こんにちは、キープレイヤーズの高野秀敏です。この記事では「経理・財務職への転職」を考えている方に向けて、私が約25年ベンチャー・スタートアップの人材市場を見てきた実感を交えながら、経理・財務のリアルな仕事内容・年収相場・必要スキル・未経験からのなり方・キャリアパスまでを一気通貫で解説します。
経理は「地味だ」「AIやSaaSに置き換えられる」と言われる時代になりましたが、私の実感としては、むしろSaaS化・IPO準備・M&A・グローバル会計基準対応が同時進行するいまだからこそ、経理・財務人材の価値は上がっています。事業会社の経理は「仕訳を切るだけの人」ではなく、月次を早く締めて経営判断に繋げる、監査法人と対峙する、SO(ストックオプション)を設計する、投資家に向けた開示を作る──そんな戦略職に変わりつつあります。
経理・財務転職の要点まとめ【2026年版】
| 項目 | 経理・財務転職のポイント |
|---|---|
| 年収レンジ | 未経験・アシスタント330-420万/正社員経理450-650万/経理課長700-900万/経理部長900-1,300万/CFO1,300-3,000万 |
| 必須資格 | 日商簿記2級(実質的な最低ライン、未経験でも合格しておくと通過率が跳ね上がる) |
| 差別化資格 | 日商簿記1級/USCPA/公認会計士/税理士/FASS検定Aランク |
| 売り手ポジション | 連結決算経験者/IFRS対応経験者/IPO準備経験者/英文経理/FP&A/管理会計 |
| 未経験参入 | 20代なら十分可能。日商簿記2級+Excel+会計SaaS(freee/マネーフォワード)が最低ライン |
| キャリアパス | 経理担当→経理主任→経理課長→経理部長/管理本部長/CFO/経営企画 |
| 相性の良い転職先 | SaaS/IPO準備スタートアップ/グローバル企業日本法人/PEファンド投資先/監査法人アドバイザリー |
そもそも経理と財務は何が違うのか
経理と財務は同じ「管理部門・バックオフィス」に括られますが、仕事の性質は大きく違います。私が候補者の方に説明するときは、「経理は過去を数字にする仕事、財務は未来のためにお金を動かす仕事」と言い分けています。
経理の仕事内容(過去〜現在の記録)
- 日常業務:仕訳入力、経費精算、請求書処理、売掛・買掛管理、入出金管理
- 月次業務:月次決算(月末〜翌月10営業日以内で締めるのが標準)、月次試算表作成、部門別損益
- 四半期・年次業務:四半期決算(上場企業)、年次決算、税務申告、監査対応、有価証券報告書
- 制度対応:インボイス・電子帳簿保存法対応、連結決算、IFRS/US GAAP対応
財務の仕事内容(未来のためのお金の設計)
- 資金繰り管理:短期の資金ショートを起こさないよう入出金予測と借入枠管理
- 資金調達:デットファイナンス(銀行融資、社債)、エクイティファイナンス(増資、IPO、上場後の公募増資)
- 投資判断:M&A、設備投資、事業投資のNPV・IRR算定
- IR・投資家対応:機関投資家・アナリスト対応、決算説明会、開示資料作成
- 為替・金利ヘッジ、キャッシュマネジメント、税務ストラクチャリング
スタートアップの場合、明確に経理と財務を分けている会社は少なく、「経理財務」として1人ないし少人数チームで両方を兼ねるのが一般的です。上場企業や大企業では経理部と財務部が明確に分かれ、経理部の中でも「単体会計」「連結会計」「税務」「原価計算」に分業されているケースが多いです。
経理・財務職の6類型と年収レンジ【2026年版】
実務でよく分かれる代表的な6類型を、企業タイプ別の年収レンジと合わせて整理しました。私が普段、候補者と企業のマッチングをするときに使っている実感値です。
| 類型 | 特徴 | 年収レンジ |
|---|---|---|
| ①事業会社経理(一般経理) | 中小〜中堅の日常経理。仕訳/月次/年次/税務申告まで幅広く担当 | 350-600万 |
