豊田剛一郎さん(メドレー取締役医師) が幅広い経験を積んで考えたこと

インタビュー          
       
       
     

取締役医師 豊田剛一郎 経歴

1984年生まれ。東京大学医学部卒業後、脳神経外科医として国内の病院に勤務。その後渡米し、ミシガン小児病院にて脳研究に従事する。日米での経験を通じて日本の医療の将来に対する危機感を強く持ち、医療を変革するために臨床現場を離れることを決意。マッキンゼー・アンド・カンパニーにて主にヘルスケア業界の戦略コンサルティングを経験後、2015年2月より株式会社メドレーの取締役医師に就任。書籍に「ぼくらの未来をつくる仕事」(かんき出版)。

 

書籍「ぼくらの未来をつくる仕事」出版後の特別秘話

高野:豊田さんこの度は、書籍「ぼくらの未来をつくる仕事」のご出版、おめでとうございます。 詳細のお話はみなさんに書籍を手にとってインプットして頂きたいので、今回はポップに豊田さんのお話をお伺いしたいと思います!

 

豊田剛一郎(著)『ぼくらの未来をつくる仕事』 

 

 

豊田:ありがとうございます!

高野:実際に書籍を出版されていかがでしたか?

豊田:本当に書籍の執筆は大変でした。本気でゴーストライターを雇えばよかったかもしれません(笑)。

高野:まさかの!豊田さんのことですから、あっという間に書き終わったのかと思っていました。

豊田:自分のことを書く行為が初めてでしたので苦労しました。編集者として働く元患者さんから書籍執筆のご提案を受け、書籍を出すことが決まったのですが、実際に書き始めると、これが大変で。

医療をテーマに伝えたいことはたくさんありました。しかし、私の医療知識はまだまだ浅はかですし、医療の現場にいたのは4年に過ぎません。医療の課題意識を的確に提示しながらも、現場で働く医療従事者に失礼にならないよう、どう伝えていくか悩みました。

医療は遠い話と思っている方にも現場で起きていることを理解してもらえるストーリーは何か、専門性と分かりやすさのバランスをどう取るかなどにも頭を悩ませました。さらに自分の人生についても紹介しているのですが、私の半生が誰の役にたつだろうとか(笑)。それでもこの本を通じて、多くの人が医療を自分ごとに捉えたり、キャリアを踏み出したりするきっかけになればと、1字1字に思いを込めました。

高野:書籍のキーワードとして、「医療を救う医者になりなさい」というメッセージがありました。豊田さんは医療をどのようにして救う人になろうとお考えですか?

豊田:私たちは、「医療ヘルスケア分野の課題をインターネットの力で解決する」というミッションを掲げています。このミッションの達成に向けて、医療に関する新しいサービスをどんどん世の中に生み出していきたいと考えています。また、メドレーでのビジネスに加えて、書籍や情報発信などを通して医療に対する人々のマインドセットを変えていきたいです。

自分が元気な時は、医療ってちょっと遠い存在ですよね。「親が倒れた」「救急車で運ばれた」と何がしかの医療との接点がない限り、医療を身近に考える人がいません。

でも本当は、もっと元気なうちから医療を自分ごととして捉え、どういう生き方がしたいのか、そのためにどんな予防医療をしておくべきか、などを皆が考え始めたら、医療は大きく変わっていくと思います。例えば、高校生の社会体験に、救急現場・医療現場の見学をする機会があってもいいんじゃないか。「自分もこうなるかもしれない。」「親も将来はこうなる可能性があるのか?」と自分ごとに捉えるきっかけになると思います。病院や医療現場の問題点も肌で感じることが出来るでしょう。

高野:確かに情報化社会ではありますが、医療に関しての正確な情報を得ることはまだまだ難しい印象ですね。また、普段健康であるからこそ、医療を自分ごとに捉えることが出来ていないかもしれません。

豊田:医療の仕組みを変えていくことにも関与していきたいです。

私が研修医として働いていたとき、仕事自体は面白かったのですが、昼夜問わず働く現場の医療従事者をみて、このままではシステムが持たないと感じました。「自分が50歳の時の医者と医療現場が若い人に胸を張っていけなそう。」「今から変えないとダメだ。」と思ったものの、現場に立つ医者は目の前の患者さんに集中すべきですから、医療の中から仕組みを変えることは非常に難しい。

そこで先輩から「医療を救う医者になりなさい」という言葉をかけてもらい、医療現場の外に出ることを決めました。医療システムが抱えている様々な課題に対して、悲観的な傍観者になるのではなく、当事者として解決していこうと思ったんです。

高野:今回の書籍は、医療現場の理解や認知を高めるため、豊田さんが一石を投じたとも言えますね。

 

医師・コンサルタント・経営者の仕事を通し豊田さんが考えた事

高野:豊田さんは医師・コンサルタント・経営者と幅広いご経験をされていますが、それぞれの仕事にどんな思いを持たれていますか?

