「ベンチャーに行くと年収は上がるのか、下がるのか」という質問を本当によく受けます。結論から言うと、職種とフェーズと役職の3軸で決まるのであって、「ベンチャーだから」でひとくくりに語れる話ではありません。
私はキープレイヤーズという人材紹介会社を経営していて、約25年この業界にいます。ベンチャー・スタートアップへの転職支援を累計で数千件担当してきた体感として、2026年のベンチャー年収は「下限が明確に上がり、上限はさらに伸びた」というのが実感です。シード期でも最低400〜500万円は提示する会社が増え、グロース期ではエンジニアで1,000万円を超える求人も珍しくなくなりました。
この記事では、JAC Recruitmentの2025年11月時点集計、EDINETに提出された上場メガベンチャー各社の有価証券報告書、2025年のIPO企業52社のストックオプション潜在株比率データ、そして現場でお預かりしているオファーレターの実額感を突き合わせて、2026年のベンチャー年収相場をフェーズ・職種・役職の3軸で整理します。
▶ このテーマは、高野が動画でも解説しています:「ベンチャー企業の年収事情を暴露」
結論:2026年ベンチャー年収の全体像
まず早見表で全体像を確認してください。各セルは「フェーズ ✕ 職種」の中央値レンジです。SOを含めない基本給+賞与+固定インセンティブの合計で見ています。
| 職種 | シード/シリーズA | シリーズB/C | IPO前後・上場後 |
|---|---|---|---|
| ソフトウェアエンジニア | 500〜700万 | 650〜900万 | 850〜1,400万 |
| プロダクトマネージャー | 550〜750万 | 700〜950万 | 900〜1,500万 |
| データサイエンティスト | 550〜750万 | 700〜950万 | 900〜1,500万 |
| SaaSセールス(AE) | 450〜650万 | 600〜850万+コミッション | 800〜1,300万+コミッション |
| マーケター/グロース | 450〜650万 | 600〜850万 | 800〜1,300万 |
| 経営企画・事業企画 | 500〜700万 | 650〜900万 | 850〜1,400万 |
| 人事・HRBP | 450〜600万 | 550〜800万 | 750〜1,100万 |
| CFO/VP of Finance | 800〜1,200万+SO | 1,000〜1,500万+SO | 1,400〜2,500万+SO |
| CTO/VPoE | 800〜1,300万+SO | 1,000〜1,600万+SO | 1,500〜2,800万+SO |
よく「ベンチャーは年収が低い」というイメージで語られますが、2026年時点ではそれはシードの管理部門だけに当てはまる話です。グロース期以降のエンジニア・PdM・経営幹部は、大手金融・コンサルと遜色ないか、むしろ上回る水準に達しています。
参考までに、JAC Recruitmentが2025年11月時点で集計した「スタートアップ管理職(課長以上)の平均年収」は903.0万円です。業種別ではWEB系966.1万円、IT・通信812.4万円、EMC(医療機器)1,021.7万円という数字が出ています(出典:JAC Recruitment)。
そして上場メガベンチャーの平均年収は2025年決算ベースで、メルカリ1,167万円(2024年6月期)、DeNA 882.9万円(2025年3月期)、サイバーエージェント882万円(2024年9月期)です(出典:各社EDINET有価証券報告書)。この数字はベンチャー年収の「上がりきった姿」として押さえておいてください。
フェーズ別の年収レンジを分解する
シード期(資金調達前〜シリーズA)
創業〜シリーズAまでのいわゆるシード期。従業員は10〜30人、売上は0〜数億円、調達済み額は数千万〜数億円という段階です。
この時期の年収は400〜700万円に集中します。前職での年収がこれより高い方は、ほぼ必ず下がります。「現職600万だから650万円は出してください」という交渉は、シードでは原則通らない。会社自体のバーンが月数百万円の世界なので、1人あたり年700万円超は資本政策上きつい、というのが正直なところです。