| ②メーカー原価計算 | 製造原価計算・標準原価差異分析・在庫評価。製造業特有 | 500-800万 |
| ③連結決算・IFRS対応 | 上場企業・グローバル企業の連結決算・国際会計基準対応 | 600-1,100万 |
| ④IPO準備経理 | N-2期以降のIPO準備、監査法人対応、内部統制、Iの部作成 | 700-1,200万 |
| ⑤スタートアップ経理/管理部長 | 少人数体制で経理財務労務総務まで兼務、CFO右腕 | 600-1,000万+SO |
| ⑥FP&A/管理会計 | 予実管理、事業計画作成、経営分析、資金配分 | 700-1,300万 |
職種を上位でくくった「財務系」の年収
| ポジション | 年収レンジ | 必要要件の目安 |
|---|---|---|
| 財務担当(若手) | 500-750万 | 資金繰り実務、銀行融資折衝2-3年 |
| 財務マネージャー | 800-1,200万 | 調達実績、投資判断、経営会議への上程経験 |
| IR/財務経理 | 700-1,100万 | 上場企業での開示実務、機関投資家対応 |
| SaaS/外資系 FP&A・コントローラー | 900-1,500万 | 英語ビジネスレベル、SFDC/連結ERPの実務、経営者への提言力 |
| スタートアップCFO | 1,300-3,000万+SO | 資金調達(デット・エクイティ両輪)、IPO準備・M&A・投資家対応 |
| 上場企業CFO | 2,000-5,000万+SO/RSU | 連結決算・開示・M&A・投資家対応の統括、経営執行への直接関与 |
| 大手監査法人シニアマネージャー | 1,200-1,800万 | 公認会計士+上場企業監査経験+アドバイザリー案件 |
約25年この業界にいる実感として、「連結決算経験+英文経理+IPO準備経験」を1つでも掛け合わせると、年収は600万→900万に大きく跳ねます。逆に、単体決算+日商簿記2級だけで20年勤めると、年収は500万前後で頭打ちになりやすい。ここが経理職の「分岐点」で、若手のうちにどの経験を取りに行くかで生涯年収が数千万円変わります。
年収の全体感については年収・手取りガイドとベンチャー企業の年収相場もあわせてご覧ください。
2026年の経理・財務転職市場のリアル
2026年の市場感を、私が現場で見ている範囲でお伝えします。
① SaaS化で「入力する経理」の求人は減り、「設計する経理」の需要が急拡大
freee、マネーフォワード、勘定奉行クラウド、Zoho Booksなどの会計SaaS+銀行・カード連携+インボイス自動仕訳により、単純入力業務は10年前の3割程度になっています。企業が今欲しいのは「SaaSを乗り換え、業務フローを設計し、月次を早く締める人」。情報システム(社内SE・情シス)との協働も増え、経理×IT両方をわかる人材は希少です。
② IPO準備の増加でN-2期〜N期の即戦力経理が慢性的に不足
2025年のIPO社数は約80社(前年並み)ですが、その裏で「IPO準備を始めたが経理体制が追いつかない」企業が数百社単位で存在します。IPO準備経験のある経理課長・部長クラスは、年収900-1,300万+SOで奪い合いになっています。
③ 経理×英語=希少職
US GAAP/IFRSの決算プロセスを回せる経理・FP&Aは、依然として求人1に対し候補者0.3という需給ギャップです。日系グローバル企業の海外子会社連結、日本法人化した外資、日本本社化した外資のいずれでも取り合いになっています。
④ アウトソーシング型・バーチャル会計事務所の台頭
この事業の代表例が、今回この記事のもとになったバーチャル会計事務所SoVaです。代表の山本健太郎さんは公認会計士出身、不動産ベンチャーCFOを経て2019年に創業。月額9,800円という圧倒的低価格で、税務・労務・経理・登記までを1つのチャットボット+会計士チームでワンストップ提供しています。累計調達額は約2.8億円(2024年8月シリーズA、Boost Capital/ジャフコグループ他)、2026年には会計データを活用した「先回り融資」というBaaS的な新サービスも試験展開中です。
