に防ぐことができるようになります。

また、これらを管理するためにたくさんの人が必要だったところが、機械を管理する1人でよくなる、というのが省力化ですね。

メーカーではこのようにビジネスにAIを活用することができます。

高野:具体的な利用シーンがイメージできてよかったです。

表に出づらい活用事例を積極的にシェアする、オープンイノベーションを促進

その他に利用する企業にとってのメリットはどのようなものがありますか?

石川:先ほど簡単に触れたノウハウ共有に関連して、「ユーザー会で横の繋がりができる」というのはメリットに感じていただけることが多いです。
これまで日本、とりわけメーカーでは、「技術を守る」という文化が色濃くありました。基本的には基幹技術を他社に共有するということはしてこなかったわけです。

ただこのままでは、世界に遅れを取ってしまうという危機感は多くのグローバルメーカーの方が感じていらっしゃるようです。AIの活用について、ノウハウを得たいユーザーが集まって、意見交換をする環境を作ることができています。

高野:結果が出た事例が増え、ノウハウが共有されることが当たり前になっていけば、AIは一気に普及していくかもしれませんね。

 

 

 

AIビジネスに到るまでの道のり

試行錯誤しながら学習する楽しさを知った幼少・学生時代

高野:ちなみに、石川さんはどんな背景で、このAIのビジネスをやっていくことになったのでしょうか。創業までのストーリーをお伺いしたいです。
石川さんと言えば、幼少期から歌舞伎をやっていたことで、TVにも取り上げられていましたよね。

石川:幼稚園の頃から小学5年生まで、歌舞伎の役者をしていました。
横浜のサラリーマン家庭の出身なのですが、親がオーディションに応募していて、合格したことがきっかけとなり、始めました。ビジネスや起業とは無縁で、むしろ官僚志向・大企業志向の強い家庭だったので、格式高い歌舞伎の文化を経験して欲しかったのかもしれません。

ただ、歌舞伎の世界では小学校高学年で子役を卒業し、歌舞伎家系に養子として入って人生を捧げるかどうかの決断を迫られます。
当時、歌舞伎座という大舞台で何千人もの観客の前で演技するのは楽しかったですが、歌舞伎を選ぶ覚悟はできなかったですね。両親の意向もあり、中学受験をすることにしました。

受験勉強をして、サレジオに入学するのですが、自分で試行錯誤しながら勉強するのは楽しかったですね。サレジオに入学した後も、文化祭で実行委員長を務めた際は、前例のないことをしたくて、お化け屋敷の解禁や横浜港開港150周年記念キャラクター「たねまる」の招致、階段アートなど、様々なことにチャレンジしましたね。階段アートはその後も10年以上続いたそうで、自分の手で新たな伝統を作れたことは小さな誇りになっています。

新しいものを作りたいという気持ちがビジネス志向に昇華

高野:自分で新しい何かを作るのがお好きだったんですね。

石川:そうですね。
実は、小学校の頃からPCはよく触っていました。サレジオに入学してからは、サイト制作やゲーム制作は作りながら勉強していました。自分の頭の中にあるものが形になる経験は私にとっては歌舞伎と繋がる部分もあり、楽しかったです。当時から、社会に出た後も続けたいと考えていました。
高校生のときには、インターネットでちょっとしたビジネスをやってみたことがあります。シンプルにお金を稼ぐことって面白いと思ったのを覚えています。大学に入ったらビジネス系のサークルに入って、プロダクトを早く作りたいと思っていましたね。

転部もしてテクノロジーを活用したビジネスに身を投じた

高野:石川さんは東京大学のご出身ですよね。

石川:はい。東大では「KING」というサークルに入りました。学生のビジネスコンテストを運営する団体ですね。OBにはラクスルの松本恭攝社長やユーグレナの出雲充社長などがいらっしゃいます。
起業家の方の話を身近で聞けるようになり、さらに起業したいという思いは強まりましたね。もともと、ものづくりがしたい、という気持ちが強かったのですが、ビジネスが身近なものになったためか、気づいたらすっかりビジネスにのめり込んでいました。

石川:実は私は大学3年生のときに、工学部に転部しました。
当時、アメリカで理系の学生がITビジネスで起業する件数が増えているという話を聞いていました。また、先輩方もテクノロジーを活用したビジネスを立ち上げている方が多かったので、自分もテクノロジーをきちんと勉強してビジネスを作ろうと考えたのは自然な流れでしたね。

ピボットしつつ、ビジネスの立ち上げを経験

高野:大学生のときから、実際にプロダクトを作っていらっしゃったのでしょうか。

石川:たくさんチャレンジしましたね。お弁当をデリバリーするサービスやポイントサイトのアプリバージョンなど、ひたすら作っていましたね。

今振り返ってみると、少し勘違いしていたような気もします。先輩起業家とビジネスを教えてもらっているうちに、自分もできそうな気がしてくるんですよね。

でも、大きく当たったと言える事業はなく、出しては引っ込めてを繰り返していました。

高野:学生時代から事業を変えながらやってきているんですね。

システム開発の市況を鑑みて、AI学習サービスに本腰を入れた

高野:そうした中で今AIに絞って事業に取り組んでいるのはどういった理由なのでしょうか?

