ベンチャー転職で取締役・経営幹部になる方法【2026年版】CEO・COO・CTO・CFO別ロードマップを解説

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こんにちは、キープレイヤーズの高野です。25年近くこの業界でCxO・経営幹部の転職支援をしてきました。

「ベンチャーで役員になりたい」という相談は毎年数えきれないほど受けます。そして正直にお伝えすると、ベンチャーで経営幹部・役員になることは、戦略的に動けば30代〜40代でも十分に可能です。ただし、ロールごとに求められる経験と転職戦略はまったく異なります。

この記事では、ベンチャー転職で経営幹部・取締役を目指す方に向けて、役員ポジション別の年収・求められる経験・転職ロードマップ・失敗パターンを徹底解説します。

この記事でわかること
  • CEO・COO・CTO・CFO・CHROの役割と求められる経験
  • 役員ポジション別の年収・ストックオプション相場
  • 経営幹部になるための4つのルートと戦略
  • 「いきなり役員」での転職が難しい理由と突破法
  • 実際の転職成功事例と失敗パターン

目次

ベンチャーの経営幹部ポジション一覧と役割

ポジション 主な役割 求められるバック
グラウンド
年収レンジ
CEO 経営全体・ビジョン設定・資金調達 創業者・経営経験 600万〜+大量SO
COO 事業執行・オペレーション最適化 事業部長・営業責任者 800〜1,500万+SO
CTO 技術戦略・エンジニア組織構築 エンジニアリーダー 900〜1,500万+SO
CFO 財務戦略・資金調達・IPO準備 投資銀行・監査法人 900〜1,500万+SO
CHRO 人事戦略・採用・組織設計 人事責任者・HRコンサル 800〜1,200万+SO
CMO マーケティング戦略・ブランド マーケ責任者・事業開発 700〜1,200万+SO

※キープレイヤーズ支援事例をもとにした2026年4月時点の目安。ストックオプション(SO)はIPO時に1,000万〜数億円になるケースもあります。

経営幹部になるための4つのルート

ルート1:創業者になる

最も確実なのは自分で起業することです。「自分には起業なんて無理」と思っている方が多いですが、実態を見ると、40代以降に会社を立ち上げている方は本当に多い。私の知人でも、サラリーマン時代には「起業なんて」と言っていた人が、30代後半・40代で起業して成功しているケースが続出しています。

成功しやすい起業パターンは、前職の業務課題を解決するプロダクト・サービスです。コンサルタントが業界の非効率を解決するSaaSを作る、元銀行員が中小企業向け資金繰り支援を始める——こうした「自分が困っていたことを解決する」アプローチが成功しやすい。

ルート2:創業メンバーとして参加する

知人・友人・元同僚が起業する際に共同創業者・初期メンバーとして参加するルートです。これは縁とタイミングが重要なので「意図して動く」のが難しいですが、起業家コミュニティへの参加・SNSでの発信・勉強会への参加などを通じて、創業者と出会う確率を高めることができます。

ルート3:転職でいきなり役員・幹部候補として入社する

最も相談が多いルートです。ただし、正直に言います。シード〜シリーズBの段階では、「初めまして、でも役員で」は非常に難しいのが現実です。経営者は役員に「信頼できる実績のある人間」を求めており、まったく面識のない人を最初から役員にすることには慎重です。

突破するためのアプローチ:

  • まず「役員候補」として入社し、半年〜1年で実績を作ってから就任
  • 前職での実績・人脈が経営者に刺さる強みになる場合(例:前職で10億規模の事業を立ち上げた)
  • CFO・CTO は専門性が明確なので比較的早期から役員待遇で採用されやすい

ルート4:内部昇格で役員になる

ベンチャーに一般社員・マネージャーとして入社し、成果を出して役員に昇格するルートです。一見遠回りに見えますが、経営者との信頼関係を構築しながら役員になれるため、実態は最も成功率が高いルートの一つです。

私が見てきた中で、このルートで役員になった方の多くは、「入社して2〜3年で事業の柱となる成果を出した人」です。

ポジション別:経営幹部になるためのロードマップ

COOを目指すロードマップ

COOはビジョナリーなCEOの補佐役として「実行する人」です。CEOが描いた絵を組織に落とし込み、KPIを達成する役割を担います。

求められる経験の優先順位:

  1. 事業部長・営業組織責任者としてP&Lを持った経験
  2. 組織設計・採用・制度整備の経験
  3. 複数の部門にまたがる業務改善・DXの経験

コンサルティングファーム出身でCOOになるケースも多いですが、事業執行の現場経験がある人の方が評価されやすい傾向があります。セーフィーのCFOを務めた古田哲晴さん(元マッキンゼー)、クラウドワークスで副社長になった成田修造さんのように、コンサル→ベンチャーで事業を作った後にCOOというルートが典型的です。

CTOを目指すロードマップ

CTOはエンジニア組織の最高責任者であり、技術戦略・採用・アーキテクチャ設計まで担います。近年は「コーディングができる人」より「エンジニア採用・組織マネジメントができる人」のニーズが高まっています。

CTOになりやすいルート:

  1. テックリード・エンジニアリングマネージャーとしてチームを率いた経験
  2. CTO顧問・技術顧問として複数社に関わりながら信頼を築く
  3. 経営者が「開発がわからない」企業のCTO(最もなりやすい)

ビズリーチのCTOを務めた竹内真さんの採用にあたっては、当時ウェブ系の会社を立ち上げていた竹内さんに、創業者の南さんが長期間アプローチし続けた末に実現したと聞いています。CTOポジションは「この人しかいない」と思わせる専門性と信頼が鍵です。

エンジニア組織についてはスタートアップ採用ガイドでも解説しています。

CFOを目指すロードマップ

CFOは近年もっとも需要が高まっているポジションの一つです。理由は、大型資金調達が当たり前になり、IPOを目指す企業が増えているから。

CFO候補として評価されるバックグラウンド:

  1. 投資銀行出身者:エクイティストーリー作成・投資家対話・M&Aに強い。大型上場を目指す企業では最も重宝される
  2. 監査法人・公認会計士出身者:管理体制・IPO準備・内部統制に強い。マザーズ〜スタンダード市場を目指す企業の多くがこのタイプ
  3. 事業会社CFO経験者:実際に上場準備・資金調達を経験済みの方は即戦力として高評価

私のところにも毎月のようにCFO採用の相談が来ますが、「良い候補者がいない」という声が多い。投資銀行・監査法人出身の方でCFOを目指している方はぜひ一度ご相談ください。

CFO転職の詳細はCXO転職ガイドもご参照ください。

CHROを目指すロードマップ

採用が経営課題の中心になっているベンチャーでは、CHROや人事責任者への需要が高まっています。

CHROになりやすいバックグラウンド:

  1. 人材紹介・採用コンサル経験:採用戦略設計・実行の即戦力
  2. 事業会社の人事マネージャー:採用・育成・制度設計を横断的に経験
  3. 組織開発・HRコンサル経験:組織設計・文化醸成の経験

「COOは採用が難しい」の本当の理由

私がよく相談を受けるのが「COOを採用したいが難しい」という経営者サイドの悩みです。COOは「CEOの右腕」として、事業執行・組織マネジメントを担うポジションですが、これが採用できる人材がなかなかいない。

理由は明確です。優秀なCOO候補は、すでに別の企業でCOOをやっているか、事業部長として高い評価を受けていて「わざわざ動く必要がない」という状況にあるからです。

COOを目指す方に私がよく言うのは、「まず事業部長で圧倒的な実績を作れ」ということです。P&L責任を持ち、組織を率いて事業成長を実現した実績こそが、COOへの最短ルートです。

ストックオプション:役員報酬の本当の価値

ベンチャーの経営幹部報酬では、基本給に加えてストックオプション(SO)が重要です。IPOに向かう企業のSOは、場合によって以下のような価値になります:

  • シリーズA期の入社:IPO時に数千万〜数億円の価値になるケースも
  • シリーズB〜C期の入社:数百万〜数千万円程度
  • IPO直前(直前期)の入社:数百万円程度

ただし、SOに期待して年収を大幅に下げることには慎重であるべきです。IPOできない会社も多く、SOが行使できる前に会社を辞めるケースもあります。「SOは棚ぼた」くらいの感覚で、基本給でも納得できる条件を選ぶことが重要です。