SoVaのように「経理をアウトソースする」流れは、スタートアップ・中小企業では常識になりつつあります。事業会社経理として働く方も、外注の使いこなし・受発注管理・進捗把握が新しい必須スキルになってきています。
経理・財務に向いている人/向いていない人
向いている人
- 数字の細かい違いに気づくのが得意で、事実と根拠を大事にする
- コツコツとした作業を苦にせず、締切と品質を両立できる
- 経営者や事業部の「なぜこの数字なのか?」に答えるのが好き
- 制度改正・新会計基準・SaaSの新機能をキャッチアップし続けられる
- 秘密情報を扱う覚悟がある(インサイダー・給与・M&A情報など)
向いていない人
- ざっくりでいい、細かい違いは気にしない、というタイプ
- 手を動かすより会議で決める仕事がしたい(→経営企画やコンサルの方が向く)
- 新しいITツールに触るのが苦手(会計SaaS・BIツール・スクリプトを避けたい)
- 月次締めや決算期の集中作業に耐えられない
未経験から経理・財務になるための3ルート
ルート①:未経験→事業会社の経理アシスタント(20代の王道)
20代前半〜半ばであれば、日商簿記2級+Excelスキル+会計SaaS操作があれば経理アシスタントの求人には応募可能です。未経験可求人はまだ豊富にあります。最初の3年で「月次を回せる」レベルになり、その後は年次決算・税務申告に触れられる会社を選ぶのがポイント。中小企業で全部やる/大手で細分化された1業務を極める、の2つがあり、キャリアの初期は「幅広く触れる中小の方が3年後の市場価値は高い」のが私の実感です。
ルート②:営業/PM/コンサルから経理・財務への越境
営業や事業側でP/Lを読み、予実管理をしていた人が管理部門に越境するケースが増えています。特に、アカウントエグゼクティブ(AE)や事業開発(BizDev)で数字管理を担当していた方は、FP&A・経営企画・管理会計への越境がスムーズです。経営企画と隣接するので、両立して志望する人も多いです。
ルート③:会計事務所・監査法人からの越境
公認会計士や税理士、または税理士科目合格者・USCPA合格者が事業会社側に越境するルート。2-4年目の会計士が事業会社に転職するケースは近年急増しています。監査経験だけでなく、監査法人アドバイザリー(FAS)でM&Aや財務調査を経験した人材は、CFO候補として引く手あまたです。会計士の詳細キャリアは税理士の転職・キャリア完全ガイドもあわせて参照ください。
経理・財務のキャリアパス【スタートアップCFOまで到達するには】
経理・財務のキャリアはこう考えると分かりやすいです。
| 年次 | ポジション | やっておくべきこと |
|---|---|---|
| 1-3年目 | 経理担当(アシスタント) | 日商簿記2級、月次締めを回せる、会計SaaS基本操作 |
| 3-5年目 | 経理主任・年次決算担当 | 年次決算、税務申告、監査対応、日商簿記1級 or USCPA着手 |
| 5-8年目 | 経理課長/FP&A担当 | 連結決算 or IFRS対応、予実管理、事業計画作成、部下1-3名マネジメント |
| 8-12年目 | 経理部長/管理本部長 | 監査法人対応統括、開示、税務ストラクチャリング、経営会議上程 |
| 12-15年目 | スタートアップCFO候補 | 資金調達(デット・エクイティ両輪)、IPO準備、M&A、投資家対応 |
| 15年目〜 | CFO/管理担当役員 | 執行役員・取締役として経営に直接関与 |
ここで大事なのは、「経理部長」が最終ゴールなのか、それとも「CFO」まで到達するのかで、途中で取るべき経験が全く違うことです。経理部長までであれば、大企業で連結決算・税務・監査対応を深掘りするキャリアで十分です。CFOを目指すなら、途中で財務・IR・M&A・IPO準備を経験する必要があります。CFO転職で市場価値を上げる人の共通点もあわせて読むと違いがクリアになります。
