人材紹介会社は人を増やすべきか|JACとフォースタートアップスの決算が示した2つの答え【2026年最新】

人を増やした会社と、増やさなかった会社
執筆者:高野秀敏
株式会社キープレイヤーズ/代表取締役
東北大→インテリジェンス出身、キープレイヤーズ代表。東北大学特任教授(客員)、12,000人以上のキャリア面談、4,000人以上の経営者と採用相談にのる。80社以上の投資、9社上場経験あり、2社役員で上場、クラウドワークス、メドレー。178社上場支援実績あり。顧問、アドバイザー、社外役員30社以上、キャリアや起業、スタートアップ関連の講演回数100回以上。「ベンチャーの作法」ダイヤモンド社5万部を超えるベストセラー

こんにちは、ベンチャー・スタートアップへの転職支援を約25年続けているキープレイヤーズの高野秀敏です。

人材紹介の会社を2社、決算で並べて読みました。どちらもハイクラス領域です。フォースタートアップスと、JACリクルートメント。両方とも直近は過去最高でした。ただ、伸ばし方がまるで逆でした。

目次

フォースタートアップスは、人を増やさずに利益を2.5倍にした

生産性の指標である「1人あたり決定件数」が、0.43から0.54へ。1年で23.4%上がりました。

指標 2025年3月期 2026年3月期
1人あたり決定件数 0.43 0.54
連結売上高 3,693百万円 5,268百万円(+42.6%)
営業利益 452百万円 1,120百万円(+147.3%)
人材紹介の入社件数 721件 989件

JACは、コンサルタントを362名増やす

コンサルタント数(国内人材紹介事業)
2015年 496名
2020年 1,012名
2025年 1,722名
2026年(計画) 2,084名

決算説明会で、投資家からこう聞かれています。人員増加が売上成長に直結する労働集約型モデルで、超長期の成長シナリオが描きにくいのではないか、と。JACの答えが、私は誠実だと思いました。

「当社の事業は労働集約型であり、短期的に指数関数的な成長が見込めるモデルではありません」

離職率は9.7%から11.6%へ悪化した

コンサルタントの離職率が、9.7%から11.6%へ1.9ポイント悪化していました。人を増やして伸ばすモデルは、増やした人が辞めると成長が止まります。だからJACが新卒を200名採って、入社前からアカデミーで育てているのは理にかなっています。

JACは「生成AIの影響」について単独の資料を出している

同社は2026年3月に「生成AIの進展による当社事業への影響について」という資料を公表しています。投資家からの問いは、生成AIでマッチングが進んだら人材紹介はいらなくなるのではないか、というものでした。

JACの答えは、自分たちがやっているのはコンサルティング型である、というものです。

  • 求人票に記載がない情報の把握(企業カルチャー、組織背景、経営者の意図)
  • 対話を通じた要件変化への対応
  • コンフィデンシャル案件における調整・信頼関係の構築

あわせて、ミドル・ハイクラス領域の新規求人件数の推移も示しています。

期間 新規求人件数の年平均成長率(CAGR)
2016〜2019年 6.8%
過去5年 17.1%
過去3年 19.5%
直近の新規求人件数 73,325件

コロナ禍の影響を挟みながら、直近3年の伸びが最も大きくなっています。AIでホワイトカラーの求人が減るという見方に対する、同社なりの回答です。

私はこれを読んで、少し前に読んだ論文を思い出しました。生成AIを5,000人以上のサポート職に配ったら、伸びたのは新人でした。AIは差をつくる道具ではなく、差を消す道具だったという研究です。

