「公私融合」Authense 法律事務所 代表室室長桐生由紀さんの育児・仕事を両立したキャリア

インタビュー          
       
       
     

こんにちは、ベンチャー・スタートアップへの転職のサポートをしているキープレイヤーズの高野です。

今日はAuthense(オーセンス) 法律事務所の代表室室長、人事部長の桐生由紀さんにインタビューさせていただきます。

以前より顧問をさせていただいているのですが、桐生さんがめちゃめちゃ仕事できるな!と感じておりました。

途中で気付いたのですが、お子さんも3人いらっしゃると。

加えて社労士の資格試験も勉強して取得。マルチタスクすごいな、、、と仕事しかしてこなかった私は感じました。

仕事とプライベートの両立はなかなか大変ですが、その辺りも率直に質問させていただきました!

動画でも公開していますので、動画で見たい方はこちらからどうぞ!

 

代表室室長 桐生由紀

新卒では、大手建設会社に入社。管理(人事・経理)領域でキャリアをスタート。その後、出産・育児を経験した上で、設立後間もないAuthense 法律事務所に入所。現在は3児の母として家事・育児をしながら、代表室、コンプライアンス推進室、人事部の部長として勤務するかたわら、Authense 社会保険労務士法人の代表も務めている。

Authense 法律事務所

「すべての依頼者に最良のサービスを。」を理念とする法律事務所。各弁護士の豊富な経験や専門性を活かし、既存のリーガルサービスの枠を超えたサービスを提供している。

 

突然の出来事〜人生を変えたターニングポイントまで〜

高野:桐生さんの過去を教えてください!

桐生:中学生の頃から変に大人びているところがあり、変わった中学生だったかもしれませんね。同じ世代の人たちが幼く見えたんです。

 

「とにかく自由に生きたい。」そう思っていました。

 

どうやったら自由に生きられるのか?例えば服装なら、制服も校則もない高校に行きたい。でも、その自由は、学区内で一番の偏差値の高校でないと得られない。自由に生きるためには賢くないといけない。

そのような考え方があり、自由を得るために勉強して高校に入りました。

高野:親から言われて勉強したみたいな方が多いかもと思いますが、桐生さんにとっては「自由」が大事だったんですね!ご出身はどちらですか?

桐生:大阪です。転勤で中学1年まで大阪で、中2で東京に戻ってきました。中2中3は自由を求めて校則のない高校に入ることのみ考えていましたね。

そのころの夢は、インテリアコーディネーターになることで、部屋のインテリアを考えることが大好きでした。

高野:今とはだいぶ?違いますね!?

桐生:大学を卒業して就職するときは氷河期だったんです。就職課の先生からは「女性だとコネがないと就職できないよ。コネを探しきなさい」と言われました。

実際に、同じ大学の友達はコネで就職していましたね。私は自分の力で就職したかったのでコネは使わず何十社も受けました。

新卒では財閥系のデザイン会社に入社しました。インテリアコーディネーターになりたかったのですが経理人事に配属されました。一切関係ない仕事をすることになったんです。

ただ、大企業の中で一部分の仕事をやっていくのはだんだん飽きてしまいました。当時は若くて分かっていなかったんですよね。

そこで仕事変えようかなと思い同じような不動産建設会社に転職しました。その後、25歳で結婚しまして、1人目を妊娠しました。

当時は今と違い、育児休業をとって働き続ける女性はほとんどいませんでした。

東証一部上場企業だったのですが全く悪気なく「いつ退職するの?おめでとう!」「このポジション採用するの難しいんだよな。でもおめでとう!」と言われるような時代でした。

 

私は妊娠中ギリギリまで働いて専業主婦になりました。専業主婦時代の家事と育児も楽しかったですね。2人目の子供も授かりました。子供たちが本当に可愛くて、仕事をするなんて少しも考えずに、家事と育児に没頭していました。

 

そんな中、上の子が5歳、下の子が1歳2カ月の時に急に夫が亡くなってしまいました。

 

高野:!!!!!