ではシードで年収が下がる分、何で埋め合わせるか。ストックオプションです。この時期のSOは1人あたり0.5〜3%レンジで付与されるケースがあり、IPO時に数千万〜数億円のアップサイドになり得ます。詳しくは第4章で扱います。
アーリー期(シリーズA〜B)
プロダクトが市場適合(PMF)してユニットエコノミクスが見え始めた段階。従業員30〜80人、ARR数億円、調達累計10〜30億円という規模感です。
年収レンジは500〜850万円へ上がります。シード期と大きく変わるのは、基本給だけで前職年収をキープできる求人が増えることです。特にエンジニアとPdMは、競合が強いため「現職維持+α」で出さないと採れないという事情があります。
この時期のSOは1人あたり0.1〜0.5%レンジ。付与対象も現場メンバーまで広がります。
グロース期(シリーズB〜C)
年商10億円超、従業員100〜300人、黒字化が見える段階。この段階のベンチャーは、採用市場では「中堅企業」として扱われることが増えます。
年収レンジは600〜1,200万円。シニアクラスのエンジニア・PdM・事業責任者は900万〜1,300万も普通になります。管理部門も同様で、CFO/VP of Financeは1,000〜1,500万+SO、法務マネージャーで800〜1,100万という水準です。
SOは1人あたり0.05〜0.2%レンジ。入社ランクによってはVestingの条件(4年間・1-year cliff)が標準化してきます。
IPO前後・上場後
IPO準備期(監査契約済み、N-1期)に入ると、年収レンジは800〜1,500万円に跳ね上がります。上場後はさらに平均で+100〜200万円程度。これはメルカリ・DeNA・サイバーエージェントの有価証券報告書の数値が裏付けています。
注意点は、IPO準備期以降のSOは税制適格の要件が厳しくなることです。2023年7月の国税庁通達改正でセーフハーバー・ルールができ、設立間もない企業は行使価額の算定が明確化されましたが、IPO直前の有償SOや信託型SOは、適格要件を満たさないと最大55%の税負担が発生します。詳しくは第4章で解説します。
職種別の年収相場(2026年)
フェーズを横断して、職種別に見るとどうなるか。2026年時点で現場で見るオファー実額を基に整理します。
| 職種 | 中央値レンジ | 上振れ要因 | 下振れ要因 |
|---|---|---|---|
| ソフトウェアエンジニア(シニア) | 900〜1,400万 | テックリード・技術選定経験・AI/機械学習実装経験 | フロントエンドのみ、PMとの連携経験なし |
| プロダクトマネージャー | 800〜1,300万 | P/L責任経験・立ち上げ経験・海外プロダクト経験 | 施策実行のみでロードマップ策定経験なし |
| SaaSセールス(AE) | 700〜1,100万+コミッション | ARR数億円のクォータ達成・エンプラ経験 | SMBのみ、紹介案件中心 |
| データサイエンティスト | 800〜1,300万 | ML実装の本番運用・レコメンド/検索の改善実績 | 分析のみでプロダクトへの実装経験なし |
| マーケター(デジタル・グロース) | 700〜1,100万 | CAC/LTV改善・サブスクのチャネル設計経験 | 媒体運用のみで事業KPI責任なし |
| 経営企画・事業企画 | 700〜1,200万 | IR対応・資本政策・新規事業P/L責任 | Excel作業中心で意思決定の経験なし |
| 法務(スタートアップ) | 650〜1,100万 | 資本政策・M&A・プライバシー実務 | 契約レビュー中心 |
| 人事・HRBP | 650〜1,000万 | 採用計画×組織開発×労務の三刀流 | オペレーション中心 |
職種別の相場で押さえてほしいのは、「同じ職種名でも、担当範囲(スコープ)で年収が倍変わる」という事実です。「エンジニア」という同じ言葉でも、コードを書くだけの人と、技術選定・採用・育成まで持つテックリードでは、年収帯がまるで違う。応募前に、求人票の責任範囲を必ず確認してください。