豊田:医者者は何かあった時に対応するのが仕事ですが、本当は、みんなが日々健康に暮らしていて仕事をする必要ない状態になることが理想です。患者の診察をする時に、「何で病気になったのか?」「何で交通事故が発生したんだ?」などの原因を深く考察することは少なく、そのタイミングでギアをマックスにして柔軟に対応できる能力が医者には必要です。もちろん治療計画を立てることもありますが、基本的には、イレギュラーに対応することが医療です。

高野:そもそもビジネスと考え方が異なりますね。

豊田:コンサルタントはクライアントと緻密な計画を立てて、仕事を行います。決められた計画・期間の上でクライアントの期待値に応えることが仕事です。医者と同じくハードワークではではありしたが、そもそもハードワークの意味合いが異なります。

しかし、医者とコンサルタントには共通項がありました。医者もコンサルタントも、最終的な意思決定権は患者さんやクライアントにある仕事です。誰かの為に仕事をするため、仕事の本質は相手が心の底から納得できるサポーターとなることです。

高野:なるほど、この視点で考えたことはありませんでした。

豊田:逆に経営者は意思決定することが仕事で、常に意思決定を求められます。スタートアップの経営者になり、「自分たちの会社が伸びるためにどうしたらいいか?」を常に問われ続けることとなり、マインドセットの変化を求められましたね。事業会社は自分たちで決定しなければならないことがこんなにもあるのかと正直驚きました。

高野:ありがとうございます。医師・コンサルタント・経営者とそれぞれの場で活躍されている豊田さんにとって、キャリアに悩んでいる皆様にメッセージをお願いしたいです。

豊田:何かに悩んだりモヤモヤし、このままだと良くないとなんとなく分かっているのに、やらないという後悔が一番もったいないと考えています。キャリアに関しては、現状に甘んじず、一歩踏み出して確認してみることが大切です。現代は、選択肢が豊富な時代です。私は、居酒屋で愚痴を言う人が本当に苦手です。愚痴を言う前に新しい選択をして進めばいいと思うんですよね。

まずは自分で選択肢を作りそのあと選ぶことが大切であると思います。

書籍では、「自分の名前で勝負せよ」と書かせて頂きましたが、自分の市場価値を上げる・自分のやりたいことをやるためにやろうと思ったらやれる環境は揃っていると思います。

高野:改めて、豊田さんの書籍を読ませて頂きます!

メドレー取締役医師 豊田さんはこんな方を探しております

高野:豊田さんの書籍での言葉やお人柄に感銘を受け、メドレーで働きたいという方はますます増えていきそうです。どんな方と一緒に働きたいですか?

豊田:好奇心が強く、パブリックマインドがある方と一緒に働きたいです。安定よりもチャレンジをし、「じゃあどうやったら出来るんだろう?」と常に思考する人を求めています。

メドレーはもちろんビジネスをしていますが利他的行動を取れる人が集まっています。世の中・会社のために自分を生かしながら働いていることが、結果自分のためになる、そんな考えで仕事をしています。経営者としてはそんな人が楽しめる職場を作りたいです。

社内に、「うちの会社って世の中のためになってなくない?」「うちの会社って何の為にあるの?」とモヤモヤしているメンバーはいないと思います。私自身、メドレーは社会的意義のある会社であり、また、再現性のないおもしろい会社だと思っています。働くのが好きで楽しめる人をお待ちしております。

高野:ありがとうございます!

キープレイヤーズ高野のコメント

キープレイヤーズ高野の読書感想文

東大医学部出身の医師であり、マッキンゼー出身、ベンチャー経営者という大変珍しい経験を持つ豊田さん。「医療ヘルスケア分野の課題を解決する」というミッションを持つ「メドレー」の取締役に。

忙しい日々を送りながらも充実していた豊田さん。日本の医療はこのままでいいのか?と悩むようになる。先輩から「医療を救う医者になれ」という言葉に影響を受ける。マッキンゼーに入社。日本の医療を変えようと試みるが、コンサルティングでできることの限界を感じる。

小学校から知り合いの瀧口さんと再会。「メドレー」の取締役としてオンライン診療アプリ「CLINICS(クリニクス)」やオンライン医療事典「MEDLEY」の事業を行う。

本書は、日本の未来の医療の形を作るべく奮闘努力するベンチャー経営者が、予防医療の大切さや医療現場の問題点をリアルなエピソードを交え、これからの医療のあるべき「未来」の姿やこれからの働き方を伝える社会性のある自己啓発本です。

豊田剛一郎さんについて

医療と事業の両面のバランスが取れた経営者の方です。豊田さんがジョインしてからのメドレーの成長や信頼度のアップは目を見張るものがありました。その後次々と優れたビジネスパーソンや医師の方々がメドレーにジョイン。豊田さんは輝かしいキャリアの方ですが、人知れず努力を続けている方だと思います。

全くの余談ですが、豊田さんはサッカーが得意で、そのプレースキックも正確だ!とお知り合いの方が言っておりましたた。

メドレーについて

「医療ヘルスケア分野の課題を解決する」ことをミッションに掲げた社会性のあるベンチャー企業です。創業者は、瀧口浩平さんです。経営チーム、ビジネスモデル、マーケットの将来性、どれもあると思います。一方でまだまだ働く仲間は不足しており、大きな志に対して、まだまだポジションは空いている状況で転職する方にはチャンスがかなりあると思います。私もメドレーの創業以来社外取締役をさせていただいております。

スタートアップ、ベンチャー経営者、社長かつ医師である方について

スタートアップ、ベンチャーの経営者かつ医師である方は限定されております。しかし近年は私がこの界隈をみている限りは増加してきております。医師の方もスタートアップする時代になってきたといえます。

参照:医師出身の経営者・社長をまとめました

 

書籍のご紹介

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

豊田剛一郎(著)『ぼくらの未来をつくる仕事』 

 

 

 

執筆者:高野 秀敏

東北大→インテリジェンス出身、キープレイヤーズ代表。11,000人以上のキャリア面談、4,000人以上の経営者と採用相談にのる。55社以上の投資、5社上場経験あり、2社役員で上場、クラウドワークス、メドレー。149社上場支援実績あり。55社以上の社外役員・アドバイザー・エンジェル投資を国内・シリコンバレー・バングラデシュで実行。キャリアや起業、スタートアップ関連の講演回数100回以上。
一覧に戻る