AIが配れるのは、過去に答えがあったものだけです。求人票に書いてある情報は配れる。書いていない情報は配れない。

人材業界5社の「値付けの方向」を1枚にまとめる

決算を5社読んで、いちばん差が出たのは規模でも成長率でもなく、値付けをどちらに向けているかでした。

会社 主戦場 値付けの方向 根拠となる開示
フォースタートアップス スタートアップのハイレイヤー 上げる 1件あたり単価が386万円→416万円
ビジョナル(ビズリーチ) ハイクラスの採用プラットフォーム 上げる ヘッドハンター向け成功報酬料率を改定
リクルート(Indeed) 世界最大の求人プラットフォーム 上げる AI機能を上位プランに束ねる。US ARPJ成長率35%
JACリクルートメント ミドル・ハイクラス 上げる 高年収帯へのシフトと平均成約単価の向上
メドレー 医療・介護・ヘルスケア 下げにいく 「長期的に安価な手数料でのビジネスモデルの実現を目指しております」

5社のうち4社が値段を上げる方向で、下げにいくと明言しているのはメドレーだけです。

採用する側は、この違いをどう使うか

ここで詳しく書いた選び方の全体像は転職エージェントの選び方 完全ガイドにまとめています。エージェントを選ぶとき、その会社が人を増やして伸びているのか、1人あたりの生産性で伸びているのかを見ると、担当者の質のばらつきがある程度読めます。急拡大している会社には、経験の浅い担当者がつく確率が上がります。

担当者が誰かで結果が変わる仕事です。会社名だけで選ばないでください。

とくに経営幹部のポジションは、担当者の経験差がそのまま結果に出ます。CxOクラスの転職についてはCXO転職ガイドに、失敗しやすいパターンについてはベンチャー転職の失敗・後悔ガイドにまとめています。

よくある質問(FAQ)

ハイクラスの人材紹介会社はどこがいいですか?

会社名より、担当者が誰かで結果が変わります。目安として、その会社が人を増やして伸びているのか、1人あたりの生産性で伸びているのかを見てください。急拡大している会社ほど経験の浅い担当者がつく確率が上がります。

人材紹介会社のコンサルタントは足りていますか?

足りていません。JACリクルートメントは2026年に362名の増員を計画し、うち約200名が新卒です。国内人材紹介事業のコンサルタント数は2015年の496名から2025年の1,722名まで増えています。

AIで人材紹介はなくなりますか?

JACリクルートメントは2026年3月に「生成AIの進展による当社事業への影響について」という資料を単独で公表し、同じ問いに答えています。同社の回答は、自分たちが扱っているのは求人票に書かれていない情報(企業のカルチャー、組織の背景、経営者の意図)であり、対話のなかで要件そのものが変わることへの対応だというものです。

ハイクラスの求人は減っていますか?

減っていません。JACの新規求人件数は73,325件、過去5年の年平均成長率は17.1%、過去3年では19.5%です。

人材紹介会社の離職率はどれくらいですか?

JACリクルートメントの国内人材紹介事業では、コンサルタントの離職率が9.7%から11.6%へ1.9ポイント悪化したと開示されています。

担当コンサルタントが変わるのはなぜですか?

担当者の離職や異動が主な理由です。急拡大している会社ほど起こりやすくなります。重要なポジションを依頼する際は、担当者個人との関係を前提にしすぎない設計にしておくと安全です。

人を増やさずに成長している人材会社はありますか?

フォースタートアップスがその例です。1人あたり決定件数が0.43から0.54へ23.4%改善し、2026年3月期の売上高は42.6%増、営業利益は147.3%増でした。

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出典

株式会社ジェイエイシーリクルートメント 2025年12月期 通期決算戦略説明会資料、決算説明会 質疑応答要旨(2026年2月20日)、「生成AIの進展による当社事業への影響について」(2026年3月31日)。フォースタートアップス株式会社 2026年3月期 通期決算説明資料。

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この記事を書いた人

東北大→インテリジェンス出身、キープレイヤーズ代表。東北大学特任教授(客員)、12,000人以上のキャリア面談、4,000人以上の経営者と採用相談にのる。80社以上の投資、9社上場経験あり、2社役員で上場、クラウドワークス、メドレー。178社上場支援実績あり。顧問、アドバイザー、社外役員30社以上、キャリアや起業、スタートアップ関連の講演回数100回以上。「ベンチャーの作法」ダイヤモンド社5万部を超えるベストセラー

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