こんにちは、ベンチャー・スタートアップへの転職を27年サポートしているキープレイヤーズの高野です。
今回は「教育テック(EdTech/エドテック)業界」への転職ガイドを、2026年11月時点の情報で全面的に書き直しました。私は、才能児教育・障がい者雇用×EdTechのGotoschool(代表・松本哲さん)や、AI型教材「Qubena」のCOMPASS、記憶定着SaaS「Monoxer」、AI教材「atama plus」、中高生向けプログラミングの「ライフイズテック」、学校・塾向けICT教材の「すららネット」など、EdTech企業の経営者の方々から「1人目のPdMが採れない」「学校営業を新規開拓できる人がいない」というご相談を日常的にいただいています。
2026年のEdTech業界を一言でまとめると、「伸びる領域と縮む領域がはっきり分かれ、大手による再編が一気に進んだ年」です。4月にはClassiがベネッセコーポレーションに吸収合併され、7月にはオンライン英会話のレアジョブが学研ホールディングスの完全子会社になって上場廃止。同じ7月にはKUMONグループがatama plusの株主に加わりました。一方で、上場EdTechのなかには減収や赤字予想を出す会社も出ています。
「少子化だから教育業界は斜陽」という見方は正しくありません。ただ、「EdTechならどこでも伸びている」という見方も、2026年にはもう通用しません。この記事では、10カテゴリーの全体像、主要企業の最新動向、年収相場、職種と必要スキル、未経験からの5ステップ、年代別の戦略、失敗パターン、FAQまでを順に整理します。
結論:EdTech業界の転職は「領域選び」と「会社の財務確認」で決まる
先に全体像を表にまとめます。どの領域を狙うかで、求められる経験も、年収も、安定性も大きく変わります。
| 領域 | 2026年の状況 | 主な顧客 | 狙い目の職種 | 転職のしやすさ |
|---|---|---|---|---|
| 社会人リスキリング・法人研修 | 伸びている(BtoB eラーニングは前年度比+7.8%) | 大企業の人事・DX推進部 | 法人営業・CS・コンテンツ企画 | SaaS営業・HR経験者なら入りやすい |
| AI型個別最適化(塾・学校向け) | 伸びている。大手との資本提携が進む | 学習塾・学校・保護者 | PdM・データサイエンティスト・塾向け営業 | 専門性が問われる。ポジションは厚い |
| 学校向けSaaS・校務DX | 端末更新と校務DXの予算が動く時期 | 教育委員会・学校法人 | 自治体営業・CS・導入支援 | 教員・公共営業の経験が強い |
| 塾向け業務管理SaaS | 成長は鈍化。構造改革に入る会社も | 学習塾・予備校 | CS・フィールドセールス | 塾業界の経験があれば有利 |
| 語学(オンライン英会話) | AIで価格破壊。大手傘下で再編 | 個人・法人研修 | マーケ・法人営業・AIプロダクト | 会社の方向性の見極めが必要 |
| 幼児・知育アプリ | 上場企業も減益予想で踊り場 | 保護者・保育園 | グロースマーケ・プロダクト | BtoCの数字に強い人向け |
私の結論は、「伸びている領域を選ぶ」「上場企業でも決算資料で財務を確認する」「教育ドメインとSaaSの両方の言葉を話せるようになる」の3つです。EdTechは意義を感じやすい業界だからこそ、入社前に数字を冷静に見ておくことが、後悔しないための一番の近道です。
EdTech(教育テック)とは — 「学ぶ」と「教える」をテクノロジーで変える領域
EdTechは、Education × Technologyの略です。学校・学習塾・企業研修・個人学習のそれぞれで、AI・SaaS・動画・アプリを使って、学習の効率、指導の効率、そして成果の測り方を変えていくサービスの総称です。
ただ、面談で「EdTechに興味があります」とおっしゃる方の話をよく聞くと、指しているものは人によってまったく違います。学校向けSaaSと社会人向けの資格講座では、顧客も、売り方も、働く人のタイプも別物です。ここを混同したまま転職活動を進めると、面接で話が噛み合わなかったり、入社後に「思っていた仕事と違う」と感じて早期に辞めてしまったりします。まずは全体像を押さえてください。
市場規模:BtoBが伸び、BtoCは横ばい