桐生:大きな人生の転機でした。31歳で人生がリセットされたような感覚です。私に残ったのは二人の子供たちだけでした。想定外の事態でシングルマザーになり、実家に戻りました。

子供たちも大変で特に上の子は夫のことも覚えているから毎日泣いて、新しい幼稚園に慣れるのもかなり大変でした。

私の父は「今は子供の事を考えて、働くな。お前たちの面倒は自分がみる。」と言ってれたので、1年半くらいは子供たちを育て、母親と家のことをしていました。それがAuthenseに入る直前、33歳のときのことです。

この頃、私と子供たちを面倒見続けてくれた父と母には本当に感謝しています。

 

心機一転〜人生のリスタートに奔走〜

桐生:ただ、ずっと親に甘えているわけにはいかない。自分の人生を1からやり直そうと思っていたんです。

そこで車を買いました。赤いBMWに一目惚れして、新車で買いました(笑)。

高野:車!?ですか!?

桐生:はい(笑)。でも、運転なんてできないペーパードライバーでした。結局、誰かに頼らないとどこにもいけない状況でした。

これではいけないと考え、運転も自分でできるようになろう、仕事もして経済的に完全に自立しようと決めました。

自分の人生を取り戻すために、新車を買って自分に気合を入れたんです(笑)。

父親が亡くなって実家に帰ってくると「かわいそうだね」と言われます。でも同情されるのは嫌でした。車も持って、仕事もして、お父さん=夫がいなくてもやっていけることを証明したかったんです。

当時は小さい子供が2人いるという状況で、なかなか仕事をしたくても採用されませんでした。何十社も受けました。不採用のお知らせをもらうたびに、自分は社会に必要とされていないのだという喪失感を味わいました。

そんな中、2月頃に面接を受けたところが何社か進んで、今のAuthenseともう一社から内定がでました。

とうとう仕事ができる!と思い、本当にうれしかったです。このときにAuthense創業者の元榮と出会いました。34歳のときのことです。

時短勤務なんて絶対に受け入れてもらえないと思っていたので、仕事は「フルタイム前提」で探しました。それでも、普通に考えるとなかなか私を採用しないはず。

「元榮はなぜ採用してくれたんだろう?」と今でも思いますね。元榮との面接は1時間半くらい、私の今までの人生や価値観を率直に話しました。結果採用してくれました。

 

拡大期のスタートアップで育児と仕事を両立

当時のAuthenseは30人くらいしかいなかったですね。弁護士とパラリーガルだけ。コーポレートの人はいませんでした。

例えば、パソコン得意な人がみんなのパソコンの設定をやっているような状況です。流石に管理系やってくれる人が必要になったタイミングでした。

求人は経理事務の人募集!といった簡単そうな内容でした。でも、実際はなんでもやって欲しい!という感じでしたね。

同じく元榮が創業した弁護士ドットコムはそのときわずか5人くらいでしたね。Authense内にひと島あるような形でした。当時はずっと赤字の状態で、法律事務所で収益が上がっていました。

ちなみに、もう一社内定をもらった会社は、綺麗なオフィスで大きめの会社でした。それに対してAuthenseは当時は小さかったので「大丈夫かな」とは思いました。

ただ、もう一社は、「4月に息子の入学式があるのでその日だけ休ませてほしい」と言ったら、その会社は「入社して早々休むなんて無理、それなら内定取り消しだよ」といわれました。

反対にAuthenseは「全然いいよ」と言ってくれました。この会社なら大丈夫だと感じ、思い切って飛び込むことができましたね。

高野:フレキシブルさは採用に影響しますからね。

桐生:元榮は採用においては、損得で考えないのかもしれません。明らかにあの時の私は採用するには「損」な人でしたから(笑)。

その分仕事にフルコミットして返そうと思いましたね。

やって欲しいと言われたことは全てやり切ろうと全力で働きました。入学式以外は一切休まず最初の1,2年は働きました。仕事以外のことは思い出せないくらい、ずっと仕事のことを考えていた。