関連して、職種別の深掘りは経営企画への転職完全ガイド・事業部長への転職完全ガイド・法務職の年収相場・転職完全ガイドをご覧ください。
役職別の年収相場
| 役職 | 基本給レンジ | SO付与の目安(グロース期) | 補足 |
|---|---|---|---|
| メンバー(1〜3年目) | 400〜650万 | 0〜0.05% | SOは原則なしの会社も |
| シニア(4〜7年目) | 550〜900万 | 0.05〜0.15% | 専門性のあるIC枠 |
| マネージャー | 700〜1,100万 | 0.1〜0.3% | 5〜15名のライン責任 |
| 部長/VP | 900〜1,500万 | 0.3〜0.8% | 事業・機能責任 |
| 執行役員 | 1,200〜2,000万 | 0.5〜1.5% | 経営会議メンバー |
| CxO | 1,500〜3,000万+SO | 1〜3% | 創業期に近いほどSO比率↑ |
CxO層についてはCXO転職ガイドで詳しく扱っていますが、ベンチャーのCxOはSO込みでの総報酬設計が前提です。基本給だけ見て低いと判断するのは完全に誤りです。
ストックオプション込みの実質年収をどう計算するか
SO付与比率の相場(2026年)
2026年時点のSO付与比率の相場は、調査によってばらつきますが、おおむね発行済株式の8〜10%がストックオプション総枠として設計されるのが一般的です。
定量的な裏付けとして、2025年に東証へIPOした52社の潜在株比率(SO/新株予約権の総発行枠)の平均は8.32%でした(出典:IPO関連統計)。2021年上場企業では9.3〜9.7%だったので、近年は若干下限寄りにシフトしています。
この8〜10%の総枠を、創業者・初期メンバー・後発メンバーで割り振っていくイメージです。個人への付与比率は、入社タイミングと役割で以下のようなレンジになります。
| 入社タイミング | CxO | 部長・VP | マネージャー | シニアIC |
|---|---|---|---|---|
| シード期(10人以下) | 1〜3% | 0.5〜1.5% | 0.3〜0.8% | 0.1〜0.5% |
| シリーズA(30人未満) | 0.5〜1.5% | 0.3〜0.8% | 0.1〜0.4% | 0.05〜0.2% |
| シリーズB/C(100人未満) | 0.3〜0.8% | 0.1〜0.4% | 0.05〜0.2% | 0.02〜0.1% |
| IPO準備期 | 0.1〜0.3% | 0.05〜0.15% | 0.02〜0.08% | 0.01〜0.05% |
SO込みの実質年収シミュレーション
仮に、シリーズBのスタートアップに「基本給800万円、SO 0.3%」というオファーで入社したとします。この会社が5年後にIPOし、公募時価総額が300億円になったとします。
- IPO時のSO評価額:300億円 ✕ 0.3% = 9,000万円
- 5年間の基本給累計:800万 ✕ 5 = 4,000万円
- 5年間の実質総報酬:4,000万 + 9,000万 = 1億3,000万円
- 年収換算:2,600万円/年
もちろんこれはIPOできた場合の上振れシナリオです。SOの価値はIPOまたはM&Aで初めて実現する「オプション」であり、未上場のまま終わればゼロです。
JAC Recruitmentや大手ベンチャーキャピタルの集計では、調達企業のIPO達成率は統計的に10〜20%です。10社入って1〜2社がIPO、2〜3社がM&Aで小規模Exit、残りはクローズまたは成長停止、というのが現実です。SOを計算に入れる場合は、必ずこの成功確率で割り引いて評価してください。
2023年通達改正と信託型SOの注意点
2023年7月の国税庁通達改正で、設立間もないスタートアップでも純資産価額方式に加え、セーフハーバー・ルールで行使価額を算定できるようになりました。これにより、シード・アーリー期のSOは行使価額を低く設定しやすくなり、従業員メリットが大きくなっています。