矢野経済研究所の調査(2025年4月発表)では、2024年度の国内eラーニング市場は3,812億円(前年度比+2.1%)の見込みです。内訳は、法人向けのBtoB市場が1,232億円(+7.8%)、個人向けのBtoC市場が2,580億円(−0.4%)。つまり、伸びているのは企業研修・リスキリングの側で、個人向けは横ばいという構図です。
学校向けでは、GIGAスクール構想で配った1人1台端末の更新期に入っています。文部科学省の2026年度概算要求では「1人1台端末の着実な更新等」に169億円が計上され、校務系と学習系のネットワーク統合などを支える「校務DX加速化事業」も新設されました(いずれも概算要求段階の数字です)。学校現場のDXに予算が付く流れは続いており、自治体向けの営業や導入支援の求人はここ数年、途切れていません。
なお、海外の調査会社が出している「日本のEdTech市場規模」は、会社によって数倍の差があります。対象範囲の定義が違うためで、面接で市場規模を語るときは、出典と定義をセットで話すと説得力が増します。
EdTech業界の10カテゴリーと主要プレイヤー
私が現場で見ている限り、EdTechは大きく次の10領域に分かれます。
| カテゴリー | 主なサービス・企業例 | 主な顧客 | ビジネスの型 |
|---|---|---|---|
| ①学校向けSaaS/校務DX | Classi(ベネッセ)、すららネット、Libry、ロイロノート(LoiLo)、tetoru | 小中高・教育委員会 | BtoG/学校単位の年間契約 |
| ②塾向け業務管理SaaS | POPER(Comiru) | 個別指導塾・集団塾 | BtoB SaaS |
| ③AI型個別最適化 | atama plus、COMPASS(Qubena)、Monoxer | 学習塾・学校 | BtoB(一部BtoC) |
| ④社会人リスキリング・法人研修 | Schoo、アイデミー(Aidemy Business)、Gakken LEAP、WizWe | 大企業の人事・DX推進部 | BtoB SaaS |
| ⑤社会人向け資格講座 | KIYOラーニング(STUDYing)、アガルート | 個人・法人 | BtoC中心のオンライン講座 |
| ⑥語学(オンライン英会話・AI英会話) | レアジョブ(学研HD傘下)、DMM英会話、ネイティブキャンプ、スピークバディ、プログリット | 個人・法人研修 | サブスク/コーチング |
| ⑦プログラミング・IT教育 | ライフイズテック、Progate、TechAcademy、キカガク | 中高生・社会人・法人 | BtoC・BtoB・学校向け教材 |
| ⑧幼児・知育アプリ | キッズスター(ごっこランド)、ワンダーラボ(Think!Think!)、スマートエデュケーション | 保護者・保育園 | BtoC・広告・企業タイアップ |
| ⑨特別支援・発達支援 | LITALICO、Gotoschool(LUMO) | 子ども・保護者・自治体 | 福祉サービス×テック |
| ⑩個人の学び・教育クリエイター | MOSH、Duolingo(海外) | 個人学習者・講師 | プラットフォーム型 |
この10カテゴリーは、学校・自治体向け(①⑨)、法人向け(②③④⑦の一部)、個人・保護者向け(⑤⑥⑧⑩)の3タイプに分けると整理しやすくなります。営業経験の方は法人向け、BtoCマーケの方は個人向け、教員経験の方は学校向け、というように、自分の経験が一番生きるタイプから狙うのが基本です。
2026年の主要企業の動き — 「大手による再編」と「上場EdTechの踊り場」
この1年で、EdTech業界の地図はかなり塗り替わりました。転職先を選ぶうえで、最低限知っておきたい動きをまとめます。
| 企業 | 2026年の主な動き | 転職者にとっての意味 |
|---|---|---|
| Classi | 2026年4月1日、ベネッセコーポレーションに吸収合併。サービス・契約内容は継続 | 採用はベネッセ本体の枠組みに。大手の待遇で学校向けSaaSに関われる |
| レアジョブ | 2026年7月、学研HDとの株式交換で完全子会社に。上場廃止。2026年3月期の売上は約96億円 | 独立系上場企業から大手グループへ。SOや株式報酬の扱いは要確認 |
| atama plus | 導入教室は4,500以上(2025年5月時点)。2026年7月にKUMONグループが株主に参画 | AI教材の代表格として、大手教育企業との連携が深まる |
