スタートアップにCHRO/人事部長はいらない!?採用の是非とポイント

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こんにちは、ベンチャー・スタートアップへの転職のサポートをしているキープレイヤーズの高野です。

近年、CxOの種類は増えており、他にもCDO(Chief Design Officer)、CXO(Chief Experience Officer)など、様々なCxOを置く企業が増えていますね。

CHROは経営者から採用の相談が多い役割の1つです。今期、私も数社への転職を支援させていただきました。

ただ、採用したい理由を聞いていると、「他社にCHROがいるから」というような理由のことも多いです。

この記事では、CHROが本当に必要なのか、採用する場合はどんなことに気をつけるべきか、紹介します。

CHROとは

CHROとは「Chief Human Resource Officer」の略で、最高人事責任者を意味します。場合によっては、CHO(Chief Human-capital Officer)と呼ぶこともあります。

いずれもおおよそ意味合いや役割は同じです。いわゆるCxOの1つで、経営陣に括られます。

スタートアップ・ベンチャーのCHRO採用のポイント

1.そもそもCHROは必要なのか?を検討する

調べてみると、上場したスタートアップ・ベンチャーでもCHROがおらず上場している会社が多いです。

人事部長または人事の管理職レベルの人はいる会社もあります。ただ、多くは管理系の役員が人事部長的な役割を果たしています。「人事」で取締役になっている人はとても少ないです。

これはどういうことかというと、社長以外で優秀な人がいた場合、多くは「稼ぐ」仕事をしてもらうことになるためです。結果として営業やマーケ部門を統括する仕事をしています。

また、よほどのエンジニアばかりの集団でもない限りCTO的な方がCHROをするということはありません。エンジニアはさらに人が枯渇しているので、「人事」に割ける人員が足りていません。

「事実」から見ればスタートアップにCHROはおらず、その状態でも上場しているということは、CHROを置く価値、CHROになる価値について改めて考える必要があるでしょう。

CHROを置く目的・価値が定まると、人選が進みやすいです。

2.CxOが中心となって戦略人事・企画を推進する

多くの人事の人は「運用」に強いです。一方で「企画」には弱いことが多いです。従って経営メンバーが戦略や企画を考えるのが良いです。

先日マネーフォワードさんが、戦略コンサルのBCG出身でファーストリティングでの人事経験もある武山さんを採用していました。多くの場合はどちらかの経験しかないので、こうした戦略企画経験も人事経験もある方は珍しいですね。

こうした方が採用できる場合は、CHRO候補として迎え入れるのもよいでしょう。

ただ、採用するのはかなり難しいので、CxOが戦略人事企画、人事が運用・実行という役割分担するのがおすすめです。

3.戦略コンサルの方をCHROに据えるのもよい

シニフィアンの小林さんは、戦略コーポレートディレクションからDeNAに転職されました。

最初のロールは人事だったようで、当時よくお仕事をさせていただきました。戦略も実行も素晴らしい方で、ターゲットになる優秀な人材の方々が次々と転職していきました。その後はゲーム事業や経営企画など統括されていましたね。

前述のマネーフォワード武山さんもですが、戦略コンサル出身で戦略企画も運用実行もできる方がいると、人事がうまく機能することが多いですね。

こうした優秀な方を採用できた場合、人事だけをやってもらうのではなく、会社の中で足りない役割を必要に応じて社長室的にやってもらうのがよいと考えています。

4.実は幹部が足りていないことが多い

CHROが足りないというよりも、単純に幹部が足りていない会社が多いです。

これを言ってしまうと終わってしまうのですが、優秀な人事がいても社員の不満がなくなることはありません。

会社が大きくなれば「うちのビジョンが見えない」「評価が曖昧だ」「そもそも評価制度が良くないと思う」などの不満が出てきます。

そして、ひとりひとりに当事者意識がなくなり、「会社と自分」が分断されてきます。つまり国家と国民の関係のようになっていきます。

Twitterなど見ていても国家に対しての不満を呟いている国民は多いですよね。会社経営において不満が出てくるのは、それだけに会社が大きくなっている証拠とも考えられます。

国家であれば全ての人を平等に国家運営していかなければなりません。ただ、会社の場合は、会社にとっての優先順位をつけることができます。

「できる人を評価し、できない人を評価しない。」

これをやらないとできる人からやめていってしまいます。

評価制度というよりも、できる人に十分な条件を提供できているのか、ポジションや待遇、環境などで不満を持っていないのか気にした方が良いでしょう。

優秀な人ほど決断が早いため、突然「話があります」と言われ、「これまでお世話になりました。実は来月末で退社させていただきたいと思っています」と言われてしまうことも。

キープレイヤーの待遇というのは組織の「予防医療」になるので大切な要素の1つです。

5.他社で活躍している人が活躍するとは限らない

CHROをやっていた、人事部長をやっていたという方はそれなりの規模の会社ならその社数分だけいます。つまりかなりの数がいます。

それにも関わらず、あの人は素晴らしいCHROだという評判はそう多くは聞きません。その会社でできているからといって次の会社でできるとは限らないんですね。

特に日本の伝統企業でできていた方が、スタートアップで同じように活躍できるのか。

または、外資系のトップレベルの企業(つまりは超大手)にいたからスタートアップで同じように活躍できるのか。

実は、それだけでスタートアップでできるということには全くもってならないので、他社で活躍する人を引き抜くのがよいとは限りません。

6.サイバーエージェントの曽山さんのような凄い人は探してもいない

ベンチャー界隈で最も有名なCHROはサイバーエージェントの曽山さんでしょう。以前、youtubeにも出ていただきました。

黎明期のサイバーエージェントで営業実績、管理職としての実績も十分にあり、その上で人事に就任されています。

このように現場で活躍している人を抜擢するというのは一つのやり方として良いです。

一方でこのような強い戦力の方を間接部門に異動させるのは勇気がいります。

そもそもスタートアップは常に人材不足の状態です。この決断をできるような成長を遂げているのか、人材がいるのかということも大事です。

とはいえ、いい人事がいなければいい人も集まらない。いわゆる「ニワタマ」です。この矛盾を乗り越えていかなければなりません。

 

まとめ

以上、CHROの四方山話でした。

CHRO的な方はいなくても上場してますよ。すごくレアですよということを伝えたくて書きました。

とは言いつつ今期も何名かのサポートはできています。みなさん現場経験がありCOOなのか事業責任者のロール経験もあり、仕事の実績、経験も豊富な方々です。

いわゆる「人事だけ」の方ではないですし、他のロールであってもかなり高いレベルでこなせる方ばかりです。

このような方を沢山見つけたいのですが、これはなかなか難しく、見つかっても1社しか転職はできないわけで。そんなところで今日のコラム書いてみました。

もし、CHROに挑戦してみたいという方がいれば、お気軽にご相談ください。CHROを採用したいという企業の方もぜひご連絡くださいませ。

執筆者:高野 秀敏

東北大→インテリジェンス出身、キープレイヤーズ代表。11,000人以上のキャリア面談、4,000人以上の経営者と採用相談にのる。55社以上の投資、5社上場経験あり、2社役員で上場、クラウドワークス、メドレー。149社上場支援実績あり。55社以上の社外役員・アドバイザー・エンジェル投資を国内・シリコンバレー・バングラデシュで実行。キャリアや起業、スタートアップ関連の講演回数100回以上。
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