一方、2023年に大きな問題になったのが信託型ストックオプションです。従来「給与所得ではない」とされていたのが、2023年5月の国税庁見解で最大55%の給与課税対象と整理されました。信託型SOを支給されている会社に転職する場合は、権利行使時の税負担を必ず確認してください。有償SOや税制適格SOであれば、原則として売却益への課税(約20%)で済みます。
大手企業との年収比較
| 比較軸 | 大手企業(伝統的大企業) | ベンチャー(グロース期) |
|---|---|---|
| 30歳の基本給 | 550〜750万(年功要素あり) | 650〜1,100万(実力次第) |
| 35歳の基本給 | 700〜900万 | 800〜1,500万 |
| 40歳の基本給 | 850〜1,100万 | 900〜1,800万 |
| 賞与比率 | 年収の20〜30% | 年収の0〜15%(代わりにSO) |
| 住宅・家族手当 | 月3〜8万円の手当あり | 原則なし |
| 退職金 | 勤続30年で1,500〜2,500万 | 原則なし |
| 可処分所得(35歳独身) | 手取り月35〜45万 | 手取り月40〜60万 |
単純な基本給だけ比較すると、35歳以降はベンチャーのほうが高くなる傾向があります。ただし大手には住宅手当・家族手当・退職金という「見えづらい報酬」があるので、手取りと生涯年収で比較することをお勧めします。
手取りの計算は年収・手取りガイドに職種別・年代別の実額をまとめているので、こちらを参照してください。
業界別:ベンチャー年収が高い分野と低い分野
年収が高い業界・分野
- SaaS/B2Bソフトウェア:ARR成長モデルで資金調達額が大きく、人件費に投下できる余地が大きい。freee、マネーフォワード、SmartHR、Sansanなどが代表例。エンジニア・PdM・エンプラセールスで900〜1,500万のオファーが珍しくない
- フィンテック:規制対応と専門性で単価が上がる。pay.jp、LayerX、SmartBank、Finatextなど。CFO・コンプラ・リスク系で1,200万以上のポジションあり
- 医療・ヘルスケアテック:JACのEMC(医療機器)平均1,021.7万円が示すとおり、業界全体の単価が高い。Ubie、CureApp、MICINなど
- AI・LLMスタートアップ:採用競争が激化。機械学習エンジニアで1,200〜2,500万円のオファーも出ている
- Web3・ブロックチェーン:ドル建て報酬や暗号資産支給もある。ただし市況変動リスクが大きい
年収が低い傾向にある業界・分野
- DtoC/EC:小売モデルで粗利が薄く、人件費を上げづらい
- マッチングプラットフォーム:GMV連動のモデルで、スケール前は売上が限定的
- 教育・エドテック:Bto2C中心でチャーンレートが課題、単価を上げづらい
- 個人向けサブスク(Bto2C):ARPUが低く、全体の人件費レンジが抑えられる
「給与は低くても総報酬は高い」パターン
基本給だけ見ると大手より低いが、SO込みで考えると総報酬が逆転するパターンがあります。例えば、シリーズBのSaaSに基本給700万+SO 0.2%で入社した場合、IPOで時価総額500億円に到達すれば、SOだけで1億円の評価額になります。
こうしたケースを狙うなら、ベンチャー転職 完全ガイドにある「成長性の見極め方」を参照してください。
年収交渉のポイント
①現在の年収をベースにするな
これは本当に大事な話です。ベンチャー転職の年収は、「現職が600万円だったから650万円出してください」という交渉はほぼ通らない。理由は、ベンチャーは等級ベースで給与を決めているので、スキル評価が等級に合わなければ、どんなに現職年収が高くても下げられるからです。
代わりに有効なのは、「このポジションの等級はいくつですか?そのレンジはいくらですか?」と聞くこと。多くのベンチャーは等級テーブルを持っていて、入社オファーはそのレンジ内で決まります。
②入社時のみが交渉チャンス