| Schoo | 2024年10月に東証グロース上場(公開価格は直前の調達時を下回った)。2026年10月に「AIロープレ」を提供開始 | 法人研修×生成AIの最前線。上場後の成長戦略を面接で確認したい |
| すららネット | 2025年12月期の売上は19.3億円(−0.8%)。2026年12月期は売上17.5億円・経常赤字の予想 | 事業の立て直し期。改革に関わりたい人には機会、安定志向の人は慎重に |
| POPER | 2026年10月期の中間決算で売上7.14億円(+3.3%)、営業利益は39.5%減。構造改革と投資の期と説明 | 次の成長の柱づくりに関われる人材を求める局面 |
| キッズスター | 2026年12月期の予想は売上11.8億円(+1.6%)、営業利益は51.7%減 | BtoC知育は踊り場。新しい収益源を作れる人が評価される |
| Monoxer(モノグサ) | 2025年3月に8億円を調達。求人票では累計調達23.5億円・IPO準備中と記載(公式発表ではない) | IPO準備企業として、経営企画・管理部門・事業開発の採用が続く |
この表から読み取ってほしいのは、「上場しているから安心」「有名なサービスだから伸びている」とは限らないということです。私はEdTechへの転職相談を受けるとき、必ず直近2〜3期の決算資料を一緒に見ます。減収や赤字予想の会社が悪いわけではありません。立て直しのフェーズは、事業を作る経験を積むには絶好の環境です。ただし、それを分かったうえで入るのと、知らずに入るのとでは、入社後の受け止め方がまったく違います。
カテゴリー別の詳しい解説
①学校向けSaaS/校務DX — 教育委員会との長い付き合いが前提
Classi、すららネット、Libry、ロイロノートなどが代表的なプレイヤーです。端末の更新期と校務DXが重なり、自治体営業、導入支援、カスタマーサクセス、PdMの求人が続いています。ClassiはベネッセコーポレーションのEdTechとして、保護者連絡アプリのtetoruとあわせて事業が続いています。
この領域の特徴は、意思決定が年度予算に縛られ、提案から導入まで半年〜1年かかるのが普通なことです。「数字が月単位で動かないとつらい」という方には合いません。逆に、教育委員会や校長先生と時間をかけて関係を作るのが得意な方は、長く活躍できる領域です。
②塾向け業務管理SaaS — 成長の次の一手を探す局面
POPERの「Comiru」は、塾の入退室管理・請求・保護者連絡などを一つにまとめるSaaSです。塾業界はDXが遅れていた分、導入の余地はまだ大きいものの、2026年は構造改革と投資の期と位置づけています。塾長や教室長の経験がある方は、CSやフィールドセールスで即戦力になります。
③AI型個別最適化 — PdMとデータ人材の奪い合い
atama plus、COMPASS(Qubena)、Monoxerが代表格です。生徒一人ひとりの理解度に合わせて問題を出し分けるAI教材は、塾と学校の両方で導入が進んでいます。「学習データ×A/Bテスト×パーソナライズ」ができるデータサイエンティストやMLエンジニア、教育現場を理解したPdMは、どの会社も喉から手が出るほど欲しい人材です。大手教育企業との資本提携が進んでいることもあり、事業の安定感も増しています。
④社会人リスキリング・法人研修 — いま最も求人が厚い領域
Schoo、アイデミー、Gakken LEAP、WizWeなどが主要プレイヤーです。前述のとおりBtoB eラーニングは前年度比+7.8%と伸びており、国も「人への投資」としてリスキリング支援を続けています。法人営業、カスタマーサクセス、研修コンテンツの企画、生成AIを使った新機能のPdMなど、ポジションの種類も豊富です。HRテックやBtoB SaaSの経験者が最も入りやすい領域でもあります。
⑤社会人向け資格講座 — 高粗利で安定したビジネス
KIYOラーニングの「STUDYing」やアガルートが代表格です。オンライン講座は一度作った教材を何度も販売できるため粗利が高く、事業として安定しています。デジタルマーケティング、動画制作、講座企画の求人が中心です。
⑥語学 — AIによる価格破壊と、大手による再編
オンライン英会話は、AI英会話の登場で価格が大きく下がりつつあります。レアジョブが学研HDの傘下に入ったのは、この業界の再編を象徴する出来事でした。人が教えるサービスとAIのサービスをどう組み合わせるかが各社の課題で、AIプロダクトの企画や法人研修の営業に人材が流れています。
