コラム

TAM/SAM/SOMそれぞれの読み方は?英語の意味から分析方法まで紹介!

スタートアップの投資の相談をありがたいことに毎日受けております。スタートアップが成功するための要素は一言では言えないですが、市場規模はとても大切です。

この企業・サービスがどれくらいの規模になるのか?
将来どのくらいの利益になるのか?

市場規模が小さすぎると投資しようがないのです。

先日会食で、「誰もあの会社のサービス使ってないよね。」なんて会話がありました。それなのに、そのうちの一人が「私は使ったことがある」と。その方はインターネットリタラシーは低い方でした。

スタートアップ界隈にいますと港区、渋谷区の人と会うことが多いのですが、スタートアップやネット界隈の人というのはほんの一部のコミュニティですよね。決してマスマーケットではないですよね。この界隈の方のマーケットは実際にはすごく小さいですよね。

さて、雑談はこのくらいにして今回は、特にサービスのマーケット分析、スタートアップの投資判断などの場で登場する重要な単語、TAM、SAM、SOMについてご紹介します。

【TAM/SAM/SOM】英語の意味から考えるそれぞれの意味と相互の関係は?

市場規模を予想するための数値

TAM(タム)、SAM(サム)、SOM(ソム)。これらはすべて「サービスがあるマーケットで生み出すと思われる利益」を把握するための言葉です。マーケット、あるいは新しい企業・サービスが成長する可能性を、客観的に数値で見積もることができます。

まずはそれぞれ、英語の意味から、言葉の意味を解説していきます。

TAM(Total Addressable Market)

◇Total … 全体の
◇Addressable … [形]《コンピュ》アドレスできる,番地によって指示できる
◇Market … (商品の)需要地 …市場;(商品の)購買者数

ある市場で「獲得できる可能性のある最大の市場規模」です。多くの場合は、「年間で市場全体で支払われる金額の総額」を指します。番地によって指示できる≒アクセス・アプローチが可能ということですね。

ここでは、100%の市場シェアが達成されたと仮定した架空の数値が使われます。そのため、TAMはマーケットの想定規模と言い換えることが出来ます。直接の競合でなくとも、同じ市場を分かつサービスも含まれます。

また、多くの場合はマーケットの規模が大きい方が良いのですが、必ずしもTAMが大きければ大きいほど良い、という訳でもありません。マーケット規模が大きければ、当然他の会社も目をつけるので競合します。であれば、自社の目的に合わせたマーケットサイズを定義して、その領域を攻めるのも作戦の一つです。

SAM(Serviceable Available Market)

◇Serviceable … [形] 1使用できる;就行可能な
◇Available …〈情報・品物・サービスなどが〉入手、購入、利用可能な

ある市場で「あるサービスが獲得しうる市場規模」です。こちらも、多くの場合、「年間でユーザーから支払われる金額の総額」を指します。SAMはTAMの内、主にサービス利用している顧客の中核となっている層を指します。

TAMはターゲットになりうる層全体の数値ですが、実際には特定のサービスで全ての層を取り込むことは難しいです。多くの場合、類似サービスなどを使ってスイッチしない層が一定数存在します。

そのため、TAMのうち、「そのサービスでアプローチしうるターゲットの市場規模」がSAMとも言い換えられます。ここでは自社だけの数字ではなく、競合サービスも含めて、ターゲット全体が使用する総額が市場規模となります。そのため、SAMを算出するためには、自社サービスが実際にアプローチするターゲットは誰か、ということを明確にする必要があります。

また、ここでSAMが小さすぎる市場を選ぶと、その後スケールさせる糸口が掴めません。ニッチな市場を選定するにしても、そこからさらに大きなビジネスに繋げるだけの収益が上がる市場を選定する必要があります。

SOM(Serviceable Obtainable Market)

◇Obtain … 獲得する,手に入れる

そして、ある市場で、あるサービスが、「実際にアプローチする顧客の市場規模」がSOMです。例によって多くの場合、「年間でアプローチする顧客の市場規模」を指します。

SOMは自社が実際に到達できるマーケット規模を示し、最も現実的な数字になります。これがそのまま売上目標として扱われることもあります。

SOMを考える際は、SAMに対して、企業の営業活動等の努力により、そのサービスに触れる可能性のある顧客数はどれくらいかを考えます。「自社の営業人員はどれくらいか」「現在取りうる営業・マーケティング手段は何か」といったことから、実際にサービスを手に取るであろう顧客数を算定します。

余談ですが、Obtainableという英単語はありません。
ここでは「~able」~可能な、をつけた造語的な意味合いが強いようです。また、SAMのSarviceableも、経営者側の視点である「サービスを提供することが出来る」の方が理解しやすいかもしれません。

「タムサムソム」はいつ使われるの?