石川:AIに腰を据えてビジネスをやっていくぞ、と決めたのはSkyland Venturesさんから出資を受けるタイミングですね。2年半ほど前のことです。
知人から紹介を受けて、ビッグデータを解析するシステムを受託開発したのが、決めるきっかけになりましたね。受託することになったのですが、よく考えると学生に委託するくらい人が足りていないのだな、と。
私は研究にデータ解析・機械学習といったことを利用していたので、自分の強みを活かしながらできる分野かもしれないと感じました。まずはAIの将来性・市場自体を大きくするために、AI人材を育成する学習サービスを提供することにした、というのがAidemyのスタートです。

そこからピボットして、今の会社体制に至る、という流れですね。

高野:なるほど。試行錯誤しながら、着実に前に進んできているのが、なんとも科学者らしいというか、石川さんらしいです。

採用を強化し、日本を代表する企業のAI導入を加速度的に進める

高野:今後はどのような展開を予定されているのでしょうか。

石川:今後も「技術が社会実装されている場を作りたい。」という想いは変わりません。そのためにも、法人向けのソリューション提供を強化していきます。

私たちがこの目指す世界を作っていくにあたって、感じている課題は大きく2つあります。
・法人向けに営業・コンサルティングができる人材を採用していくこと。
・より技術に深く精通したエンジニアの採用をさらに加速させること。
以上の2つです。

大企業の現場に入り込み、顧客と一緒にAIの未来を作るコンサルタント

現在、法人お客様へのソリューション提供に注力しているというお話をしましたが、実は注力し始めたのは2019年1月からのことです。それまでは基本的には、個人・企業向けの学習サービスに特化していました。

そうした中で、いわゆるナショナルクライアントと言われるような、日本を代表する企業様にご用命いただく機会も増えてきました。絶対にミスを起こしていけないような現場に導入していただき、結果を残していきたいと思っています。

そう考えた時に、大企業の方に対して折衝したことがある人の採用を強化していきたいと考えています。AIを取り入れる現場は、基本的にエンタープライズで取り組んでいく必要があります。その際に、深くヒアリングして仮説を立てながらディスカッションしていくことが求められます。

この役割は営業・コンサルタントにとってはかなり面白いのではないかと思っています。営業といっても、Aidemyはあくまで科学者集団です。
そして、私たちが対面するお客様は、ビッグデータを保有して、新しいことに対しても積極的に投資して行く余力がある企業がほとんど。スタートアップとしてこうした大企業と組みながら、AIの未来を作っていく仕事は刺激的なのではないかと思います。

よりGeekで専門家・科学者集団としてのアイデミーへ

高野:なるほど。エンジニアについてはいかがでしょうか?

石川:私たちは、学習サービスから事業を始めたので、「教育」の側面が強かったです。そのため、こんなに魅力的な技術を広めたい、教えたいという方から多くご応募いただいてきたと思っています。

ただ、これから作っていくのは、AIの未来です。例えば、エンジニア向けの制作プラットフォームを作ってAIを活用した事例が生まれやすい環境を作ったり、学会にも進出してAIの技術がさらに前に進むような取り組みを行ったりしています。

社内でもこれまで取ってきたAidemyの受講ログを使って、ユーザーの満足度をあげる、といった実践的な取り組みを改めて行っています。

そのため、知っている技術を教えられる人材だけでなく、AIについて深掘り、業界全体の技術力を高められるような人を増やしていきたいと考えています。

高野:これからのAidemyの技術発信にも期待ですね。
最後に、候補者の方へメッセージをお願いします。

石川:アイデミーでは「全員が科学者です。」という行動指針があります。AIが進化の過程にあるのと同じように、Aidemyもまだまだ成長過程にいます。未知のものも科学しながら、テクノロジーを使って事業を前に進めていきたい!そんな価値観に共感いただける方のご応募をお待ちしています!

高野:ありがとうございました!

キープレイヤーズ 高野のコメント

AIが関わる新規ビジネスについて、よく相談を受けます。スタートアップでは、AIを活用した○○というサービスは多く出ていますが、大企業への導入状況はどうなのか、というのは少し気になっていたので、非常に参考になりました。

石川さんは、ピボットする観点が非常に堅実かつ鋭い経営者の方だと感じています。個人向けのAIの学習サービスから、法人向けに研修を提供するだけでなく、実装支援・ソリューション提供まで提供し、自社にノウハウが蓄積される仕組みになっているので、今後の展開も非常に楽しみです。

ぜひ、今後のAidemy、さらにはAIの未来を作る仕事がしたい方は、高野までご相談くださいませ。

 

 

【参考】石川 聡彦さんが著書の書籍・本

石川さんが執筆されている、AI・ブロックチェーン関連の書籍をご紹介させていただきます。テクノロジーに興味がある方はぜひこちらチェックしてみてください!

 

高野 秀敏

1999年に株式会社インテリジェンスへ入社。2005年に株式会社キープレイヤーズを設立。3000名以上の経営者の相談と、10000名以上の個人のキャリアカウンセリングを行う。また、55社以上の社外役員・アドバイザー・エンジェル投資を国内・シリコンバレー・バングラデシュで実行。キャリアや起業、スタートアップ関連の講演回数100回以上。転職・採用、投資のご相談は Facebook Messenger、もしくはLINEからご連絡くださいませ。
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