CFO/COO/CxOのキャリアパス全体はCXO転職ガイドとスタートアップCxOの年収相場、CFO採用のリアルはCFO採用の完全ガイドを参照してください。IPO準備のCFO像は2025年IPO振り返り、失敗パターンはベンチャーCFO転職の甘い罠と苦い現実も必読です。
経理・財務転職に必要なスキル一覧
ハードスキル(技術的スキル)
- 簿記知識(日商簿記2級 or 相当、実務3年以上あれば1級レベルの知識が実務で身につく)
- 会計SaaS操作:freee/マネーフォワードクラウド/勘定奉行/SAP/Oracle NetSuite
- Excel:ピボットテーブル、VLOOKUP/XLOOKUP、SUMIFS、Power Query、マクロ初級
- 会計基準の理解:日本基準/IFRS/US GAAPの主な差異
- 税務知識:法人税、消費税、源泉所得税、地方税、インボイス、電子帳簿保存法
- BIツール:Looker Studio/Power BI/Tableau(管理会計・経営分析で必須化)
- 英語:TOEIC 700以上(外資・グローバル案件)/900以上(マネジメント層)
ソフトスキル(対人・思考スキル)
- 「なぜこの数字なのか?」を説明できる説明力・仮説思考
- 監査法人・税務署・銀行・投資家といった外部関係者との折衝力
- 営業・事業部から「聞き出す力」(数字の裏側にあるビジネスを理解する)
- 締切と品質を両立させる自己管理力
- 秘密情報を漏らさない倫理観・コンプライアンス意識
企業タイプ別 経理・財務転職のポイント
① 上場大手企業の経理
連結決算・IFRS・開示実務が学べる代表格です。ただし、業務が細分化されており「自分がやっていることが全体のどこか」が見えづらいのが弱点。10年勤めて「連結決算しかできない」となると転職市場で評価が伸びにくいので、ジョブローテーションで税務/管理会計/IRのいずれかにも触れられる大手を選ぶのがコツです。
② 中堅・中小企業の経理
1人で経理〜税務〜労務まで幅広く担当する「なんでも屋」ポジション。市場価値としては「幅広い実務経験+日商簿記2級+Excel/SaaS」で500-650万が上限で、そこから伸ばすには連結・IPO準備・英文経理のどれかを取りに行く必要があります。
③ スタートアップの経理/管理部長
シリーズB以降のスタートアップでは、経理財務労務総務すべてを1〜3名で回す「管理部長」ポジションの求人が多いです。CFOが1人いるだけの状態から、監査法人契約、IPO準備、監査役対応、SO設計まで並走します。年収は600-1,000万+SO 0.1-0.5%が標準的。スタートアップ採用ガイドで企業側の視点も知っておくと交渉に役立ちます。
④ IPO準備企業の経理
N-2期以降のIPO準備企業は、監査法人対応・内部統制整備・Iの部作成・上場審査対応まで一気に経験できる希少ポジションです。2年で連結・IFRS・開示のフルセットを経験できるので、その後のCFOルートに乗りやすい。年収は700-1,200万+SOが標準。ただし、IPO延期・断念のリスクがあるので、私は候補者には「その会社のIPOが3年以内に見えているか」を必ず確認してもらいます。
⑤ 外資系日本法人の経理・FP&A
US GAAP/IFRSの月次連結パッケージ、本社への英語での説明、四半期ごとの本社監査対応が主業務。英語必須(TOEIC 750以上が目安)。年収は日系より150-300万高い水準で、SaaS/外資テック企業のFP&A・コントローラーであれば900-1,500万レンジ。
⑥ 監査法人・会計事務所(アドバイザリー含む)