新規事業の開発をする時の市場把握

前例のない新しいサービスの見積もりは、サービスを作る人間はもちろん、投資家にとっても重要な指標になります。

TAMは市場規模を把握する数値ですが、算出の際に市場を誤り、低く見積もってしまうと失敗するケースがあります。

スタートアップ企業にとって重要な資金調達びに失敗し、出鼻をくじかれることにもなりかねません。

投資家にとって投資基準の指標になる

投資家にとって重要な点は主に二つです。

・高い成長性が期待できるものに投資すること
・減らせるリスクはできる限り減らすこと

TAM,SAM,SOMはこの両方に関わります。経営者と投資家の間の市場認識のズレを防ぐ、事業のアッパーを決める、ダウンサイドを決める、など投資の判断材料にすることがあります。

SaaS事業のTAM分析

具体的に、SaaSのマーケット分析をする際に使用されることが増えています。

「SaaS」といえば「Software as a Service(サービスとしてのソフトウェア)」の略です。

GmailやYahoo!メールなど、ネット上でいつでもアクセス出来るため、わざわざソフトを買ってクライアント側にインストールしなくていいサービスです。SaaSのサービスはもはやインフラと言えるほど一般的になっているものもありますね。ここに参入する市場規模を予測する時に、先行サービスを参考にします。

例えば、新たな画期的なメールサービスを提供しようとした際、パソコンやスマホを持つすべての人口を顧客対象とするのはあまりに無謀です。

まずはGmailのユーザーの何割を獲得できるか、など、すでに存在する市場からアプローチして考えていきます。

事業の可能性を見積もる分析方法

算出方法は二種類あります。トップダウンとボトムアップです。

マクロ視点から考える「トップダウン分析」

トップダウン分析は、まず市場全体の数字化から割合を引いていくマクロ視点での考え方です。主にTAMの計算に使用します。公になっている市場データの数値から、獲得したい割合を考慮して計算をします。

ミクロ視点から考える「ボトムアップ分析」

ボトムアップ分析は、サービスの需要がどれくらいあるかを、一人ひとりの顧客データから計算していくミクロな視点での考え方です。主にSAM・SOMの計算に使用します。

具体的には、顧客にアンケート調査を実施するなどして、プロフィールを集めます。そこから需要を分析し、どのように市場を創出し、サービスを提供して行くかを考えます。

一般的には、ボトムアップ分析を重要視されることが多いようですね。
トップダウン分析結果から、「TAMの○割がSAM」とざっくりしたものではなく、ボトムアップ分析からより具体的な数値を提示したほうが、投資家への説明としてはより納得感があるからかもしれません。

一方で、冒頭にお話しした事例のように、偏った調査対象からの統計データによって、誤った分析がされているリスクもあります。そう考えると、トップダウン分析は、ボトムアップ分析の数値に極端な偏りがないか、などを確かめる際に使われていることが多いかもしれません。

そのため、どちらか一方を使うというよりも、算出したい項目に応じて適切な方法を用いるのが大切ですね。

まとめ

こうした言葉のちょっとした認識の違いで、結果に大きな違いが出てしまうことも少なくありません。これを機にぜひ覚えてください。

現実的なSOMを出すためにはSAMが必要、SAMの妥当性を考える上ではTAMの算出が必要…など、相互にリンクしています。局所的な理解をするのではなく、まとめて覚えて全体像を失わないようにしましょう。

私自身は投資するときの目線としてはその市場が伸びているかどうか、伸びそうかどうかをかなりよくみています。そしてその市場の中で勝てる経営者、経営メンバーなのか。競合が弱いところなのか。その市場のリーダーが粗利率の高い、儲かる状態になっているのかなどをみています。

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