スタートアップ界隈におりますと、GMVという言葉についてよく耳にしますよね。
念の為まとめておきました。EC業界、主にマーケットプレイス界隈では頻出の言葉であり、且つ非常に重要なマーケットプレイスKPIです。
また、マーケットプレイスといえば、メルカリ社の躍進が続いています。文中では他にも、メルカリや楽天、Amazon、YahooににZOZOと日本を代表するECサイトのGMVもまとめてみましたので、ぜひご覧ください。
今回ご紹介するGMVはメルカリ登場以降、特に使われることの増えた用語です。その定義から見ていきましょう。
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目次
GMVとは?間違えやすいRevenueとの違い
GMVは「流通取引総額」「総取扱高」
GMVとは、あるマーケットにおいて流通した取引の総額のことです。消費者が購入した商品やサービスの売上の合計額を指します。
Gross Merchandise Valueの略で、直訳から「流通取引総額」「流通総額」などとも呼ばれます。市場の大きさを把握する数字としても有効です。
主に、ECサイト・サービスの規模を示す指標として扱われることが多いです。
・Gross … 〈金額・数量が〉総計[総体]の
・Merchandise … 〈品物を〉売買する,商う,取引する
・Value … (物・事の)価値
GTVは「総取引額」
同様の意味で使用されることがあるGTVですが、
・Gross … 〈金額・数量が〉総計[総体]の
・Transaction … (業務・交渉・活動の)処理,執行,取り扱い
・Value … (物・事の)価値
こちらは日本のサイトで使用されているのをあまり見かけません。
取引は会計を指し、株や有価証券の取引分野で使用されているようです。
企業が処理した全体の取引金額を指す単語になりつつあります。
売上との違い
GMVと売上は考え方が異なります。
ECは後述するテナント型とマーケットプレイス型の大きく2つに分かれ、売上の捉え方が異なります。
テナント型においては、(運営企業の売上)≒GMVとなるケースが多いですが、マーケットプレイス型においては、運営企業の売上≒GMV×手数料率となることが多いです。
GMVの数値の大小だけで、その運営企業の売上規模の大小を判断することはできません。
Revenue「収入」とも区別
マーケットプレイス型の場合、GMV(取引総額)とRevenue(収入)の考え方をしっかりと区別する必要があります。
この二つは必ずしもイコールではありません。特に、マーケットプレイス型の数字を見る時には、その売上の考え方に注意しましょう。
GMVの値を「グロス売上」、収益の値を「ネット売上」と言い分ける場合もあります。
グロスは総計の、ネットは実質の、なので、グロス売上から費用を差し引いた収益をネット売上と呼ぶわけです。
そもそもマーケットプレイスとは?
ここまでマーケットプレイスという言葉を使って、ECをイメージされているかもしれません。
ただ実は、厳密にいうとマーケットプレイス=ECではありません。
ECとマーケットプレイスの関係性を見ていきましょう。
ECには大きくテナント型とマーケットプレイス型の2種類ある
EC(electronic commerce:電子商取引)とは、インターネット上での商品やサービスの販売、購入をなどの取引を指します。
今や我々の生活に当たり前になっているネットショッピング。私たち個人がインターネット上で買い物が出来るようにしてくれているサイトがECサイトです。
有名どころではAmazonや楽天、ZOZOTOWN、個人の通販サイトなどもECにあたります。
このECサイトの運営にもテナント型とマーケットプレイス型の2つがあります。両者のビジネスモデルの違いを見ていきましょう。
まず、テナント型のサービスは「商品の販売」です。
代表はAmazonです。運営者であるAmazonが商品を仕入れ、販売を行っています。
単純に商品を売った分だけ、売上になります。
対して、マーケットプレイス型のサービスは「場所の提供」です。
代表は楽天市場やヤフーショッピングです。
サイト内にそれぞれの出品者専用のページを設けています。
ここからわかるように、出品者が仕入販売などの運営を行っています。