公認会計士のキャリアの中で、監査+アドバイザリー(M&A/FAS/税務)を経験してから事業会社に越境するルートです。5-8年で年収1,000-1,500万、シニアマネージャー以上で1,500-2,000万レンジ。事業会社に転職するとCFO候補として900-1,500万+SOでの提示が多いです。
【裏側】経理・財務職での失敗パターン7選
私が実際に見てきた「失敗した」ケースを7つ紹介します。反面教師にしてください。
失敗①:「未経験可」の求人でスキルアップが止まる
未経験可の中小企業に入って、5年経っても「仕訳と入出金だけ」というケース。3年目までに年次決算・税務申告に触れられるかを必ず入社前に確認しないと、市場価値が全く伸びません。
失敗②:連結決算だけの職人になり、経営が見えない
上場大手で連結決算だけ10年やって「他の会社に転職しようとしたら、どこの会社の連結もほぼ同じだから評価されるはず」と思うが、実は「連結職人=年収600-800万」で頭打ち。そこからCFOに行くには、税務・IR・M&A・FP&Aのどれかを取りに行く必要があります。
失敗③:スタートアップCFO転職で「思ったより経理業務が多い」
「CFOになりたい」と大手からベンチャーに転職したが、実態はスタートアップCFO=「経理財務労務総務全部を1人で回す人」だった、というケース。ベンチャーCFO転職の甘い罠と苦い現実で詳しく解説しています。入社前に「今のCFO業務の70%は何?」を必ず聞くこと。
失敗④:IPO延期・断念のリスクを軽視
「IPO準備中」を売りにしていた会社に入ったが、途中でIPO延期・断念となり、SOが紙屑になったケース。IPO準備企業は、業績推移、監査法人との関係、主幹事証券との合意状況を必ず確認してから入るべきです。
失敗⑤:英語ができないまま外資系へ
年収の高さに惹かれて外資系に入ったが、本社との会議・監査対応が英語で回らず、3ヶ月で降格。外資系はTOEIC 800以上、できれば900以上で挑むのが安全です。
失敗⑥:資格勉強に時間を使いすぎて実務経験が伸びない
USCPA・公認会計士の勉強を3-5年続けて合格したが、実務は経理アシスタント3年で止まっているケース。資格+実務経験の掛け算でしか市場価値は伸びません。資格取得中でも実務経験を並走させることが重要です。
失敗⑦:管理会計・FP&Aを軽視して経理一本足で走る
経理の中でも「予実管理・事業計画作成・経営分析」を担当するFP&A/管理会計は、経営者の思考回路を学べる貴重な機会です。経理職人で終わるか、FP&Aで経営に近づくかで、CFOルートに乗れるかが決まると言っても過言ではありません。
年代別 経理・財務転職のリアル戦略
20代の場合
20代は「実務経験の幅を取りに行く」時期です。日商簿記2級を取り、まずは事業会社経理に入って月次〜年次を回す。3年目までに税務申告・監査対応に触れられる会社を選ぶこと。20代のベンチャー転職完全ガイドもあわせて読むと視野が広がります。
30代の場合
30代は「連結・IPO・英文経理のどれかで一芸を身につける」時期。この時期に何を仕込むかで生涯年収が数千万円変わります。スタートアップの管理部長ポジションで幅広く回るか、上場大手で連結・IFRSを極めるかを選択。35歳の転職も参考にしてください。
40代の場合
40代は「経理部長/管理本部長/CFO候補」として意思決定に関与する時期。ここでは「経理職人」ではなく「経営執行に関与できるか」が問われます。スタートアップCFO候補か、上場企業の経理部長→執行役員ルートかの選択。40代のベンチャー転職ガイドもあわせて参照ください。
50代以降
50代以降はCFO/管理担当役員/社外役員のポートフォリオキャリアが現実的です。IPO準備企業のCFOポジションは50代も歓迎される数少ないポジション。上場企業の常勤監査役・社外取締役も選択肢です。45歳からのベンチャー転職成功ガイドも参考になります。
スタートアップCFOへの道:5つの必須経験
「経理からCFOになりたい」という相談を多く受けますが、私が候補者に必ず伝えているのは、CFOに求められる5つの必須経験です。全部揃えなくても、3つ以上あれば有力候補になります。