SOの仕組みと価値評価については年収・手取りガイドで詳しく解説しています。

経営幹部転職でよくある失敗パターン

失敗1. 実力より一段上のポジションで入社してついていけなかった

「役員になりたい」一心で自分の実力より上のポジションを取りにいき、入社後に期待に応えられず1年以内に退任するケースがあります。経営者側も「採用ミス」と認識しますが、候補者側もキャリアに傷がつきます。入社前に「本当に自分がそのポジションで結果を出せるか」を冷静に判断することが重要です。

失敗2. CEOとの相性が最悪だった

ベンチャーの経営幹部は、社長との距離が非常に近い。考え方・仕事スタイル・意思決定スタイルが合わないと、毎日がストレスになります。私のところに来る「ベンチャー転職で後悔している」相談の大半が、この「社長との相性問題」です。選考中にできるだけ多くの時間を経営者と過ごし、「この人と何年も一緒に働けるか」を確認してから決断してください。

ベンチャー転職の失敗全般についてはベンチャー転職 失敗・後悔ガイドで解説しています。

失敗3. ストックオプションに期待して基本給を下げすぎた

「将来上場したら億になる」という期待だけで年収を大幅に下げて役員を受諾。しかし会社が資金難になってピボット、事業撤退——こういう相談も年に数件あります。SOはあくまでアップサイドの夢であって、生活費は基本給で担保できる条件を選ぶことが鉄則です。

失敗4. 創業期にCOO/CFOで入社したが持ち株が少なかった

創業直後に参画したのに、法的な整備が甘くて後から株式・SOの条件を変えられてしまったケースがあります。入社前に弁護士等を通じた契約の確認が重要です。

年代別アドバイス

20代後半〜30代前半

今すぐ役員になろうとするより、まず「役員になれる実力を積む」フェーズです。シリーズA〜Bのスタートアップで事業推進・マネジメントの実力を圧縮して積みましょう。30代前半で「10億規模の事業を作った」実績があれば、COO候補としての転職市場価値は格段に上がります。

30代後半〜40代前半

役員・経営幹部候補として転職できる可能性が最も高いゾーンです。前職での事業成果・組織成果が明確な方は、シリーズB〜C企業の経営幹部ポジションを積極的に狙えます。年収交渉・SO条件交渉も強気で臨んでOKです。

40代後半以降

「業界知識・人脈を活かしてIPO前後の企業を支援する」という視点が現実的です。社外取締役・アドバイザーとして複数社に関わりながら、経営の経験・知識を提供するモデルも有効です。

年代別の戦略は年齢別転職ガイドでも解説しています。

転職成功事例

事例1. コンサルから急成長スタートアップのCOOへ(35歳男性)

外資系戦略コンサルで7年勤務後、「事業の現場で汗をかきたい」と転職を決意。シリーズBで急成長中のHRテック企業の事業推進部長として入社し、1年半で採用・カスタマーサクセス・新規事業の3部門を統括して売上を3倍に伸長。その実績を評価され、入社2年でCOOに就任。年収は1,200万円+SO。

事例2. 投資銀行からフィンテックスタートアップのCFOへ(38歳男性)

メガバンク系投資銀行でM&A・資金調達を10年担当。シリーズCのフィンテックスタートアップのCFOに転職。年収は投資銀行時代の1,400万円からベンチャーで1,200万円に下がったが、大量のSOを取得。IPO後にSOを行使し、2億円超の利益を得た。「年収が下がることより、上場を一緒に作ったという達成感の方がずっと大きかった」と話してくれました。

事例3. 上場企業CTOからシリーズBスタートアップのCTOへ(41歳男性)

東証プライム上場企業でCTO兼取締役を務めていた方。「もう一度アーリーステージのプロダクト開発を経験したい」という思いで転職。エンジニア10名規模から始めて組織を50名に拡大し、3年で上場申請。「大きな組織のCTOより、自分で作り上げる達成感が好き」と言っていました。

