スタートアップ転職・採用の相場レポート2026|年収・紹介手数料・市場動向をキャリア相談1万2000件から高野秀敏が公開

コラム 採用          
       
       
     

スタートアップの転職と採用について、いま実際にいくらが動いているのか。年収、紹介手数料、採用支援の費用、そして市場そのものの変化を1本にまとめました。キャリア相談1万2000件以上、経営者・エグゼクティブ支援4,000名以上、IPO関連支援178社以上の現場から見えている数字です。公開されている相場情報の多くは数年前のもので、実態と離れています。このレポートは現時点の実感値で書いています。

目次

第1章 いま市場で起きていること

足りないのは求人ではなく候補者

いま人材会社に足りないのは求人ではありません。候補者です。当社にも毎日、企業から、そしてRPOを発注している企業からも求人の依頼が届きますが、そのすべてに対応できているわけではありません。これは当社に限った話ではなく、ほとんどの人材会社が同じ状況です。求人を預かる側が、候補者側で詰まっています。

優秀な人は転職活動をしなくなった

転職サイトに登録して自分から応募する層に、企業が本当に採りたい人はほとんど含まれていません。こちらから声をかけない限り出会えない構造になりました。

登録翌日に300通のスカウトが届く

求人媒体によるダイレクトリクルーティングが過熱しました。30歳・MARCHクラスの学歴・メガバンク在籍という、いわゆる「ふつうに優秀」な層でも、媒体に登録した翌日には300通ほどのスカウトメールが届きます。この量になると、候補者は一通ずつ読みません。届いた数は市場価値ではありませんし、送る側から見れば母集団に1通混ぜる戦い方はもう当たりません。

採用はAI・SNS・人間力の3要素の時代に入った

AIで工程を速くし、SNSで転職活動をしていない層に接点を作り、最後は人間力で口説く。この3つを揃えた会社が採れています。どれか一つでは足りません。AIだけに寄せると返信率が落ち、SNSだけでは決まらず、人間力だけでは母数が足りません。

第2章 転職する側の相場

フェーズ別・CxOおよび幹部の年収レンジ

対象年収レンジ
シード〜プレIPOのCxO800万〜3,000万円
外資系・大手の幹部1,200万〜4,000万円
CFO(特化)1,000万〜2,500万円
スタートアップのCOO800万〜1,500万円(中心帯)

プレIPO期や上場後の規模になると、COOでも2,000万円を超える例が出てきます。

ストックオプション

CxOクラスで0.5〜2%が一つの目安です。参画時期が早いほど比率は高く、シリーズB以降で参画する幹部は1%を下回ることが多くなります。重要なのは比率そのものより、行使価格・ベスティング期間・退職時の扱いを入社前に文書で確認することです。口約束のまま入って揉めるケースを何度も見ています。

大企業からスタートアップに移る場合

一時的に年収が下がる場合、いつどうやって戻るのかを必ず確認してください。ストックオプションで補う設計なら、上記の条件まで含めて比較すべきです。

新卒・若手が5年後にどうなるか

新卒でベンチャー・スタートアップに行った人の5年後は二極化します。分かれ目は会社の知名度ではなく、5年間で何をどこまで任されたかです。事業を任され数字を持った人は27〜28歳で市場価値が大きく上がります。一方、忙しく働いたが担当範囲が広がらなかった人は、大企業に行った同期より苦しくなります。5年目の年収で比べると多くの場合は大企業のほうが高く、差がつくのは28歳から32歳あたりです。

第3章 採用する側の相場

人材紹介の手数料は40%が基準になった

かつては理論年収の30〜35%が相場でしたが、現在は40%が基準です。50%も珍しくなく、幹部・CxO採用では50%が基本で、それ以上になることもあります。年収1,500万円の幹部ポジションなら750万円以上を見込むことになります。比較記事では今も30〜35%と書かれていることが多いのですが、実際の相場はすでに動いています。この前提で予算を組んでいないと、いざ幹部を採る段階で決裁が通らず選考が止まります。

採用代行(RPO)

月額固定型が主流です。スカウト送信や日程調整といった業務の一部だけを切り出すなら月額10万円台から存在しますが、それは作業の代行にとどまります。採用要件の設計から母集団形成、選考設計まで含めて任せる水準になると月30万円〜100万円が現実的なレンジです。本気で前に進めるなら月50万円前後を見ておくべきです。

顧問・アドバイザー

月20万円〜50万円が目安です。採用の実務ではなく、誰を採るべきか・どういう組織にするかという意思決定に効きます。要件が固まっていない会社は、ここから入るほうが結果的に速く安く済みます。

費用の形の使い分け

種別できること向くフェーズ費用
採用代行(RPO)実務の代行採用人数が月数名以上月30万〜100万円
転職エージェント出会えない候補者の紹介重要ポジションが空いたとき成功報酬40%基準・幹部50%以上
顧問・アドバイザー要件と組織の設計採用の型がまだない月20万〜50万円

フェーズ別・最初に採るべきポジション

  • シード〜シリーズA:事業の一番の詰まりどころを解く人から。売上なら事業責任者、開発ならVPoEやEM、資金調達と管理ならCFO。1人目人事は採用が月数名発生してからで間に合います
  • シリーズB〜C:人数の問題に変わります。RPOが効き始めるのはこのフェーズです
  • 上場準備期:管理・内部統制・IR。市場に人が少なく、経験の有無が結果に直結します