⑦プログラミング・IT教育 — 子ども向けと社会人向けの両輪
ライフイズテック、Progate、TechAcademy、キカガクなどが代表格です。学習指導要領でプログラミングや情報の授業が必修になり、学校向け教材の需要が生まれました。社会人向けではDX研修・AI研修と競合・連携する関係にあります。
⑧幼児・知育アプリ — BtoCの数字に強い人が活躍
キッズスターの「ごっこランド」、ワンダーラボの「Think!Think!」などが代表格です。上場しているキッズスターも2026年は減益予想で、広告やタイアップ以外の収益源をどう作るかが問われています。グロースマーケターやプロダクトマネージャーにとっては、数字で勝負できる面白い領域です。
⑨特別支援・発達支援 — 制度とテックの掛け算
LITALICOが業界のリーダーで、発達支援・就労支援・ソフトウェアを展開しています。Gotoschoolは「あきらめを、チャレンジに」をミッションに、子どもの運動療育教室「LUMO」と就労支援事業「LUMO+」を展開しています(2023年にはユナイテッドがリード投資家として追加出資)。福祉の報酬制度に左右される面はありますが、社会的な需要は確実にあり、PT・OT・保育士などの専門職からの転職者も活躍しています。
⑩個人の学び・教育クリエイター — 学びを売る人を支える
MOSHのように、講師やクリエイターが自分の講座やレッスンを販売できるプラットフォームも広がっています。海外ではDuolingoが「スマホ×ゲーム感覚×AI」の学習で存在感を示しています。
EdTech業界の年収相場【企業タイプ別・キャリアレベル別】
私がご相談を受けてきた実際のオファーをもとに、企業タイプ別の年収レンジの目安をまとめました(現金報酬の目安で、会社や職種によって幅があります)。
| キャリアレベル | アーリー期スタートアップ | ミドル〜レイター(IPO準備) | 上場EdTech | 大手教育企業・大手グループ |
|---|---|---|---|---|
| 未経験〜1年目 | 350〜450万円 | 400〜550万円 | 400〜550万円 | 450〜650万円 |
| 担当(2〜4年目) | 450〜650万円 | 500〜750万円 | 500〜750万円 | 600〜850万円 |
| リーダー | 600〜850万円+SO | 700〜1,000万円+SO | 700〜1,000万円 | 800〜1,100万円 |
| マネージャー | 800〜1,100万円+SO | 900〜1,300万円+SO | 900〜1,300万円 | 1,000〜1,500万円 |
| 執行役員・VP | 1,000〜1,400万円+SO | 1,200〜1,800万円+SO | 1,200〜2,000万円 | 1,500万円〜 |
私の実感では、EdTechの現金年収は、FinTechや一般的なBtoB SaaSより50万〜150万円ほど低めです。教育の顧客は予算が限られていて、単価を上げにくいからです。一方で、大手教育企業やその傘下の会社は年収水準が高く、福利厚生も手厚い傾向があります。スタートアップに行くなら、SO(ストックオプション)を含めた期待値で考えるのが現実的です。SOの評価方法はストックオプション(SO)完全ガイドを、年収の考え方全般は年収・手取りガイドとベンチャー企業の年収相場をあわせてご覧ください。
EdTech業界の主要職種と必要スキル
プロダクトマネージャー(PdM)
教育のPdMは、使う人と買う人が違うのが難しいところです。使うのは生徒、指導するのは先生、お金を払うのは学校・塾・保護者・企業の人事。この多層の利用者を理解しながら、SaaSとしての事業性も両立させる力が求められます。AI教材や法人研修のシニアPdMは、年収1,000万円を超えるオファーも珍しくありません。詳しくはプロダクトマネージャー(PdM)転職ガイドを参照してください。
エンジニア(バックエンド・データ・ML)
学習ログは子どもの個人情報を含むため、データの扱いに慎重な設計が欠かせません。個人情報保護の理解と、学習データを使ったパーソナライズの実装経験があるエンジニアは強く求められています。バックエンドエンジニア転職ガイド、SREエンジニア転職ガイドもあわせてどうぞ。
学校営業・自治体営業