マーケットプレイスビジネスの企業の売り上げは、利用者から得られる出店料、売上手数料、広告料などです。これらが売上になります。
2つは売上の算出方法も異なる
テナント型では、個人でお店を構えるのと同様に、
売上=販売額ー仕入れ費用
と、単純な計算で出すことができます。
一方でマーケットプレイス型は、商品の売上はありません。代わりに利用者からの手数料が収益となるビジネスモデルになっています。
そのため売り上げは、
売上=GMV×手数料(%)
で計算します。販売額が収益にならないこと、Revenueとの区別に注意してください。
例えば、ある企業の「月間総取扱額」が100億円です。ここで収益が100億円、と勘違いしてはいけません。
サービスの販売手数料が5%であるとすると、この企業のGMVが100億円、Revenueが5億円、ということになります。
主にGMVを指標にするのはマーケットプレイス型
GMVという単語が広まったのは、メルカリの台頭がきっかけであると言われています。
メルカリのマーケティング紹介ページに掲載されている目標の中にも、GMVという言葉が登場します。
メルカリのマーケティングチームのミッションは、
1) 「GMV (Gross Marchanise Value /流通取引金額) が伸び続ける仕組みを作ること」
2) 「中長期的にブランドを築いていくこと」
です。
マーケットプレイス型の企業はGMVの成長率で、そのサービスの成長を判断されることが多いです。
GMVの計算式や使用される場面は?
GMV=取引数 × 平均注文単価
GMVは、総流通取引額ですから、
取引商品数 × 平均注文単価
でざっくりと算出することが出来ます。
ECの売上は「GMV×テイクレート」
どちらのECのビジネスモデルも、最終的な売上は以下のようになります。
売上=GMV×テイクレート
※テイクレート:企業側の取り分
テイクレートは、取扱高の内どれだけの売上を生み出せているのかを表します。
割合が高いほど、ECサイト自体に付加価値を与えることに成功していると評価されます。
マーケットプレイスKPIに使用する
マーケットプレイス型のビジネスモデルでは、GMVがKPIに使われます。
※KPI(key performance indicator):主要業績評価指標
売上を上げるために、GMVを上げます。
では、GMVを上げるために企業は一体、具体的に、何を目標に掲げるのでしょうか。
それは、「より多くの利用者の獲得」と「一人一人の利用額の増加」です。
最初の数か月間は手数料無料、会員費無料、などの企画は、収益よりも利用者数の獲得を最優先した戦略であると捉えることが出来ます。
サービスを知ってもらい、使い続けてくれる利用者、つまりエンドユーザーの増加を狙ったものです。
マーケットプレイス企業が「年間総取扱額」を増やすことはつまり、利用者の増加数を指しているのです。
メルカリやYahoo、ZOZOを含むECサイト取扱高まとめ
※各社の決算情報を参考にして、1年間の総取扱高(GMV)を掲載しております。
ECサービス名 | 会計 | 総取扱高(GMV) |
楽天市場 | FY2021(2021/1/1~2021/12/31) | 5兆円 |
Yahoo Japan(※) | FY2021(2021/4/1~2022/3/31) | 3兆5788億円 |
メルカリ(JP) | FY2021(2020/6/1~2021/5/31) | 7845億円 |
ZOZO TOWN | FY2021(2021/4/1~2022/3/31) | 5088億円 |
※Yahoo Japanはショッピング、オークション、その他物販(一休など)の合算です。
FYI:Amazonとメルカリ(US)の総取扱高
Amazon 82兆3515億円(6100億ドル) inFY2021
メルカリUS 約1300億円(11億7000万ドル) inFY2021
まとめ
GMVは、ECプラットフォーム上で取引総量とも言い換えられるので、プラットフォームの盛り上がりを比較できる数値です。
ぜひ言葉の定義を理解した上で、ぜひ様々な企業のGMVを見てみてください。
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