事務所として困っていることはどんどん出てきて、やってほしいと言われる事は山積み。どうでも良いと思うような仕事ややったこともないような難しい仕事まで多種多様にありました。

色々考えても仕方ない、「なんでも一旦はやってみる」ということにしましたね。やってみないと、成功も失敗もしませんから。母にも負担をかけました。「全然はやく帰ってこない」と何度も言われましたね。

それでも入社時のお給料は月給20万円でした。ただ、給与が安いから嫌だと思うことはありませんでしたね。私が成果を出して、会社にとって必要だと思われたら給与は上がっていくものと考えていました。

高野:活躍したら実際に上がりましたか?

桐生:最初のスタートと比較して、相当給与は上がりました。男性と待遇差なく活躍でき、新しいことにどんどんチャレンジできる、Authenseは私にとって理想の職場でした。やっと自由を手に入れた気持ちでしたね。

その後、組織は拡大して、200人規模になった頃に事務所を分割することになりました。パートナー間で求める方向性が違って、それぞれの理想の道を歩もうという事になったんですね。

元榮は、「弁護士ドットコムを上場させたい。Authenseも過払い対応メインのステージを脱出し、新しいステージに立ちたい」という想いで、1からスタートする事を決断しました。分割は、2010年の12月に完了しました。

すべてをおいて、1からのスタートでも、不思議と不安はありませんでしたね。元榮はじめ、みんな前向きでした。絶対大丈夫みたいな不思議な自信がありました。

分割当時は、人数も元榮が連れてきた10人ちょっとに縮小しました。これが今のAuthenseです。新生Authenseとして、顧問と建て明け(建物明渡)でリスタートしました。

その後、分野も少しずつ広げていき、10年かけて同じ規模の200人になりました。リスタート当初は一つのテーブルで囲める忘年会が、今は200人以上の規模になっていることは感慨深いです。

弁護士ドットコムも成長し、2014年にとうとう上場を果たしました。

 

家事と育児を両立したモデルケースあり〜Authenseの働く環境〜

高野:桐生さんの今のお仕事はどんな内容ですか?

桐生:Authenseは代表室室長、人事部長をメインでやっています。そして社労士法人の代表を2年前からやっていますね。

Authenseでは、弁護士、パラリーガルは基本的に通年募集をしています。新卒、中途ともに募集をしていますよ。

また、コーポレート部門も充実しているので、マーケティング、セールス、エンジニアなど一般的な法律事務所ではあまり見かけない求人も多くあります。多分野でAuthenseらしい人が続々と集まっていますね。

高野:Authenseらしい人とはどんな人のことでしょうか?

桐生:

①変化を恐れずなんでもチャレンジできる人
②最後までやり切る事ができる人
③素直で前向きな人

この3点ですね。

でも、こういう人はどんな会社でも活躍できる人だと思います。

その中でAuthenseの魅力は、手を上げれば何でもチャレンジさせてもらえる環境があることです。上記の3つが当てはまり、自分の可能性を試して成長したい人にとっては非常に楽しい会社だと思います。

反対にできるだけ現状維持したい人には、正直合わないかもしれません(笑)。

高野:法律事務所はどちらかというと保守的な事務所が多いですよね。

桐生:そうかもしれません。ただ、Authenseは「現状維持は衰退の始まり。変化を恐れずチャレンジしよう」という法律事務所ですね。

 

仕事とプライベートを両立するポイント

高野:仕事とプライベートを両立するポイントは?