FAQ:よくある質問

Q. 「役員候補」と「役員」では待遇はどう違いますか?

A. 「役員候補」は雇用形態が一般社員・管理職のままで、実績次第で役員に昇格するという約束がある状態です。役員になると雇用保険が適用されなくなる・報酬形態が変わるなどの変化があります。「候補」の期間に実績を作ることが重要です。

Q. 転職後すぐに役員になることは可能ですか?

A. CFO・CTOは専門性が明確なため、転職直後から役員として採用されるケースがあります。COOは難しく、多くの場合は入社後の実績を経てから就任するパターンです。

Q. ベンチャーの役員は安定していますか?

A. 安定はしていません。会社の業績悪化・事業ピボット・資金難によって役員が退任することは珍しくありません。役員として入社する場合は、会社の財務状況・事業の進捗・経営者との相性を徹底的に確認してから決断してください。

Q. 複数のスタートアップをはしごして経験を積む戦略はアリですか?

A. アリです。特にCFO・CHRO・CMOなど専門性の高いポジションでは、「複数社のIPO準備を経験した」「複数社の採用体制を作った」という経験が市場価値を高めます。ただし、短期離職が続くと評価が下がるため、最低でも2〜3年は腰を据えて結果を出すことが重要です。

まとめ:経営幹部転職は「戦略的に」動くことが成功の鍵

ベンチャーで経営幹部・役員になることは夢ではありません。ただし、「なんとなく転職したら役員になれた」というケースは少なく、戦略的な動きが求められます。

まず自分が目指すポジション(COO/CTO/CFO/CHRO)を明確にし、そのポジションに求められる経験と今の自分のギャップを把握する。そのギャップを埋めながら、適切なタイミングでベンチャー転職を実行する。これが最短ルートです。

「自分の経験で経営幹部を目指せるか」という相談は、キープレイヤーズでは専門に対応しています。ベンチャー転職全体のポイントについてはベンチャー転職 完全ガイドもあわせてご確認ください。

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補足:経営幹部転職を考える前に確認すべき「自己診断チェックリスト」

以下のチェックリストで、現時点での経営幹部転職の準備度を確認してください。

COO候補チェックリスト

  • □ P&L(損益)責任を持ったポジションの経験がある
  • □ 部門横断のプロジェクトをリードして成果を出した経験がある
  • □ 採用・評価・育成など組織マネジメントの経験がある
  • □ 月次/四半期の数字管理を経験している
  • □ 経営会議に参加し、経営判断に関与した経験がある

4〜5個✓:COO候補として転職市場で評価される。3個以下:まずは現職で実績を積む段階

CFO候補チェックリスト

  • □ エクイティファイナンス(VC調達・公募増資)の実務経験がある
  • □ デットファイナンス(銀行融資・社債)の実務経験がある
  • □ 投資家向け資料(IR資料・財務モデル)を作成した経験がある
  • □ 監査法人・監査人との折衝経験がある
  • □ M&Aのデューデリジェンス経験がある

3〜5個✓:CFO候補として転職可能。2個以下:FP&A・財務担当として経験を積む

CTO候補チェックリスト

  • □ エンジニア組織の採用・育成を主導した経験がある
  • □ システムアーキテクチャ設計の意思決定をした経験がある
  • □ 技術戦略(どの技術に投資するか)を経営者に提案した経験がある
  • □ 複数のプロジェクトを並行してマネジメントした経験がある
  • □ 採用面接で技術的な評価をリードした経験がある

4〜5個✓:CTO候補として転職可能。3個以下:テックリード・EMとして経験を積む

経営幹部転職におすすめのエージェント活用法

経営幹部・役員候補ポジションの求人は、ほぼすべてが非公開求人です。転職サイトに「COO募集」「CTO募集」が掲載されているケースは非常に稀で、多くはエージェント経由か、創業者からの直接声掛けによって決まります。

経営幹部転職を目指すなら、以下の行動が重要です:

  1. ベンチャー特化のエージェントと長期的な関係を築く:良い求人は「今動ける人」より「信頼できる人」に流れます
  2. LinkedInのプロフィールを充実させる:経営者・VCがスカウトする際の第一接点
  3. スタートアップコミュニティに積極参加する:勉強会・カンファレンスでのつながりから役員就任に繋がるケースが多い
  4. まずは顧問・アドバイザーとして関わる:「試用期間」的な関係構築から役員就任につながるルート

エージェント選びについては転職エージェント選び方ガイドもご確認ください。

執筆者:高野 秀敏

東北大→インテリジェンス出身、キープレイヤーズ代表。11,000人以上のキャリア面談、4,000人以上の経営者と採用相談にのる。55社以上の投資、5社上場経験あり、2社役員で上場、クラウドワークス、メドレー。149社上場支援実績あり。55社以上の社外役員・アドバイザー・エンジェル投資を国内・シリコンバレー・バングラデシュで実行。キャリアや起業、スタートアップ関連の講演回数100回以上。
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