- 資金調達経験:デットファイナンス(銀行融資、社債)、エクイティファイナンス(VC/事業会社CVCからの増資、IPO)
- IPO準備 or 上場企業経理経験:内部統制、監査法人対応、上場審査対応、開示実務
- M&A経験:デューデリジェンス、バリュエーション、ストラクチャリング、PMI
- 連結決算 or IFRS対応:グローバル連結、会計基準差異、税務ストラクチャリング
- 投資家対応 or IR経験:機関投資家・アナリスト対応、決算説明会、開示資料作成
逆に言うと、この5つのうち3つを組み合わせられる会社をキャリア途中に必ず1社は挟むこと。「事業会社経理→監査法人アドバイザリー(FAS)→スタートアップCFO」というルートは、この5つを最短で満たしやすい王道パターンです。
おすすめの経理・財務転職エージェント選び方
経理・財務転職では、「管理部門特化型」と「ハイクラス総合型」の2つを組み合わせるのが定石です。私が候補者にアドバイスするのは以下の3レイヤー。
| レイヤー | 使い所 | 特徴 |
|---|---|---|
| 管理部門特化型 | MS-Japan/ヒュープロ/ジャスネットキャリア | 経理・財務・人事・法務の求人集約。年収400-1,000万レンジ |
| ハイクラス総合型 | ビズリーチ/リクルートダイレクトスカウト/JAC | 年収800-2,000万のハイクラス案件、CFO案件も |
| スタートアップ特化型 | キープレイヤーズ他 | ベンチャー・スタートアップの経理/CFO候補案件、SO条件込みの提示 |
より詳しい選び方は転職エージェント選び方ガイドとCxO転職エージェントおすすめ比較を参照ください。
経理・財務転職の12ヶ月ロードマップ
「今から準備するとして、いつ動けばいいか?」への回答です。
| 時期 | やること |
|---|---|
| 0-2ヶ月目 | キャリアの棚卸し、日商簿記2級 or 1級の学習開始、職務経歴書のドラフト作成 |
| 2-4ヶ月目 | 会計SaaS(freee/マネーフォワード)の実務経験を整理、Excel/BIツールの棚卸し、直近3期の担当業務を数値化 |
| 4-6ヶ月目 | 管理部門特化型+ハイクラス型のエージェント2-3社と面談、非公開求人でポジションを把握 |
| 6-8ヶ月目 | 本命企業に応募、面接対策(月次締めの日数、担当した仕訳、税務申告の担当範囲を数値で説明できる状態に) |
| 8-10ヶ月目 | 内定・条件交渉(基本給、賞与、SO、退職金、勤務地、退職時期) |
| 10-12ヶ月目 | 引き継ぎ、退職手続き、新会社での立ち上がり準備 |
経理・財務転職 職務経歴書の書き方【差別化ポイント】
私が候補者に必ずアドバイスするポイントを、経理・財務職に特化した形でお伝えします。
- 担当業務を「動詞+数値+成果」で書く(例:「月次締めを10営業日→5営業日に短縮」)
- 会計基準の理解を「日本基準」「IFRS」「US GAAP」で明示
- 会計SaaS・ERP・BIツールの経験を具体的に列挙
- 監査法人・税務署・銀行・投資家との折衝経験を明記
- 資格は取得年月と得点(USCPAは全科目合格の時期、日商簿記は1級/2級/3級を明記)
より詳しい書き方はベンチャー転職の職務経歴書完全ガイドも参考にしてください。
経理・財務転職 面接でよく聞かれる質問
- 月次締めは何営業日で完了させていますか?(早さは経理レベルを測る一次指標)
- 直近担当した年次決算での特殊な処理は何ですか?
- 連結決算での資本連結/未実現利益消去の実務経験を教えてください
- 税務調査対応の経験はありますか?
- USCPA/日商簿記1級を目指す理由と学習計画は?
- 会計SaaSを乗り換えたことはありますか?そのときの業務フロー設計は?
- スタートアップに来たときに、既存の会計処理を改善するとしたら何から手を付けますか?