教育委員会や学校法人と長期の関係を作る仕事です。公共調達の仕組み、学習指導要領の基礎、先生方の文化への敬意が武器になります。エンタープライズ向けの提案経験がある方は、アカウントエグゼクティブ(AE)転職ガイドも参考になります。
カスタマーサクセス・教育アドバイザー
導入して終わりではなく、先生方が実際に使いこなせるようになるまで伴走する仕事です。元教員・元塾長は最強のCS人材と言っても過言ではありません。詳しくはカスタマーサクセス転職ガイドをご覧ください。
教材・コンテンツ企画(インストラクショナルデザイナー)
学習理論や教材制作の経験に加え、動画や生成AIを使った教材づくりのスキルがあると評価が上がります。経験者が少ないため、大手教育企業も積極的に採用しています。
法人営業(研修・リスキリング領域)
大企業の人事やDX推進部に、研修プロダクトを提案する仕事です。HRテックやSaaS営業の経験があれば即戦力で、年収は500万〜1,200万円程度が目安です。人材開発の側から見たキャリアは人事・人材開発(研修・L&D)転職ガイドが参考になります。営業組織の作り方に関心がある方はセールステック業界の転職ガイドもどうぞ。
グロースマーケター
語学、資格講座、知育アプリなど個人向けサービスで欠かせない職種です。ただ、教育業界は「短期の獲得効率だけを追うマーケティング」が嫌われる傾向があります。学習の継続率や成果まで含めてLTVを設計できる人が評価されます。
EdTech業界で働くメリット・デメリット
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 仕事の意義を実感しやすく、社会に貢献している手応えがある | 現金年収はFinTechやSaaS一般より50万〜150万円低めになりやすい |
| リスキリング・AI教材など、伸びている領域がはっきりしている | 学校向けは年度予算に縛られ、成果が出るまで時間がかかる |
| 教育ドメインの知識は希少で、一度身につけると長く使える | 上場企業でも減収・赤字予想の会社があり、会社選びの難度が高い |
| 大手教育企業との連携・再編で、事業の安定性が増している会社もある | 再編で組織や報酬制度が変わるリスクがある(SOの扱いなど) |
| 教員・塾講師など、異業種からの転職者が活躍しやすい | 「教育が好き」だけでは、SaaSのKPIのプレッシャーに戸惑う |
EdTech業界に向いている人・向いていない人
| 向いている人 | 向いていない人 |
|---|---|
| 教育や人の成長に本気で関心がある | 意義より短期の数字と年収だけを追いたい |
| 短期のKPIと長期の学習成果の両方を見られる | 四半期の数字しか意識しない |
| 先生・自治体・保護者と粘り強く対話できる | IT業界以外の関係者との調整が苦手 |
| 年度単位の長いサイクルにも腰を据えて取り組める | スピード感が遅いと強いストレスを感じる |
| 「なぜ教育なのか」を自分の経験から語れる | 市場の成長性だけで業界を選んでいる |
未経験からEdTech業界に転職する5ステップ
- 狙う領域を1つに絞る:学校向け・法人向け・個人向けのどれで、自分の経験が一番生きるかを決めます。冒頭の比較表で「伸びている領域」を優先するのがおすすめです。
- 候補企業の決算・資金調達を確認する:上場企業は決算短信を、スタートアップはプレスリリースと資金調達の履歴を見ます。直近2〜3期の売上の伸びと、利益の状況を必ず押さえてください。
- 教育ドメインの共通言語を学ぶ:GIGAスクール構想、校務DX、学習指導要領、アダプティブラーニング、リスキリング支援策などの基本用語を押さえるだけで、面接での会話の質が変わります。
- 「なぜ教育か」を自分の経験で語れるようにする:EdTechの面接では、ほぼ必ず聞かれます。自分の学習体験や、育成に関わった経験を具体的なエピソードで準備してください。
- 業界に詳しいエージェントや、経営者とつながりのある人に相談する:EdTechのスタートアップは非公開で採用を進めることが多いです。エージェントの選び方は転職エージェント選び方ガイドを参照してください。
異業種からの3つの入り方
ルート①:SaaS営業・CSから——他業界のSaaS営業やCSの経験があれば、教育ドメインは入社後に学べます。特にHRテックやBtoB SaaS出身の方は、法人研修の領域で即戦力です。
ルート②:教員・塾講師・教育行政から——CS、教育アドバイザー、学校営業、PdMの補佐として非常に重宝されます。年収は一時的に下がることもありますが、3〜5年で前職を上回る方が多い印象です。