桐生:そうですね。それを話す際にお話ししておきたいのですが、元榮との約束を破ったことが実は一度だけあります。

実は、面接の時に「この先、結婚するつもりはない。子供も産むつもりはない。」と言いました。それだけ仕事にコミットしますという意味です。

でも今は子どもは男の子3人。Authenseに入ってから、結婚して3人目を産んだんです。社内恋愛で入社2年半後に結婚しました。

夫には、2人いるから子供は産まない、仕事も辞めたくないからといって結婚したのですが、やはり考えた末3人目を産もうと思い、Authense初の育児休業を取りました。

仕事もあったので、育休中も働いていて、ほとんど仕事から離れない生活をしてましたね。復職後は、会社にいる時間は5時までにしてもらい、保育園のお迎えのために、毎日猛ダッシュで帰って、家事と育児をこなす生活になりました。

ただ、仕事を減らしたくなかったので、家事と育児を一通りこなした後、夜8時くらいから寝る前まで仕事をするという毎日です。

子供がいるから、家庭があるから、という理由で仕事をセーブしたくはなかったんです。

家庭と子供を理由に自分に制限をしたくなくて自分に制限をかけたら、仕事の幅も広がらない。バランスは取れるけどキャリアが広がらない。やりたい仕事もできない。やっぱり、やりたい仕事はやり切りたい。

3人目出産のあとはさらに難しいステージに突入しました。

夕方まで事務所、一旦帰宅して家で家事育児、その後、また仕事をする。そんな毎日です。今は、家庭と仕事を明確に分けていないですね。いうなれば、「公私融合型」です。

私は、きっちり切り分けようとすればするほどストレスになるんです。24時間の中で仕事と家庭をバランスよく融合して使う。仕事とプライベートを融合する。もちろん、公私混同はしないようにしていますよ(笑)

ただ、3人目の息子が4歳くらいの時に、さらにキャリアを広げるために社労士の勉強を始めたんですが、この時はさすがに辛かったです(笑)。隙間時間をすべて勉強に費やしたので、夫や子供たちにも迷惑をかけました。

無事合格したあとは、元榮から社労士法人を任せてもらい、今は、社労士法人の代表として顧問先の方の相談に乗っています。私の挑戦を後押ししてくれ、活躍の場を与えてくれた元榮には感謝しています。

高野:パラレルに、マルチタスクがこなせるのがすごいですね。

桐生:家事は、優先順位と自分のこだわり度合で、力をかけるところ、手を抜くところのバランスをとってます。

家事はとにかく少しでも時短できるように無駄ははぶいて、散らからないように物は置かないようにして…うちは夫は家事できない。基本ワンオペなんです。よく4人兄弟とか言われてます(笑)。

夫も他人だし原則は変えられない。苦手な事をやってもらおうとして、毎日喧嘩をしても楽しくないから、仕方ないかと諦めてます(笑)。でも、夫のいいところは、こうした働き方も含め、私を自由にしてくれるところですね。

ただ、最近、中3の次男が、夕ご飯を作ってくれるようになり、ワンオペを卒業しつつあります。

私がずっと働いているのを見て育ったから、私の仕事にも理解があって、子供たちは本当に私の助けになってます。

高野:最後に何かメッセージをお願いします!

桐生:家庭や子供がいるからという理由で「自分の人生やキャリアを諦めない」働き方をしてもらいたいですね。

ママになっても自分の人生や仕事は、自分のものですから。

高野:本日は桐生さんキャリアとAuthenseの歴史も学べました!ありがとうございました!

取材あとがき

桐生さん、インタビューにご協力くださり、改めてありがとうございました!

桐生さんは育児と仕事を両立されているロールモデルのお一人であると感じています。もちろん、すべての人が桐生さんのような生活に向いているわけではありませんが、自立した人生を送りたいという相談が最近増えているように思います。

Authense 法律事務所、Authense 社会保険労務士法人ともに、自分の可能性にチャレンジしたいという方には、素晴らしい環境なのではないかと思います。興味をもった方はぜひご連絡くださいませ。

執筆者:高野 秀敏

東北大→インテリジェンス出身、キープレイヤーズ代表。11,000人以上のキャリア面談、4,000人以上の経営者と採用相談にのる。55社以上の投資、5社上場経験あり、2社役員で上場、クラウドワークス、メドレー。149社上場支援実績あり。55社以上の社外役員・アドバイザー・エンジェル投資を国内・シリコンバレー・バングラデシュで実行。キャリアや起業、スタートアップ関連の講演回数100回以上。
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