ベンチャーの昇給は年1回、昇格は半年〜1年に1回。入社時に提示されたレンジを超えて短期間で上げるのは非常に難しいです。「入ってから成果で上げます」は原則通りません。
③エージェント経由の交渉が有効
直接応募だと「希望年収800万」と伝えづらいですが、エージェント経由なら第三者がレンジ交渉を代行してくれます。特に等級の格上げ交渉は、エージェント経由のほうが成功率が高い。詳しくは転職エージェント選び方ガイドで解説しています。
④SOの条件を忘れずに確認
SOを提示された場合、必ず次の5点を確認してください。
- 発行株数と発行済株式に対する比率(「0.3%」のような絶対比率)
- 行使価額(通常は時価相当、安いほうが従業員メリット大)
- 権利行使条件(Vesting:4年間、1-year cliffが標準)
- 税制適格・有償・信託型のどれか(信託型は要注意)
- 権利行使期限(通常は付与から10年)
年収交渉でよくある失敗
- 希望年収を具体的に言わず「貴社の規定に従います」で済ませる(レンジの下限で確定しやすい)
- 基本給だけ見てSOを無視する(または逆に、SOを過大評価する)
- 内定承諾の返事を急いで、他社比較のレバレッジを失う
- 「今より下がらなければいい」と言ってしまい、上振れチャンスを逃す
- 固定残業代の時間数を確認せず、月給だけ見て判断する
年代・キャリアステージ別の年収戦略
20代後半〜30代前半:「フェーズの選択」が年収を決める
この年代は、入社するベンチャーのフェーズによってその後5年の年収が倍以上変わります。シードに入って1人目のエンジニアになるのか、グロース期で経験値を上げるのか。シードは年収こそ下がるがSOアップサイドが大きい、グロース期は年収は上がるがSOは少ない、というトレードオフです。
この年代の方は、「3年後の自分の市場価値」を軸に判断することをお勧めします。シードで裁量を取れば、3年後にはPMFを経験した希少人材になれます。詳しくは20代のベンチャー転職完全ガイドへ。
30代中盤〜後半:「ポジション格上げ」で年収アップ
マネージャー経験の有無で年収は200〜300万円変わります。この年代の方は、転職と同時にマネージャー・部長への格上げを狙うのが王道。事業部長への転職完全ガイドも参考にしてください。
40代以上:「CxO」を狙う戦略的転職
40代は基本給での上積みは難しくなります。代わりにCxO・執行役員ポジションでSOを含めた総報酬1,500万〜3,000万を狙うのが現実的。CXO転職ガイドに戦略を詳述しています。
よくある質問(FAQ)
Q1. ベンチャーに行くと年収は本当に下がりますか?
シード〜アーリー期では下がるケースが多いですが、グロース期以降では維持または上がるケースのほうが多いです。特にエンジニア・PdM・SaaSセールスは、2026年の採用市場では大手より高いオファーが出ることも増えています。
Q2. ストックオプションはどのくらい期待していいですか?
IPO到達率が10〜20%という前提で、SOは「ゼロ円もありえる上振れ報酬」と考えるのが安全です。基本給だけで生活設計できるオファーを取り、SOは当たったらラッキー、という設計がバランスが取れます。
Q3. 女性のベンチャー年収は男性と差がありますか?
職種が同じであれば、ベンチャーは年収格差がかなり小さいのが特徴です。むしろ大手より女性管理職比率が高い企業も多く、評価は実績ベースで透明性が高い傾向があります。
Q4. 業務委託やフリーランス契約で入るとどうなりますか?
業務委託だと表面上の報酬は上がりますが、SO付与対象から外れるケースが多いです。IPOアップサイドを取りたい場合は正社員採用を推奨します。フリーランスからベンチャー転職できる人の特徴も参考にしてください。
Q5. 年収ダウンを許容すべき判断基準は?
「下げてでも入る」判断は、以下の3つのうち2つ以上を満たすときに限定してください。①1〜2年で現職水準まで戻れる昇給レンジが明示されている、②SOの付与条件が合理的、③3年後の市場価値が明確に上がるポジション。
Q6. ベンチャーで年収1,500万円を超えるにはどうすればいいですか?