ルート③:コンサルから——事業開発、経営企画、新規事業の立ち上げで声がかかります。教育政策と自社のプロダクトをつなぐ提案ができる人は強いです。コンサルから事業会社への移り方はコンサルからの転職ガイドで詳しく解説しています。
年代別・EdTech転職の戦略
20代 — 教育ドメインとSaaSの「二刀流」を作る
CS・営業・マーケの入門ポジションで入り、教育業界の共通言語を身につけるのが最短ルートです。3年で年収500万〜700万円、5年でリーダー・マネージャー層を狙えます。20代の動き方は20代のベンチャー転職ガイドを参照してください。
30代 — 「教育×SaaS」のハイブリッド人材として価値を出す
「教育業界の経験×SaaS」または「SaaS営業×教育ドメイン」の組み合わせで、シニアPdM、CSマネージャー、エンタープライズ営業として年収600万〜1,200万円が現実的です。35歳からのベンチャー転職ガイドもあわせてどうぞ。
40代 — 事業責任者・執行役員として迎えられる
事業部長、VP of Sales、VP of Product、執行役員候補として、上場EdTechや大手教育企業のDX部門を狙う年代です。2026年は大手による再編が進んだので、「買収後の統合(PMI)を進められる人」のニーズも出てきています。40代のベンチャー転職ガイドや、経営ポジションを狙う方はCXO転職ガイドも参考になります。
50代 — 顧問・社外取締役・教育政策のアドバイザー
教育委員会や大学、企業の人事部門とのネットワークを持つ方は、顧問や社外取締役として声がかかることがあります。人脈を「誰と何をしてきたか」で語れるように整理しておくのが大事です。年代ごとの考え方は年齢別転職ガイドにまとめています。
EdTech転職の失敗パターン7選
- 「教育は優しい業界」と思って入り、SaaSの数字に戸惑う:EdTech企業もARRや解約率を追う会社です。ミッションへの共感だけで入ると、数字のプレッシャーに疲れてしまいます。
- 年度予算の壁を知らずに学校営業を始める:公立学校は年度予算で動きます。今期に決まらないのは当たり前で、1年越しの案件も普通です。
- 「少子化だから」と業界ごと選択肢から外す:子ども向けが縮んでも、社会人向けのBtoB市場は伸びています。領域で見てください。
- 上場企業だからと財務を確認しない:2026年も、上場EdTechのなかに減収や赤字予想の会社があります。入社前に決算資料は必ず見てください。
- 過去のガバナンス問題を調べない:EduLabは2022年、虚偽の業績開示で東京証券取引所から上場契約違約金4,800万円を求められました。上場企業でも、過去の開示や監査の経緯は確認しておくべきです。
- 再編の影響を読まずに入社する:大手の傘下に入ると、SOの扱いや人事制度が変わることがあります。オファーの段階で必ず確認してください。
- 大手教育企業の年収をそのままスタートアップに求める:アーリー期のスタートアップでは、現金年収が100万〜300万円下がるのはよくあることです。SOを含めた総額で判断しましょう。
ベンチャー転職の失敗例をもっと知りたい方はベンチャー転職 失敗・後悔ガイドを、会社の見極め方はベンチャー企業の選び方・見極め方をご覧ください。
相談事例:EdTechに転職した3人
ケース1:公立中学校の教員(32歳)→ AI教材企業のカスタマーサクセス——GIGA端末を使った授業づくりの実績を、具体的な数字とエピソードで職務経歴書にまとめたところ、3社から内定をいただきました。年収は一時的に下がりましたが、2年目にはCSのリーダーになり、教員時代の年収を上回りました。
ケース2:HRテックSaaSの法人営業(29歳)→ 法人研修サービスのエンタープライズ営業——人事部門への提案経験がそのまま生きるため、入社後3か月で大型案件を受注。年収は現状維持でのスタートでしたが、インセンティブを含めると1年目で約100万円上がりました。
ケース3:大手教育企業の事業企画(44歳)→ IPO準備中のEdTechスタートアップの執行役員——現金年収は約200万円下がりましたが、SOを付与され、大手で培った学校・塾とのネットワークを生かして新規事業を任されています。「大手時代は決裁に半年かかったことが、いまは1週間で決まる」と話していました。
よくある質問(FAQ)
Q1. EdTech業界は文系・未経験でも入れますか?