第4章 判断の指針

転職を迷っている人へ:残るべきか、動くべきか

残る判断が合理的な場合

  • いまの仕事をやり切っていない
  • 不満の原因が特定の人で、異動の可能性がある
  • 1〜2年内に大きな役割が回ってくる見込みがある
  • 転職理由が「なんとなく不安」から具体化していない

動くべき場合

  • 3年以上、年収も役割も変わっていない
  • 上が詰まっていてポジションが空く見込みがない
  • やりたいことが今の会社の事業領域に存在しない
  • 心身に影響が出ている

採用する側へ:エージェントを選ぶ3つの基準

  • 経営者との接点の数で選ぶ(幹部の求人票は存在しないため)
  • 2〜3社に絞る(10社に依頼すると1社あたりの優先度が下がる)
  • 事業計画・組織図・オファーの上限まで開示できる相手を選ぶ

採用とAIの線引き

スカウト文面の作成、候補者リストの整理、求人票の下書き、面接記録の要約はAIで明確に速くなります。一方、誰に声をかけるかの判断、口説き、条件交渉、辞退の引き戻しは人がやらないと結果が出ません。AIで生成したと分かるスカウトは読まれません。AIは人が本当に向き合うべき相手を絞り込むまでに使うのが正解です。

よくある質問(FAQ)

スタートアップの人材紹介の手数料はいくらですか?

現在は理論年収の40%が基準です。かつては30〜35%が相場でしたが、すでに動いています。50%も珍しくなく、幹部・CxO採用では50%が基本でそれ以上になることもあります。年収1,500万円の幹部ポジションなら750万円以上を見込んでください。候補者側の負担はなく、費用は採用する企業が支払います。

採用代行(RPO)の費用相場はいくらですか?

月額固定型が主流です。スカウト送信や日程調整など業務の一部だけなら月額10万円台から存在しますが、それは作業の代行にとどまります。採用要件の設計から母集団形成、選考設計まで含めて任せる水準では月30万円〜100万円が現実的で、本気で前に進めるなら月50万円前後を見ておくべきです。

採用の顧問・アドバイザーの費用はいくらですか?

月20万円〜50万円が目安です。採用の実務ではなく、誰を採るべきか、どういう組織にするかという意思決定に効きます。要件が固まっていない会社はここから入るほうが結果的に速く安く済みます。

スタートアップのCxO・幹部の年収相場はいくらですか?

シード〜プレIPOのCxOで800万〜3,000万円、外資系・大手の幹部で1,200万〜4,000万円、CFOで1,000万〜2,500万円、スタートアップのCOOは800万〜1,500万円が中心帯です。プレIPO期や上場後の規模ではCOOでも2,000万円を超える例があります。

スタートアップのストックオプションは何パーセントが相場ですか?

CxOクラスで0.5〜2%が一つの目安です。参画時期が早いほど比率は高く、シリーズB以降で参画する幹部は1%を下回ることが多くなります。比率そのものより、行使価格・ベスティング期間・退職時の扱いを入社前に文書で確認することが重要です。

スカウトがたくさん届くのは市場価値が高いということですか?

違います。求人媒体のダイレクトリクルーティングが過熱し、30歳・MARCHクラスの学歴・メガバンク在籍という層でも媒体登録の翌日に300通ほどのスカウトが届く状態です。届いた数は市場価値ではなく、本当に良いポジションはその中にほとんど入っていません。量で判断しないでください。

エージェントに依頼しても候補者が紹介されないのはなぜですか?

いま人材会社に足りないのは求人ではなく候補者だからです。ほとんどの人材会社に毎日多数の求人依頼が届いており、すべてに対応できていません。優秀な人は転職活動そのものをしなくなっているため、登録者の中から探す方法では出会えません。依頼先を増やすより、リファラル・自社の発信・ヘッドハンティングに投資するほうが確実です。

2026年のスタートアップ採用で効く方法は何ですか?

リファラル採用の強化、LinkedInを中心としたブランド力・SNS力の向上、ヘッドハンティング(ダイレクトリクルーティング)の3つです。採用はAI・SNS・人間力の3要素の時代に入りました。AIで工程を速くし、SNSで転職活動をしていない層に接点を作り、最後は人間力で口説く。3つを揃えた会社が採れています。

まとめ:まず現在地を知る

相場は動いています。とくに紹介手数料は、公開されている情報の多くが数年前のままです。古い前提で予算を組むと、幹部を採る段階で決裁が通らず選考が止まります。転職する側も同じで、届いたスカウトの数ではなく、実際の相場を基準に判断してください。

このレポートは全体の相場です。実際の判断に必要なのは「自分の場合はどうか」「自社の場合はどうか」です。キープレイヤーズでは無料でご相談をお受けしています。転職を決めていない段階でも、採用をどこに頼むか迷っている段階でも構いません。転職や採用の勧誘はしません。

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あわせてスタートアップの採用支援はどこに頼むべきか転職するか迷っているときの判断基準もご覧ください。

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執筆者:高野 秀敏

東北大→インテリジェンス出身、キープレイヤーズ代表。東北大学特任教授(客員)、12,000人以上のキャリア面談、4,000人以上の経営者と採用相談にのる。80社以上の投資、9社上場経験あり、2社役員で上場、クラウドワークス、メドレー。178社上場支援実績あり。顧問、アドバイザー、社外役員30社以上、キャリアや起業、スタートアップ関連の講演回数100回以上。「ベンチャーの作法」ダイヤモンド社5万部を超えるベストセラー
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