最短ルートは「IPO準備期以降の執行役員ポジション」です。あるいは「グロース期のCxO枠」。いずれも、前職で部長・VPクラスの実績が必要になります。
ベンチャー年収についてよくある誤解5選
- 誤解1:「ベンチャーだから年収は低い」 → フェーズ・職種・役職で全く違う。グロース期以降はむしろ高い
- 誤解2:「SOがあるから基本給が低くてもいい」 → 10社中8〜9社はIPO不達成。基本給で生活設計すべき
- 誤解3:「ベンチャーは昇給が早い」 → 評価がシビアで等級が上がらないと数年横ばい
- 誤解4:「ベンチャー年収=実質年収」 → 住宅手当・家族手当・退職金がない分、生涯年収では大手が有利な場合も
- 誤解5:「信託型SOは節税になる」 → 2023年通達で最大55%課税対象に整理された
自分のベンチャー転職適正年収チェックリスト
あなたがいくらでオファーを取れるかの目安を、以下のチェックで確認してください。各項目1点として合計点でレンジが見えます。
- □ 現職で明確な数値成果(売上/KPI改善/コスト削減)がある
- □ 5人以上のチームマネジメント経験がある
- □ 新規事業・新規プロダクトの立ち上げ経験がある
- □ 直近2年以内の実績を数字で説明できる
- □ ベンチャー・スタートアップでの就業経験が1年以上ある
- □ 英語で業務ができる(TOEIC 800以上または海外業務経験)
- □ 技術スキル(コード・SQL・分析ツール)を実務で使える
- □ 役員・経営層との折衝経験がある
合計点別の目安レンジは次のとおりです。
- 0〜2点:400〜600万円(メンバー〜シニアIC)
- 3〜4点:600〜900万円(シニアIC〜マネージャー)
- 5〜6点:900〜1,300万円(マネージャー〜部長)
- 7点以上:1,300〜2,500万円(部長〜CxO)
失敗パターンと注意点
- 基本給だけ見て即決してしまう:賞与・SO・固定残業・在宅手当まで含めた総報酬で判断すること
- SOを過大評価して基本給を下げすぎる:生活設計は基本給で、SOはボーナスと割り切る
- 「ベンチャーに行けば年収が上がる」と思い込む:職種・フェーズによっては確実に下がる
- オファーレターの隅々まで読まない:Vesting条件、退職時のSO扱い、固定残業時間数は要チェック
- 他社オファーを並行で取らない:レンジ交渉のレバレッジが効かず、下限で確定しやすい
まとめ:ベンチャー年収は「フェーズ×職種×役職」で決まる
ここまで見てきたとおり、2026年のベンチャー年収はフェーズ・職種・役職の3軸で決まります。「ベンチャーだから」でくくれる話ではまったくありません。
そして、年収交渉の勘所をもう一度整理するとこうなります。
- 基本給は等級テーブル内で決まる。等級の格上げを狙え
- SOは「ゼロ円もありえる上振れ」。基本給で生活設計を
- 入社時だけが交渉チャンス。他社オファーで比較圧力を作れ
- 信託型SOと有償SO・税制適格SOを区別せよ
- 総報酬で見る。住宅手当・退職金のある大手との比較は手取り+生涯年収で
キープレイヤーズでは、ベンチャー・スタートアップへの転職を累計で数千件支援してきました。「このフェーズでこの職種なら、相場感はこのくらい」というオファー実額のデータベースを持っています。「自分の経験ならいくらで取れるのか」の棚卸しからご一緒させてください。年収・手取りガイド・ベンチャー転職 完全ガイド・スタートアップ採用ガイドもあわせてご覧ください。
▶ 年収のこと、プロに相談してみませんか
今の年収が市場から見て適正か、転職でどこまで上げられるかを、ご経歴をもとにお伝えします。キープレイヤーズは21年にわたり、ベンチャー・スタートアップの転職支援と経営幹部の採用を手がけ、1万2000人以上と面談してきました。代表の高野秀敏が直接お話しします。
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