入れます。営業、カスタマーサクセス、マーケティング、教材企画は、むしろ文系出身の方が主力です。将来PdMを目指す場合は、まずCSや導入支援で2〜3年、現場と業務を理解してから移るのが王道です。
Q2. 教員経験は転職に有利ですか?
非常に有利です。端末を使った授業の実践、探究学習の指導、保護者対応の経験を言葉にできる教員の方は、CS・教育アドバイザー・学校営業で引く手あまたです。年収は一時的に下がることもありますが、3〜5年で回収する方が多いです。
Q3. EdTechの年収はFinTechより低いと聞きますが、本当ですか?
平均すると50万〜150万円ほど低い傾向はあります。ただ、大手教育企業やその傘下の会社は年収水準が高く、AI教材や法人研修のシニアポジションでは年収1,000万円を超えるオファーもあります。
Q4. 少子化で、EdTech業界の将来は大丈夫ですか?
子ども向けの市場は長期的に縮みますが、社会人向けのBtoB eラーニングは前年度比+7.8%で伸びていますし、学校のDXにも予算が付き続けています。「子ども向けだけに頼っていない会社」「法人向けやAIで新しい収益源を持つ会社」を選ぶのがポイントです。
Q5. 2026年にいちばん伸びている領域はどこですか?
私が見ている限り、①社会人リスキリング・法人研修、②AI型の個別最適化教材、③学校の校務DX、の3つです。逆に、語学や知育アプリなど個人向けの領域は、価格競争や減益で踊り場に入っている会社が目立ちます。
Q6. スタートアップと大手教育企業、どちらがいいですか?
安定と年収を重視するなら大手、幅広い経験と意思決定のスピード、SOを求めるなら成長期のスタートアップです。30代までなら「スタートアップで経験を積んでから大手」も「大手からスタートアップ」もどちらも可能です。40代以降は、大手からスタートアップへの移動のほうが現実的になります。
Q7. 大手に買収・吸収されたEdTech企業に転職するのはありですか?
ありです。大手の資本と顧客基盤を使ってプロダクトを伸ばせるのは大きな魅力です。ただし、人事制度の統合や、意思決定のスピードの変化は起きやすいので、「どこまで独立して事業を運営できるのか」を面接で必ず確認してください。
Q8. 生成AIでEdTechの仕事はなくなりませんか?
なくなるというより、仕事の中身が変わります。教材づくりや採点の一部はAIが担うようになりますが、「何をどう学ばせると成果が出るか」を設計する人、先生や企業の人事に寄り添って定着させる人の価値はむしろ上がっています。AIを使いこなす側に回れるかどうかが分かれ目です。
Q9. EdTechに強い転職エージェントの選び方は?
EdTechやHRテック、SaaSの経営者と実際につながりがあるエージェントを選んでください。求人票に出ていない「1人目のPdM」「事業責任者」のポジションは、経営者から直接相談が来るケースが多いからです。選び方は転職エージェント選び方ガイドで詳しく解説しています。
まとめ — 2026年のEdTechは「伸びる領域を選び、数字を見て入る」
EdTech業界は、社会人のリスキリング、AI教材、学校のDXという伸びる領域がある一方で、語学や知育アプリなど踊り場に入った領域もあり、さらに大手教育企業による再編が一気に進みました。「EdTechだから伸びている」ではなく、「どの領域の、どの会社が、どう伸びているか」を見て選ぶ時代になっています。
これから伸びる業界全体を見比べたい方はこれから伸びる業界・成長産業の記事を、ベンチャー転職全般の考え方はベンチャー転職 完全ガイドをあわせてご覧ください。採用する側の方はスタートアップ採用ガイドで、1人目のCS・PdM・営業を採るときの要件設計を解説しています。
キープレイヤーズでは、EdTech業界の執行役員・VPクラスから、法人研修SaaSの営業、教員からEdTechへの転職まで、幅広くご相談をお受けしています。「教員からEdTechに移れるか」「大手からスタートアップに移るときの年収の落としどころ」「再編された会社に行くべきか」など、業界ならではの悩みも一緒に整理できます。今すぐ転職するか決めていない段階でも構いませんので、お気軽にご相談ください。
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