- CFOと経理部長の違いをどう理解していますか?
より広い面接対策はベンチャー転職の面接対策も参照ください。
FAQ(よくある質問)
Q1. 未経験・簿記2級だけで経理に入れますか?
A. 20代であれば十分可能です。ただし、Excel(VLOOKUP/XLOOKUP/ピボット)と会計SaaS操作の下地があることが前提。中小企業の経理アシスタントであれば内定率も高く、そこで3年で幅を作れば市場価値は跳ね上がります。
Q2. 経理から財務に移るには何を身につければいい?
A. 資金繰り管理・銀行融資折衝を1-2年経験することが最短です。中小企業では経理と財務を兼務することが多いので、それを経験してから財務専任職に応募するとスムーズ。財務専任のポジションはCFO直下が多く、資金調達・M&A・IR・投資家対応にも触れられます。
Q3. 40代未経験で経理に挑戦できますか?
A. 事業サイドで数字を扱っていた方(PM、経営企画、営業マネージャー)であれば、経理アシスタントではなく「FP&A/管理会計担当」としての入り方が現実的です。ゼロベースの経理入門は40代では厳しい。ビジネス側で数字を扱ってきた経験を武器にしてください。
Q4. USCPAと公認会計士はどちらを取るべき?
A. 事業会社のCFOルートを狙うならUSCPA(英語力とグローバル会計基準がセット)、監査法人・独立志望や税務も強くしたいなら日本の公認会計士がおすすめ。取得期間は日本の会計士が2-4年、USCPAが1-2年と、期間はUSCPAの方が短い。
Q5. スタートアップCFOと事業会社CFOではどちらが年収が高い?
A. 現金報酬だけならスタートアップより上場大手CFOの方が高い(1,500-5,000万レンジ)。ただし、SO込みで見るとIPO成功時のスタートアップCFOは3,000-1億超になるケースがあり、リスクとリターンのトレードオフです。
Q6. AI/会計SaaSで経理は要らなくなりますか?
A. 単純入力業務は減りますが、「業務フロー設計」「例外処理判断」「監査対応」「投資家説明」はしばらくAIに置き換わりません。むしろ、AI・SaaS・BIを使いこなす経理は市場価値が上がっています。
Q7. 経理経験3年で年収600万は狙えますか?
A. スタートアップの管理部長ポジション、または上場企業の連結決算担当であれば十分狙えます。ただし、3年目時点で「連結」「IFRS」「IPO準備」のどれかに触れられている必要があります。
Q8. 監査法人からの越境で気をつけることは?
A. 監査は「事後的なチェック」の仕事なので、事業会社に入ってから「意思決定に関わる」「事業側とコミュニケーションを取る」ことに違和感を持つ人がいます。監査法人時代にFAS/アドバイザリー案件で事業側と接点を作っておくと越境が楽です。
まとめ:経理・財務はSaaS時代の「戦略職」に変わりつつある
25年この業界を見てきた私の実感として、経理・財務は「AI・SaaSに置き換えられる」仕事ではなく、「AI・SaaSを設計する」仕事に変わりつつあると感じています。単純入力業務が減ったからこそ、業務フローを設計し、月次を早く締め、経営判断を支える経理・財務人材の価値は上がっています。
特に、連結決算・IFRS・IPO準備・英文経理・FP&A・M&Aのどれかを掛け合わせられる人は、CFOルートに乗る有力候補として、年収900-3,000万+SOで奪い合いになっています。
ベンチャー転職全般の考え方はベンチャー転職 完全ガイド、失敗回避はベンチャー転職 失敗・後悔ガイド、CxO全体像はCXO転職ガイドもあわせてご覧ください。
キープレイヤーズでは、ベンチャー・スタートアップの経理/財務/管理本部長/CFO候補ポジションを多数扱っています。「今の経理経験でCFO候補に行けるのか」「IPO準備企業の経理は自分に合うのか」など、キャリアの相談はこちらからお気軽にご相談ください。実際にキープレイヤーズを利用された方の感想はこちらにまとめています。